ギター バックナンバー

THE BAWDIES('08年2月号)

THE BAWDIES

覚醒した新たな才能、ロックンロール新時代の幕開けとなる名盤、ここに誕生

都内を中心に60's マージービートから直系のロックンロールまでを体現し続けるバンド、THE BAWDIESから2年振りのアルバム『Awaking of Rhythm And Blues』が届いた。最初に聴いて感じたこと、それはTHE BAWDIESがこのアルバムで1つの殻を破ったみたいだということ。そう、それは蛹が蝶になったかのように。今回の取材での話振りからも昨年1年間のライブ活動で得た自信が大きいことを感じた。まだまだ荒削りな部分もあるだろうが、間違いなく彼らが直系ロックンロールを継承していくだろうと。それに飽き足らず進化していき新たな日本のロックンロール新時代を作り出すだろうと。今作はまだその過程の1枚にしか過ぎないが、そのポテンシャルを秘めた要素が所々から垣間見える。そしてルーツ・ミュージックを根底に、リズム&ブルースからポップまでバラエティに富んだ楽曲群と、その卓越したテクニックでのライブ・パフォーマンスを手に全国を駆け巡り、そのまま世界へ飛び出すのも時間の問題だろう。彼らは今、明らかに2008年の最新型ロックンロールを奏でるバンドへと飛躍した。(interview:植村孝幸)

ライブを重ねた結果得た大きな自信と充実感

──前作から1年振り、アルバムとしては2年振りのリリースとなりますね。この1年、初のワンマンライブや、初の海外遠征、フジロック出演など印象的な出来事が多かったと思いますが、振り返ってみてどうですか?

ROY(Vo,B):ライブ、ライブの1年で楽曲の幅も広がったし演奏力も上がり、今まで演奏しきれなかったり、表現しきれてなかったところも出来るようになりましたね。それで自信がついたことによって、いろんな楽曲をやっても自分たちらしさが出せるようになりました。ライブで成長したのが大きかったですね。

──今回の作品を聴いて最初に感じたのは、今、

ROYさんがおっしゃったことそのものでした。楽曲の幅が広がり、ライブ感が出て自信が漲っているなと。その辺りは意識して作られたんですか?

ROY:逆に意識しないでいこうみたいなのが大きかったんです。R&Bをやろうという感じで作れば、当時の雰囲気は出せますよね。でも、今回は自分たちの身体に染み込んだ音楽を意識せずに、自然に素直に出してみようってのがテーマだったんです。

単なるコピーではなく新たなオリジナルへ

──今回、タイトルが『Awaking of Rhythm And Blues』ということですが…。

JIM(Gt):目覚めですね。

ROY:自分たちの中でのブラック・ミュージックだったり、リズム&ブルースを表現したい。それは昔のものをそのままって訳ではなくて、自分たちなりのリズム&ブルースを目覚めさせるかっていう意味合いと、最近R&Bとは呼ぶけれども、リズム&ブルースという意味合いが薄れてるんじゃないかと。それをもう1度目覚めさせたいなって思って付けました。

──今回、全曲オリジナル曲ですね。以前のようにカバーを入れたりって考え方はなかったんですか?

ROY:ギリギリまで迷ったんですけど、やっぱり自分たちのモノをやりたいって気持ちが強かったんで出来るんであれば全曲オリジナルでいきたいと。

TAXMAN(Gt):おかげで苦労しましたよ。吐き出したって感じです(笑)。

ROY:ギリギリで今回はTAXMANとJIMが1曲ずつ作ってくれたんで間に合いました(苦笑)。

──シングル『I BEG YOU』('06年3月発売)の時は、5〜6曲作った中で4曲ピックアップした形でしたよね?

JIM:その時に漏れた曲も入ってます。

──ライブで形を変えたりして?

JIM:あの頃はうまく録れなかったんですよ。

ROY:でもライブでやっていって、どんどん変化して自分たちにフィットする形になったんです。

JIM:作りたてだったんで、その曲が持つ良さを上手く出せなかったんですよ。

ROY:だからこのアルバムの曲も、レコーディングをする前にライブでやって馴らしておかないと実際のライブ感は出せないかなって。

──レコーディングで気をつけた点とかありました?

