ギター バックナンバー

VENTO NERO('08年6月号)

VENTO NERO

陰と陽の二面性を持ち合わせた独自のロックンロールスタイル。
新たにシーンの先駆者として4人の男が立ち上がる!!


ガレージロック、パンクロック、ニューウェイブ、ロックンロールを独自の感受性で取り入れ、彼らにしか出せないサウンド・スタイルを確立しているVENTO NERO(ヴェント・ネロ)。凶暴さの中にやさしさを秘めている彼らの楽曲は、人柄と比例しているようにも思う。取っつきにくそうな見た目とは裏腹に4人から生まれる楽曲は、仲間思いの温かさを持っている。1997年に結成され、1st Albumのリリースに至るまで決して短い道ではなかったが、結成11年目にしてようやく形になったと共に、自分たちが進むべき道がより明確にわかってきたのではないか。
どんなバンドかを知りたいという方のために、1coinシングルもリリースされるので、まずはそちらで VENTO NEROを知って頂きたい。そして、彼らのマグマのように燃えたぎる熱い意志を感じ取って欲しい。(interview:やまだともこ)


嵐のように吹き荒れる黒い風

──さっそくですが、VENTO NEROの結成の経緯を教えて下さい。

中谷祐樹(Vo&Gu):俺と永峰とつん(辻)が中学校の同級生で、当時は3人ともギター小僧でバンドを組むというよりはエレキを買ってみんなで早弾きの練習とかしてました。その後、高校の文化祭でまっちゃん(松本)がドラムを叩いているのを見て、俺もバンドをやりたいと思ったんです。それで、まっちゃんを引き抜いて、俺とまっちゃんと永峰と、もう1人ベースで組んだのが最初。つんはロカビリーバンドのギター&ボーカルで、違うバンドでした。最初は俺がギターで永峰がボーカル、半年ぐらいイエモンのコピーとかをやっていたんですけど、永峰が「歌はおもしろくないからバンドを辞める」って言い始めたんですよ。

永峰 暁(Gu):全然覚えてないな。

中谷:「じゃあ、俺が歌うからお前ギター弾けよ」って話になって、俺が歌うようになったんです。高2の時に文化祭でミッシェル(・ガン・エレファント)のコピーをやって、高3からオリジナルをやり始めて、バンドをやるためにみんなで上京したんです。最初はマングースっていうバンド名で3年ぐらいやったんですけど、ベースが辞めた時に心機一転でバンド名をVENTO NEROにしたんです。

──VENTO NEROってどういう意味なんですか?

中谷:イタリア語で“黒い風”です。“黒”を入れたくて、本屋でフランス語とかイタリア語とか調べて、ようやく決めたんですよ。ベースは何人か合わせてみたけどダメだったので、俺がギターにありえないぐらい太い弦を張って、ベースアンプに繋いで低音出してバンドを続けていたんです。その後、つんのバンドも解散して、VENTO NEROに入ることになったんです。その時は5人編成のバンドが組みたかったのでギターとして入ったんですけど、ギターのタイプが違うのもあってベースを弾くことになったんです。「つんしかおらんから」って。

──では、コピーしていたバンドは、オリジナルを作るにあたって影響を受けました?

中谷:受けたと思いますよ。あとオフスプリングとディジー・ミズ・リジーっていうハードロックバンドをコピーしてましたね。ギターウルフは地元の先輩で、当時ガレージが流行っていたし、MAD3の『MACHINE BLASTER』はマングースの時もちょっとアレンジして勝手にやってました。

──マングースの時から曲は今のような感じだったんですか?

中谷:歌を聴かせるというよりは、早くてガレージみたいなリフばっかりでした。

──今はゴリゴリしたガレージというよりは、そのサウンドに歌も聴かせる感じになってますよね。

中谷:3人でやっていた時期って、ギターは好きだけどちゃんと演奏はしたことがなかったし、3人だから音数が少ない分、1個1個の楽器がしっかりしないとダメだなって思ったんです。当時歌も歌っていたけど、自分自身ボーカルっていう意識はあまりなかったんですよ。でもシンプルだから歌もよく聴こえるって気付いてから、歌うのがおもしろくなってメロディーもみんなが聴けるような曲ができて、歌をもっと出したいなって思ったんです。

辻 洋佐(Ba):年を取っていくのと同時に聴く音楽も変わってきて、祐樹は歌モノを聴くようになってきたんです。それで作る曲もメロっぽくなってきたし、うちらの演奏する感じも歌モノっぽい感じになったんです。

松本裕之(Dr):でも、サイコビリーの精神は忘れてないですよ。

中谷:サイコビリーは20歳ぐらいの時に直撃して、前のベースにはウッドベースを買わせましたからね(笑)。

──ところで、皆さんが最近よく聴くバンドは?

