ギター バックナンバー

DISK RECOMMEND ('08年05月号)

LOFT PROJECTのスタッフがイチオシのCD・DVDを紹介!!
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★以下のジャケットをクリックすると、各レビューが読めます。

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怒髪天 / for beautiful 不惑 in Life

TEBI-38071 3,800yen (tax in) / IN STORES NOW

「おい、こいつを聴いてみろよ。何か特別なものを経験したいんだろ。ブルースがどんなにいいものか知りたいんだろ。だったらこれだよ」。その昔、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズがロバート・ジョンソンのベスト・アルバムの帯にそんな推薦文を書いていたが、怒髪天にとって初のライヴ映像作品となる『for beautiful 不惑 in LIFE』を観た僕がこのテキストを読むあなたに伝えたいのも、まさにそういうことである。天下のキースの言葉をおこがましくもそのままパクらせて頂くならば、「怒髪天の音楽がどんなにいいものか知りたいんだろ。だったらこれだよ」という一言に尽きるのだ。 本誌でメンバーに連載をやってもらったり、弊社各店舗でトーク・イベントを共同企画することが多いせいか、俺達界隈(←怒髪天アーミーみたいなもの・笑)若葉マークの方から「怒髪天を聴いてみたいんですけど、どのアルバムから聴けばいいですか?」という質問を受けることがある。僕はその時点での最新作とインディーズ時代のベスト・アルバム『D-Stance』を勧めるが、本当はその前に彼らのライヴを観てもらうのが一番手っ取り早い。怒髪天のライヴには日常を生きる上での喜怒哀楽が1回のライヴに過剰なまでに凝縮していて、なんだかよく判らないが闇雲に熱いモノを否応なく感じるからだ。それこそ彼らが“唄う人生劇場”と呼ばれる所以であり、とにかく底なしに笑えて、底なしに泣ける。そして、ひとしきり泣いた後にまた笑顔になれる。雑草のように踏み付けられてショボクレ通しの毎日なれど、明日をまた信じてみようと素直に思えるのだ。そうした掛け値無なしの感動は彼らの音源から十二分に得られるが、そこに映像が加われば鬼に金棒である。R&E=リズム&演歌という大胆にも程があるハイブリッド性や特異なメンバーの容姿(特にリズム隊)に妙な先入観を持たれてしまうと、癒し系ならぬ肥やし系の極北に在る怒髪天の滋養強壮剤的音楽を知る機会が失われる。だからこの映像作品は更なる俺達界隈増殖計画にとって格好のアイテムなのだ。
今年の2月3日節分、SHIBUYA-AXで行なわれた『for beautiful〜』ツアー千秋楽の模様を収めた120分強。2年前のAXワンマン同様、この日も大雪に見舞われるという神懸かり的事態に出掛ける前からテンションがグッと上がったことを思い出す。メンバーも前日から降雪の仕込みにさぞ苦労したことだろう(笑)。昨年は徹底してライヴを強化する1年だったゆえ、言うまでもなく現在のライヴのクオリティは凄まじく高い。それがツアー・ファイナルとなれば尚のこと。“軽くて深い”バンド史上最高傑作『LIFE BOWL』の収録曲を中心に、流れを損なうことなく再結成以降のキラー・チューンを組み込んだ最大公約数的なセット・リストがまず見事だ。とりわけ、『男と書いて』『青の季節』『枯レ葉ノ音』『クソったれのテーマ』というバンド屈指の慟哭ナンバーが畳み掛けられた前半はバンドが本懐を遂げる組曲の如き展開であり、至極圧巻。この流れが後半に連射される疾風怒濤の宴ナンバーとの対比として重要な意味を持っていたことがよく判る。
『サスパズレ』での客席〜PA卓乱入でも顕著だが、とかく増子の言動ばかりに目が行きがちなバンドではある。だが、あの不動の4人がいてこその怒髪天であることをこの作品は改めて教えてくれる。ここ最近際立つ上原子のオーヴァー・アクションと笑いの神の降臨っぷり、随所で小気味良く客席を煽る清水のリズミカルかつコミカルなアクション、自ら発するすべりっぱなしのMCに1ミリたりとも動じない坂詰にも是非注目して頂きたい。秀でた音楽は底知れぬ人間力によって形を為すことを改めて思い知らされるはずだ。個人的には、想定外のトリプル・アンコールだった『美学』を唄い終えた後に見られる、懸命に涙を押し殺そうとするメンバーの表情に激しく涙腺を衝かれた。怒髪天の繰り広げるR&E人生劇場がこれで何幕目なのか判らないが、僕には今現在の彼らが何度目かのピークに達しているように思える。そして現メンバーになって20周年にあたる今年、そのピークをいともたやすく突破することは論を待たないだろう。僕にも大切なバンドは星の数ほどいるが、これほどまでに自分の人生で切実なバンドは怒髪天をおいて他に知らない。  


