昨年11月にTIGER HOLEから、新宿ロフト縁のバンド達をカバーした初カバーアルバムをリリースしたニューロティカ。 それに続き、これまでに参加したトリビュート曲、提供した曲、さらにはライブの人気曲のセルフカバーまでもを一気に集めたカバーアルバムをリリースしてしまうのだ! どの楽曲もロティカ色満載で、遊び心とロック魂に火がついた楽しい一枚になっております。今回は、そんなアルバムのジャケット写真のモデルを務めた、ニューロティカと親交も深いピン芸人・まちゃまちゃと、ニューロティカのメンバー4人に話を訊いた。 (interview : 鈴木恵/北村ヂン)
●最初はあっちゃんが「一緒に日本酒飲みましょうよ」って
──では始めに、まちゃさんとロティカの出会いというのは?
ナボ : 最初の出会いは、西荻の中華屋に食いに行ってて……。
まちゃ : あはは! そう、バイトしてたの!
ナボ : 「変な髪形の女がいるなー」って思ってた。全然交流はなかったけどね。俺がロティカに入ったばっかりの頃かな。
アツシ : その頃、もうコメディアンだったの?
一同 : コメディアン(笑)!
まちゃ : 面と向かってコメディアンって言われたのはじめてかも知れない(笑)。普通は「もうお笑いやってたの?」とか言うもんだよー。
──まちゃさん、ニューロティカは知ってたんですか?
まちゃ : 知ってましたよ。中一位の頃、オーケンさんの深夜番組でプロモーションビデオを見たのがはじめて。でも当時は田舎だったから音源買うのに東京まで出たり、通信販売しなくちゃならないような時期で。……ま、だからCDを買うわけでもなく。「そんなに必死になんなくてもいーや」って。
一同 : (笑)
まちゃ : お小遣いもらっちゃあカステラに費やすのに精一杯で(笑)。
──初めてライブを観に行ったのはいつなんですか?
まちゃ : それが……カステラと一緒にやった時(笑)。中三の頃かな。
──じゃあまだ前のメンバーの時ですね。
まちゃ : このメンバーになってからライブに行ったのは氣志團が絡んでから。あたしコメディアン(笑)になってからは、知り合いのライブくらいしか行ってなかったから。で、氣志團とニューロティカがやるって聞いて「マジかよ!」って。それは今のロフトで。
アツシ : あー、じゃあ初めて(氣志團と)やった時だ。
まちゃ : もう家からレコード引っ張り出してきて、サイン書いてもらったりして。
──でもレコードって、前のメンバーの時のヤツですよね。メンバー変わってるのにそれにサイン書いてもらっちゃったんですか。
まちゃ : もうしっちゃかめっちゃかになってたんで(笑)。
──知ってるメンバーが全然いないぞと。
まちゃ : もう「どうなってんだ?」って。「あっちゃんしかいねーっの!?」って(笑)。でもまあ、その辺は女子みたいな気持ちで「あっちゃんしかいないなら観に行かない!」みたいなのはなかったんで。
ナボ : ……でも、当時はそういう子いっぱいいたよね(笑)。
一同 : (笑)
カタル: その頃から打ち上げとかにも来るようになったの?
まちゃ : んー、その時じゃなくって、また他の時に氣志團と一緒にやってて、その打ち上げであまりに飲みっぷりが良いから「お前こっち来い」って言われて輪に入れてもらえるようになったの。
カタル: あぁ、覚えてるわ。個室みたいなトコだ。
まちゃ : なんか女子に運ばれていく甘そうな酒を見て、「あんなの酒じゃねぇ!」って文句言ってたらあっちゃんが「一緒に日本酒飲みましょう」ってなって。
──そこからおじさんチームにまざって(笑)。
まちゃ : でも「日本酒飲むと台無しになっちゃうよ」って言ったら、カー君(カタル)が「どうなっても大丈夫だから」って!
──そこで白馬の王子が現れたと(笑)。
ナボ : セリフ覚えてんだ!
まちゃ : その一言で、カー君はあたしにつきまとわれる地獄の数年が続いてるわけです。
カタル: そうだったっけ? 不覚にも忘れてるなぁ……。
アツシ : 記憶にないなぁ。
ナボ : あっちゃんは、先週のことも記憶ないじゃん(笑)。
まちゃ : あっちゃん、最近ひどいんだよ! 一人で酔っ払って一人で爆笑して、「
まちゃ : 今言ったこと携帯にメモリーしといて、明日メールで送って」とか言って。で、そのネタを何度かライブで使ってんのを観たけど、酒入ってるテンションでは面白かったことが、MCで言ったらシーン……みたいな(笑)。「なんだよ! あんなに必死になってメールしたのに滑りちらかしてるんじゃねーか!」と。
──逆にロティカの皆さんは、まちゃさんのことを最初は何の人だと思ってました?
