ギター バックナンバー

DISK RECOMMEND ('08年06月号)

LOFT PROJECTのスタッフがイチオシのCD・DVDを紹介!!
レビューページの画像をクリックすると、Amazonのページにリンクします。

★以下のジャケットをクリックすると、各レビューが読めます。

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SION / 住人〜Jyunin〜

UGCA-1020 3,150yen (tax in) / 6.11 IN STORES
失意の夜と希望の朝を繋ぐ鎹の歌

前作『20th milestone』から僅か10ヶ月というインターバルを置いて発表される、SIONにとって通算21枚目となるオリジナル・アルバム『住人〜Jyunin〜』は、社会と自分自身に対する抑え難い怒りが通底したテーマとなっている。それは「同じ列車に乗ることはない」でのリッチな暮らしを送る“すてきな庶民”に対する揶揄や、『棚に上げて』での“寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞ”という吐き捨てるような激しい言葉からも読み取れるだろう。『Saji』で唄われる“大切な人の苦しみは胸を掻きむしるけど/好きでもない人の痛みはただの世間話さ”という歌詞は、“瓦礫の山に咲く花”や“汚水の川に暮らす水草”にさえも優しい眼差しを向けるSIONだからこそ説得力がある。私的な話になるが、ある日このアルバムを聴きながら無音のテレビを見ていたら、相継ぐ女子高生の殺人事件を朝のワイドショーが伝えていた。その時にたまたまヘヴィなブルース・ナンバー『ジョニーデップ以外は』が流れてきて、SIONが喉元から振り絞る声で“こいつが何をした/運命とかぬかしたら/俺は暴れるぜ”と唄った。それは今の時代の荒んだ空気とSIONの歌が奇妙なシンクロニシティを起こした瞬間で、思わず背筋が凍った。何の罪もないのに尊い命を奪われる理不尽。他人の不幸は我関せずの態度を貫く心の荒涼。物価の高騰に左右される筈もない裕福な自称“庶民”がしたり顔で浮世を憂う荒唐無稽さ。金や権力ばかりがすべてを計る物差しとなり、愛や義理人情を余りにないがしろにし過ぎた現代のあらゆる事象に、SIONは“すてごろ”で怒りの感情をぶつける。正直者がこんなにバカを見てもいいのかとばかりに憤る。一心不乱に生を全うしようとするが故にその怒りは真っ直ぐで猛々しく、サウンドもその抑え難い感情に呼応するように直情的なバンド・サウンドが貫かれている。唯一のミディアム・スロー・ナンバーである『夢があることの何処が悪い』でさえ、荒々しくスネアが連打されているほどだ。
切れば赤い血がドッと溢れ出るかの如き躍動感に溢れたサウンドは、堅い絆で結ばれた盟友バンド、THE MOGAMI(松田文、池畑潤二、井上富雄、細海魚、藤井一彦)、昨年からライヴが活発化しているTHE CAT SCRATCH COMBO(藤井一彦、清水義将、相澤大樹)、それに永田“zelly”健志、麻生祥太郎、町田隆之というほぼ前作と変わらぬ布陣によって支えられている。本作でSIONが意図した徹頭徹尾バンド・サウンドにこだわる志向性は、かなりの精度で突き詰められたと言って良いだろう。約半数の曲がCAT SCRATCH COMBOによる演奏で、MOGAMIとはまたひと味違ったキレとコク、彼らの良い意味でのフットワークの軽さが全体的に春秋に富む印象を与えている。MOGAMIは『住人』と『Hallelujah』で重くズッシリとした貫禄のアンサンブルを聴かせているし、前作から始まったzellyチームとのコラボレートも『EQ』での鮮度の高い演奏で有機的に結実している。先に述べた怒りの感情云々を抜きにしても、理想的なバンド・アンサンブルの妙を愉しめるアルバムだと言えるだろう。
また、その払拭し得ぬ怒りの感情は、最終的に深い絶望の淵に立たされた者だけが手にできるやさしさ、辛酸を舐めてもなお生きることを肯定する力強い意志へと着実に昇華されていく。『光へ』では“昨日もダメで今日もダメだった/だから明日出来るかもしれないぜ”と決して希望を忘れず、『Hallelujah』では軽快なアイリッシュ・トラッドに乗せて“それでもまだまだ走るぜ”と唄われる。そしてアルバムの最後は、全面的にレゲエのリズムをフィーチュアした『Happy』という生を真正面から肯定した歌で締め括られるのだ。散々煮え湯を飲まされ、地を這うような経験をしてきた男が唄う“希望”の意味はとても重い。そもそも、冒頭の『住人』でSIONは“君が空の住人でも俺と同じ地に暮らす人でもそんなことはどうでもいい、きれいな心の君が好きだ”と唄い切っているのだ。本作に収められた11曲はどれも漆黒の闇の中を射す一条の光のような歌であり、一日の労働を終えた後の一杯のように聴き干せる。やがてじんわり、胸の奥が熱くなる。五臓六腑に染み渡る。また明日から頑張ってみようと素直に思える。僕にとってSIONの歌は、失意の夜と希望の朝を繋ぐ鎹のような心の糧なのである。


