ギター バックナンバー

Laugh Line('08年4月号)

Laugh Line

“ピアノトリオ”が奏でるドラマチックに彩られた極上のメロディ


ギターレス、ピアノ&ボーカル、ベース、ドラムの3人で編成されているLaugh Lineが、遂にファーストミニアルバム『ドラマチック』をリリース! 1曲目の『Jumpin' on the piano』では、“ピアノトリオ”の固定概念をぶち壊すかのように掻き鳴らされた破壊的なピアノサウンドが印象的。この曲で幕を開け、ドラマチックな楽曲達は、一貫してあるグッドメロディーは変わらずに次々と個性的な表情を見せてくれる。 週2回も会っているにも関わらず、毎回のリハ後にはお茶をしながら、バンドのことや新曲のこと、それ以外の近況報告をするという、とにかく仲が良い3人。ドラムのトミーに至っては、作詞・作曲を手がけている渡邊が作ってくる曲が全部好きという、メンバー本人がまずバンドを愛していることを窺うことができた。この3人が奏でる楽曲だからこそ、大事に大事に育て上げられた我が子の様に、1曲ごとにぬくもりを感じられるのかも知れない。今後の可能性を秘めた彼らの、今の言葉を聞いて頂きたい。(interview:やまだともこ)


ウマだけにウマくいくように!?

──バンドの成り立ちは本誌3月号でお話していただいているので、今回はミニアルバムのお話をしていきたいのですが、まずこのジャケットが目を引きますね!

トミー(Dr/cho):天神さんが案を出してくれたんです。

天神(B/cho):動物とか人の顔とか目があるものをジャケットにするとインパクトが強いっていう話をデザイナーさんがしてくれて、その後に動物の歯が鍵盤だったらいいんじゃない? っていう感じで、パッと思い浮かんだのがウマだったんです。

渡邊友彦(Vo/key):ウマの歯に鍵盤を入れるなんて、なんだその斬新な発想は! みたいな。ポップな感じに仕上がったよね。

天神:まあ、ウマだけにウマくいくように…って。
(一同:沈黙)

トミー:すみません(笑)。

渡邊:すみません(笑)。

──(気を取り直して)ファーストミニアルバム『ドラマチック』がリリースされますけど、出来上がってどうですか?

渡邊: 感無量です。いろいろ店頭を回らせてもらったりして最近ようやく実感が湧いてきたんですけど、店頭に並んだら本当に実感すると思いますよ。

──今まではライブ会場だけの販売でしたもんね。店頭で写メとか撮っちゃいますね。

渡邊: その画が浮かびます(笑)。

トミー:レコーディングもPVも営業周りにしても勉強にもなりましたよ。

ピアノトリオのイメージを裏切りたい

──タイトルなんですけど『ドラマチック』にしたのは?

渡邊: ここに入っている6曲がいい意味でうまくまとまってないんですよ。バラバラの曲を入れたので、アルバムを聴き終わった時に「もう終わっちゃった!」って感じになると思うんです。言葉の響きも好きで、いろいろ案は出たんですけど、最終的に『ドラマチック』がいいねって決まりました。

──タイトルは曲を録り終えてから決めたんですか?

渡邊: そうです。録り終わって、聴いてみてという感じです。

──1曲目の『Jumpin' on the piano』ですが、ワクワクするような始まり方ですね。1曲目だから幕開けっぽい展開にしようっていうことは考えていました?

渡邊: それは考えていました。“ピアノトリオ”って言うと、ジャズっぽくておとなしいイメージがあると思うんですよ。だからそのイメージとは逆のものを1曲目に持ってきたかったんです。

──激情的なピアノの鳴り方は、今のLaugh Lineを象徴してますね。

天神:“ピアノでおとなしい感じ”は裏切りたいとは思っていたよね。ガチャガチャしてうるさい感じで、ライブ感もあって、ライブを想像してくれたらいいなとは思ってました。

──アレンジってどなたが考えてます?

天神:基本のアレンジはともくん(渡邊)とトミーがやってますね。

渡邊:この曲は前身バンドの時からあって、一番古い曲なんです。アレンジは二転三転してこの形になりました。

──前身の時からある曲をなぜ今回入れようとなったんですか?

渡邊:Laugh Lineを結成した当時はこの曲をやっていなかったんです。しばらく経ってからやり始めて、勢いある曲を入れたかったのと、正式な初音源だし最初に作った曲だったから入れたいなって思ったんです。

──かなり思い入れがある曲と…。

渡邊: そうですね。思い入れは強いです。

──渡邊さんは曲が出来た時点で、ほとんどのパートの音は出来上がってるんですか?

渡邊: 心の中では出来てます。スタジオでピアノを弾きながら歌って、2人がその上にかぶさってくるんです。

トミー:だいたいこんな感じって2、3回やったら8割方できますね。あとは、細かい調整はちょっとずつやっていくという感じです。

渡邊: 一番好きなようにやって欲しいんですよ。

──今回アレンジでとにかく苦労したとかあります?

