究極のナルシストキャラ狩野英孝ついに登場!
今月、ジュリエットが部屋にお招きしたのは、「ラーメン つけ麺 僕、イケメン!」のネタでおなじみの狩野英孝さん。スラリとした身長にビシッと白いスーツを着込み、サラリとしたロングヘアーをなびかせて、ナルシスト全開。次から次へと話される、笑える経歴が盛りだくさんで、インタビュー中にこんなに笑って大丈夫かなぁと自分でも心配になるほどでした。
実際お会いした狩野さんは、すごく気さくな方で、これからも要注目です★
ネタの参考にしたのは…
──この業界に入って何年目になるんですか?
「もう5年目ですね。お笑いを始めたのが21歳ぐらいで、デビューしたのが22歳ぐらい。もともとは日本映画学校の俳優科に通っていて、卒業と同時にマセキ芸能社に一応芸人としてですが、先輩のお手伝いとして裏方で入ったんです。」
──俳優さんの学校に行っていたのに、お笑いの道に進もうと思ったのは?
「俳優のオーディションを受けまくったんですが、全部落ちたんですよ。映画学校はウッチャンナンチャンさんとか出川(哲朗)さんが出身の学校なので、マセキ芸能社とパイプがあったんです。だから、とりあえずお笑いでやってみようって思ったんです。パイプがあったのがたまたまお笑いの事務所だっただけで、他にモデル事務所とかだったらそっちに入っていたと思います。お笑いは嫌いじゃなかったですけど、ネタを作ったこともないし、どうやったらいいのかわからないし、自分がお笑いに向いているかどうかもわからないし、人前でボケるのもその時はすごく恥ずかしかったので、本当にたまたまですね。」
──たまたま入ったところから、今のようになるとは想像してないですよね。
「想像してなかったですよ。今の事務所に入るときも、お笑いのことを何も知らないからピンじゃなくてコンビで入りたかったんです。1人でステージに立つのが怖かったのもありますね。だから、相方をクラスで探そうと思って声をかけたんですけど、俳優科だけにお笑いなんて行きたくないよっていう人が多くて結局ピンで入ったんですが、何をやったらいいのか全然わからないからイメージでショートコントをやったりとか、漫才やったりとか昔の人のネタをパクってやってみたんですけど全然ウケなくて、やっぱり向いてないなっていう時にある人に“キャラクターがない”って言われたんです。そこから色々試行錯誤して、ちびまる子ちゃんの花輪クンみたいなイケイケのキャラをモデルにして、成人式で着ていたスーツをおろして髪も一生懸命伸ばして、このキャラになったんです。」
──最初にやったキャラがこの形だったってことですか?
「そうなんです。昔からやってることは全く一緒なんです。ただ、何が変わったかと言うと、衣装が変わったんです。」
──前はどんな衣装だったんですか?
「当時は成人式の時に着ていた黒のスーツだったんですけど、昨年の夏ぐらいに白のスーツに変えたんです。事務所の先輩のナイツさんから梅ヶ丘のスーツ屋さんがいいよって聞いていたんで、誕生日を機にオーダーメイドで作りに行ったんです。そしたら初めて来たのに、店の前に僕の写真が貼られていたんですよ。『スーツの似合う芸人』ってあたかもそこで作ったように写真が貼られていて、なんだこれって思いながら店に入って、何千枚とある生地の中から選んで、“どんな芸をやっているんですか?”って聞かれたから、“ちょっといいですか?”って店の前に呼んで、“僕これなんですよ”って言ったら、“これ君〜?”って(笑)。」
──知らなかったんですか(笑)!
「そうみたいなんです(笑)。そこからすぐにご主人が、70年代のディスコブームにしてボタンも金にしちゃおうって、ノリノリで作ってくれたのがこれなんです。ディスコブームというか、ちょっと古めのデザインですね。けっこう持ち歩くので、シワにならない生地になっているんですよ。」
──ホストをイメージしているわけではないんですね。
「ホストってよく言われますけど、僕自身ホストってうたったことはなくて、ちびまる子ちゃんの花輪クンとか郷ひろみさんとかのイケイケな感じでキャラを作っていたんですけど、ピンでスーツを着ているだけでヒロシさんのパクリだとか、ホストだとか周りから言われるようになったんです。僕もそれにのっかっちゃったんですけど、最初はホストって概念はまったくなかったんですよ。実際ホストの一日体験のロケとか、ホストで仕事が来るならいいかなって思っています。でも、以前番組で植松晃士さん(ファッションプロデューサー)に“ジャケットの裾も短いし、ブーツカットになってるし、六本木も渋谷にも新宿にもいないホストだよね。ホストじゃないよね。”って言われた時に、“さすが植松さん、よくご存じで”って逆に嬉かったです。基本はホストじゃないんです。」
──ずっとホストをイメージしているのかと思ってました。
「そうですよね。でも実際考えるとこんなホストいないですよね。ロン毛で江口洋介さんばりの。」
──言われてみるとそうですよね。10年ぐらい前にはいましたけどね。
「そうそう(笑)。今はいないんですよ。」
今に至るまでの道のり
──今のキャラクター作りをするにあたって、普段から人を見て観察とかしてます?