中谷:俺はガンズ(・アンド・ローゼズ)をまた聴くようになってますね。

辻:昔は固まってたと思うんですけど、今はみんなバラバラで、僕はクーラ・シェイカーが好きです。最近だったらミューズとかUAとか、でも基本はロックが好きです。

松本:僕はフォールズとか、ヤー・ヤー・ヤーズっぽい女の子のバンドとか元気な感じが良いですね。

永峰:俺はジミー・イート・ワールドしか聴いてないです。

──自分のプレイには反映されてます?

永峰:全く関係ないですね。気持ちいいから聴くという感じです。

VENTO NERO VENTO NERO

ピュアが詰まった1st Album

──先程ミッシェルをコピーしていたとおっしゃってましたけど、1st.Album『VENTO NERO』を聴くと、影響を受けてたんだなと感じましたよ。

中谷:ミッシェルはCDが出たら必ず買ってましたからね。

──曲を作っているのは中谷さんですか?

中谷:はい。家で作って詞はスタジオで付けるんですけど、あとはみんなで肉付けしていきますね。リズムもキーもかなり流動的です。

辻:俺ら、曲ができるのが遅いんですよ。それぞれがこうやりたいっていうのがあって、それを中和させるのが難しくて。

──中和させる時は、どなたが決定権を持ってます?

辻:曲にもよりますけど、良い案を出した人が主導権を握ります。案が出たら一応は演奏してみるんですけど、わけわからない感じになることもありますからね。

中谷:わけわからん方に行ったら俺が軌道修正して引き戻すんです。それでも、戻らなかったら潔くボツにして2度とやらない。

──曲はセッションで作られていく感じですか?

中谷:そうです。セッションとかライブとか。

──アルバムの制作はどれぐらいかかりました?

中谷:これはVENTO NEROが出来てからのベストみたいな感じなので、もともと曲はあったんですよ。これに合わせて作ったのは『Sweet Nova』(M-10)。絶対にいいなっていう自信があったんで、無理矢理詰め込んで急いで持って行ったんです。

──1stアルバムで初の全国流通ですし、気合いが入りますよね。

中谷:ピュアというか初期衝動は相当詰まってます。つんが入ってバンドとして固まってきて刺激を受けたというか、こんなこともできるってワクワク感が増えましたね。

──辻さんは自分が入ってからバンドが変わったと思うのはどんなところですか?

辻:音楽性も変わっているし、変化はあったと思います。でも最初は俺もうまくなかったと思うし、ようやく最近良くなってきたんですよ。今回のアルバムでは一生懸命弾くだけでした。録ったのはけっこう前なので、今思えばあそこをもっと良くしたかったってのはめちゃくちゃ出てきてますけど。

──ベースを録り終わったのはいつぐらいになるんですか?

辻:1年半ぐらい前ですね。

──じゃあ、今ライブでやったら全然違うのかもしれないですね。

辻:変わると思いますよ。まず、もっと落ち着いて演奏ができてますね。これは、みんなに言えると思いますけど。

──そういえば『Jet Room』(M-6)は最後に思ってもない形で曲が終わりますよね。CDが壊れてるのかと思ったぐらいです。

永峰:あれは中谷がブツ切り感を出したいって言ってやってみたんですけど、どうやってもショボくなったんです。あれが一番いいかなっていう形ですね。

中谷:「切れた感じにしたいんだけど、あとは任せるわ」って伝えてやってもらったんです。

──曲作りは全員で話し合われるんですか?