(Rooftop編集長:椎名宗之)


音速ライン / ロレッタ

UPCH-8077 1,000yen(tax in) / 6.11 IN STORES

2008年を迎えてから精力的に作品を出している音速ライン。前作『半分花』もあちらこちらの有線等で耳にした事がある人も多いかと思いますが、今回の作品は彼等も得意としているアッパーなロックナンバーをお届け。今や毎年恒例の出演となっている夏フェスで聴きたい1曲。
ただのギターロックナンバーだったらきっと飽きられてしまうのだろうけど、勢いありながらも切ないメロディを随所に散りばめられ、ロマンチックな歌詞世界。カップリング『素晴らしい世界』はアコースティックナンバー。勢いある楽曲も良いけど、彼等の楽曲には実はカップリングに名曲が多い。全ての作詞・作曲を担っているVo&Gの藤井さんはとてもロマンチックな人だなぁ。ずっと前から思っていたけど。
いくつになっても大好きな音楽。そんな音楽があって側にあって良かった。そう言わせてしまう音速ラインはなんてズルいんだろう(笑)。


(SONG-CRUX:樋口寛子)


キノコホテル / 真っ赤なゼリー

KR-001 500yen(tax in) / IN STORES NOW

私が物心ついてから最初に聴いたレコードは父親の持っていたピンキーとキラーズ『恋の季節』だった。そんな原体験のせいか、以来、けだるい女性のアルトボーカルには無条件に反応してしまうのだが、この女性4人バンド、キノコホテルのデビューシングル『真っ赤なゼリー』にも、まずはボーカルの魅惑的な声にグッと引き込まれた。そして演奏もいい。音楽的には60'sサイケ、ガレージ、GSに分類されるものだが、オルガン、ファズギターを中心に組み立てられたアレンジは、決してマニアックに陥ることなく歌謡曲と呼んでもいいぐらいキャッチーで聴きやすい。またカップリング曲『静かな森で』は長尺の曲を抜群の構成でグイグイひっぱってくれる。これはライブで盛りあがるだろう。昨年結成されたばかりのバンドだが、既にライブハウス、インディーズチャートでは注目株となっているキノコホテルを一刻も早く体験して欲しい。


(加藤梅造)


sister jet / our first love EP

QSWR-1 1,500yen(tax in) / 6.04 IN STORES
 

なんだろう、このキュンキュンする感じ。
東京は福生で育った人懐っこいワルガキ3人からなるsister jetがリリースするニューミニアルバム『our first love EP』を聴いたときに感じたことだった。1曲目の『La La Dance』からラストの『I.L.U(i love you)』までの全5曲、痛快でリズミカルなロックンロールサウンドを聴かる。どことなく英詞が乗っているのではないかと感じさせるワタルsのボーカルも絶妙。さらにこのボーカルのマジックなのか、言葉の最後に聴かせるフワッと息を吐いたようなハニーボイスは、女子の心をつかんで離さないことだろう。全5曲とも、いろいろな形で“LOVE”が表現されているが、どの詞を読んでもポツンと1人でつぶやいているような“LOVE”ばかり。
沸々とわき出る感情が歌になって爆発したようでもある。だからこそ、これだけ爽快なサウンドになるんだろうし、楽曲からも溢れ出るエネルギーがあるのかもしれない。
そういえば、ずっと感じていたあのキュンキュンする感じ…そうか『our first love EP』、読んで字のごとく、初恋をしたときのあの感じに似ていたんだな。