TAXMAN:リズムは大事にしましたよ。

ROY:生感は出したかったけど、粗くなりすぎないようにしっかり演奏しようと。

JIM:音圧は意識しました。あとはライブ感は出したかったけど、出してぐしゃぐしゃになるとちょっと違うと思うので、その辺のバランスの取り方が難しかったですね。

──スタジオに入ってからの録りは早かったんですか?

JIM:1週間ですね、大体1日2〜3曲って感じで。

TAXMAN:でも上手く録れる時と録れない時で波はありましたね。

JIM:MARCYは大遅刻してくるしね。

(Dr):3時間くらい寝坊しましたね(笑)。

ROY:前の日にドラムで難しいところがあって録りきれなくって、てっきりスタジオ入って個人練してると思ってたから「遅れてもいいよ」ってメールしたら…寝てたね。 一同:(爆笑)

TAXMAN:でもその日はいい曲いっぱい録れたよね。

MARCY:気合い入りました。

バラエティに富んだ楽曲とそれを支える拘りのコーラスワーク

──このアルバムの曲順は、流れがいいですね。

ROY:自由にやろうっていうのがあったからですけど、いろんな楽曲があって構成には苦労しましたよ。

TAXMAN:意識は一貫させて、曲調によって合わせて並べて…結構難しかったですね。 ーーー『JUST PICK UP YOUR PHONE』は今までにない楽曲で、しかも1曲目にもってくるなんていつもと違った構成だなって思いましたが。

ROY:自分たちの中でも新しい試みだったんで『JUST PICK UP YOUR PHONE』が一番苦労したんですよ。ロックンロールだったりブルースだったりスタンダードに近いものはある程度ブレがないんですけど、自分たちの感覚を前面に出すとなると土台がしっかりしてないとブレるんですよね。だから、最初の段階からは形が変わった曲です。

TAXMAN:結構慎重に作ったもんね。

JIM:油断するとどうなるかわかんなかった。ちょっと目を離すと訳わかん無くなってたし。

ROY:フラフラしてたね(苦笑)。 ーーー『I'M IN LOVE WITH YOU』(M-4)もいつもと違ったテイストで。

ROY:そうですね。ロックンロールであっても、ポップな面も大事にしたいなって思ったんです。ただのロックンロールだと、ロックンロールに馴染んでない人にはピンと来ないところもあると思うんですが、そういう人でも楽しんでもらいたいんです。ルーツミュージックを見せながらポップさを出すっていうのが僕らのテーマでもあって、それを表現するのはこの曲かなって。

──今回変わった楽曲が作れたってことは、普段聴いてる音楽も多少変わってきたんですか?

ROY:いや、そうでもないんですよ。ただ、同じ曲を聴くにしてもいろいろ経験を積んだ事により、聴き方が変わったとは思います。例えば今まではガツンと来る部分しか聴いてなかったのを、より細かいところまで聴けるようになったとか。

──曲の捉え方が違ってきたって事ですかね。

ROY:捉え方は凄い成長したかな。それが自分たちの音楽に反映されてきたんではないかと。

──それと、ボーカルがますます黒っぽくなってきましたよね。

ROY:そうですか。ライブで馴らしたことが大きいのかな。

──ライブで馴らしたというのは、声の出し方ですか?

ROY:そうですね。変わった出し方だから間違えたりするとすぐ判っちゃうし、ライブで経験を積んだ上で、楽に出す方法が自然と身に付いた。多少発声法も変わってきましたし。1年あるとだいぶ変わりますね。

──今作はコーラスワークにも拘ってるなって思いました。

ROY:コーラスはどっちかというと得意ではないけど、前作のときにもっといけるはずだって結構悔しい思いをしたんです。だから、今回はレコーディングに入る前から意識して練習したんですよ。僕以外の3人の声のバランスもちょうどいい感じなんですけど、前回はそれを活かしきれてなかったんで今回は頑張りましたね。

──CDのジャケットもカッコいいですね。これはどこで撮ったんですか?

TAXMAN:関西国際空港です。

──え、日本なんですか? 滑走路ですよね? 普通に降りられるんですか?

