ギター バックナンバー

Rooftop Special Report!!('08年6月号)

Rooftop Special Report!!

4.29(Tue)新宿ロフト
<SHINJUKU LOFT 9TH ANNIVERSARY Rooftop presents ARABIKI ROCK FEST.08>
漁港 / 山田ジャクソンバンド / WOOHOO / あのHUMPTY
エアギター:宮城マリオ
DJ:カタル(ニューロティカ) / 高橋浩司(HARISS) / DJ ARAKI


 新宿ロフト9周年アニバーサリーの期間中、Rooftopが企画するイベント“ARABIKI ROCK FEST.08”を、春の暖かな風が吹き付ける4月29日に開催した。他では見ることができない組み合わせで、パーティーのようなイベントがやりたいというところから始まったこの企画。気付けば、DJもバンドも個性的でバラエティーに富んだ出演者が勢揃い。
迎えた当日。お客さんが入り始めた頃からカタルさんのDJ。この日は、何年ぶりかで漁港の森田釣竿船長に会ったり、WOOHOOの昭雄さんとは二十年ぶりぐらいの再会だったりと、リハの時からソワソワしていたカタルさん。本番は洋楽が多めで、「まだDJって慣れてないんですよー」なんて言いつつも、しっかりキメてくれた。フロアは自由にリズムを取り始めていていい感じ。そして、ステージではエアギターの宮城マリオが、なぜかギターを片手に登場。…あれ? エアじゃないの? という会場の空気は気にせずチューニングを始める。チューニングが終わったギターをスタンドに一旦立てかけ、会場には音楽が鳴り始めた。すると満面の笑みでエアギター。さっきのチューニングはなんだったんだろう。お馴染みのあの曲もあり、会場が全員で手拍子をすると、より熱くなったマリオ氏の動きはいっそう激しくなり、かけていたサングラスが飛び、振り乱した頭からはキャップが飛び、迫力満点で怖すぎるぐらい(笑)。笑顔でステージを後にし、続いてかわいいかわいいボーカルのLanと、野山昭雄のバンド・WOOHOOが登場。白と黒のストライプのワンピースを着たLanさんが、スカートをヒラヒラさせながら右へ左へとステージを駆け回り、ギターの昭雄さんとのほのぼのとした絡みに目を奪われる。Lanさんは、「今日のライブ、すごく楽しみにしていたんですよ〜」と言ってくれていたとおり、張り切り過ぎて駆け回っていたらステージの下に落っこちてしまったほど。でも、そんなトラブルをものともせず、元気いっぱいでキュートなステージを魅せてくれた。HIPHOPの要素を含みピースな雰囲気を持つ『WALK』や、パワフルな曲などバラエティーに富んだセットリストで、初めてWOOHOOを見る人も多かったと思うが、Lanさんの嫌みのないかわいさもあって、たくさんの人が魅了されていたように思う。勢いがあって、とてもよいライブだった。続いて地方でのライブ後に駆けつけてくれた高橋浩司さんのDJ。WOOHOOの元気なライブ後ということもあり、フロアもかなりあたたまってきている様子。思い思いに体を揺らす会場と、DJ機材をあっちこっち忙しそうに操る浩司さん。写真は笑顔で撮れているが、優しい雰囲気を持つ浩司さんが魅せたDJ中の真剣な表情はとても素敵だった。
そして、ステージには青春を訴えるため結成された教員パンクバンド・山田ジャクソンバンドの登場。髪を七三分けにし、スーツを着た社会科教師でボーカルの山田ジャクソンが、スーツが透けるほどに背中をびっしょりとぬらしながら汗だくで吠えるように歌い、その斜め後ろでは英語教師のグラマー先生が情熱的なセクシーダンスで挑発する。その横では病的にも見えるメイクをした科学教師でギターのフラスコ先生が、病的な見た目とは正反対のギュインギュインとギターを掻き鳴らし、美術教師でちょっぴりエロスなパレット先生のギターも絶妙な音を奏で、体育教師でドラムのホイッスル先生は見た目通りの力強いドラムを叩く。この暑苦しさこそが、パンクであり、青春なんだということを身をもって伝える。古文教師でベースのいまそかり先生のキャラもナイスすぎるほどで、会場が笑いの渦に包まれる。学校生活や青春ががテーマになっている楽曲は、今の私からしたら十年近く前のこととなるが、こんなアツイ先生がもっとたくさんいたら、イジメとか暴力とかなくなるんだろうななんて真面目なことを考えていたが、続いて登場したのは特効服を着た、いかにも“ワル”な6人組、あのHUMPTY。