(Rooftop編集長:椎名宗之)


ATORI / ATORI

MBUR-3 500yen (tax in) / ATORI web、LIVE会場、indiesmusic.com、HIGH LINE RECORDSで発売中

湘南は藤沢発、歌モノ・ギターロック《男女ツイン・ヴォーカル風ピアノ入り》。湘南発の最後の大物と言われつつ結成から早5年。小物止まりしていたATORIの音源が遂に発表! と思いきやDIY精神の元、まずは全国流通せずワンコインに拘り500円でHIGH LINE RECORDS、indiesmusic.com、www.atori.cc、LIVE会場のみでの最小規模販売。しかしハイセンスな楽曲と天性のメロディー・センス、これでもか!? と絡み合うカヲルの独特な歌声とマツコのハイトーンなガラス細工の様な繊細なヴォーカル、謎の変態リズム隊に心奪われる者も奇跡的にちらほら。アニソン好きからエモ/ポスト・ロック好きまで楽しめる幅広い音楽性が最大の魅力。どこかマイルディで、ちょっと苦味ポップな風変わり4人組だが是非手にとってもらいたい1枚。実際このクオリティで全5曲収録500円はマジでお買い得!!


(MOTHER BICYCLE Inc.:椎橋健一)


a flood of circle / 泥水のメロディー

RTC-004 1,680yen(tax in) / 5.14 IN STORES

優等生の持つ“黒”はいつも刺激的で、時代を変えてきたのは白い嘘ではなく、剥き出しの黒い本性だ。グレてドロップアウトした不良の狼狽ではなく、今の時代のリアルは飄々とした姿の彼ら、その名も「a flood of circle」のような存在なのかもしれない。媚びる事なく、自分達の好きな音を鳴らす。1st Album『a flood of circle』には随所にメンバーが好きだという70年代の雰囲気が漂っている。それも、70'が時代の数字や記号ではなく、音の中に生きているからスゴイ。そして今回リリースされる2nd mini Album『泥水のメロディー』では、前作より更に攻撃的になり、尚且、色彩が豊かになっている印象がある。全6曲のアルバムの中で、それぞれの曲に色があり、まるで虹のように違った表情を見せている。音の節々に彼らの哲学を感じる一枚だ。バンド自体、演奏のスキルや表現が進化していくのは当然だが、わずかアルバム2作目でここまでやってのけてしまうのだから先を期待せずにはいられない。是非その目で、変化する色を見届けてほしい。


(新宿LOFT:岩波 亜朱香)


新垣優子 / 風ヌ葉

Tcm-001 2,500yen(tax in)

昔、実家(沖縄)にいたときは琉球民謡がどうも童謡の曲に似てあまり聴く気がなかったのだが、実家を離れ東京に住んで聴いてみると小さいときにおばぁが三線持って歌っていたのが懐かしく感じて、本物の古典民謡を聴くとじーんと来ることが多い。そんな2月という寂しい時期に、ネイキッドで新垣優子さんという唄者のライブを体感した。そのライブはとても自然で本人が島の人のせいなのかその空間がいなかの家でおじぃ、おばぁが実家で歌っている民謡に似ているのだ。
曲も子守唄のような曲もあったりブルースな曲もあったりとどの曲にも彼女の島への思いを感じる。是非、また年内、ネイキッドでライブを実現させるのでスケジュールをチェックして彼女の歌を聴きに来て下さい。


