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アンダーグラフ / アンダーグラフというバンドの映像
FLBF-8094 3,000yen(tax in) / IN STORES NOW
アンダーグラフ初のビデオクリップ集です。その名も『アンダーグラフというバンドの映像』…わかりやすいですね。今までシングルにPVのDVDが付いていたりしたことはありましたけど、こうやってちゃんと映像集になるのは初なんですって。意外。デビューシングル『ツバサ』から最新のシングル『セカンドファンタジー』まで、全シングル曲のビデオクリップを収録。『ツバサ』は、長澤まさみさんが主演を務めたあの作品。『ユビサキから世界を』は行定勲監督がこの曲を元に映画化され、『また帰るから』は『殯の森』で第60回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した河瀬直美監督が撮影されたもの。PVひとつとってもアンダーグラフの楽曲と一緒に映し出される映像は、ひとつの映画を見ているように、とても美しく、メッセージがたっぷりと込められた作品となっています。PVというと、一時期はどこで見られるのかわからないというものでした。たまに音楽番組で流れるとかCMで流れるとか、ふとした時にチラリと見られるものというイメージしかなかったように思います。それが今はシングルの初回盤に付いてたり、こういう映像集がリリースされたり、他には衛星チャンネルではPVだけが流れている番組があるという噂も耳にしますが(うちにはそういう現代的なものはないのでわかりません)、こうやって音だけでなく映像とともに、ファンの方だけでなく多くの人の目に触れることができるようになったのは良いですね。また、クリップ集としてリリースするというのは、シングルコレクションのDVD版という感じもして、これまでの作品も楽しめるし、メンバーがどれだけ変化しているかというのもこっそり楽しめたりします。実際『ツバサ』のころから見比べてみると、だいぶ変わってました。
このDVDは、副音声でメンバーの解説が入っています。PVを見ながらメンバーが思い出話をしているという感じなんですけど、例えば「これは農場でやったんだよねー」とか「自分の車を使ってるんですよ」とか「ここは虫が多かったよね」みたいな会話。映像だけではわからなかったことが、解説が入ることにより、いろんな苦労も知って、別の角度からも楽しむことが出来ます。「ここでコケるんだよね」という会話は、映像にはコケた部分は映ってないだけに、こういう裏話を聞けるのは本当に楽しい。
アンダーグラフに対しては、バンドを始めた時のワクワクした気持ちをずっと維持できているバンドなんじゃないかといつも思います。今回の解説をしているところも4人だったり、2人ずつだったりしているんですが、話ている感じも普段と全く変わらない感じがするし、思い出してたらまたあの時の楽しさが蘇ってきた! みたいな雰囲気がとても伝わってきます。このDVDには『遠き日』のライブバージョンが収録されていて、この映像を見ながらの真戸原さん。「めっちゃ汗かいてるなー」…ってそこですか? じっくり聴いている客席の映像と、めっちゃ汗かいてる真戸原さんと、かっこよくギターソロを聴かせる阿佐さんと、映像でありながらお腹の辺りをドンドンと刺激するリズム隊と、あの時のライブが完全に蘇ってきます。なんか1曲ライブバージョンを見てしまうと、ワンマンライブの映像を丸々1枚で見てみたいと思うのは欲が強すぎますか?