渡邊: アレンジは…『夜遊びの飽きた頃に』(M-4)かな。手数が増えて、クレッシェンド的な曲なので、それをどう表現するかとかコーラスワークとか。これは表現するのは難しいだろうなと思いながら出した曲なので苦労しただろうね。

トミー:3日間合宿でスタジオ入って、リリースに向けてのプリプロをしたんです。録音機材を持ち込んで、話し合いをしながら詰めることができたので、これは合宿あっての曲ですよ。

──合宿でこの6曲はだいたい形になったんですか?

渡邊: そうですね。テンポの設定とか、すごく細かいところまで。

トミー:というか、合宿までいろいろやってなさすぎだったんです(笑)。追い込まれて、締め切りギリギリになってやるタイプなので…。

ポップからロックへ

──録り方もあると思いますけど、今までの作品に比べると音のダイナミックさが増したのと、クリアになりましたね。

天神:オサムさん(STUDIO IMPACTのエンジニア、杉山オサム)がすごかったんです。かなりかっこよくなったもんね。こんなに変わるのかと思いましたよ。

トミー:前にリリースしたCDはポップな感じに聴こえていたと思うんですけど、今回はロックになりましたよね。

──レコーディングでは、どこが大変でした?

トミー:『後ろ向きなキミへ』(M-5)のコーラスです。息が続かなくて何回録り直したか…。酸欠になるかと思った(笑)。

天神:僕はウッドベースですね。

──ウッドベースとベースでは、ウッドベースの方が渋みが増すというか深い音が出ているのかなと思ったんですが、使い分けているんですか?

天神:ともくんが曲を持ってきた時点で、「これはウッドでやってみませんか?」みたいな感じで言うんです。ウッドでやってしっくり来たらウッドだし、エレキの方が良くね?ってなったらエレキでやってます。相性があると思うのでその都度ですよ。

──『キミのマフラーに溶けてしまいたい』(M-3)のベースはかっこよかったですよ。

トミー:ラテンではないけれど、そういう要素を取り入れた曲でウッドベースがすごい合ってますよね。

天神:でも曲ありきだよ。

渡邊: これはもともと僕がソロで歌っていた曲なんです。それをバンドに持ってきたという形ですね。

トミー:これは今思うと録るのは苦労したかな。なかなかグルーブが出なかったんです。録った回数は一番多かったですね。他の曲にも言えるんですけど、いざ録るとなると今までいかに適当に叩いていたかっていうのがわかりましたね(笑)。この1枚ですごく勉強になりました。

──渡邊さんは、1人で弾いていた曲がバンドで演奏することによって、ここまで豪華になるなんて想像してなかったですよね。

渡邊: それこそダイナミックに、バンドの力でしょうね。

トミー:『キミのマフラー〜』は、ちょうど前身バンドが解散していて、ともくんがソロでやっている時に聴いたんですけど、ドラムが思い浮かんで、「また一緒にやりたいな 」って思ったんです。こういう引き出しがあると思わなかったので感動した曲です。

渡邊:この曲を作ってライブをやって、半年後ぐらいにバンドを再結成したんですよ。

──『優しくして』(M-2)は Laugh Lineの代表曲と言っても過言ではないと思いますが。

渡邊: タイトルインパクトと、これはピアノでやってこその代表的な曲です。

──ピアノを掻き鳴らす感じが良いですよね。『優しくして』の構成は全員で考えたんですか?

渡邊: それは僕が全部考えて持って行ったんです。

──トミーさんがソロで歌っているところがありますが、この雰囲気がすごく良いですね。

渡邊: このフレーズは2回繰り返すんですけど、最初は1回で終わりだったんです。でも何か物足りないなって、別メロをくっつけたらどうなるんだろうって考えたら出てきたんです。これは歌って変だったら変えようって思ったのに全然変じゃなかった。ライブだと僕が歌ってる部分の方がトーンが高いので、地声に近い域のトミーの声が埋もれちゃうんですよ。CDだとすごく伝わりやすい箇所なのでここは聴いて頂きたいですね、トミーくん。

トミー:ライブでも伝えられるようにがんばります(笑)。ドラムを叩きながら歌うって今までやってなかったから大変でしたけど、歌いたがりなところもあるので楽しくできましたよ。

──アルバム全体的に、やっぱりメロディーが心地よいですね。

渡邊: メロディーはこだわっているところだから、そこは一箇所も妥協してないですね。

──あとは、パートごとのソロが多いと感じました。

渡邊: 特に『キミのマフラー〜』は多いんですけど、ソロがあった方が形になるし、そういうのが好きなんです。

天神:こっちはプレッシャーですよ(苦笑)。このバンドに入ってからベースソロをすごく要求されるようになったので…。まあ、気持ちよく弾かせてもらってます。

──ピアノ・ドラム・ベースって3人の音がぶつかることなく綺麗に聴こえるんですよね。

天神:鍵盤ってベースとかドラムとやっても分離がすごくいいんだよね。

──今回、特に音を重ねたりとかってしてないですよね?

