誰にも媚びる必要は無い。
『Feel Free to Hate Me』リリース!!
ロックの初期衝動を掻き鳴らし、極限まで溜めこんだ感情を向かうがままに放出し、抜群の楽曲センスを持った期待の新人hack on phonics(ハックオンフォニックス)。強烈な個性を放つツインボーカルと、全曲を英詞で聴かせる彼らのサウンドは、洋楽への憧れがあるとベース&ボーカルのチャゲが言っている通り、海外バンドが表現するようなメランコリックなロックの衝動を再現した作品となった。今回リリースされたファーストアルバム『Feel Free to Hate Me』は、誰かに媚び諂うことなく、自分たちの感情と正直に向き合い、洋楽邦楽問わず音楽ファンの心を突き刺すことだろう。若干21歳の4人が放つこの衝動を受け止めて欲しい。(interview:やまだともこ)
音楽には誠実に、嘘はつかない
──今回リリースされる『Feel Free to Hate Me』は、初のアルバムにしてはかなり完成度が高い作品だと感じました。まず、リリースにあたり今の気持ちを聞かせて下さい。
寶来(Gt):感謝の気持ちと驚きでいっぱいです。たまに夢見とるんじゃないかと思います(笑)。
泰佑(Dr):名も無い僕らをバックアップして頂いた沢山の人達に感謝しています。個人的には、もっと舞い上がるものかなと思っていたんですが、実際そうでもなくて今回で見えた課題とか色んなものをこれからのライブや曲作りで昇華出来る様に頑張ろうと思っています。
チャゲ(Ba&Vo):嬉しさと不安が半々ですね。
愛一郎(Gt&Vo):ナーバスです。
──このタイトルは、どんな理由から付けたんですか?
愛一郎:メンバー4人ともに一貫して“誰にも媚びる必要は無い”と感じていて、それをうまく表現した言葉なのでそうしました。 泰祐:ぱっと聴いた時の音の響きと、言葉が内包する意味とのどちらもがうちのバンドにとってしっくり来るもので満場一致で決まったんです。薄っぺらい虚勢にもとれる言葉だと思いますが、及ばないながらも芸術に携わる人間として、媚び諂うことなく好きだと思った人達が聴いてくれればそれでいいや、みたいな感じですね。
──制作期間はどれぐらいかけたんですか?
泰佑:昨年9月から11月の2ヵ月間です。当時はみんな学生だったので、合間を縫いながら東京と京都を行き来して製作しました。
──東京と京都の行き来で制作したとは、かなり大変そうですね。では、制作でこだわったのはどんなところですか?
愛一郎:昨今のエモだの感情的だの言われている邦楽バンドの多くが、形式的なシャウトや綺麗っぽいメロを並べてるだけなので、自分達の楽曲に対しては感情的に接することにこだわりました。
寶来:詞の世界観を自分なりに意識して演奏して、ヘタでもちゃんと感情の波が感じられるテイクを選ぶようにしました。
泰佑: 変に頭を使わず、感情むき出しで詰め込んでやろう。行き詰った時は曲の世界観をメンバーと共有したりもしましたよ。
──作詞・作曲をされているのは…。
チャゲ:僕と愛一郎です。でも歌のメロディーとおおまかなコード進行だけで、あとは全員で作ってます。
愛一郎: アレンジの段階で原曲の姿が跡形も無くなる程メンバー全員でいじり倒すので、今の形になったのは他メンバーの影響が大きいんですよ。
──作詞・作曲をするにあたって、どんなことを気にしながら作られましたか?
愛一郎:音楽には誠実であることを心がけ、自分をさらけだして嘘はつかない。
チャゲ:歌詞は自分が感じてることをストレートに、作曲は自分がキャッチーなメロディーだと思うところを出しました。
──楽曲を作る時に気にかけていることはどんなことですか?
チャゲ:ただ単純に4人が納得した上でのカッコいいと思うことをやることですね。
寶来:無理矢理リフをぶち込むことです(笑)。
泰佑:愛一郎とチャゲが持ってきた原型を4人でこねくり回して出来る感じです。ドラムに関して言えば、大前提として周りの音が映える様に黒子に徹する部分はあります。
──『children of Universe』の勢いあるロックサウンドがかっこいいと思ったんですが、アレンジで一番気をつけているところはどんなところですか?
