現実に絶望しない希望の歌を奏で続けた10年の軌跡
今年、結成から目出度く10周年を迎えたSTANCE PUNKSが放つシングル『アイワナビー』は、バンドの新たな代表曲となり得る高い普遍性を内包しており、堂々としたスタンダード・ナンバーとしての風格を湛えた楽曲だ。ミニ・アルバムというフォーマットながら極めてクオリティの高い楽曲が揃った『BOMP! BOMP! BOMP!』の発表、その直後に行なわれた10周年記念ワンマンの成功を例に挙げるまでもなく、今のSTANCE PUNKSがまさに第2の黄金期とも言うべき破竹の勢いにあることは論を待たない。21世紀突入前後に勃発した第3次パンクロック・ムーヴメントの旗手として注目を集め、名は体を表すの言葉通り、姿勢としてのパンクを貫き通してきた彼らの歩みは決して平坦なものではなかっただろう。だが、彼らはそんなクソッタレな出来事を物ともせず、常に激しく脈打つ情熱の歌を唄い続けてきた。過去も未来もない、今この瞬間の現実と対峙した歌を奏でる彼らだからこそ、『アイワナビー』は至高の輝きを放つ。その煌々とした輝きは、“「その」続き”へと向かう希望の光に他ならないのである。(interview:椎名宗之)
20代の最後に書いた楽曲「アイワナビー」
──今年に入ってから、ミニ・アルバム『BOMP! BOMP! BOMP!』のリリース、渋谷クアトロでの10周年記念ワンマン・ライヴの敢行、そしてシングル『アイワナビー』のリリースと、まさに攻めの一手という感じですね。
TSURU:特に10周年というのを意識してたわけじゃないんですけどね。365日×9年で10周年なのか、11年目に突入してからが10周年なのか、10周年の数え方が最初はよく判らなかったんですよ(笑)。
──いずれにしても、10年という歳月はそれなりの重さを感じますよね。
TSURU:活字にするとそうですね。でも、自分たちとしては10年やってきた感慨も余りないんですよ。“ああ、10年経ったんだな”とはフッと思いましたけど。
──『BOMP! BOMP! BOMP!』には「クソッタレ」が“2008 Super Edition”として収録されていましたが、ああいった試みはやはり10周年を意識してのことですよね。
TSURU:そうですね。「クソッタレ」は随分昔の曲で、最初は今唄うことにちょっと気恥ずかしさを感じたんですけど、唄ってみたらそうでもなかったんですよ。あの曲は自分の中の核となる部分が出ているし、不満があったり、胸の痛みを感じた時にはいつでも“クソッタレ”と叫ぶ人間でありたいと唄っているんです。そういうところは10年経っても変わってないし、今唄うことに違和感はなかったんですよ。まぁ、当時の歌詞の書き方やアレンジは微笑ましい部分も感じましたけどね。でも、そういうところも敢えて変えずにやりました。
──新録ということもあったんでしょうけど、「クソッタレ」は「黒いブーツ」などの新曲の中にもうまく溶け込んでいましたよね。
TSURU:それは良かった。自分としてはちょっと浮いてるかなと思うところもあったんですよね。
──いや、「クソッタレ」はそれだけ普遍性の高いスタンダード曲なんだと思いますよ。でも、今回発表されるシングル『アイワナビー』はそのスタンダード性を遙かに凌駕する出来で、結成10周年の節目を飾るに相応しいナンバーですよね。
TSURU:自分にとってリアルな歌ですね。俺は今30歳なんですけど、この歌は30歳になる前に書いたんですよ。
──つまり、TSURUさんにとって20代最後の歌というわけですね。
TSURU:うん。30代になったからと言って特別何かが変わったわけでもないんですけど、“Don't trust over 30”っていう言葉もあるじゃないですか? 心の何処かにそういう思いが俺にも多少あって、20代の最後に何を書こう? と考えた時に、今の自分たちから未来に向けての歌にしなければダメだと思ったんですよ。まだまだ俺たちの行く末は決まってないよ、と。だから“アイワナビー”という言葉で止めてあるんです。やっぱり先のことは決めたくないんですよ、面白くないので。
──“アイワナビー”の後に続く言葉は“フリー”だったり“アンビシャス”だったり、聴き手の数だけ答えがあると思うんですよ。だからこの歌はバンドがリスナーに対して“お前はどうなんだ?”と問い掛けているようにも思えるんですよね。
TSURU:そうですね。この歌は「アイワナビー“ワカンナイ”」ですから。パンクの定式で言えばやっぱり「アイワナビー“アナーキー”」じゃないですか? ピストルズもそう唄ってるし。でも、俺はいい意味でお先真っ暗な感じでいたい。そう思えた時に、自分は本質的に何も変わってないんだなと感じたんですよ。
──10年前にSTANCE PUNKSを結成した時から何も変わってないな、と?
