ギター 編集無頼帖

プレゼントという“行為”

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 金曜日、先だってツアーの長旅を終えた怒髪天の増子さんが不意に弊社来訪。お忙しい合間を縫って、わざわざ僕への誕生日プレゼントを届けに来てくれた。ちなみに僕の誕生日は2月なのだが(笑)、その心遣いにただ恐縮する。
 増子さんとの付き合いはかれこれ10年近くになる。最初にお会いした時、増子さんはまだ幡ヶ谷にある雑貨屋の店長だった。
 増子さんとは本誌で『ZOOMYの眼』という連載(言うまでもなくタイトルは弊社代表・平野のコラム『おじさんの眼』の借用である)をずっと続けてもらっているが、年々増子さんの忙殺スケジュールで取材日程を押さえるのが困難になってきたため、現在はバンド・メンバー4人の持ち回りになった。
 とかく増子さんばかりに目が行きがちなバンドだが、友康さん、シミさん、坂さんという3人の個性も凄まじく際立っていて、それを改めて世間に知らしめるためにもメンバー4人の連載持ち回りは大正解だったと思っている。どのメンバーだろうと、読者からの感想ハガキの多さとサイト・アクセスの圧倒的件数は群を抜いているのだから、メンバー各人の人気が如何に凄いかがよく判る。
 ベーシストはバンドの中で割と地味な存在だけれど(でも、話が合うのは個人的にベーシストが多い)、シミさんと一緒にダラダラ8時間痛飲するというユルいトーク・イベントが即ソールド・アウトしてしまうのだから、他のバンドと違ってやはり特殊な存在なのだろう。

 そんなわけで増子さんとはここのところずっと疎遠なのだが、専門学校の講師をしていた時の教え子でもあるネイキッド・ロフトの店長をからかってみたり、相変わらずお元気そうだった。
 増子さんからはグレゴリーの格子柄キャリング・ケースを有り難く頂いた。僕が誕生日に別の方から頂いた取材用MP3/WAVEレコーダー(僕は“電子テレコ”と呼んでいる)のケースに使ってくれ、とのことだった。なぜ“電子テレコ”の存在を増子さんが知っているのだろうと思ったが、本誌3月号の編集後記に自分で書いていたのだった。普段から増子さんはとにかく隅々までRooftopを熟読玩味してくれていて、尋常ではなく文字の級数が低いあの僕の編集後記にすら目を配っているのだろう。
 頂いたキャリング・ケースはしかし、若干小さくて“電子テレコ”は入らなかった。予備で回すテレコも入れてみたが入らなかった。まァ、いずれ何らかの形で有り難く使わせて頂こう。
 どんなプレゼントでも『現物』そのものが重要なわけではなく、プレゼントを贈ってくれた『行為』自体が僕にはとても嬉しい。その人が自分のことをイメージして、この形でこの色のモノを…とわざわざ選んでくれたのだ。まして選んでくれたのは僕の大好きなボーカリストなのである。ご多忙のさなか僕のためにスポーツ・ショップに足を運んでくれたのである。有り難すぎる話ではないか。世界にふたつとない宝物がまたひとつ増えた。嬉しい。
 増子さんを手ぶらでお返しするわけにいかないので、あらかじめEMIさんから一部多く頂いていた『“LAST GIGS”COMPLETE』のCDとDVDを差し上げた。余り知られていないかもしれないが、増子さんはアナーキーやYMO、矢野顕子さんと並んでBOφWYのファンでもある。数年前にコレクターズのコータローさんとレディキャロのウエノさんとハリスの高橋画伯と共にBOφWYのコピー・バンドをやったこともある。バンド名は群馬暴威ならぬ“下北ぼういず”だった(笑)。そう言えば、BOφWYが解散から20年ならば、怒髪天は現メンバーになって今年で20年なのである。
 閑話休題。増子さんにはCDとDVDのブックレットにある僕の拙文を読んで欲しかった。お会いしなかった間、僕は僕なりに自分にしかできない仕事をしていましたよ、というのを僭越ながら伝えたかったのだ。
 あのテキストを増子さんはどう読んでくれただろう。今度是非訊いてみたい。

 O-NESTで行われたブッチャーズ吉村さんのソロ自主企画で稀代のボーカリスト4人の歌声に沁みまくった後(全曲書き下ろしのBEYONDS健さんが異常なまでに良かった!)、会社の先輩と野方でささやかに呑んで帰宅したら、ちょうど増子さんがMCを務める音楽番組『音流』がやっていた。
 Soweluさんの話を引き出す増子さんの仕草はどこか照れくさそうで、札幌の喫茶店で初めて二人きりで話した時のはにかんだ笑い方となんら変わっていなかった。あれから随分と時間が経ってしまったけれど、芯にあるものは何も変わってないんだなと素直に思えた。
 登ってきたのは長い坂ではなく、同じ範囲をぐるぐる回りつつも上昇していく螺旋階段だったのかもしれない。(しいな)
posted by Rooftop at 13:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 編集無頼帖
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