泰佑:この曲は3ピース時代からある曲で、寶来が入ってからガラッと雰囲気が変わったんですよ。静と動の対比に関しては意識しています。
愛一郎:アレンジに関して言えば、メンバー全員が納得する形にすることです。
寶来:自分がやってる雰囲気を出す。まあ、悪く言えばクセみたいなもんですが…。
チャゲ:ベースだけで言えば、少ないメロディーフレーズを際立たせ、かつ違和感がないようにする、ですかね。あと和音です。
──ボーカルが前に出ているサウンドというのは気にかけてます?
寶来:僕にとったらこのバンドは、歌の世界観やその掛け合いが魅力的だと思っているんです。だからあくまでもギターは副菜だと思っています(笑)。
愛一郎:メロディや歌はとても大事ですね。ただ、楽器はそれを生かす為だけにあるとは思ってはいなくて、歌も楽器もかっこよくあるべきだと思います。ギターソロをバンバン入れたいと思うし、歌謡曲やポップスみたいな歌が主役で他は脇役ってのは嫌なんですよ。
──今回の10曲は、たくさんある中の10曲ですか?
チャゲ:過去に作った曲はたくさんあるのですが、アルバムの話をもらう前にすでにふるいにかかっていたので、10曲しかないなかの10曲です。
寶来:これだけしか曲がありません(笑)。
洋楽へのあこがれ
──皆さんはお使いの楽器にこだわりがある様ですが、今回のレコーディングで使った楽器の種類を教えて下さい。
寶来:Gibson Les Paul StandardとMarshallのJCM900を使ってます。こだわるほど知識はないですが、基本的に直球が好きなんです。
泰佑:スネアはLUDWIGのBLACK BEAUTY LB416Kです。まだまだ在りますが、きりがないです(笑)。
チャゲ:僕はFENDER AMRICAN DELUX PREDECISONBASSです。
愛一郎:ギターがGIBSON ES-335 REISSUE、アンプがHughes & Kettner Triamp MkUとRoland JC-120 JAZZ CHORUS。エフェクターはBOSS DD-3 Digital Delayです。
──その楽器を選んだのには選んだポイントはどんなところだったんですか?
愛一郎:ES-335とTriamp Mk IIは、試奏したとき音や感触がすごく気に入ったので選びました。
チャゲ:ベース本体というより、MXRの歪みとアンペグのヘッドに頼った音になったと思ってます。歪んでいて、なおかつ芯のある音が出したくてこれを選んだんです。
泰佑:うちのバンドの場合、フロントマンが割と爆音なんで、スネアの音だけは消え入らない様にエッジの利いた鋭い音が出るものが良かったんです。あとはルックスとネームバリューです(笑)。フットペダルに関してはヤマハの名器FP720を使ってるんですが、これはサークル時代に長野の合宿所でパクって来たものです(笑)。
──それ、書いて大丈夫ですか(笑)? ところで、hack on phonicsはどのような経緯で結成されたんですか?
チャゲ:全員同じ大学のサークルに入っていて、僕が愛一郎に声を掛けたのがきっかけ。その後泰祐をドラムに誘い、サウンドの強化のために寶来が加入したという流れです。
寶来:3人でやっていたバンドのところに、泥酔の僕が連れ込まれたとい感じです(笑)。
泰佑:ある日スタジオに行ったらやたらかっこいいギターを弾く童顔の子がいて、前から顔は知ってたんですが「今日からメンバーだよ」みたいな感じでしたね。寶来が入ってなかったら、また違ったんやろなとは思います。
──寶来さんが最終的な決め手となった感じですね。結成した当初から、こういう楽曲でやっていこうというのはあったんですか?
愛一郎:特に方向性とか決めずに、その時その時、自分達がかっこいいと思えるような曲にしていこうと思ってました。
チャゲ:4人がボーカル2人の世界観の中で自由にやったらこうなったという感じです。
──もともと皆さんが音楽を始めたきっかけは何だったんですか?