TSURU:うん。目の前にある小さな目標、実現すべき夢や希望といったものは人間なら誰しも持っていますよね。それは小さなことからコツコツやっていけば何とか叶えられる。それよりももっと大きな意味での未来って言うか。自分のことで言えば、10代の頃になりたいと望んでたバンドマンの夢は今こうして叶ってる。そういうのじゃなく、ちょっと言葉では言い表せないような未来の形みたいなもの…そういうところに向かっていこうぜっていう歌なんですよ、「アイワナビー」は。もちろん、聴き手がどう取るかは個々人の自由なんですけど、自分の中では“まだまだ行くぜ!”っていう思いを込めたんです。
──“「その」続きを探しに行こうぜ”という歌詞が象徴的ですが、不確かな未来を判らないまま疾走していく決意表明のような歌ですね。
TSURU:未来のことは判らないし、判りたくもないんですよね。そういう時こそが人間って輝くと思うし、満たされた時点で輝きはだんだん失われていきますから。人間は小さな目標を少しずつ達成していくものだし、いろんなことを構築していけるけれど、絶対に満足だけはしたくない。満たされると燃え尽きてしまって、そこでオシマイなんですよ。
──2000年前後に巻き起こった、いわゆる“青春パンク”と呼ばれるムーヴメントの頃のSTANCE PUNKSしか知らない人がこの「アイワナビー」を聴いたら、今のSTANCE PUNKSが文句なしに格好良く、如何に理想的な成長を遂げたかに驚くんじゃないですかね。
TSURU:活動初期の音楽性は、やっぱりバンドの初期衝動に基づいたものだったんです。バンドがキャリアを積んでいく過程でも初期衝動という言葉が使われたりしますけど、初期衝動っていうのは最初しかないんですよ。俺たちもそうです。ただ、その気持ちは常に胸の中にある。何年もバンドをやってきて初期衝動って言葉を使うのは、ただ初期衝動を取り戻したいという希望が出てるに過ぎないと思うんです。俺たちのファースト・シングルである「クソッタレ解放区〜クソッタレ2」は初期衝動が詰まった歌だけど、今唄えば言葉のニュアンスもサウンドも自ずと変わりますよね。成長という言葉が合ってるかどうかは判らないけど、そういう表現もできるようになってきたわけだから。
“青春パンク”という言葉の響きが嫌いだった
──表現に対して真摯であればあるほど、今は初期衝動がないのに初期衝動があった頃の歌を唄ってもいいのかという葛藤も生まれてきますよね。特に20代後半になると、そういう意識が強まるように思えるんですが。
TSURU:うん、ありますね、凄く。単純に初期衝動に突き動かされていた時代の歌を唄うことがこっぱずかしくも感じますから。パンク・ミュージックにはいろんな表現がありますけど、一般的にはロンドン・パンクの流れが強いですよね。不満の爆発や社会に対する反骨を歌にするという。でも、今の日本と70年代後半のロンドンとは状況が全く異なるし、日本で純然たるロンドン・パンク的な表現はできないと思うんですよ。日本の多くの若い人は労働者階級じゃないし、ある程度裕福な家庭に育って、大学まで出ている。俺もそうですけど。でも、そういう中でも世間に対する不満はあるし、必ずしもロンドン・パンクと同じことをやらなくてもいいんですよね。この日本という国に生まれて、日本人としてパンク・ミュージックを体現するのは凄く難しいことなんです。
──基本的に平和は保たれているし、絶対的な貧困は少ないですからね。
TSURU:働けばメシも食えますからね。だから初期衝動が云々というよりも、平和な日本にいながらパンクを唄っていくことの難しさのほうが俺にとっては課題だった気がします。自分としては、満たされない思いやマンネリの歯車に組み込まれたりする中で常に反骨精神は生まれたし、だからこそこうして10年間やってこれたんだと思います。俺たちが駆け出しだった頃は“青春パンク”なんて名前を付けられたシーンが生まれて、確かに若者の共感は得たけれど、その上の世代から余り良くは思われなかった。でも当時、どんなバンドでも唄ってたことは“青春”だったんですよ。みんな若さゆえの衝動を唄ってたし、唄われることの本質に違いなんてなかった。その意味でどのバンドも“青春パンク”だったと俺は思うんです。ただ、その“青春パンク”っていうネーミングが余りにダサかっただけで。