(Rooftop:やまだともこ)


JUSTY-NASTY / STILL

XQEM-1001 3,000yen(tax in)/IN STORES NOW

1995年に惜しまれつつ解散したJUSTY-NASTYが13年振りに復活!!
  JUSTY-NASTYと言えば…そう! 私が大好きな藤崎賢一さんがヴォーカルを務めるバンドです! この話を聞いた時、最初は信じられない思いでいっぱいでしたが、嬉し過ぎて久々にテンションが上がってしまいました! そしてこのニュー・アルバムが届いて聴いた時には、もうテンションはMAXに!! 1曲目に収録されている『STILL』は、今年新たに書き下ろされた新曲という事ですが、紛れもなくJUSTY-NASTYの曲! J-N特有の勢いのあるキャッチーなナンバーに仕上がってます! 他13曲の名曲達も新たな生命を吹き込まれてここに甦っています! 同時に青春時代も甦り、一緒に熱唱してしまう事間違いナシ!! また『STILL』から始まり『SUNSETこのまま…』の“I think you're still in my heart”という歌詞で終わる演出には、ちょっとウルウル、やられました。。やっぱり私はJUSTY-NASTYが大好きです! 願わくばライブで、生で聴きたいな♪ なんて。


(新宿LOFT:どうきょうみゆき@小部屋)


SLANG / The immortal sin

RLCA-1116 2,205yen(tax in) / 6.18 IN STORES

遂に、ついに始まりの鐘が鳴り出した。大幅なメンバーチェンジを経て、再び北の大地から届けられた、SLANGの4枚目のアルバム『The immortal sin』。前作から実に7年ぶりというから驚きである。その前章として、日本の3大ハードコアパンク・レーベルから同時リリースしたシングルからも、通常にある固定概念を覆されたというのに、今回のアルバムはなんと世界11ヶ国同時リリース(CD/LP/CS)というから、SLANG史上、最も重要で過激な展開であるのは紛れもない事実なのだ。
新布陣から繰り出されるサウンドは、原点回帰のルーツを飛び越えて、無駄を省き、より研ぎすまされ、これまで以上に歌詞が掴んでくる。ハードコアという垣根を越えて、攻撃的かつ激情な熱を感じる。SLANG流の可能性を見事開花させ、まさに圧巻。素晴らしい仕上がりの10曲だ。8月からはリリースに伴った全国TOURも予定されている。結成20周年という冠にも輪を掛けて、今年の新生SLANGからは目が離せない。


(下北沢SHELTER:平子真由美)


Discharming man / 360°

5B-07 630yen (tax in) / 6月中旬一般発売予定

さる5月16日にSHIBUYA O-WESTで行なわれたブッチャーズの“official bootleg vol.017”で先行販売された、ディスチャーミング・マンのペーパースリーヴ・シングル第3弾。前作『THE END』からほぼ半年のスパンを置いてのリリースである。ディスチャーミング・マンとしての活動を始めて3年、たゆやかに流れ行く大河のような、大空を悠然と舞う鷹のような、泰然と頭をもたげる山々のような雄大さのあるメロディと、蛯名啓太独特の無垢な歌声に混じり合う鋭角なバンド・サウンドは本作においてひとつの結実を見た思いがする。タイトル・トラックが示す通り、360°旋回してプロジェクトの精度が高まり、蛯名が唄うべき歌がだいぶ見定まってきた気がするのだ。注目すべきは、ブッチャーズの吉村秀樹がギターで参加した3曲目の『スロゥ』。絶え間なく浮遊するメランコリックな叙情性と内に秘めた激情とが最も理想的な音像として昇華している。先述した“official bootleg vol.017”では、この紛うことなき名曲で吉村が参加して6人編成のバンドとして素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれたが、どうやら吉村の参加は永続的なものになりそうだとの嬉しいニュースも飛び込んできた。早くアルバムを完成させてインタビューをやらせてよ、蛯名君。きみの音楽のすべてを愛してます。


(Rooftop編集長:椎名宗之)