本誌1月号のインタビューでも真戸原さんがチラリと言ってましたが、メンバー自身が録った『また帰るから』のPVというのは他では見られないですよ。
「フィルムの使い方を間違えて、昼なのに夜用を使ったからものすごく明るかったりしてるんですが…」と言われていたとおり、本当に明るいです。太陽がメンバーが持ってるカメラだけに集中したんじゃないかってぐらい明るいです。でも、そう言ってたなってことを思い出しながら見るのも面白い。メンバー4人と、まわりを囲んでいる方々の愛情がたっぷりと入った1枚となっています。ファンの方はもちろん、どういうバンドかを知りたいという方にもおすすめの1枚です。ちなみにですが、アンダーグラフは4月に『アンダーグラフ spring tour '08 〜呼吸する楽園〜』が決まってます。
Rooftop:やまだともこ
accidents in too large field / new buildings
Less Than TV FICL-1019 1,680yen / IN STORES NOW2003年末、福岡は西新という街でイベント「問題」が生まれてもう5年もなるんやなぁ。例えば、「このバンドが出るから観に行こう」っていう感じじゃなく、何が出るか知らんけど、「問題に行こう」っていう、その空間と、そこで鳴らされる音楽、DJ、全てが魅力的なもの、そんなイベントを主催し始めたのがaccidents in too large fieldとteppohseenという2つのバンドでした。福岡を代表する〜とか、九州のアンダーグランド/オルタナ/ニューウェーブ/パンクシーン(って既に死語です。ね。)を担うとか、そういったうたい文句は必要ないし、仕事して、酒呑んで、泥酔して、くだまいて、毎晩猫とか可愛がって、スタジオ入って、曲が生まれて、っていうサイクルの中で摩擦の起こる瞬間は多々あって、それを観てみぬふりできんときに火花が散ることもあるやろし、それが予期せぬ事故となり、生まれる音楽が美しかったりするんです。例えば、ハードコアやりたいからハードコアやるっていうのんとは違う、この3人が集まって演奏しだしたらできた音楽。それが今回LessThanからリリースされることも、アクシデンツ初となる全国流通1stAlbumや言う事も、時が来た! という感じでしょうか。内容の説明一切なしでごめんなさい。聴いたがいいもん。こんなん。宇都倫博(B&Vo)、阿座上悟(G)、清水誠(Dr&Vo)から成る3ピース編成、アクシデンツ、レコ屋に急いで行って下さい。
Rooftop:Naked Loft:見汐
A PAGE OF PUNK / FOREVER PUNK
CENT-008 1,890yen(tax in) / 2.08 IN STORES“We Are A Page Of Punk”と高らかに始まった1曲目。ここから始まる怒濤の33曲!! あれもあって、これもあって、あんな事から、こんな事まで! とにかく何でもありのA Page Of Punk。西荻WATT'Sを中心に当時より活動しており、SCHOOL YOUTH, UNITED SKATES, でぶコーネリアスなどの新しいバンド達が影響を受けたと口にする個性あふれるライブハウス故西荻WATT'Sにて、最前線とも言えるところで走り続けてきた彼ら。3作目となる今回のアルバムはなんとなんとついに正規流通でのアルバムとなった訳で。いや〜〜とにかく買うしかないでしょう! このショートチューンパンクを知らずして西荻、いや中央線の文化の文化は語れませんよ。今は無き西荻WATT'Sの生き字引とも言える彼らだから出来るこの音楽。全33曲を死ぬ気でつっぱしる姿が目に浮かびます。あなたもパンクの1ページになってみませんか?
Rooftop:新宿LOFT:HxGxK
e-sound speaker / Stand by Me
COCA-16051 1,260yen(tax in) / IN STORES NOWe-sound speakerが放つ音楽に出会ったのは3年前。あの頃と全く変わらない声の存在感。『Stand by Me』で立派に披露している。 私が今もこうして飽きずに彼等の音楽を支持している所は、それが変わらずあるからだ。期待を裏切らないe-sound speakerがいつも居るからだ。『Stand by Me』は、大人になっても記憶として残っている子供の頃の出来事と、今の自分を照らし合わせて歌っていると言うが確かに共感出来る事ばかり。そしてカップリングも裏切らない。日常と空想の世界を行ったり来たりするかの様な歌詞、スケールの大きいメロディはたまらなく心地良い。この心地良さを少しでも多くの人に感じて欲しいと切に願う。 e-sound speakerの音楽の旅はまだまだ始まったばっかり。この1枚を引っさげ全国各地へライブ巡業がスタート。最終日は2/26東京・下北沢CLUB QUEにてワンマンライブ! 駆けつけなきゃ!