(Naked Loft:上江洲修)


overall+ / カレン

1,200yen(tax in) / ライブ会場限定販売

前作「ハナゴコロ」リリースから約1年降りに届けられた新譜『カレン』。既にライブではお馴染みのナンバーではある『カレン』。『カレン』を聴くとライブに行きたくなる衝動にかられる。私の中では、それ位彼等のライブと『カレン』が同化しているようです。収録楽曲『Surrond Splash!』『Waiting』『サクラカラー』も既にライブでお披露目しているお馴染みのナンバー。色んな表情を持ち合わせた楽曲で健在なoverall+を聴かせてくれています。「音楽」そのものを本能で楽しんでいる彼等のライブとあわせてこの2枚を聴いて欲しい。いつも熱のこもった2人の演奏を見ていると、私もまだまだやれるなぁと思うのです。


(SONG-CRUX:樋口寛子)


 

オナニーマシーン / オナニー大図鑑

THCA-063 2,500yen(tax in) / IN STORES NOW

ついに出たぞ。オナマシのベスト盤だ。わたしゃイノマーのファンだし、断固このCD評をやらせろと、ロフトレコードに交渉したんだ。だからこのオナマシについては書きたいことが沢山あるが、ルーフトップの先月号で、北村ヂン先生と対談していて(それもカラーページだ)、それが傑作で私が書きたいことは全部書かれてあって困ったな(オナマシファンはルーフトップ4月号は絶対読むべきだ(笑))。永遠の名作1曲目の『恋のABC』はぶっ飛ぶくらいのいい出来だし、あの大傑作『義雄』からも4曲も入っているし凄いよ(ちょっと褒め過ぎか?)。サンボとか銀杏が売れて、そかべちゃんもゆら帝も小さな世界に行ってしまった気がしていて、注目するはミドリぐらいだと思っていて、日本の音楽状況に絶望してロック新人評論家も返上したつもりだったんだよ。だが私は言い切りたい。オナマシが日本のパンクを救う(笑)。このバンドの醸し出す音はまさにロックだ(笑)。でも正直なところ、もしオナマシがこのサウンドとメロディラインのまま、イヤな言葉(爆)を連発しなかったらメジャーレコード会社から追い出されなくってすんだと思うよ。だから日本語が良く解らない外国で売れ! 絶対売れる? 日本人なんか相手にするな! 次回のライブは決死の覚悟で絶対参加するぞ! ラママ万歳!


(元ロック新人評論家・平野悠)


吉川晃司/ 光と影

TKCA-73314 1,260yen (tax in)

キャリア通算36枚目となるシングルは、吉川自身が主演するミュージカル『SEMPO〜日本のシンドラー杉原千畝物語〜』の劇中歌である。ミュージカル前半の最後を華やかに盛り立てる壮大なバラードのアカペラ・ヴァージョンとバンド・ヴァージョン、インストゥルメンタルの3曲が収録されている。悲運に道を閉ざされても果敢に歩を前に進めていくんだという楽曲のテーマは、戦時下の困難な状況にも屈することなく誇りを持って生きた杉原と、常に一表現者として薄氷の上を往く吉川の生き方がそれぞれ反映されているように感じる。ご承知の通り、杉原千畝(ちうね、“SEMPO”とはその音読み)とは第二次世界大戦の際に外務省の命令に反してユダヤ人が亡命できるようにビザを発給し、6,000人にも及ぶユダヤ人をナチスによる迫害から救った外交官である。ドイツもソビエトも母国すらも敵に回し、命を懸けて己の信じる“義”を貫いた人だ。金や権力を物事の価値基準にすることなく、ただ愚直なまでに己の信念を貫き通すことの大切さが昨年発表された『TARZAN』という歌の主題だったが、杉原千畝も吉川にとっては標榜すべきヒーロー…つまり『TARZAN』の一人なのだろう。その意味で『光と影』も『SEMPO』も、フォーマットは違えどそれぞれ『TARZAN』のスピンオフ的作品だとも言えるのではないか。とにかくこの『光と影』、すでにスタンダードの風格を身に纏った紛うことなき名曲。杉原然り、吉川然り、悲しみの本質を知り抜いた人は光射す空の影をも力強く抱くことができる。男はかく在りたいものだ。