DOES / 曇天

KSCL-1251 1,020yen(tax in) / 6.18 IN STORES

DOESというバンドをご存じでしょうか? 先日行われた代官山UNITでのワンマン公演をSOLD OUTさせ、満を持して7/3(木)@新宿LOFTにワンマンにて登場します! そんなDOESの6枚目のシングルが到着しました。あの独特のメロディに乗せる歪んだSGの音。どこか懐かしくも、ビシビシと攻めてくるベースラインは胸をおどらせてくれます。そんなフロントマンを支えるドラムはこれぞ直球! 言えるほど力強く繊細に刻むリズム。まるで家族かの様な最高のタイミング。音のバランス。集まるべくして集まったこの3人。もはや怖い物なしな感じです。今回のシングルはDOES独特の空気感を残しつつ、なんだか夕焼け空を思い出してしまう。かと思えば突然の雨の中で感じるあの雨の匂い。そんな思いをはせる『雲天』『サマーサンセット』はタイトル通り夏のウキウキするような気持ちと、日没が来てしまうあの淋しさの狭間を彷彿させるような、ちょっと甘酸っぱささえ感じてしまう様な1曲になっています。
DOESを知らない人も知らなかった人もDOESの独特の世界観を楽しめる1枚かもしれませんね。


(新宿LOFT:HxGxK)


dOPPO / 毒ヘビはいそがない

5B RECORDS 5B-04/CD 1,260yen / IN STORES NOW

京都発3ピースバンド。リリースは1年前くらいになります。確か。同じく京都のもっさかっこいいバンドFLUIDとも共同企画やったりしてました。初めて彼らを観たのは3年前、京都の学祭でした。予備知識も、このバンドに対する観念もなしに初見。バンドでしかだせない、しかも限られたバンドにしか出せないキラッキラした粒がステージいっぱいに漂うサウンド。巧いわけではない(当時は)演奏やのに、音と音の摩擦により垣間見える音楽の持ち得る魔法みたいのんが光を放つもので、わたしはその場で釘付けになりました。Vo/g橋本君が投げやりにうたう詩がまた素晴らしい。歌詞カード読んで唸る。このアルバムの曲はどれも尖っていて突き放す。なのに撫でられるあのやさしい感触が備わっています。M-4『fastな俺の毎日を笑え』なんか聴くと、あいつシバき倒したいと思うようなささくれた感情がどっかに昇華されてきもちよくなります。暴力的なのに優しい。ひとえに音楽は、その人そのものが現れるものなんだと、改めて思わされる一枚。絶対聴いてほしい。


(Naked Loft:見汐麻衣


ザ・ノウ / ノウ宣言

FJJ001 2,100yen(tax in) / IN STORES NOW

ザ・ノウは、情報過多で冷笑的な現在のシーンへのカウンターだ。
「もう自分の言葉で歌うんだ」パンク・ロックにおいては当たり前かとも思われるようなことをあえて宣言しなければならないうような寒い時代になってしまったのだということを強烈に意識させられ、戦慄した。しかしながら、ザ・ノウはそのような状況下にありながらも自らを「ズッコケ」と称して、時代を笑い飛ばしながら愉快に生きていこうとするタフさも備わっている。退屈だから自分たちでやってみようぜ、これもまた当たり前かと思っていたが、いまはそんな気概を持っているやつら、ザ・ノウがとても頼もしく見える。
みんなはこれを聴いてどう思うかな?


(中上マサオ/Target Earth Records)


BanKBand / toU

TFCC-89180 1,050yen(tax in) / IN STORES NOW

もーすぐ夏フェスの季節ですね。いつかの夏フェス(apbank)で聴いて、冬に買った1枚です。今年も行きたいなー。
これからの未来のために、なんて大きなメッセージが込められていて、ちょっと難しいよーな気がしますけど。いろんな愛が描かれたこの曲は、あたしを強くしてくれます。いろんな人がいて、それぞれ違った価値観を持って生きていて。それをお互い認めあって支え合っていけたら。
「愛 愛 本当の意味は分からないけど」
難しいことは考えられないし、愛の意味なんて本当は分からないけど、自分のために、大切な人のために、強く生きていこうと思えます。
「光と影と表と裏 矛盾も無く寄り添ってるよ 私たちもこんな風であれたら…」
「悲しい昨日が涙のむこうで いつか微笑みに変わったら 人を好きに もっと好きになれるから 頑張らなくてもいいよ」
抜粋した詞だけだと、恋愛の詞みたいですが違います。ゴメンナサイ。聴く人によって、感じる愛が違うと思いますが、心が綺麗に温かくなることに代わりはないでしょう。まとまらないけど、愛を感じたいときに、大事なことを忘れてしまったときに聴いてください。