(SONG-CRUX 樋口寛子)
宇多田ヒカル / HEAT STATION / Stay Gold
TOCT-40200 1,100yen(tax in) / 2.20 IN STORES聴いた瞬間ウワッと感情が流れ込んでくる楽曲。最近で言うと『Flavor Of Life』。今回は、ウワッとではないけれど徐々に自分の感情を自覚する曲だった。優しい声、優しいだけではない音が、光って消えたと思ったらうねりのように……。「もう脱がないぞ、だって外は寒いんだ」と着込んだコートを知らず知らずに脱いでいく自分がいた。家でじっくり聴きたい楽曲2曲だ。
(斉藤友里子)
ELECTRIC MAMA / THE WALL
TOCT-26447 2,000yen(tax in) / 2.06 IN STORES今年、ライヴハウス・シーンを席巻すること必至の破格の新星の登場である。破天荒なドラムとドスの利いたハスキーな歌声で観る者をただただ圧倒する上田亜里沙、ギター・アンプとベース・アンプの両刀使いで直情径行のギターを奏でる大島健司から成る異色の爆音2ピース・バンド、エレクトリック・ママ(通称:エレママ)。審査委員長に布袋寅泰を迎えたオーディション『LOCK ON ROCK』で見事グランプリを獲得し、メジャー・デビューへの道を切り拓いたことで話題をさらった彼らの処女作がこの『THE WALL』である。ブルースを分母に置いたコクとキレのあるソリッドなロックンロールを基調としながら、スケールの大きいミディアム・テンポのブルースを情感豊かに表現するなど、楽曲のクォリティも演奏のタイトさも新人離れしたものがある。そして何より、布袋寅泰が瞬時に見抜いたという確固たるオリジナリティが脈打つように漲っている。その布袋自身が、2ヴァージョンあるタイトル・トラックの1曲でプロデューサーとして参加しているのも注目だ。バンドのセルフプロデュース・ヴァージョンと聴き比べてみるのも一興だろう。そして、エレママの真髄は四の五の言わずにやはりライヴ。今月20日には新宿ロフトのサブステージで深夜にフリー・ライヴが開催されるので、アルコールで喉を潤しながら是非一度彼らのライヴを体感して頂きたい。耳をつんざく暴音、爆音、轟音の中にロックンロールの新たな可能性をきっと見いだせる筈だから。
Rooftop:椎名宗之
AUDIOSLAVE/ AUDIOSLAVE
EICP-60 2,520yen(tax in) / IN STORES NOWRAGE AGAINST THE MACHINEが来日しますね。でもAUDIOSLAVEのレビューです。2007年2月に残念ながらクリス・コーネルは脱退してしまいました。この1stの方向性がどちらかというとサウンドガーデンよりなのは、2つのバンドのバランスをとったということでしょうか。レイジの爆発的な演奏を期待していた自分は『COCHISE』以降の曲が不完全燃焼な感じがして、最初はちょっと物足りないかもなんて思ってしばらく聴いていなかったのですが、自分間違ってました。後からジワジワ効いてくる王道ハードロックの傑作だと思います。レイジではみられないトム・モレロの泣きのソロが聴けるこのアルバム。今だからこそもう一度聴いてみてはいかがでしょう?