(Rooftop編集長:椎名宗之)


group_inou/ FAN

GALS-005 2,300yen(tax in) / IN STORES NOW

Perfumeが所謂テクノアーティストとしてYMOぶりのオリコン1位をとった今、世の中は大きく変わって来ているような気がします。そんな今素晴らしい作品が届きました!! その名もgroup_inouと言うアーティストの『FAN』。HIP-HOPにエレクトロミュージックを重ねる2人組ユニットです。人生(電気グルーブの前身)のような、エイフェックスツインの様な、全く持って今風のエレクトロでは無く、古いような、でも新しすぎる音楽だと思いました。そしてそんな彼等の凄い所はそのエレクトロミュージックにありがちなライブの弱さが無く、ライブでも本当に熱い驚異のライブパフォーマンスです。1曲目のライブでは定番のアゲアゲな『QUEST』から、最後の『LISTEN』の刺す言葉で締めるこの作品は、もしかしたら彼等が握るであろう今の時代を表しているのかもしれない。


(新宿LOFT店長:大塚智昭)


 

ghostnote / スタート

SECL-642 1,050yen(tax in) / 5.21 IN STORES

みんなも一度は聴いた事があるんじゃないのかな?と思う位、専門学校『日本工学院』CMにて大量オンエアされていた『スタート』! 正直CM画像よりも楽曲の方が頭に残る位、私にはストレートに彼等のメッセージが伝わりました。この春まさに『スタート』した出来事がある人って多いと思いますが、そんな人にはもちろんの事、これから何かを始めようとしている人達への応援ソング。キャッチーで真っすぐなメロディにのせて歌うストレートな歌詞が多くの人を励ます事でしょう。  カップリングには地元岡山のライブハウスで行われたライブ音源『魔法の言葉』が収録されています。この1曲を聴くと今すぐにでもghostnoteのライブを見たくなりますね! ちなみに『スタート』発売を記念してワンマンツアーも決定しています。新旧交えての楽曲構成で織りなすであろう、鍛え上げられた彼等のライブも非常に見物なのです。


(SONG-CRUX:樋口寛子)


相対性理論 / シフォン主義

XQEH-1002 1,000yen(tax in) / 5.08 IN STORES

相対性理論という一風変わった名前のバンドを初めて見たのは、昨年7月、新宿ロフトでだった。女性ボーカルと男性3人の4人組で、全員圧倒的に若い! 繊細なギターフレーズを中心に組み立てられたタイトな演奏はザ・スミスを思わせるが、とりわけ印象的だったのが抑揚を押さえて淡々と歌うボーカル。連想ゲームのように次々と単語が並ぶ歌詞もシュールでいてとても楽しげ。そして何処となく漂うノスタルジックな雰囲気にぐっと引き込まれた。70年代、80年代の音楽性を今の時代に取り入れるバンドは数あるが、相対性理論の場合はサウンドだけでなくもっと混沌とした部分で懐かしい。それは、例えば手塚治虫が描いた近未来だったり、月刊『ガロ』の世界観だったり、さらにはサザンオールスターズが歌った湘南の恋愛ストーリーをも喚起させるから不思議だ。これはもちろん僕個人の印象で、聴く人にとって捉えられ方は様々なのだと思う。My Spaceやインディーズチャートでも話題をさらった本盤、是非一度聴いてみては。


(加藤梅造)


曽我部恵一BAND / キラキラ!

