音楽家自身がインターネットを介して音源を販売する手法は既存の流通システムを淘汰し得るか!?
リスナーが音楽家の活動全般に寄付する未曾有の基金“M.A.F”の設立とその行方──
「12月1日に重大発表あり」というメッセージを発表していたまつきあゆむが、自由で新しい音楽活動の基盤として“M.A.F”(マフ:“Matsuki Ayumu Fund”の略称)の設立と、2010年1月1日に28曲を収録したダブル・アルバム『1億年レコード』の発売を発表した。自身の音楽活動のための寄付金をユーザーから募る未曾有のシステムを確立し、レーベルや流通といった中間マージンを撤廃したデータ配信での音源販売を断行するというのだ。目を覆いたくなるばかりにCDパッケージのセールスが激減している現在の音楽市場において、これはまさに事件だ。まつきのような音楽家が今後増えれば、レーベルや流通会社の存在意義は皆無となるのだから。レーベルの宣伝費から主に制作費をまかなう我々フリー・マガジンとて他人事ではない。ゼロ年代が終焉を迎え、この音楽業界に棲まう誰しもが生き残りを賭けたサヴァイヴァル時代にいよいよ突入したと言っていいだろう。本誌の刊行存続に危機感を募らせつつも、腹を括り画期的なシステムを発明・敢行せんとするまつきにその真意を問うべく、僕は三鷹にあるまつきの自宅を訪ねた。(interview:椎名宗之)
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