──たとえば、初期衝動に後押しされていた頃は単純に“クソッタレ”と叫んで唾を吐くだけでいいけれど、30代が近付いてくると、唾を吐かれる側の気持ちも汲み取れるようになるじゃないですか。だから表現の在り方も自ずと変わりますよね。
TSURU:うん、変わりますね。あの頃“青春パンク”と呼ばれたバンドは、皆一様に評論家のウケが良くなかったんですよ。でも、そんな評価なんて関係なくやり続けることが俺にとってはパンクだったんです。俺はスタイルとしてだけのパンクはやりたくないし、評論家に認められるパンクなんて好きじゃない。そういう芯の部分は今でも全く変わってないですね。
──だからこそ、10年を経てもなお衒うことなく「クソッタレ」が唄えたんでしょうね。
TSURU:いや、逆に今だからこそ唄えたのかもしれないです。バンドを始めて4、5年くらいだと唄えなかった気がしますね。
──STANCE PUNKSは“青春パンク”シーンの立役者として受け止められていましたが、当時はそう呼ばれることに対して“甘んじて受けてやるよ”くらいの気持ちでしたか?
TSURU:俺は“青春パンク”という言葉の響きが嫌いでした。要するにセンスがないんですね。俺たちが出てくる前に流行った“メロコア”や“スカコア”、あるいは“ヴィジュアル”というネーミングにしても、そう呼ばれた人たちはみんな気に入らなかったと思うんですよ。“青春パンク”と呼ばれるバンドは大多数が恋愛の歌を唄っていて、俺がひとつだけイヤだったのは、その大多数のひとつとして認識されたことなんですよ。恋愛をテーマにすること自体に全く異論はないんです。それがパンクであろうがなかろうが関係ないし、そのバンドの激情と情念が出ていればそれでいいと思う。ただ、俺たちは恋愛を唄ったバンドではなかったし、シーンが拡大したことによって、俺たちを見たことも聴いたこともない人たちが“STANCE PUNKSはひたすら恋愛を唄うバンドだ”っていう捉え方をするのがイヤだったんですよね。恋愛を唄うバンドでも素晴らしいバンドはたくさんいたし、商業ベースに乗って惰性の中でバンドを続けている人たちよりもよっぽどパンクな連中はいましたよ。
──ああいうシーンが起こることでパンクの裾野は確実に広がるわけで、個人的には良いことだったと思うんですよ。ただ、STANCE PUNKSはシーンの代名詞的な扱いを受けたし、実際に驚異的なセールスも誇りましたよね。だからあのムーヴメントの“色”がだいぶ付いてしまって、その先入観と対峙せざるを得ない局面が多々あったと思うんですが。
TSURU:そうですね。あの頃のバンドは皆“恋愛”と“ブルーハーツの真似事”の2つで叩かれましたし。でも、俺としてはそれの何処が悪いんだろう? としか思いませんでしたけど。先入観を持たれることは仕方ない部分もありますけど、自分たちとしては少しずつ視野を広げて音楽的な変遷を経てきたつもりです。ゆっくりとしか変化しないバンドだけど、それでも10年も経てばだいぶ変わってきたんじゃないかと思いますね。
いつまでもガキの味方で在りたい
──2001年1月の下北沢屋根裏での初ワンマン、2002年8月のファースト・アルバム発表後に行なわれた東名阪のフリー・ライヴ、2006年3月の初のアメリカ・ツアーなど、この10年間の活動の中でエポックと言うべき出来事がいくつかあったと思いますが、TSURUさん自身にとってとりわけ印象深い事柄は何ですか。
TSURU:やっぱりバンドを始めて最初の3年間、シーンが盛り上がってお客さんが増えた時が第一の転機だったと思いますね。周りの目がやっぱり変わりましたから。自分たちは余り変わらなかったですけどね。せいぜいバイトをやらなくて済むようになったくらいで(笑)。
──より音楽に集中できるようにもなって。
TSURU:それもあるし、ワーイ!って調子に乗ってましたよ(笑)。でも、そのワーイ!となれたことも凄く良かったと思うんです。人間、ストイックになることも大事だけど、余りストイックになりすぎるヤツも俺は好きじゃないんですよね。酒もタバコも女もやらないとか、パンクはハード・ロックみたいになったらダメだとか。調子に乗れる時は乗ったほうがいい。その時の気分を味わって正気に戻らないとダメだと思うんですよね。調子に乗るというのは態度がデカくなるという意味じゃなくて、自分たちのやってきたことが認められて、それを素直に喜べるということ。ちょっと意味が違うかもしれないけど、金をコツコツ貯めるヤツは出世しないみたいな、そういう精神ですね。調子に乗った後に、“そう言えば俺たち、あの時何も考えてなかったな”って思えることが大事なんですよ。