ROSE 59 2,500yen(tax in) / IN STORES NOW

4/15に発売した曽我部さんのニューアルバムにして、結成4年目となる曽我部恵一BANDのデビューアルバム『キラキラ!』は、もうどうなってるんだ!?っていうくらいのマスターピース! 初っぱなからギャンギャン駆け抜けていく疾走感でロックンロールがギュッと詰まっています。
トータルタイム35分で描かれた『キラキラ!』というストーリーの中で、天使っておじさんだったの!? とびっくりしたり、結婚したくなったり、キラキラしたくなったり、海を見に行きたくなったり、チワワを飼いたくなったり、サイダー飲みたくなったり、コーヒー飲みたくなったり、青春狂走曲だったり、夢と優しさがあったり、魔法のバスに乗っかってどこか遠くまで行きたくなったり。ちょっと早いけど、2008年のベストアルバムです。


(ロフトプラスワン:白井絢介)


tunng / Comments of the Inner Chorus

FTHO 19 CDJ

先月、新作を発表したばかりのイギリスのネオフォーク・バンドTunngの2ndアルバムです。アコースティック・ギターと電子音、ノイズやサンプルと基本はかわっていませんが1stよりはエレクトロニカの要素は薄れています。その分バンド的要素が多くなっていてとても聴きやすいです。本来は2人だったはずですが、アルバムごとにメンバーが増えていてスケールが大きくなってきているので個人的にはこのアルバムのバランスがちょうどいいです。まだ聴いてない方は是非!オススメです。


(下北沢SHELTER店長:峯崎)


Qomolangma Tomato / Limelight Blue on the Q.T.

XQEH-1001 1,800yen (tax in) / IN STORES NOW

このジャケットの青く光るネオンを見て、着実にイメージが実現化されてると感じました。このジャケットからイメージする音がそこにはある。今まさに注目されている彼らのここ数ヶ月数々の音楽冊子でのインタビューや、注目すべきイベントに参加しているのを見ていると「もう大人になんて、ならなくていい! やっちまえ〜やらかしてしまえっ」なんて軽く熱くなってしまうのは私だけでしょうか、それはVo石井さんの声が少年のような声で力いっぱい全身で叫び染み渡るから。決して冷静ではない、たたみかける言葉、問いかけられるものが頭の中でぐるぐるしている。彼らの青というイメージが私をそうさせる気がします。きっとみんなこんな青い部分を持っているはず。だからこのCDを聴くとその青い部分がひっかかる。彼らのような青くするどく光る存在が必要なんだ。no future!! 最後に私が言いたい事はライヴが半端じゃない事です、ツアーの最終日は新宿ロフト!絶対来るべし!


(新宿LOFT:キッスは目にして貴美子)


デコ村オールスターズ / 上を向いて歩こう

TDDGI-002 1,050yen(tax in) / 5.05 IN STORES

おっとと、私に変なCDが送られて来た。私にCDが送られてくるなんて久しぶりだ。うれしいな。佐藤剛さんからだ。剛ちゃんと言えば今から30数年前の新宿ロフトが出来る前からのルーフトップ編集長だった人ではないか? その剛ちゃんがへんてこな塊(かたまり)を作ったらしい。さて佐藤剛ちゃんのポジションはこんな所らしい。「『デコレ村の絵文字たち』の書籍と音楽の世界観を統一する為に、トータルプロデューサーとして佐藤剛氏を招聘。佐藤剛氏はTHE BOOM、宮沢和史、中村一義、ハナレグミなど数多くのアーティストを手がけ、所属事務所やレコード会社などの垣根を越えて“いい音楽”“おもしろいこと”をテーマに活動。また映画、演劇、文学にも精通している。」なんて書いてある。その「デコ村の絵文字達」がいよいよ本格的に活動を開始し、作られたのが名曲中の名曲『上を向いて歩こう』をカバーしたと言う。曲を聴いていて音楽通の君ならすぐに参加しているミュージシャンが解るって言うものだ。彼らは実在している音楽界の重鎮で、シークレットでキャラクターを担当しているという。ふむ、なかなかのアイデアだな。このプロジェクトに興味ある人は「デコ村本舗株式会社」(株式会社トリワークス ・ TEL 03-5468-6699・FAX 03-5468-1250・http://www.decoremura.com/)に連絡を取るといい。