カタル: 最初……、ねえ。奇抜な人だなと(笑)。この髪型だからね。バンドやってる人かと思ってた。
アツシ : お笑いやってるなんて全然知らなかったもん。でも、去年ロフトのライブが終わって居酒屋で飲んでる時、ギャルが寄ってきてさ。「俺も人気あんなー!」とか思ってたら、あれみんなまちゃ(目当て)だったんだよなー。「まちゃも有名になったなぁ」って! あれは良かったよー、嬉しかったよ。
──昔は、仲が良いからニューロティカのDVDにちょっと出してあげる……みたいな関係だったのが、今やジャケットにズドーンですからね。やっぱり、まちゃ :さんが売れたからそれに乗っかってこう、みたいな。
ナボ : やな言い方するねー(笑)。
──なんでこういうジャケットにしようと思ったんですか?
アツシ : カバーアルバムっていうことで、
まちゃ :
に俺の顔をカバーしてもらおうかと。まちゃ : その話を最初に電話で説明してくれたんだけど、喋ってる途中であっちゃん一人で爆笑し始めて。「想像したら面白くなちゃったよ」って(笑)。
シズヲ : 頭の中でオチまで言っちゃうから(笑)。
まちゃ : だから、最初はあんまり意味が良く分かってないまま……。ジャケットの写真を撮るっていうのだけは分かってたんだけど。「まちゃが俺の……衣装を……好きなの選んでいいから」って言ってんだけど最後笑っちゃって言葉になってないの。
一同 : (笑)
シズヲ : でもそういうこと、良くあるよー。
●一枚にまとめて一気に聴いてもらおうと
──そろそろアルバム自体の中身についても話したいんですが……。
ナボ : まちゃ、この中身って聴いてない?
まちゃ : まったく(聴いてない)!
──聴いてないんですか!?
シズヲ : ……しかしこうやってタイトル並んでるとすごいよね。特に『けっこう仮面』のタイトルはすごいなー。「モロダシ・ヒロインけっこう仮面」だよ!?
──どうしてこの曲を選んだんですか?
カタル: あっちからの指定だったんだよ。この曲やって下さいって。
アツシ : 永井豪のトリビュート・アルバムだったから「デビルマンとかマジンガーZとかやりたいなー」って思ってたのに、「けっこう仮面をやってください」だもん(笑)。
──そのアルバムは、他にどんなバンドが参加してたんですか?
カタル: AGGRESSIVE DOGSとかLOUDNESSとか……。
──そこには「けっこう仮面」は頼めないでしょう! やっぱりニューロティカがやるしかなかったんじゃないですか(笑)。でも、そうやってコンピに参加した曲って聴いたことない人もいっぱいいると思うんで、まとめて聴けると嬉しいですよね。
カタル: 好きなバンド一曲のためになかなかアルバムを買えないもんね。
──ロティカらしい寸劇も入ってて、このアルバムの中だと聴いてて面白いんですけど、コンピに入れた時は何か言われなかったんですか?
カタル: コンピって一曲勝負だから、一曲に盛り込んでいかないとヤバイと言うことで色々やったんだけど、それで怒られるどころか好評だったんで、毎回どんどんエスカレートしたと。なんとか目立とうとして(笑)。
アツシ : あれ(寸劇)って何でやろうと思ったんだっけ?
カタル: ラモーンズのトリビュートの時に、曲が短かったんでどうしようかなって色々考えてたんだけど、勝手に歌を作っちゃうわけにもいかないから、なんか喋りでも入れたらいいのかなって。そしたらあっちゃんが「良いネタがある」って言い出して。面白がってやっちゃったんだけど。さすがに怒られるかと思って持ってったら好評だった(笑)。
ナボ : 普通カバーするって言って、他の曲入れたりネタ入れたりしないよ。関係ないもん(笑)。でも、ジュンスカの時もみんな喜んでくれたよね。
カタル: メンバーが喜んでくれたからね。
──洋楽のカバーも色々入ってますが、アツシさん、英語は大丈夫だったんですか?
アツシ : 大変でしたよ。「みんなクラッシュ好きだから仕事取ってきたよー」って。そこまでが俺の仕事だと思ってたら、あぁ……俺が英語で歌わなくっちゃいけないんだぁって。
一同 : (笑)
──ダムドとかクラッシュって聴いた事はあったんですか?
アツシ : ダムドはあったけどクラッシュはない。
──ないんですか!?