(下北沢SHELTER:みね)
SHORT LEG SUMMER / だから、ずっとそばにいろよ / 炎のランニングバック / Song of Power
AVCD-31312 1,050yen(tax in) / IN STORES NOW千葉県柏発、リーゼントと革ジャンで身を包んだ4人組、SHORT LEG SUMMERのトリプルリードシングル『だから、ずっとそばにいろよ / 炎のランニングバック / Song of Power』がリリースされました。『炎のランニングバック』『Song of Power』はテレビ東京系アニメ『アイシールド21』のオープニングテーマとエンディングテーマになっている曲なので、聴いたことある!って人も多いはず。私がここで取り上げて書きたいのはM-1の『だから、ずっとそばにいろよ』。この曲は、お前は普段からオレにケチばかりつけるけど、何年経ってもずっと好きでいるぜ。だからずっとオレの側にいろよ。という感じの曲なんだけど、純粋にこういう曲が好きなんです。東野幸治さんにそっくりなボーカル・東野ハマジが、恋に不器用な男子を歌うおかしみも若干ありつつ、その一途な気持ちにキュンキュン来っぱなし。「お前に決めてるんだ」なんて言われてみたいなぁ。『炎のランニングバック』『Song of Power』はライブでも聴いたけど、力強くてみんなでワイワイできるような曲でした。3曲ともたしかに、リードシングルにしたいと思うはずだわ。 SHORT LEG SUMMERの場合、CDも良いけどライブもぜひ見てもらいたいです。リーゼントであんなに見た目はいかついけど、MCは相当面白いし、ステージもかなり汗だくでエネルギーに満ちあふれてました。まずはシングルを手にしてライブへどうぞ。
Rooftop:やまだともこ
高森ゆうき / Leaflet
PDCT-1011 1,000yen(tax in) / IN STORES NOWライブレポでも触れた様に、カレー大好き高森ゆうきのミニアルバムが発売した。こっちは年末と違い、いわゆる表の顔、本来のラーメン大好き高森ゆうきの活動である。結論から言って、今回のCDはかなり良い。レコーディングに時間を掛けた様で、前作とは音のクオリティーが全然違う。音だけでは無く楽曲の良さはもちろん、アレンジもよく練られている。そして今回特筆すべきはコーラスアレンジ。さすがカラオケのハモリ王と異名をとる高森だけあって、考えに考え抜かれたであろう見事なコーラスが曲を鮮やかに彩っている。今回も高森の人柄が出た非常に温かいアルバムに仕上がっている。あなたの日常のサウンドトラックに是非。 ちなみにレコ発が3月23日に青山の月見ル君想フであるみたいなので、「音源だけでは物足りないわ。」と、言う人は是非足を運んであげてください。
下北沢SHELTER:パイナップルヒデキ
つるうちはな / DAY GIRL
DDCZ-1502 1,000yen(tax in) / IN STORES NOWわかったようなことを言って、カッコをつけた音楽ばかりが、最近あふれている気がする。つるうちはなの曲を聴くと、思わずそんな音楽たちに「バーカ」と言いたくなってしまう。笑って泣いて、心底ふざけたり、そしてときに大真面目に、突っ走って生きている彼女だからこそ出てくる音楽がある。そしてとにかく自分に正直に。『DAY GIRL』の5曲はそんな彼女の日々につかず離れず、負けじと突っ走っている。『PARTY』という曲に、“あたしはいつでもここにいるから”という歌詞がある。一見、とても優しく聴こえる歌詞だけれど、さて真意はどうだろう。私には、何度聴いてもつるうちはなが“ぐずぐずくだらないことばかり言ってたら、おいて行っちゃうよ−だ!”と舌を出して笑っている姿ばかり頭に浮かんでしまう。もちろん、CD はぜひ必聴していただきたい! と、同時にエネルギーあふれる、つるうちはなライブも是非とも観に行っていただきたい!