(下北沢SHELTERのえびチャン)


THE BACILLUS BRAINS / C・O・S・M・E

初回製造分限定紙ジャケット仕様NFCD-27087 2,800yen(tax in)
アナログ盤も発売!限定1000枚プレス。
6.04 IN STORES

言わずとしれたSlight Slappers/Exclaim/CHARMという最強ハードコアバンドから生まれたThis is 不良音楽!!それがTHE BACILLUS BRAINS。THE BACILLUS BRAINSとしては初、日本脳炎から考えると2枚目のフルアルバムの完成な訳ですが、相変わらずのメロディアスかつテンションのあがるポップチューンにびっくりするほど虜になります。と言うか、そもそもこのメンバーでよくこの音楽が生まれたな〜って本気で思いますが、それが魅力であり、その化学反応が今のTHE BACILLUS BRAINSの最大の魅力な訳ですし。そしてそして、今回のすごい所はPV撮影に石井聰互氏が、アーティスト写真をアラーキーこと荒木経惟氏が、そしてジャケ写には世界的画家の宝山基氏が! こういう事言っちゃいけないかもしれませんが「お金かかってますね〜〜!!」何はともあれ、すんげーのが出来上がりましたよ。質的にもボリューム感も大満足な作品です。あーだこーだ言うより聞いた方が早いっす! そうすれば君もきっとTHE BACILLUS BRAINSに感染するでしょう。


(新宿LOFT:HxGxK)


Bacon / 9traccks Hi!

THER-0001 2,000yen(tax in) / 6.11 IN STORES

前作から早3年。その間「Bacon」は地元である関西を中心にライブ活動をし、時にはVo&Gコウドによる弾き語りライブをしてみたりと、ミュ−ジシャンとしてのポテンシャルは一切変わる事なく活動。そんな熱さがぎゅっと凝縮された待望の2ndフルアルバム。
メロディアスでキャッチーな楽曲からBacon流シリアスな楽曲まで網羅したら、「ライブ」が思い浮かぶでしょう。以前にも増して勢い感じられる楽曲を抱え、全国へ駆けずり廻っている彼等。バンドが一丸となり自分達の存在意義を証明している姿は多くの人の心を揺さぶることでしょう。
Baconをまだ聴いた事がない人、知っている人はもちろんの事、変わらずあるmoogの心地よさとギターの絡みを聴くと身体を揺らさずにはいらません。


(SONG-CRUX:樋口寛子)


THE BULLET CABARET / DROP THE STARDUST

STR-1004 2,100yen(tax in) / IN STORES NOW

久々にストレートなロックバンドが登場した。この狂ってきた世の中に、自分たちはこれだ、と言う確固たる意志を持っているバンド「THE BULLET CABARET」。そんな彼等の1STアルバムが完成した。エッヂの効いた尖ったロックンロールが詰まっていた。尖っている音楽なのに、そこはかと漂う人間味のある温かさを兼ね揃えた、素敵な音楽。1曲目のKick outからアップテンポの王道ビートロックチューンから、リードソングで代表曲になりうる3曲目黒のシャンデリアでは、叙情的なロックミュージックを展開し、9曲目のクレイジーなパンクナンバーまで幅広いアルバムだった。生っちょろい現代っ子達に、怒りの鉄槌を打ち込む作品です。日々ガツーンと来てない皆様へオススメです。
彼等はこのアルバムを引っ提げて、6月から全国へ本当のロックを打ち鳴らす旅に出る。これを聴いて、世の中の音楽好きの感性が振れたら良いなと思う今日この頃。


(新宿ロフト:大塚智昭)