泰佑:幼少時代から母の方針でピアノとかハーモニカとか色んな習い事をさせられてたんですが、ハーモニカの先生がかなり有名な方だったらしくて、自宅スタジオに連れて行ってもらったときにドラムセットが置いてあったんです。それで試しに叩いてみて、それ以来他の楽器には触ってません。
愛一郎:ギターに興味を持ったのは、高校時代に友達が俺の家でメタリカの『バッテリー』のリフを弾いて聴かせてくれて、それが超かっこよかったんですよ。そいつに色々聴かされていくうち音楽が好きになり、自分でも始めたという感じです。
チャゲ:バンドっていうものがとてつもなくかっこよくて、何もできない僕に歌う喜びを教えてくれたんです。
──バンドを始める時に影響を受けたバンドはいます?
寶来:バンド本気でやろうって思ったのは一昨年ぐらいに出たLED ZEPPELINのDVDを見たときです。
──チャゲさんは?
チャゲ:NOFXやLAGWAGONです。
愛一郎:僕は多いですよ。THE BEATLES、NIRVANA、OASIS、Radiohead、Smashing Pumpkins、The Smiths、Weezerなどですね。
──4人が共通して興味があるバンドや音楽というのはどんなものですか?
泰佑:Radiohead、Smashing Pumpkins、Motion City Soundtrackとかかなあ。
──みなさん、やっぱり洋楽を聴かれているんですね。ということは、英語で詞を書くというのも自然の流れだったんですか?
愛一郎:日頃から洋楽ばっかり聴いてるので自然な流れですね。
──日本でメッセージを伝えたいと思ったら日本語で書くという発想になりますが、それでも英詞にこだわる理由は?
チャゲ:僕も普通は日本語でやるのが当然の流れだと思いますよ。でも英語でやるほうがいろんな可能性を秘めているし、個人的には洋楽へのあこがれがあるんです。
愛一郎:何を言ってるのか興味があったら歌詞カードに対訳が付いているし、それを見れば分かるしいいかなって思ってます。
──将来は海外での活動も視野に入れてますか?
チャゲ:希望としては(笑)。
愛一郎:面白そうなのでやってみたいと思いますよ。でも、そんなに甘くはないので、自分らが心からやりたいと思ったらやります。
どうせ俺らのこと嫌いなんやろ(笑)
──ところで、ライブ中に見せる愛一郎さんの怪しげな笑みがとても気になっていたのですが、ライブ中はどんなことを考えながらやっています?
愛一郎:どうせ俺らのこと嫌いなんやろ、どうせ誰も俺らの曲なんか好きやないんやろうが、くたばれくそグルーピーども!とか思います(笑)。
──かなり挑戦的ですね(笑)。
愛一郎:でも、テンションが上がったら体が勝手に動くし、意識もある意味ぶっとぶので特に何かを執拗に考えたりしてませんね。
チャゲ:歌ってるときは背景や風景をフラッシュバックさせながら歌ってます。高ぶらせた感情を放ってますね。
──ステージに出る前にどんなことを考えていますか?
チャゲ:ライブをイメージトレーニングしてます。あと感情を高ぶらせてます。
愛一郎:このステージが人生最後になるかもしれないから後悔の無いよう音楽に魂を込めよう、とか考えます。
寶来:僕は何も考えません。ウンコしたくなります。
──(笑)hack on phonicsを初めて見るお客さんには、どんなことを訴えかけたいですか?
寶来:キモいなーって覚えてくれてたらそれで十分です(笑)。
──今後バンドとしてどんな方向に向かい、どんな目標を持っていますか?
泰佑:常に音楽に誠実でいたいです。あとは感謝の気持ちを忘れずに。もっともっといい音源を作りたいです。
愛一郎:10、20年先の人間が聴いても、かっこいい!とか、これ名盤や!と思ってもらえるような作品を世の中に残すことですね。
寶来:ただの音楽バカの集まりでいたい。当たり前だけど、4人でやってるからこそって部分をもっと色濃くしていきたいと思っています。
チャゲ:バンドはこれからも変化していくし、より自分達のその時の興味を追及していくだけですね。
──では、最後に月並みですが、Rooftopの読者の皆様に一言お願いします。
寶来:読んでくれてありがとうござます。
泰佑:聴いて、良かったらCDを買ってライブに来て下さい。
チャゲ:僕らの音を喜んで頂けたら幸いです。
愛一郎:音源聴いて気に入ってくれた方は、機会があればどこかでお会いしましょう。
Feel Free to Hate Me
ZARCD-1003 / 2,310yen(tax in)
arights Zealot
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ライブ等はオフィシャルサイトでご確認ください。
hack on phonics official website
http://www.hackonphonics.com/