──6月9日を“ロックの日”と銘打って、2000年以降毎年無料ライヴを開催することになったのも転機だったように思えますが。
TSURU:そうですね。“ロックの日”はCDを出す前からやっていて、今年で9回目なんですよ。あの無料ライヴは俺たちの純粋な気持ちの表れですよね。音楽的なスタイルの意味ではなく、俺たちはガレージ・バンドだと思ってるんですよ。ストリートに根差してお客さんと近しい場所に居続けることがガレージ・バンドなんです。バンドを始めた当初から俺たちはそう在りたいと思い続けてきたし、“ロックの日”はその思いを具現化したものなんですよね。ライヴハウスに人を集めたい、ライヴハウスの人や参加してくれるバンドが格好いいと思えるガキを増やしたい…そういう思いから始めたんです。まぁ、自分たちもガキだったし、今でもまだガキだと思うんですけど、俺がバンドを始めてずっと思い続けているのは、いつまでもガキの味方で在りたいということ。それはこの10年間一貫して変わらないことだし、これからもずっと変わらないでしょうね。
──ニューヨークやロサンゼルスなどの10ヶ所を横断したアメリカ・ツアーで得たものも大きかったんじゃないですか。
TSURU:うん。ただ、その頃はもう確固たるSTANCE PUNKSというバンド像が出来ていましたからね。あとはどれだけ現地の人たちに通用するのかが課題でしたね。それは言葉の壁も含めてどうなのかというところで。実際に行ってみて、やっぱり凄く面白かったですよ。ELLEGARDENとかPE'Zとか、俺たちの他にも日本のバンドがいくつか出たんですけど、それぞれ反応も違いましたからね。とにかくお客さんの個の力が凄かった。全体的な盛り上がりとしては、日本のお客さんも充分凄いんですよ。決してアメリカのお客さんに負けてないと思うし、実際かなり熱狂的なんです。ただ、個ではまだ負けてると思いましたね。やっぱり、自分以外に大勢いないと盛り上がれない。それを理解できたのが大きな収穫だった気がします。
──日本語で唄っても初見のオーディエンスをモッシュ&ダイヴさせたわけですから、凄く大きな自信に繋がったんでしょうね。
TSURU:まぁ、唄ってる意味は届いてないんだろうなとは思いましたけどね。でも、俺たちが飛ばす汗やジャンプする高さといったステージ上のものでは現地のバンドにも絶対に負けてなかったと思うし、そういう部分でかなり自信は付きましたよね。それと、あの“青春パンク”のシーン以降、初めて色眼鏡ナシで見てくれるお客さんの前でライヴをやれたことが凄く大きかったんですよ。STANCE PUNKSというバンドに対して何の先入観もなく、純粋に俺たちの音楽を楽しんでくれたことがとても嬉しかったですね。
──作品としてはどうでしょう。この10年間でターニング・ポイントとなった楽曲やアルバムはありますか。
TSURU:アルバムごとに打ち出そうとする色は少しずつ違うので、この曲があったからどうのこうのというのはないですね。でも、作品ごとでの気持ちの変化はやっぱりありましたよ。ファーストからセカンドまでの時期は特に。
──2002年8月発表の『STANCE PUNKS』から2004年7月発表の『LET IT ROLL』までの間ということですね。
TSURU:ファーストを出した直後はシーンの盛り上がりも手伝って、セールス的にもライヴの動員的にも凄かったんですけど、純然たる若さゆえのリアリティを初期衝動に突き動かされるままに唄っていたんです。要するに何も考えていなかった。ただ思い付いたことを歌にして唄っていただけでしたね。そこからセカンドを出すまで2年間空いてるんですよ。ちょうどその間にシーンも下火になって、若干意図的にそういった動きから離れようとしていたんです。ただ、音源は出さなくてもライヴは年間120本くらいやっていたんですけどね。今思うと、セカンドはスタイルとしてのパンクに少しばかり囚われていた時期だったかもしれないです。2分台の短い曲が多かったし、社会なり戦争なりに対する反発を込めたアルバムだったので。もちろん根っこにあるものは変わらないですけど、ファーストからセカンドへの変化は大きかったと思いますね。そこでファンの激しい入れ替わりも起こりましたから。
常に今この瞬間を生きていたい
──でも、その2年間は自分たちの足元を見つめ直すのに必要な時間だったのでは?