THE ミドリ / あらためまして、はじめまして、ミドリです。

AICL-1919 2,500yen(tax in) / IN STORES NOW

一過性の青さにすぎないはずの思春期の衝動を、色褪せることなくパンクに反映するバンド、ミドリの新しいアルバムが出た。セーラー服という幻想を打ち砕く狂音は、いけない子が放つ賛美歌。“時代が欲しがる圧倒的な個性”である後藤まりこ(ギターと歌)、小銭喜剛(ドラム)、ハジメ(鍵盤とコーラスとノイズ)、岩見のとっつあん(コントラバス)からなる4人組。言わずと知れた、この人気バンドが今回のアルバムタイトルで『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』と自己紹介しているのは、この作品が新たなファンを獲得する程の出世作になる確信と、戦う決意の表れなのだろう。ジャケットには裸の女の子。はじめてミドリを見た時、セーラー服という出で立ちで暴れ回る姿に、男子が抱く女子へのアホらしい幻想に対する強烈な反発だと思った。それでも好きになって、欲しがってしまう自分の矛盾に対しての怒りを感じた気がする。
悲恋、ただ祈るような願い、期待されればされる程増す苦悩。詩に浮かぶ後藤まりこの純粋さが痛々しい。それを、ノイズを交えたパンクサウンドで振り切っているから、決して悲しくない。力強い。このアルバムの中で起きているたくさんの爆発は、革命という名のオーガズムだ。


(新宿LOFT:岩波 亜朱香)


MIDICRONICA / #209

SML-R-0001 2,625yen(tax in) / IN STORES NOW

これが2ndアルバムとなる、新進気鋭のアニメーターが手掛けたキャラクター達による、ヒップホップ・プロジェクト。でもそれは、したり顔のキミが思うような、広告代理店的オトナ・プロジェクトじゃなくて、ひとつの理念に賛同したアーティスト達(音楽に限らず)が集まって、きっとみんな子供みたいな笑顔でね、最高にカッコいい秘密基地を作るんだって意気込みで、ひとつひとつを大事に大胆に自由に遊びまくった集大成。しかもそこに集まったのがひとり残らずカッコいい大人なもんだから、聴いてて嬉しくなるくらいツボを突いて来るし、胸を張って「これはホンモノだ!」って叫びたくなる。ちなみに参加してるのは、アルファの坪井、samurai troopsのタカツキ、astroのイワブチマサル、super stupidの大高ジャッキー(!)などなどそうそうたる顔ぶれ。あと、実はこのプロジェクト、3年前にはアニメ『サムライチャンプルー』のEDテーマ『San Francisco』を手掛けて早耳な音楽好きの心をグッと掴んだこともある。まあとにかく聴いてみりゃ解るハズ。冒頭の話じゃないけど、ン千万円かけたオトナ・プロジェクトじゃ絶対到着できない5次元ステーションに、連れてってくれるから。


(ルーフトップ★ギャラクシー:前川)


山嵐 / 狼煙 -NOROSHI-

YAMAA-001 1,680yen (tax in) / 6.11 IN STORES

進化するロック・モンスター、山嵐約2年振りのアルバムが遂に、発売! 今作は自主レーベル“豪直球”より完全インディーズでのリリース。ライヴ活動では湘南最大のフェス『湘南音祭』のオーガナイザーとして確固たる地位を確立した山嵐。そんな山嵐から届けられた今作は、すでにライヴではお馴染みの『FUJIYAMA feet. No.8(Y×C×H×C)』も勿論収録。他には、山嵐が得意とするアグレッシヴな楽曲や、従来の山嵐のイメージを軽々と覆すような曲までもが含まれている。全7曲、今の山嵐を最大限に感じることができる進化と深化が詰まったアルバムと言えるだろう。タイトルが示す通り、山嵐がミュージック・シーンに新たな革命の狼煙を上げる! 6月には今年も『湘南音祭』の開催が決まっており、7月からはファン待望の全国ツアーもスタート。今年は山嵐の活動から目が離せない!


(MOTHER BICYCLE Inc.:4184)


LITE / Phantasia

UKDZ-0071 2,310yen(tax in) / IN STORES NOW

近年、世界規模での活躍も話題のLITEのセカンドアルバムです。日本にも数多くのインストバンドがいますが、このアルバムで彼らは確実にひとつ先を走っていることが確信できます。ちなみに『Phantasia』というアルバムタイトルはファントム(幻想、幻影)+ファンタアジア(幻想曲)の造語とのこと。独自の世界観とずば抜けた演奏力で表現する音の重なりは前作よりもさらに深みを増し、狂気さえも感じてしまう内容になってます。プログレッシブで鋭角的な展開が絶妙で何度聞いても楽しめる傑作です。
リリースツアー初日は6月15日下北沢SHELTERにて54-71と2マン。このCDでの衝撃を実際に体験したい方は是非!!!