Asagaya Loft A:星野美穂
DRUGA / daybreak
FECD-0090 1,500yen(tax in) / IN STORES NOW最近の大プッシュバンドがある。そのバンドはDURGAだ。茨城出身の不思議でメランコリックな雰囲気と、美しい激しさを併せ持つ、ミラクルバンド。その雰囲気を作り出す4人の中で、特筆すべきは、ボーカリストあきゆきの圧倒的に壮大な存在感。あの小さな身体からは想像出来ない、大きなオーラを感じる。そんな彼等の新たな音源が届いた。その名もdaybreak。夜明けと名付けられたこの作品には、かれらの昨年の一連の活動の基本だった、「僕達は何かできないのか?」と言う世界中の難民問題を少しでも考える、peace 2 the earthと言う活動のテーマソングからスタートする。等身大の彼等目線の出来ることは感覚でわかっていて、その事をしっかりとちゃんと考えてみようと言う、わかりやすく温かい、とても共感できるメッセージソングだった。そこから繋がる、大地を感じる珠玉の6曲が納められているこの作品は、みんなの心に突き刺さる素敵な作品だ。
新宿LOFT店長:大塚智昭
ヌンチャク / Reunion Live LIQUID OR ALIVE
XQCX-92001 3,800yen(tax in) / 2.20 IN STORESとにかくこの映像もしくは当日生で見た人は改めて再確認したはず、10年たってもこの怪物にかなうバンドは出てきていないという事を。 9/15恵比寿LIQUDROOMと9/29柏ALIVEにて復活ライブ、当日プレイした曲をあますことなく収めたのが今回のLIVE DVD。初っ端の何気なく風の音に変わりいきなり『都部ふぶく』からスタートするあたりはマジで鳥肌もの。当日生で見た時はあまりのカオスっぶりに「あの中に入ったら確実に死ぬ」って思ったほど。完全に90年代後半の良い意味でメチャクチャで、危険な匂いがする時代に戻っていた。その空気感は映像でも十分に伝わるはず。ライブは頭から最後まで壮絶の一言、見所は上げたらキリがないが注目は10年前より確実に演奏がウマイ!ってとこでしょーか。そんなヤバイライブ映像に加え、Voムカイの単独インタビューやライブ当日のオフショット、10年のブランクを埋めるリハーサル風景まで収めたまさに「腹イッパァイ!」な内容。懐かしさに浸るもよし、また再び自らの血を沸騰させるもよし。KCHC、柏シティハードコアの名は永遠に死なず!!
新宿LOFT:水野“ハルオ”慎也
FUGAZI/ RED MEDICINE
DIS90CD / DISCHORD recordsよくある話ですが「あなたの好きなバンドはなんですか?」と聞かれます。シェルターを任された頃は気の利いた答えでもと、意味の無いプレッシャーを感じた時もありました。それぐらいシェルターを任されるのはでかいことだったのです。が、とある時に普通に答えられるようになってました。「邦楽だとfOUL、洋楽だとFUGAZIです」もうどちらもライブ活動をしていないバンドですが…。今後この2バンドが復活した時に、シェルターに居ないことが一番の心残りです。 私事ですが、3月いっぱいで退職となりました。毎回レビューにもなっていないこのコーナーを見てくれている人が、SHELTER TOURSで全国に数人は居ることが分かり嬉しかったですねー。まぁ人が一人辞める位で、なんら変わらないシェルターがあると思いますので、今後ともシェルターをご贔屓にお願い致します。ちなみに3月号のレビューはサボるのでありませんyo(笑)。このCDの1曲目『do you like me』の始まる前の騒音から、イントロに入る瞬間はかっこよすぎてご飯三杯はいけますので、もしまだ聴いたことが無い方は是非。
3月まではまだSHELTER店長なハズ:西村等
HOPE THE / satellites
qpno-001 1,050yen(tax in) / IN STORES NOW邦楽を中心にメジャーやインディーズ関係なく、「いい!!」と思ったものを精力的に応援しているインディーズ雑誌『QUIP magazine』が遂にレーベルを立ち上げた!その レーベル立ち上げ第1弾としてHOPE THEをリリース。このHOPE THEは、兼ねてからQUIP magazine編集部お墨付きバンドとしてチェック済みで、私が社内で担当しているレーベル“SONG-CRUX”でリリースしたコンピレーションにも参加してもらった。 ひとくせもふたくせもあるボーカルが特徴的なバンドだが、ギターの音にも同じ位の個性を感じた。イギリスの老舗レーベル「ラフ・トレード」から「英詞にしてイギリスヘ来ないか?」と言わせた実力の持ち主。国境を超え注目されている彼等の音に触れてみるのもいいのではないのでしょうか?