TSURU:そんなに格好いいもんじゃないですけどね。余りアルバムを出しすぎないほうが格好良く見えるだろうとか、そんな理由もあったんですよ(笑)。シーンが飽和状態のさなかにアルバムを出さなくてもいいんじゃないかとも思ったし。あと何より、全国何処へ行ってもお客さんがいっぱいで、ライヴが楽しくて仕方なかった。そもそもライヴが大好きで、ライヴがやりたくて結成したバンドですからね。だから、ライヴをやりすぎてアルバムを作る時間がなかったというのもあるんですよ。
──ここ数年は、作品の密度の濃さと発表するタームがかなり理想的になってきたんじゃないですか。
TSURU:そうですね。ただ、去年は音源を何も出さなかったのでズッコケましたけど。ライヴは定期的にやってたんですが、少しバーンアウト気味なところがあって、自分の中からリアルに感じる歌がどういう訳か全く出てこなかった時期だったんです。2006年の後半から2007年の終わりにかけての1年ちょっとはそうでしたね。そういう経験はバンドを始めてから初めてのことで、何かの歯車が狂ったんでしょうね。何て言うか、もっと大きなものに巻き込まれていた気がします。生きる意味とは? みたいなことを考えすぎて、おかしな状態になってましたね。
──それは30代を迎えるという年齢的なことと関係していたんでしょうか。
TSURU:どうなんでしょうね。まぁ、基本的にピーターパン症候群なので(笑)、もしかしたら関係があるのかもしれません。自分が成長していくことへの拒みが何処かにあったのかもしれない。
──でも、そのブランクの間に溜め込んだドグマを一気に爆発させるようなリリースが続いて何よりですよ。
TSURU:自分の気付かない間に随分と溜まったものがあったんでしょうね。いくら美味しいものでもずっと食べ続けると飽きが来るものだし、一度曲作りから離れてみたのが良かったのかもしれないです。
──視界が鮮やかに開けたきっかけみたいなものは何かあったんですか。
TSURU:凄く単純なことでしたね。小説やマンガによく出てくる“君は最近空を見たことがあるか?”“星がキレイだと思ったことがあるか?”みたいなことです。要するに、物事に感動できない自分に気付いたんですね。ガキの頃からもの凄く涙もろくて、感受性の強いタイプだったのに、何処かでマヒしてたんですよ。“最近空を見たか?”なんて凄くありふれた言葉だけど、必要とされるものだからこそありふれてるんだなって思いましたね。
──ありふれた言葉ゆえの強さというのは、STANCE PUNKSの歌詞にも相通ずるものがありますよね。平易な言葉だからこそ聴き手の心を鷲掴みにするところが大きな強みとしてあると思いますし。
TSURU:必要以上に技巧に走ったりしたいと思う時もたまにあるんですけど、やっぱりまず自分が感動するものじゃないとダメなんですね。聴く人が音楽的な知識なんてなくても、素直に“いい曲だな”って思える曲を作りたい。そこに自分の好きなパンクのテイストを加えたいんですよ。ここまでの10年間はずっとそうやって曲を作ってきましたね。
──話を伺っていると、この10年間はバンドにとってまだまだ足固めの時期だったようにも思えますね。
TSURU:でも、STANCE PUNKSというバンドはずっと足固めのままだと思いますよ。足固めのまま突っ走って、ある日突然解散するバンドですね。円熟して音楽性を極めようとは、少なくとも今の時点では思ってないです。
──ただ、たとえば「クソッタレ」から「アイワナビー」への変遷というのは、円熟とは言わないまでも、螺旋階段を少しずつ上がっていくような着実な進化が窺えますよね。
TSURU:もちろん全く変化しないのは良くないと思うし、見えない部分で変化はしてますよ。芯の部分は変わらないまま、良い意味での変化はしてきたと思います。まぁ、この先どうなるのかは自分でも判らないですけどね。10年前と同じく、バカみたいに“クソッタレ”と叫んでるかもしれないし(笑)。でも、ノー・フューチャーだからこそ希望があるし、何をやってもSTANCE PUNKSになるというブレのなさが今はありますね。とにかく、STANCE PUNKSっていうバンドは常に今この瞬間を生きていたいなと思いますよ。それが俺たちにとって一番重要なことですから。
photo by Mitch Ikeda
【STANCE PUNKSの皆さんから素敵なプレゼントがあります!】
NEW SINGLE
アイワナビー
01. アイワナビー(テレビ東京系アニメ『ソウルイーター』エンディング・テーマ)
02. 大人はわかってくれない
03. 悲しいポストマン
Kowalski ESCL5015
1,223yen (tax in)
初回生産分・封入特典:『ソウルイーター』オリジナル・スーパークリア・アナザージャケット
2008.6.04 IN STORES
Live info.