(下北沢SHELTER店長:峯崎)


reach up to the universe / Sweet Stars

XQCZ-91001 500yen(tax in) / 6.04 IN STORES

ものすごくベタだとは思いますが、ストリングスが入った楽曲には私は無条件で胸がキュンキュンしてしまいます。
reach up to the universeはなかなか珍しいチェロ奏者を擁しているバンドで、セルフタイトルでもあった前作ミニアルバムは、エモーショナルなメロディにチェロの調べ、時折スパイスとして入るトランペット、アメリカ人スティーブのヴォーカルがツボに入り、一時期聴き込んでいました。
そして、スティーブが脱退しバンド結成時のヴォーカル納富氏が再加入した今作は、今までにないほどのキャッチーでポップなメロディにストリングスが絡む『Sweet』と、バンド最大の特徴であるチェロをキーボードに持ち替え、ボコーダーも多用しキラキラしたサウンドの『S.T.A.R.S』の相反する2曲で新しい世界を広げています。
これまでに関わってきたアーティストもbuddhistson、OCEANLANE、the chef cooks me、LITE、NAHTなど豪華な顔触れが揃う彼ら。500円の2曲入りシングルなので、少しでも興味を持った方には手に取りやすいものであるかと思います。完全生産限定なのでお早めにどうぞ。


(Naked Loft:松本杏)


LIBB! HOLLYWOOD / Blue wants Black or White.

HTNR021 1,500yen(tax in) / IN STORES NOW

Vo.Gt.新村けんぞう、Ba.和佐田匡希、Dr.柿沼和弥からなる3ピースバンドLIBB! HOLLYWOOD。作詞作曲を手がける新村から生み出された人間味の溢れる歌詞と、ポップセンスで紡ぎ出される躍動感あるメロディーライン。独特の歌い回しと透き通った歌声で魅了するボーカル。リズム隊は力強さと正確さを持ち合わせ、バンドの屋台骨となってがっしりと楽曲を支える。
4月にリリースされた彼らのニューアルバム『Blue wants Black or White.』でもLIBB! HOLLYWOOD節が響き渡る。人間誰しも白黒をつけたがるがゆえに生まれる矛盾や憤り、ネガティブもポジティブも全てを受け止めて前へ進もうとする感じを描いた、ストーリー性のある楽曲。詞を読んで照れくささを感じてしまうこともありながら…。全6曲ともにサウンドは個性的な光を放ち、聴く者のさまざまな感情を呼び起こすことだろう。白黒はっきりさせることが正しいのか正しくないかは未だによくわからないが、『Blue wants Black or White.』を聴いて少しでもその答えを見つけられたらと思う。


(川口しおり)


旅団 / Terra Incognita

PEM-006 2,100(tax in) / IN STORES NOW

あるLIVEで“頭で考えるな、体で感じろ”と教えていただいたことを思い出しました。“旅団”が作り出す世界はまさしくです!! ここは何の音で…と考えてる時を与えてくれません。静と動。8曲それぞれにドラマが見え、瞳孔開きっぱなし お興奮状態です。☆1から激情の嵐。連打の走り抜 ける感じが涙を誘います。☆3は目を閉じるとそこは異国です。☆4のディジュリジュとサックスの哀愁具合に酔いしれて。☆5の瞑想サウンドで踊り狂い間違いなし!☆8のラストの曲は記憶飛んでいます。一曲を選ぶというのは至難の業、いつのまにか音に飲まれてるんです。CDでこんなにテンションが上がるということはLIVEはドラマが起きること間違いなしのインスト軍団です。“旅団”要チェックだYO!!