SONG-CRUX 樋口寛子
ヨースケ@HOME / @HOME
POCS-26001 1,500yen(tax in) / 2.13 IN STORESアコースティックでしなやかなサウンドが心地良い、ヨースケ@HOMEの5曲入りファーストCD。横浜をホームにしているからだろうか、「海」や「風」といったキーワードがしっくりくる印象。だが、いわゆる「サーフロック」ど真ん中という訳ではなく、様々なスタイルを貪欲かつ嫌味なく取り込んだ幅の広いスタイルだ。なかでもヒップホップ的なアプローチを垣間見せる『そしたら僕は旅にでかけよう』なんて、燦々と照りつける太陽を浴びて冷たいビールか何か飲みながら聴いたらきっと気持ち良い。今から夏が待ち遠しくなる良質な“夏待ちソング”だ。一昨年はRIP SLYMEのツアーにオープニングアクトとして同行し、昨年はラジオ番組の企画で、東京から沖縄を自転車で旅しながら各地でストリートライブを行った彼。楽曲から感じられるピースなイメージとは裏腹に、なかなか精力的な活動を展開しているようである。確かにまだ未完成ではある。だけど彼の歌には、聴いた者をつい振り向かせてしまう“何か”がある。その“何か”に促され、「今年はヨースケ@HOMEの年になる!」なんて無責任なことをつい言いたくなってしまった。
ルーフトップ★ギャラクシー:前川誠
よなは徹 /宴〜party〜
QACI-30009 3,000yen(tax in) / IN STORES NOW2007年末のノーズウォーターズとの忘年会イベントで、鳥肌たつ三線プレイと伸びる歌唱力で歌い上げる古典民謡はその日、観に来た人全員が“よなは徹”という天才唄者に圧巻された。このライブの日が4年ぶりの新しいCD販売ともあって、早速CDを聴くとそうそうたる名前の大物アーティスト達がこの新曲に参加したり楽曲を提供している。草野正宗さん(スピッツ)や上江洌清作さん(モンゴル800)の曲はPOPな楽曲に三線の音が入っているのだが、無理なくひとつの音楽の完成度が高いのにやられた。他にも河口恭吾さん、田村直美さんから沖縄の大物唄者大島保克さんも楽曲を提供している。曲も最後にかかってくるにあたり『エイサーシンカ』や『北谷遊びジマ』といった沖縄民謡もよなはさんなりにPOPにアレンジして、沖縄民謡が全く分からない人も入りやすいCD。是非、聴いて沖縄民謡や三線という楽器に興味を持ってもらえたらと思います。
Naked Loft:上江洲修
LARD FREE / LARD FREE BOX
CAPTAIN TRIP RECORDS 11,550(tax in) / 2.10 IN STORESマグマ、エルドンと並び、70's フレンチ・アヴァンギャルド・ロックの重要バンド「ラード・フリー」の4作品がキャプテン・トリップ・レコーズから紙ジャケ発売される。ラード・フリーは70年代初頭に、フリージャズ・ミュージシャンのジルベール・アルトマンにより結成され、プログレ、フリージャズ、エレクトロニカなど多面的な要素を有する前衛的なバンドだ。同時期のエレクトリック・マイルスだったり、タンジェリン・ドリームといった前衛シーンと同期しながら、グランジやエレクトロニカを先取りしたような部分もあり、まさにフレンチ・ロックのエスプリを存分に感じさせるグループだ。今回再発されたのは、ファースト、セカンド、サードと、発掘された初期音源の4枚。それぞれオリジナルLPジャケットを丁寧に復刻している(すべて限定生産)。単品でも販売されるが、できればボックスセットで入手したほうがいいだろう。
加藤梅造
lloy / 遮断