実生活で言うなら、こういうちょっとグレてしまった不良たちを先ほどのような教師達が一生懸命指導するべきところだろう。という意味でも、山田ジャクソンバンドからあのHUMPTYという流れはタイムテーブルを作る上で、無視できない流れだった。そんな怖そうな見た目とは裏腹に、あのHUMPTYのライブは笑いありダンスありのショウタイム。ボーカルの純弥は特効服にド・ピンクの羽ショールを首にかけ、もう1人のボーカルで裸の参太と共にキレの良いダンスを踊ると、その振り付けに合わせてフロアのお客さんも楽しそうに合わせて踊る。途中、裸の参太がステージ上でいきなり衣装替え(と言ってもパンツ一丁なのに)…ぬ、、、脱いだ〜!? と初見のお客さんをヒヤッとさせたと思ったら、もう1枚履いてた…パンツを。というパフォーマンスもありつつ、目を離せないステージング。このバンドのライブは見ていてワクワクする。続いてはDJ ARAKI。メロン記念日がDJイベントをやっていたが、そのDJを教えたのがDJ ARAKIであり、自身でもCDをリリースしている経歴の持ち主であり、さすがにDJのプレイは圧巻だった。DJ ARAKIが回している間、カタルさんが隣にぴったりとくっついて見ていたほどで、これがプロか〜と思わずにはいられなかった。フロアもこのなんだか貫禄を感じるDJは誰だ?と興味津々だった様子。確かに、あんなにキュキュッと回されたら気になるな。
ここまでの出演バンドもかなり個性的な方々ばかりだったが、この日は最後まで個性的な方で攻めていこうと、トリは日本の食文化を魚に戻し鯛バンド・漁港。メンバーのお二方がステージに登場し、森田船長はフロアのどこからともなく現れ、気付いた時にはフロアの真ん中あたりを肩で風を切って歩いていた。そしてピョイっと、「大漁」と書かれた旗がなびくステージに飛び乗る。前半に演奏された『鯰(なまず)日本列島大震災20XX年』は、実際に船に乗っている方だからこその、ロフトのステージが本当に海の中になったような、海の世界をちょっとだけ垣間見たような、まさに臨場感溢れるステージ。3人が緊張感の走った表情でガタガタと揺れている様子。あれは最高だった。漁港のステージはテクノあり、演歌ロックあり、そして説教あり…。 「安くてうまいものじゃなくて、ちゃんとしたものを食べなさい。今日はそれを教えてに来たんだから。」と切々と語る船長。そして、「魚には捨てるところがないんだ!」と、マグロの解体が行なわれた。包丁を構えた姿は、“漢”と呼ぶに相応しい漁師の顔だった。漁港のライブは絶対に一度見るべきと言われていたが、まさにこのライブは見るべきライブだと思う。秘められているエネルギーが沸々と燃え上がるようにわき出る、男臭いライブだった。
という、4アーティストと3DJで行われたARABIKI ROCK FEST. 08。何度も書いているが、とにかく全アーティストとも、個性の強い…強すぎる方々ばかりで、自分で企画しておいて言うのもナンだが、1バンド見たら次はどんな人たちなのかが気になるような、そんなイベントだったように思う。と書いている自分が一番そう思っていた。実際、お目当てを見るだけで帰るという人が少なかったから。あの空間にいた誰もが、多くのパフォーマンスを見て、何かを感じてくれていたらこのイベントは大成功だと思う。全てのライブが終わったときに、会場から帰ろうとしていたお客さんが「この出演者が揃うなんてなかなかないよね」と言っているのが聞こえたときに、やって良かったと感じた。出演頂いた皆様、ご来場頂いた皆様、ありがとうございました!!!(text:やまだともこ)


rooftop rooftop
漁港 山田ジャクソンバンド
rooftop rooftop
WOOHOO あのHUMPTY
rooftop rooftop
エアギター:宮城マリオ DJ:カタル(ニューロティカ)
rooftop rooftop
DJ:高橋浩司(HARISS) DJ ARAKI

17:30〜17:55 DJ:カタル
17:55〜18:10 宮城マリオ
18:15〜18:50 WOOHOO
18:50〜19:15 DJ:高橋浩司
19:20〜19:55 山田ジャクソンバンド
20:10〜20:45 あのHUMPTY
20:45〜21:10 DJ:ARAKI
21:15〜21:50 漁港


posted by Rooftop at 14:00 | バックナンバー