(阿佐ヶ谷ロフトA永遠の新人 ☆伊勢茜☆)


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Good Dog Happy Men / Memory of the GOLDENBELLCITY

TBBD-1980 2,800yen(tax in) / IN STORES NOW
シニカルでシリアス、コミカルでケミカルなthe GOLDENBELLCITYへようこそ

Good Dog Happy Menが3月8日に東京キネマ倶楽部で開催された、the GOLDENBELLCITYの総集完結章独演会『Memory of the GOLDENBELLCITY』のライブDVDをリリース!! 初のライブDVDとなる。the GOLDENBELLCITYとは一番新しいお伽噺を音楽でという理念を持って制作された3部作の作品で、これはthe GOLDENBELLCITYが具現化されたこのライブ。
DVDの最初にはリコーダーが奏でるメロディーをバックにして、当日の会場の様子が映し出される。階段や入り口にCDのジャケットでも使用されている街の絵が飾られ、会場のあらゆるところにはキャラクターが仕掛けられ、まさにthe GOLDENBELLCITYを訪れた旅人の気分。メンバーは、この街に楽団がいたら確かにこういう格好をしているだろうなと納得させる衣装で揃え、細部にまでこだわっている様子がうかがえる。ここまで確固たる世界観を持ってライブをやれるバンドもなかなかないだろう。
この日のために作られたOpening SE『GOLDENBELLCITYのテーマ』で幕を明け、門田が静かにメトロノームを回し、チーンチーンと一定のリズムを刻むと、重なるようにそれぞれの楽器が演奏される。4人の出す素朴で温かみのある音に吸い込まれるようにステージへと魅了される。曲が変わり、ベースが鳴り響くと『勇敢な指揮者〜大行進』が。これから何が起こるかわからない物語の中に勇敢に向かっていくような力強いベースの音。そこに2台のドラムが重なり、よりダイナミックな曲へと進化する。さらに曲が進んでいくと、CDで鳴らされていた音のほとんどがライブでも完全に表現されていることに気付く。ドラムの内田がドラムを叩きながらカズーを吹いたり、ベースの韮沢が丁寧にコントラバスを弾いていたり、カホンがあったり、トライアングルがあったり4人しかいない楽団のはずなのに、それ以上の人数がこの楽団には存在しているかのような錯覚に陥る。ライブの中盤辺りにアコースティックで演奏される『吐息たちの棲み家』では韮沢はコントラバスを指で弾き、内田は職人ぶりが炸裂。トライアングルを鳴らしていたかと思えば、ラッパを鳴らし、その間にDVDでは映されていないところでも数々の楽器を鳴らし、最後には泡立て器(のようなもの?)で楽しそうにシンバルを叩く。様々な楽器に持ち変えるため、彼だけがこの曲の間中、若干忙しなさそうにしているようにも見える(笑)。CDで聴かせてくれていた全員がカッチリと決めた音で歌うコーラスではなく、自由に声を発しているようなあの感じも健在で、ライブで聴くとその場をとても楽しんでいる感じも伝わるし、より臨場感の溢れる楽曲となる。『Bit by Bit』でのツインドラムがピッタリ揃って演奏される様子は圧巻。また、途中で門田のギターを変えに来たスタッフもちゃんと衣装を身にまとっていたとか、本当に完璧に作り上げられたステージだった。アンコールでは、結成当初から音源化が待ち望まれていた『風の音符 歓喜の声 和音』が演奏され、ようやくこの曲が手元に届けられることになった。
Good Dog Happy Menのライブを見ると毎回思うことなのだが、内田がドラムを叩いている姿というのは見ていて心地よい。というのも、彼がドラムを叩いている時の表情が好奇心旺盛の子供のようでもあり、何かとても楽しいことを見つけた少年のようでもある顔をしている。その表情がこのDVDでもちゃんと見ることができる。もちろん、それはバンド全体からも伝わってくるもので、4人全員が同じ気持ちで楽しんで音楽をやっていることが全員の表情からも溢れている。表情で言えば、これまで作品のジャケットもアーティスト写真も全てイラストで統一されていた彼らが、ついに顔を出した作品をリリースするということも大きなことではないだろうか。CDは毎回買っているのに、ライブに行きたくても行けない人は、このDVDで彼らがどんな表情をして楽器を触っているとか、どんな表情をして歌っているのかを知ることができる。そういった意味でもとても大きな意味をもった作品と言える。これで幕を閉じたthe GOLDENBELLCITY。次はどんな作品が彼らから生まれてくるのだろう。まずはこのDVDで彼らを知ってもらいたいと思う。


(Rooftop:やまだともこ)


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