「勉強はしてますけど、日頃からホストに行ったり、キャバクラのボーイさんを見てというのはないですね。僕が高校の時に読んでいた『ジャンプ』とか『マガジン』は、どの漫画にも主人公がいてヒロインがいて、意地悪なヤツがいて、ナルシストがいて…ってナルシストって必ず出てくるんです。“僕イケメン”みたいなキラキラしたやつが1人ぐらいいるんです。そういうヤツのセリフを読んだり、アニメのキャラクターが演じている声優さんのしゃべり方はチェックをしてます。意味のないところで略したり意味のない手つきだったり英語を使ったり、語尾だとかはチェックしてますね。」
──高校生で読んでいたときから気になっていたんですか?
「好きなキャラクターではあったかもしれないです。当時ビジュアルバンドもやっていて、ビジュアルバンドの歌詞は、けっこうリアルにナルシストなキャラクターが使うような英語だったんです。それが好きだったりするので、興味はありましたね。あと、L'Arc〜en〜Cielのhydeさんに憧れていて“ワンツースリーフォーファイブシックスラルクアンシエル ”っていうギャグがあるぐらいで、8月の単独公演も『Ciel』って付けたぐらいです。」
──わかる人にしかわからないですね(笑)。
「僕が好きだからいいんです(笑)。」
──ビジュアルバンドもやって、高校の時はモテたんじゃないですか?
「モテてましたよ(キッパリ)。僕らのバンドは上手くはなかったですけど、田舎だったのでスーツを着たヤツらが集まって照明を浴びるだけでかっこいい!! ってなったんです。バンドをやってるヤツが周りにいなかったので、下手でも貴重なバンドだったんですよ。ステージに立つと50ポイントぐらいイケメン度が上がりますもんね。」
──そうですね。
「でも、芸人を始めた当時はステージに上がっても、スベって恥をかくことしか知らなかったんです。お笑いのライブなのに、東京にもこんなに静かなところがあるんだっていうぐらい静かで、1人でネタ練習しているんじゃないかぐらい。“狩野英孝です、どうぞ〜”で拍手されるのが盛り上がるマックス。これ以上盛り上がることがないんです。エンディングでは、そんなスベったヤツに拍手なんか送りたくないでしょうから、パチ・パチ・パチぐらい。当時は“今日も傷つきに行こう”って思ってましたね。朝起きて電車乗ってからも憂鬱で、嫌で嫌でガリガリに痩せているし、バイトをしていても気が気じゃないし、血尿とか出ていたんです。その後花輪クンのネタに気付いて、初めてこのキャラクターでやったのが『テレフォンショッピング』。“今日紹介したい商品はこちらです。こちらの商品よりも、もっと僕を見て〜”って言った時にドンとウケたんです。まさかウケるとは思ってないから、その後のセリフを忘れて案の定グダグダになっちゃったんですけど、ステージ下りた時にガッツポーズしました。このあとに、ナルシスト教習所、ナルシストラーメン屋、ナルシスト○○っていうネタをすぐに作ったんです。」
──そこに至るまでにどれぐらいかかりました?