カタル: だって昔、あっちゃんが「デモテープを録るのに使って」って、家でいらなくなったカセットを持ってきたの。そしたら、「クラッシュ」って書いたテープの中に、ジャムが入ってたもん(笑)。
アツシ : あれがクラッシュだと思ってた。
──じゃあアツシさんにクラッシュの選曲をやらせたら、ジャムの「IN THE CITY」とか持ってきた可能性があったわけですね(笑)。
ナボ : でもカバーって面白いよね、アレンジとか。自分達のアルバムではやらない打ち込みとかも入ってるから。
──カバーだからライブで出来なくても良い、みたいな。
カタル: 逆に、出来ない感じの方が面白いかなって。
シズヲ : 引き出しを全部ひっくり返して作り込んでますからね。
カタル: 曲が長くなるとかも気にしないから。普通オリジナルだと3分とか4分ぐらいにするもんだけど、全く気にせず。「長くなっちゃったねー」って。
──どうせコンピに入るんだったら長いほうが得じゃないかと(笑)。
カタル: 作ってる時は一生懸命で大変なんだけど、出来上がった時は「面白いの出来たね」って。毎回そんな感じだったな。それを今回一枚にまとめられて、……濃すぎるかもしれないんだけど、念願だったんで。今まで聴き逃してしまってる人も多いと思うので一枚にまとめて一気に聴いてもらおうと。オエッとなってもらおうと(笑)。
──セルフカバーとして「Drinkin'Boys」「WHISKEy ROCK」が入ってますけど、今までやってなかったんですね。
カタル: 今のメンバーでは録音してなかったんだよね。「Drinkin'Boys」はアコースティック・バージョンでやったことはあるけど。ライブでやるような人気曲で、まだ録音してない曲が何曲かあるんで、こういう機会にセルフカバーやっていけたらいいと思ってます。で、たまたま今回はこの2曲やろうかなって。かなりアレンジも変えて、良い出来になってると思いますよ。
まちゃ : しかし、アルバム一枚分もあるなんて、一バンドでこんなにやるもんなの、トリビュートって?
シズヲ : やんないだろうねぇ。
アツシ : そー、だからヤリマン(笑)。
まちゃ : わ、このヤリマンどもが!
一同 : (笑)
カタル: でも、この中であっちゃんが一番嬉しかったのってちー様(松山千春)でしょ?
アツシ : いや、吉田拓郎の「落陽」。これだけ俺が原盤権持ってるから(笑)! ……次はフォークのカバーアルバムとかやりたいなー。
●あっちゃんはロックバカであり、ただのバカでもあるのがいいところ
──カバーアルバムが二作続きましたが、やっぱりファンが次に期待するのはオリジナルアルバムだと思いますけど。前回はロック色を打ち出して、前々回はネタ色が強かったという感じですが、次はどんな感じになりそうですか。
カタル: どうしようかね(笑)?
ナボ : 基本はロック色だよね。
カタル: で、そこにあっちゃんのネタが入ってきて、それに合わせて微調整したりするんだけど。
シズヲ : 僕たちロックバンドなんですよ(笑)!
──演奏陣はロックなのに、どっかでネタになっちゃうと。
ナボ : だから、またあっちゃんが閃いたら変わっちゃうかも。○○マンとか(笑)。
アツシ : キャラ物もやりたいね。狙い目はあれだ、朝の子供番組のキャラクターの曲をね。
カタル: 前、「おはロック」ってしばらく言ってたもんね。「ああいう曲作ってよ、おは〜! みたいなヤツ」って(笑)」
──で、今年はニューロティカ24周年になるわけですけど。
まちゃ : もうすぐ適齢期じゃん(笑)!
カタル: まぁ、見てるほうも面白いんじゃない? いつまでやれるんだろうって(笑)。
ナボ : 最近、あっちゃんの頭の劣化が激しいからなぁ〜。……あ、また悪口言っちゃった。褒めていこうと思ってるのに(笑)
──それじゃ最後に、あっちゃんの良いところなんかを言っていただきましょうか。
まちゃ : 良いところ……。そうだなぁ……、なんでしょ……?
ナボ : 出てこないの(笑)!?
まちゃ : 主役を立てようと思って言葉を選んだら全く出てこない状況に(笑)。……まぁ、ロックバカであり、ただのバカもであるのが良いところだと。この歳でなかなかピエロ出来ませんよー! あっちゃんのつるんとしたオデコと脳には、夢と希望が詰まってる!
シズヲ : ステキだね(笑)。
まちゃ : 今回はこうやってジャケットに参加できて良かったですよー!
カタル: あっちゃんが頑張っていい仕事取ってきてくれれば、僕らもいい仕事しますので。それが集まってるって言うのがこのCDなんで、これからもお互い頑張りましょうと!
──「ニューロティカって、こんなこともできますよー」っていうアルバムになってますよね。
シズヲ : 名刺がわりですね。
カタル: 営業と現場がうまくかみあった一枚ですから(笑)。
ニューロティカ Cover Album(TRIBUTE edition)
PUNCH! PUNCH! PUNCH!
2008.2.6 Release!
TKCA-73306/¥2600(税込)
<カバーアーティスト>
THE DAMNED
JUN SKY WALKER(S)
Jitterin'Jinn
GELUGUGU
松山千春
RAMONES
ルパン三世
Tribute to MASAMI
THE BLUE HEARTS
けっこう仮面
吉田拓郎
The Clash
全15曲収録
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http://www8.big.or.jp/~roteka/