STANCE PUNKSレコ発『I WANNA BOMP! TOUR』
6月6日(金)愛媛:松山SALON KITTY(with:怒髪天 / monobright / ウラニーノ)
6月7日(土)静岡:清水JAMJAMJAM(with:ガガガSP / スーパーベビーフェイス)
7月11日(金)岡山PEPPER LAND(with:PAN / KING BROTHERS / BUGY CRAXONE)
7月12日(土)福岡DRUM SON(with:PAN / KING BROTHERS / BUGY CRAXONE)
7月18日(金)仙台HooK(with:B-DASH / PAN / SNAIL RAMP / つしまみれ [o.a])
7月23日(水)大阪:梅田Shangri-La(with:PAN / KING BROTHERS / etc...)
STANCE PUNKSレコ発『I WANNA BOMP! TOUR』ファイナル&STANCE PUNKS企画『火の玉宣言 vol.24』
7月25日(金)新宿LOFT
with:PAN / KING BROTHERS / etc...
OPEN 17:00 / START 18:00 ADV. ¥2,500 / DOOR ¥3,000(共にドリンク代別)
info.:LOFT 03-5272-0382
STANCE PUNKS presents『ロックの日』vol.9〜無料ライブ〜
6月9日(月)神奈川:川崎CLUB CITTA'
with:CHILD SCHOOL TV!! / FUCK YOU HEROES / JUNIOR / PAN / SABOTEN / the telephones / COBRA / DJ:石坂マサヨ (ロリータ18号) / somersault (DJナリオ+MCカネコ)
OPEN 15:00 / START 16:00
*チケット代フリーですが、入場時にドリンク代が500円のみ必要となります。
info.:クラブチッタ 044-246-8888
いしがきMUSIC FESTIVAL '08
6月21日(土)岩手:もりおか駅ステージ
info.:いしがきミュージックフェスティバル実行委員会事務局(盛岡club change内) 019-652-7182(10時〜22時)
7月17日(木)福島OUT LINE
with:PAN / つしまみれ / etc...
info.:U-ONE MUSIC 024-533-9036
DRAGON FACTORY FESTIVAL 08'
7月20日(日)徳島:四国三郎の郷
info.:ブースター・ドラゴン・エンタープライズ 03-5345-6043
ROCK ON FIRE!! in YAMAGATA〜大石田町音楽祭〜
7月21日(月)山形:大石田町桂桜公園野外ステージ(無料駐車場300台)
info.:KINGCOBRA YAMAGATA 0237-35-3009/KINGCOBRA OSAKA 06-6211-2875/KINGCOBRA MIE 059-256-7578
7月29日(火)松本ALEX
with:Radio Caroline / THE RODEO CARBURETTOR / etc...
info.:ALEX 0263-38-0050
7月31日(木)高崎TRUST55
with:Radio Caroline / etc...
info.:TRUST55 027-326-4310
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO
8月16日(土)北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
info.:WESS 011-614-9999(平日 10:00〜18:00)
TREASURE05X with ZIP-FM〜the greatest riot returns〜
8月31日(日)愛知:豊田スタジアム
info.SUNDAY FOLK:052-320-9100(10:00〜18:00)
STANCE PUNKS official website
http://stancepunks.com/
http://www.g-up.net/
Kowalski website
http://www.kwlsk.com/