(平野悠)


 

Perfume / GAME

TKCA-73320 3,300yen(tax in) / IN STORES NOW

女性アーティストには、世間一般から求められる大切な条件がいくつかある。その1つに、「こんな女の子が現実にいたらいいのに」、「自分が出会った中で最も可愛い女の子だ」といった人間のファンタジーを満たしてくれる世界観を持っていることが挙げられる。Perfumeの場合、個人的にはそんな条件と無縁なミュージシャンだと考えている。むしろ彼女たちは、プロデューサーである中田ヤスタカのファンタジーを、ポップというあえて敷居の低い大衆向けのフィールドで形にしたものだ。このニューアルバムもそんなフィールドの中では、十分すぎる内容に仕上がっている。キャッチーなメロディーは前作同様に、そこにディスコパンク、アンビエントといったスパイスを加える中田ヤスタカ節も素晴らしい。この音楽は、様々なミュージシャンからも支持を得ていることからもわかるように、大衆性を獲得しつつあることは間違いない。つまり、中田ヤスタカが持つファンタジーは見事に世間が求めていたものと合致したということ。このアルバムは、「オタクのためのアイドル」という概念を壊す1枚としての機能を果たしつつあるのだ。


(Loft A :諸麥竜也)


 

miscorner/c+llooqtortion / there was no scenery

STD-03 2,310yen(tax in) / 5.02 IN STORES

SECRETA TRADES第三の刺客はまたまた極寒の北の大地から(北海道にはなんでこんなにいいバンドが多いんだ?)miscorner/c+llooqtotion。ドラムとパーカスの2人組。一貫して言えるのはリズムの素晴らしさ。だかAphex Twinのような、リズムが完全なるウワモノのようになっているわけでもない。anticonのdoshみたいなエレクトロニカサウンドが存在している。だか聴いてるうちにその温かくも冷たいサウンドが、リズムとなって襲ってくる。複雑に絡んだリズムとリズム。現代音楽家ARVO PARTが新しい単純性を説くなら、彼等は全く新しいビートの行き着く先を体現している。僕が思うに、世界中のハードコア信者もビート中毒者も今聴くべきものは、この極寒の大地の熱い鼓動なんだ。


((下北沢SHELTER:明智小五郎)


 

BECK / GUERO

UICF-1035 2,548yen(tax in) / IN STORES NOW

94年にメジャーデビューを果たしたBECK、8枚目のアルバム『guero』は、自分自身をリミックス&総括したと言ってもいい、いわばおいしいところを詰め込んだアルバムだ。フォークあり、ラップあり、はたまたファンク、ソウルありの色んな顔持つ彼が「今までで一番うまくいったなと思えた」と言ったアルバムだ。寝そべりながらマッタリ聴きたいと思えるフォーキーさもあれば、パーティ・モードで踊りたくもなる構成。リラックスとジャンクが一気に楽しめる、そんなアルバムだ。BECKならではの、ヘンテコなサウンドが心地よく耳に残る。タイトルのgueroとは、スペイン語で、白人の男の子を差すスラングだそうだ。幼い頃、LAのスパニッシュ街に住んでいた彼はよく、「ヘイ、グロエ!!」と呼ばれていたらしい。2曲目の『キュー・オンダ・グエロ』は彼が生まれ育った町に行って録音したそうだ。歌詞とサウンドからその街の雰囲気、彼の幼少期が想像できる。
真っ赤なほっぺで少年の様なルックスのBECKも結婚し、一児の父親だが、そんな彼が次はどんなサウンドを聴かせてくれるのか楽しみだ。その前に、これまでの彼がこの一枚で解ってしまう『guero』を聴いてみてください。


(Naked Loft 谷口和美)