「7ヶ月かかりました。他にももっと苦労している人たちがいるからたかが7ヶ月じゃんって思われがちですけど、ネタだけじゃなくて周りのプレッシャーが辛かったです。マセキ芸能社の一般のオーディション組は、学校でお笑いをやっていたとか、ある程度経験があって事務所を移ってきた人とか、僕は映画学校のウッチャンナンチャンさんを指導していた偉い人の紹介だから、マセキ芸能社も大事に扱わなきゃなって気を遣ってくれているのがわかるんです。でも、大事に扱わなきゃいけない子供が出来ないんですよ。気を遣われるのもすごく痛いし、ネタもダメだし、おもしろい人がいるのに落として僕が選ばれたりするのも苦しかったですね。“なんでアイツが?”って落ちた人から冷たい視線で見られるんです。そういうのが7ヶ月あって、8ヶ月目にイケメンネタ。そこから、夢にまで見たテレビが3ヶ月後に決まって、憧れていたますだおかださんやおぎやはぎさん、ロバートさん、アメリカザリガニさんとか芸能人の方々と一緒にお仕事をさせていただくようになったんです。でもあの8ヶ月はとにかく長かったですね。学校からも紹介したのに何だよこれは、とか、親からは映画学校の時に300万払ってお笑いに行ったのもイマイチだなって思ったのに、頑張ってるから見に来たら“何なのコレ?”って。僕の家って神社なんです。」
──だから名前が珍しいんですね。
「39代目っていう由緒正しき神社で、僕は跡継ぎ。それを押し切ってこっちに来たんです。でも、神社は地域のものだから、親が許しても地域の人には許して貰えなくて、周りのプレッシャーに耐えられなくて結果血尿だったんです。」
──今はご両親は?
「応援はしてくれてますけど、“最終的には神社の免許は取ってもいいんじゃない?”って、どうしても保険をおきたい感じではありましたね(笑)。」
案外普通のおにいちゃん?
──最近はテレビで見ない日はないですけど、お休みはあります?
「ありますよ。」
──何してます?
「寝てるか、家具を見に行ったりとか、事務所でビデオをDVDに焼くアルバイトをしていて、休みの日はそれを回したりしてます。」
──自分がテレビに出たのは見るんですか?
「見ますよ。こっちのほうがカメラ映りがいいかなとか(笑)。見ていて“あ〜”って思うのは、最近テレビに出ることが嬉しくて、でも慣れてないじゃないですか。テレビの現場で笑いが取れると嬉しいんですよ。ネタの場合は間であったりセリフが決まっているから、間をためればよかったとか、もうちょっと盛り上がった方がいいかなとか思うんですけど、フリートークだったり、ネタ終わりの絡みとか、ちょっと笑いをとったりするとO.A.中にニヤッとするんです。こいつ笑いとれて喜んでるって。嬉しくなっちゃって顔に出てるんです。せっかくキザキャラで行ってるのに、台無しなんですよね。」
──素が出ちゃってますよね(笑)。
「そうそう、そこは直さないとな。ウケたところはそれでよくやったとは思いますけど、その後。台無しにしてる(笑)。」
──普通の人だった! って。
「普通のおにいちゃんでした(笑)。」
──ところで、自分は好きですか?
「大好きですね。」
──今ライバルはどなたですか?
「サンドウィッチマンです。同じ宮城出身なんですけど、宮城には夢大使っていうのがあって、宮城県民で活躍している人に与えられる賞なんですけど、僕それを狙っていたんです。先輩で言うとマギー審司さんとか頂いていて、すごくうらやましくて、昨年の末に僕がレッドカーペットに出させて頂いたぐらいから、思い込みかも知れないですけど宮城県の中で狩野英孝がちょっと盛り上がってきていたので、このまま狙えるなって思ったんですよ。そしたらM-1でサンドウィッチマンさんが優勝してうなぎ登りで宮城県がサンドウィッチマンで盛り上がったんです。それからサンドウィッチマンさんが夢大使に選ばれたと聞いて悔しかったです。だからライバルなんです。」
──なるほど。では、最後にRooftop読者の皆様に一言お願いします。
「ネタだったり、笑いだったり、キラキラ感だったり、楽しみたかったらこれから先、僕が出演するテレビだったり、雑誌だったり、ラジオだったりを見れば効果テキメン、僕イケメン!」
Live info.
スペシャルパンキッシュガーデン 狩野英孝ファーストライブ『Ciel』
2008.8.24(Sun)
OPEN 17:30 / START 18:00
ADV. 3,000 / DOOR 3,500(整理番号付自由席)
新宿シアターモリエール
新宿区新宿3-33-10 モリエールビル2F(TEL.03-3354-6568)
チケット発売:6月21日(土)ローソンチケットにて発売0570-084-003(Lコード:35563)、0570-000-407(オペレーター対応)
狩野英孝 official website
http://www.maseki.co.jp/
狩野英孝 official blog
http://blog.livedoor.jp/kanoaru/