KOCA-44 1,890yen(tax in) / 3.05 IN STORSダークで退廃的な世界観、ニューウェーブでロックンロールな楽曲、所謂“ゴス”というキーワードで話題のlloyの1stミニアルバムが意外(?)にもKOGA Recordsからリリース。ここ数年、全世界的にもゴスというのが割と盛り上がっているらしく、日本のアンダーグラウンドでも、本来の形に近いゴス的なアプローチのバンドが出てきていると思われますが、単なる「今これが来てるから次はこれ」と言う感じのリバイバルでなく、新しいモノとして取り入れてまた、違った領域へ進めて行く気概が感じられてカッコイイと思います。「最近KOGAのリリースのって買ってないナー」という人も、これは聴いてみて欲しい1枚です。
LOFT RECORDS/TIGER HOLE:オオサワシンタロウ
L→Rミワタケヒコ / G盤
1,000yen(tax in) / 2.29 IN STORES (会場限定販売)言葉が、声が、触れ合いを求めている。本当だけを見つめて、見ている者のあたたかい部分を探りあてようとしている歌。聴こえるのは歌声なのに、話しかけられている、そんな気がする。度々ロフトで弾き語りをしてくれているミワタケヒコという人が居る。バンドで活動する傍ら、“ロンリーロマンサー・ミワタケヒコ”として平行して弾き語りを行っている。彼の印象は、当たり前に行われているようで難しい対話を逃げない人。あたたかさの中にも、言葉遊びのセンスや声色など、表現者としての魅力がたくさんある人、だ。今回、ソロ名義としては初のリリースとなるこの1枚に収録されている『YOU』という曲との出会いは、私にとって大きなものだった。“交わらない二つの線。それでも信じ、伝え続ける言葉。” 途方もなく、無謀な事かもしれない。それでも手段はそれしかない。彼の歌声から投げかけられた言葉を受け止めた私も、伝えてみたくなった。たとえば、大切な人達に大切だと言えるように。言葉に限りがあるとしても、尽きる時まで伝えていきたい。聴き慣れないでほしい、いつも新しい気持ちで湧いてくるのだから。留めておけない今を切り取る、ミワさんの新しい言葉達をこれからも聴いていきたい。
新宿LOFT:岩波 亜朱香
V.A. /あさやけぼーだーらいん
VAF-001 2,520yen(tax in) / NOW IN STORES発売は一年程前なんですが、お恥ずかしながら最近その存在を知りまして、一時期狂ったように聴いた1枚。ゲーム音楽制作などで知られるVoltage of Imaginationというレーベルが企画したコンピレーションで、「世界と私の境界線」をテーマに様々なクリエイターと、同人活動やゲーム音楽参加などの活動で知られる女性ボーカリスト「茶太」がコラボレートする、という内容。クリエイターの名前や彼らが関わったゲームを挙げてもルーフトップ読者はピンと来ないと思うんですが、とにかく注目して欲しいのは、昨年ソロデビューも果たした茶太の表情豊かなボーカル。儚いウイスパーボイスからエモーショナルな歌まで、曲の世界に合わせてドラマティックに表情を変えるそのボーカルの、中毒性の高いこと! 女性ウイスパーボイスに目がない男子って実は多いと思うんですが、そんな皆さんには胸を張ってお薦めします。もちろん、楽曲の世界観に沿ったアレンジやミクロなところまで作りこまれたサウンドメイクやなど、聴き所は盛り沢山。「アニメ」とか「ゲーム」といったキーワードに先入観を抱かず、まずは聴いてみて下さい。
ルーフトップ★ギャラクシー:前川誠
V.A. / 僕らのアニソン!〜ロックでトリビュート〜