中谷:アレンジはみんなでやって、あとはエンジニアさんに相談して一緒にやりました。アドバイスもたくさんしてもらいましたよ。立ち会って、個性ある曲達を出せたかなと思ってます。よく聴くとバランスも全部違うんです。録ってる日もバラバラだし、体調にも左右されて、まだまだだなとは思いましたけど(苦笑)。

VENTO NERO VENTO NERO

仲間とシーンを盛り上げていきたい

──アルバムの前にリリースされる1coin seriesの『Friend / Love Hole』ですけど、今までのお話を聞いているとVENTO NEROは“Friend”って言葉がしっくり来ますね。仲間をすごく大事にするイメージを持ちました。

中谷:仲間は大事にしたいんです。何でも言い合えて、良いところも悪いところも知って、なかなかすぐにできるものではないですからね。バンドメンバーも、友達も、ライブに見に来てくれる人もそうです。今こうやって、バンドができたり表現できる状況にあるのはラッキーだと思うんです。伝えたいことがあったら歌を通して伝えられるし、最高のバンドで音を出せて、だからVENTO NEROの曲は周りにいるみんなの曲だと言っても過言ではないですね。

──でも仲間を大事にする反面、『Love Hole』は何かを求めている感じの詞ですね。

中谷:夜中に曲を作るんですけど、その時は1人じゃないですか。酒飲んで曲を作ると、次の日に聴いたら本当にヤバイ曲だったりするんです(笑)。

──それ、聴きたいです。

中谷:絶対に聴かせられないです。『Love Hole』はやっと見つけた場所という感じですね。邦題は“穴があったら入れたい”なんです(笑)。

──…詞を読んで、そういう話だろうなとは思ってましたけど(笑)。この曲は勢いと疾走感がぶつかり合って良いですね。アレンジはどなたが考えているんですか?

中谷:永峰がギターを考えてます。

──永峰さんが音の主軸になっているんですね。

永峰:基本的に自分のギターのことしか考えてなくて、それがたまたまハマったんです。

中谷:それぞれのパートがけっこう自由にやってますよ。

──ここで1st.アルバムをリリースして、今後バンドとしてどういう方向に行きたいとかあります?

永峰:俺はギターを極めたいです。もうこれしかないんですよ。

松本:やるからにはビックになりたいですね。ドームツアーはやりたいです。

辻:『Friend』の曲の話にも出てますけど、やっぱり僕らだけじゃダメだと思うんです。まだまだ知名度もないですから、一緒にやっていける人たちとシーンを盛り上げて行きたいですね。自主企画イベント“BAD HEROES”ももっと大きくしていきたいです。

中谷:かっこいいバンドっているんですけど、埋もれちゃってると思うんです。だったら、一緒にシーンを盛り上げていきたいし、ロックンロールを熱くしたいです。俺らがやるしかないと思ってます。ここから道を切り開いていきますよ!!

──皆さんがMAD3やギターウルフなどに憧れていたように、VENTO NEROに憧れてる人もいますからね。

中谷:そうなれば嬉しいです。俺、スーパースターになりたいんです。

──おお! では最後に読者の方とファンの方に一言ずつお願いします。

松本:ゴキゲンな10曲なので、ぜひ聴いてもらいたいです。

辻:アルバムで言うと4曲目の『リボン』が好きなのでお薦めです。『Black Nights』(M-7)は俺が入る前からあった曲で、これも聴いてもらいたいです。

中谷:『Black Nights』はVENTO NEROを作った時ぐらいに出来た曲ですね。作った時のまんまで、ぜひ聴いてほしいです。

永峰:いろんなタイプの曲があるので聴いて下さい。

中谷:バンドっぽいアルバムになってるし、ファーストっぽい感じなので、曲順も俺は好きだし、泣いてもらいたいですね。あと自主企画の話ですけど、8月に3回目のやるんです。最高の一夜になるんで、ぜひ遊びに来て下さい! GOOD HEROではなく、BAD HEROを求めているんです!!


TOWER RECORDS限定
ONE COIN SERIESE

Friend / Love Hole
1C-FLOWER-002 / 500yen(tax in)
'08.June OUT!!

1st Album
VENTO NERO
NOWR-007 / 2,100yen(tax in)
COMING SOON!!

Live info.

6.04(Wed)渋谷乙
6.24(Tue)池袋ADM
7.06(Sun)渋谷乙
7.20(Sun)越谷EASY GOINGS
7.28(Mon)新宿MARBLE
8.06(Wed)渋谷乙『VENTO NERO presents“BAD HEROES 3”』

VENTO NERO official website
http://www.ventonero.com/

posted by Rooftop at 18:00 | バックナンバー