ワゴンズ / 群青フレーズ

MING-001 1,575yen(tax in) / 5.25 IN STORES

本誌3月号から新人バンド紹介ページ『ROOKIES GARDEN』を始めたおかげで、バンド名以外はよく知らなかったけれど、実はこんなに良いバンドだったのかという方々に出会えるようになりました。毎月、新宿ロフトと下北沢シェルターの店長が「このバンドは良いですよ」と紹介してくれるので、私もCDをちゃっかり一緒に聴かせてもらってます。ワゴンズもそうやって紹介されたバンドでした。
京都出身での4人組で、心地よいギター・ポップ・サウンドを聴かせてくれます。今年1月から3ヶ月連続でシングルをリリースし、5月には初のフルアルバム『群青フレーズ』をリリース。メロディーがきれいだとか、ボーカルの声が良いとかはもちろんですが、ボーカルの発する一言一言が聞き取りやすくて(聞き取りやすいのは大事なポイントです)、伝えたいメッセージがちゃんと届いてきます。また、ボーカルの後ろに聴こえるサウンドも、目立ちすぎず目立たなすぎず、ちょうどいいバランスでかなり良いです。私は『銀色の月』みたいな、ちょっと疾走感がある曲が好きでした。
あとは、CDから感じ取ることができた“素朴さ”みたいなものは、忘れないで今後も大事にしてもらえたらというのがワゴンズにお願いしたいことです。


(Rooftop:やまだともこ)


LIVE CLEAN STAY YOUNG / LOCAL ROCKER 365days

IHSR6 1,575yen(tax in) / 5.02 IN STORES

久々に来たな〜〜! この感じ! なんだか待ちわびていた感もありつつ、OLDな匂いも残しつつと言うものすごく絶妙なツボをついてきてくれましたね!『限りなくハードコアに近いながらも決してメロディーを失っていない唯一無二のサウンドを展開』と本人達も語っているようにハートをガッツリ掴んで離さない彼らのサウンドは本当に唯一無二です。僕はバリバリハーコー好きなので完全に好きになってしまいましたがメロディックパンク好きや西海岸系が好きな方、はたまたメタル的パンク/ハードコアが好きな方にもかなりオススメ! 冒頭でも言いましたが、聴いたら分かるはず! おそらくみんな「これ! これ!」とうなりをあげるはず。そして、そして! このバンドはマジでライブが半端じゃない! マジで格好いいですよ! しかも5月から怒濤のツアーが始まるので近くに押す合いの方は是非ライブに足を運んでみてください。


(新宿LOFT:HxGxK)


 

lynch. / Adore

初回限定盤MWRE-009 1,575yen(tax in) / 通常盤MWRE-009B 1,050yen(tax in) / IN STORES NOW

6th Maxi Singleが4.2に発売された! 何と、オリコンインディーズ週間ランキングで初登場1位!! そして、今や「初回限定盤」は手に入らない存在に…。昨年の6月号のRooftopで『THE AVOIDED SUN』のALBUMのCD REVIEWを書かせてもらったlynch.だが、その時感じた私の直感に間違いは無かった、と嬉しく思った。『Adore』を聴いて、激しく迫力な曲調の中に、激しいボーカルラインとメロディアスなボーカルラインがとても上手く共存しているなと感じた。そしてc/wの『an illusion』を聴いて改めて思った事だが、lynch.のギターサウンドはとても心地良い。コードを刻むギターサウンドももちろん大切だが、ところどころ主役のように歌い 鳴り響いているギターサウンドがまたたまらない。2人のギターリストが存在してこそ、この心地よいサウンドが聴けるのだろう。たまに音が上手く共存していないツインギターの音を耳にする事があるが、lynch.の音楽には『2人のギターが必要だ』と思わせるサウンドが響いていると思う。もちろん、基盤をしっかり支えてくれるドラムとベースの音が合ってこそ、成せる事だと思うが。そしてボーカルラインを決して邪魔していない。やっぱりlynch.のサウンドは超格好良い!! としみじみ思う。次のリリースがとても楽しみです☆


(新宿LOFT副店長:河西 香織)