WKCL-3035 3,000yen(tax in) / IN STORES NOW戦後生まれの日本人でアニソンを歌わずに育った人はいません。誰もが、これから始まるぞ!という期待感と共にオープニングテーマを、「終わってしまった…」という物悲しさと共にエンディングテーマを口ずさんで育ちました。そんな数多のアニソンは、みんなで大切にしていきたい宝物です。 これは、そんな宝物を老若男女のロッカーたちが自分なりに歌い演奏した音源を集めたCD。 個人的には、スピード感溢れ素晴らしくかっこいいザ・コレクターズ、アニメの世界とずれのない楽しいパーティーチューンのGELUGUGU、原曲を知らないためなんだかよくわかんないのだけれども楽しく面白いロマンポルシェ。、昭和のアニメ感がビシバシ伝わってくる大西ユカリと新世界にグッときました。 中でも、水木一郎さんはとんでもなく凄いです。どんな使い方、どんな扱われ方をされても、「水木一郎が歌い表現するアニメの世界観」が全くブレない、その歌が持つ主義主張は決して薄まらない、という地力の圧倒的な強さに惚れ惚れ。
エアギタリスト:宮城マリオ
町田直隆 / THIS MACHIDA DRAMATIC / THIS MACHIDA DRASTIC
各9曲入り 1,000yen(tax in) / ライブ会場にて販売中
“青の時代”との決別──町田直隆の場合(CASE OF MACHIDA)
人生とは草書のように生きるべきである。字画を省くように流麗に、時には厄介な物事を意図的に見逃してしなやかに過ごしたほうがストレスは軽減し、幸福と巡り合う好機も多かろう。だがしかし、一字一句、一画一画を続けずにきっちりと筆を離して書く楷書のような生き方しかできない不器用な人もいる。いやむしろ、そんな人のほうが多いだろう。かく言う僕もそうだ。三十路をとうに越えて、しなやかに穏やかに人生を送る術をぼちぼち覚えても良い頃なのに、未だに小さなことにくよくよして鬱屈した時間とくんずほぐれつで、ブルーにこんがらがった毎日に七転八倒している。そんな僕のささやかな苦悩も、おそらく町田直隆という表現者のそれに比べたら大海の波しぶきに過ぎないだろう。
『THIS MACHIDA DRAMATIC』『THIS MACHIDA DRASTIC』というどこかで聞いたことのあるようなタイトルが題された2枚のCD-Rの粗末なジャケット(これもどこかで見たことがある)に書き込まれた、お世辞にも上手とは言えない町田の手書きの文字を見れば一目で判る。一字一句を方形に近い字形でぎこちなく不器用に書き殴っているのだ。そんなぶっきらぼうな筆致同様、歌とギターだけでストイックに唄われるやむにやまれぬ心の叫び、まるで神経の一本一本をサンドペーパーで擦られるような痛々しく青臭い歌々がこの2枚のCD-Rには収められている。
70年代のしみったれた四畳半フォークが原体験としてある世代は、あるいは鼻で嗤うのかもしれない。だが、この“何をやってもダメな男”は至って真剣に内なるドグマと対峙して表現に向かっている。何をやってもダメだからこそ、歌を唄ってこの現実社会と接点を持つほかなかった。ぎこちなく不器用に生き抜くことしかできなかった。理想と現実の狭間でボロボロになりながら、それでも何とかはいつくばって生きるしかなかったのだ。
町田直隆にロックンロールという表現の術があって本当に良かったと僕は思う。ロックンロールがなかったら、彼は西荻窪の若草荘というオンボロなアパートの一室で背中を丸め、膝を抱えてただただ悶々とするだけで何の生産性もない日々を惰性で生きるほかなかっただろう。絶望の深淵に身を置きながら辛酸を舐め続けることと引き替えに手に入れた、粗野で武骨だがやさしさに充ち満ちたロックンロール。それはまさに、町田直隆の“青の時代”と言えるものだった。
『武蔵野ブルース』『拝啓ロックンロール』『オリオン座流星群』『少年』という4枚の音源を再編集した本作は、その“青の時代”の集大成である。自らのアイデンティティを終ぞ確立したファースト・アルバム『栄光なき兵士たちに捧ぐ』を完成させた今、彼はそんな“青の時代”と軽やかに決別しようとしている。しかし、彼は今もぎこちない楷書のままだ。美しく書かれた草書は楷書を修得してこそ成り立つのである。
絶望ファンクラブ会員番号417:椎名宗之