渡邊: 今回はないです。そのままの音が入っているので、ライブで再現可能です。1枚目はそうしたかったっていうのがあるんですよ。

──ライブが想像できますね。

渡邊: それが一番いいんです。

──『材木町に流れる雪は』(M-6)では、1枚が壮大な雰囲気で終わる曲になりましたね。

渡邊:1曲こういう曲も入れたかったんです。最初はピアノソロで、最後にみんなで演奏するところは“ドラマチック”っていう部分に近いですね。だからこのタイトルが抜けなかったのかもしれないですね。これでドラマチックに終わるよっていう感じです。

『ドラマチック』は大きい音で聴いて下さい

──さっきから気になっていたんですが、トミーさんは渡邊さんから生まれる曲が楽しみでしょうがない感じですね。

トミー:そうですね。それはあります。ともくんが作ってくる曲が全部好きなんです。好きじゃないとやっていけないですからね。今というよりこれから先が楽しみですね。どう広がっていくのかも楽しみです。

渡邊: 恥ずかしいですね(笑)。

──次の作品の構想はできてます?

渡邊: 僕の中ではちょっとだけできてます。4月に合宿に行って新曲を詰めるので、そこで固めようと思ってます。テンポ的な部分では、これよりロックになる予定ではいますね。

──CDを出して『ドラマチック』TOURもありますね。

トミー:ツアーも初めてだし、自分たちの作品を冠にするのも初めてなので緊張感が違いますよ。

天神:最近ライブで地方にも行くようになったので、知ってくれてる人も増えてるのかなって思います。CDが出たきっかけでもっとたくさんの人に知ってもらい、ライブに来て頂きたいです。

渡邊: そしたらライブでガッツリ魅せます。

──ライブに来て、まさかこんなアフロがいるとは思いませんね。

天神:ジャケットじゃわからないからね(笑)。サプライズですよ。

──じゃあ、最後にRooftop読者の皆さんに一言お願いします。

渡邊: 絶対後悔させないアルバムというか、絶対にお気に入りの曲が見つかると思うので、知らない人もジャケットのインパクトに負けて手にとっていただけたらと思います。ピアノトリオって浸透してないシーンで、Laugh Lineはこういうもんですよという、挨拶代わりの1枚となってると思うので、ぜひ聴いて下さい。

天神:PVが付いて1,890円は安いだろうと。これは買うしかないでしょっていうところです(笑)。

トミー:今までにないものを聴かせられると思います。今のLaugh Lineが出せる音を詰め込んだので聴いて頂けたらと思います。

──他に何かありますか?

渡邊: 超マニアックなことを言えば、歌も聴いてほしいしピアノも聴いてほしいんですけど、ベースと絡んでいるピアノの左手を聴いて下さい(笑)。

トミー:ある意味いろんな楽しみ方ができるっていうことですね。

渡邊: 歌を聴きまくって飽きたら今度はピアノを聴いて下さい。

天神:ピアノに飽きたら今度はベースを聴いて下さい。

トミー:ベースは1曲ぐらいにして、ドラムを聴いて下さい(笑)。あとは大きい音で聴いてもらいたいね。


ドラマチック


RTSC-016 / 1890yen(tax in)
4.16 IN STORES
1. Jumpin' on the piano
2. 優しくして
3. キミのマフラーに溶けてしまいたい
4. 夜遊びの飽きた頃に
5. 後ろ向きなキミヘ
6. 材木町に流れる雪は

★iTunes Storeで購入する(PC ONLY) icon

Live info.

4.03(Thu)下北沢SHELTER『SONG-CRUX presents “ウタゴコロノユウベ”』
4.10(Thu)新宿ロフト『SHINJUKU LOFT 9TH ANNIVERSARY〜LOFT POWER PUSH!DX〜』
4.28(Thu)新宿ロフト『SHINJUKU LOFT9th ANNIVERSRY〜”LOFT POWER PUSH!”ウタゴコロノユウベ〜』
5.04(Sun)NAEKD LOFT *アコースティックスタイル
『ミュージックトライアングルVOL.4』

1st mini album『ドラマチック』発売記念ライブツアー決定!
w)a flood of circle / etc..
5.15(Thu)仙台PARK SQUARE
info:仙台PARK SQUARE 022-267-0433
5.20(Tue)名古屋UP SET
info:名古屋UP SET 052-763-5439
5.21(Wed)大阪セカンドライン
info:大阪LIVE SQUARE 2nd LINE  06-6453-1985
5.22(Fri)京都mojo
info:京都MOJO  075-254-7707
5.28(Wed)下北沢SHELTER 1st mini album『ドラマチック』発売記念ライブツアーファイナル
W)竹内電気 / etc...
info:下北沢SHELTER 03-3466-7430

Laugh Line official website
http://laughline.jp/

Laugh Line official MySpace
http://www.myspace.com/laughlinemusic

posted by Rooftop at 17:00 | バックナンバー