LONDON KILLS ME / LONDON KILLS ME

BRCDS-8036 3,000yen(tax in) / IN STORES NOW

この音源が手元に届いた時、私は正直驚き、同時にとても嬉しく思った。『LONDON KILLS ME』とは、2006年に解散した6(six)のヴォーカル&ギター藤崎賢一とギターmikiによるユニットだったからだ。そして、私は言わずと知れた藤崎ファンであるからだ。昨年末の「愚息」主催カウントダウンライブへの出演を機に生まれたこのユニット。2人が繰り出すロックンロールはとてもシンプルで、何も着飾る事なく “内側から溢れ出てくるものをそのまま形にしている”という印象を受けた。また2本のギターから生まれた全12曲を通して聴くとストーリー性を帯び、なぜか少し懐かしく、そして少し切ない気持ちになって思わず涙が出そうになった。聴く者の心の底まで響かせ、魂まで震わせてしまう藤崎節は健在だ。6(six)とはまた違った魅力がたくさん詰まっているこのアルバム。レコ発として5/3(土)〜7(水)まで怒涛の5DAYSツアーが決定している(全て完売!)。これぞまさしくロック魂!


(新宿LOFT:どうきょうみゆき@小部屋)


V.A. / LONDON KILLS ME

UPCH-1602 2,800yen(tax in) / 5.28 IN STORES

『ツインビー』や『悪魔城ドラキュラ』、『グラディウス』などKONAMIのゲーム音楽をテクノ畑の人たちがリミックスしたコンピ。YMCKあたりを筆頭に好セールスを記録したチップチューン復刻ムーヴメントもすっかり落ち着き、今さらこういう感じのコンピにどんな意味があるのかと思って聴いたんですが、これがモノ凄くカッコよく意表を突いてくれてちょっと鳥肌立っちゃいました。参加したリミキサー達は安易で回顧趣味的な「8bitピコピコキュンキュン」サウンドに走ることなく、あくまで軸足を現在進行形のクラブカルチャーにしっかりと置いたうえで、ファミコン(KONAMIのソフト)への愛を叫びます。i-depやトンガリキッズ、ajapai、sugiurumnら間違いようの無い面子が、次々と期待以上の技を見せつけてくれる様は本当に痛快。プロデューサーの企画力とリミキサー達のハイレベルなスキルが織り成した奇跡、と言っても過言ではないでしょう。ちなみに世に溢れる「トリビュートアルバム」という名のコピーバンド大会しかり、何かへの愛を看板に掲げた作品(商品)を作るならばこれくらい対象を咀嚼しなくちゃ意味がないと、個人的には思います。


(ルーフトップ★ギャラクシー:前川)


V.A. / Niw! Collection

NIW-030 2,940yen(tax in) / 5.23 IN STORES

5年前、DOPING PANDAを中心としたNiw!Recordsというレーベルが誕生し、その第一弾コンピレーション『Niw!Stocks』が世にDROPされました。あれから5年という歳月が経とうとしていますが、今聴いても色褪せないというか、むしろ今の方がリアルに通ずるとこもあったりして…。
話がそれましたが、2008年、記念すべき5月23日には30作目となるレーベルコンピレーションがリリースされます。その全貌はというと、現在のNiw! の核ともいえるアーティストから、デモ以外だと初音源という新人アーティストまで、幅広い11組が集結。この記念すべき作品の為に全アーティストがなんと、全曲書き下ろしてくれております。オーヴァーグラウンドでもエレクトロ・シーンが盛り上がりをみせているとか、そんな事はどうでもよくて…。ジャンルやカテゴリーという枠に捕われず、あくまでも自分たちの根底にある精神を貫くというような想いを感じつつも、妖艶にそれぞれの違った景色が見えてくるような、とても濃い内容のコンピレーションの仕上がりになっております。偶然は必然、きっかけなんていつ起きるかわかりません。きっとこれからも…と目からウロコのような期待を抱いてしまうのは、私だけではないハズです。5周年おめでとうございます!!


(下北沢SHELTER:平子真由美)


posted by Rooftop at 09:00 | バックナンバー