JIM:もちろん許可はとってありますよ。ただ、線が引いてあってそこから出たらダメとか言われました。

ROY:やっぱり滑走路なんで普通にはしゃごうとするじゃないですか。それでジャンプとかするとすぐに大目玉を食うんです(笑)。

──じゃあ、かなり監視されながらの撮影だったんですね。

ROY:上から空港のお客さんが普通に見てましたよ。多分うちらのこと知らないじゃないですか? でも、滑走路で撮影してるくらいだから有名だと思うじゃないですか。だから一種の韓流スターな気分でした(笑)。

──テーマはやっぱり'64年の2月のアメリカのビートルズ?

ROY:そういう雰囲気も残しつつ、アイドル気分を味わって。

TAXMAN:結構気持ち良かった。

ROY:嫌いじゃないんだ(笑)。

音楽を楽しむヒント=ルーツ・ミュージックにあり

──リリース後はライブも多く控えてますね。まず気になるところでは2/10新宿ロフト、関西スカ界の雄・ドーベルマンと2マンですね。

ROY:楽しみですね。ドーベルマンは初めての対バンですし、ドーベルマンのお客さんに僕らがどう映るのかも気になります。

──言われてみればスカバンドとの対バンってあんまり無いんじゃないですか?

ROY:ロンドン化(東京ロンドン化計画)の忘年会とか以外は無いですね。

──あー、そうですね。

ROY:ただ、ロックンロールとスカって意外に共存してないんですよね。同じ'60年代に生まれた音楽で、アメリカとジャマイカでちょっとしか場所が違わないのに。なぜイギリスでは出来てるのに、日本は出来ないんだろう。あとパンクとスカは共存してるのに、なぜって思いますよね。そこを繋げる存在になりたい、橋渡しになりたいんです。そしてもっとルーツ・ミュージックを知って欲しいし、聴いて欲しいですね。ルーツ・ミュージックを聴くと、もっと音楽を楽しんで聴くことが出来ると思うんですけどね。その点、今回のアルバムはルーツ・ミュージックでもあるけど、自分たちが聴いてたR&Bやソウルってのはダンス・ミュージックでもあって、その楽しい感じが出ていると思うので、ルーツ・ミュージックが好きな人もポップが好きな人もすんなり自然に聴けると思いますよ。

──そして、今回は長めのリリース・ツアーも控えてますね。

ROY:本格的なツアーは初めてなんですよ。よくお客さんに「見たいけど来てくれない…」って言われるんで、今回はそうは言わせないくらいガッツリと回ります。

──とりあえずSHELTERワンマンからってところで。

MARCY:SHLETERは憧れでしたし、音も雰囲気もいいので楽しみですね。

TAXMAN:ライブハウスでスタンダードだと言えばSHELTERだと思ってますからね。

──そこから全国行脚に出てツアー・ファイナルは渋谷クアトロ・ワンマン! 来ましたね、いよいよ。

ROY:勝負です。

──CDを聴き込んでクアトロ・ワンマンに遊びに来て欲しいと。

ROY:その頃にはCDの曲もライブに馴染んでいい感じになってると思うんで。

JIM:今回アルバムでは作曲とか色んなことに挑戦して全体的にすごくいいバランスで出来たし、尚かつ踊れる曲が満載なんでこれを聴いてライブに来て踊って欲しいなって思います。


【THE BAWDIESの皆さんから素敵なプレゼントがあります!】



Awaking of Rhythm And Blues
CD : SEZ-3007 / 2,300yen(tax in)
2.06 IN STORES
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Awaking of Rhythm And Blues


LP : SEZ-3008 / 2,300 yen(tax in)
2.06 IN STORES

Live info.

2.10(Sun)<10×11 presents THE BAWDIES vs DOBERMAN>
OPEN / START 18:00
ADV 2500 / DOOR 3000
Groovy STAGE SIDE LIVE:DOBERMAN / THE BAWDIES
DJ:SHIRO(Facing Facts) / INAMI(東京ロンドン化計画) / 他
MC:こざこ剛
NITE KLUB SIDE DJ:KANETA(Facing Facts) / RYM(東京ロンドン化計画) / 他

「AWAKING OF RHYTHM AND BLUES」 pre-TOUR
3.07(Fri)下北沢 SHELTER (ワンマン)
3.09(Sun)難波 ROCK RIDER

「AWAKING OF RHYTHM AND BLUES」 TOUR
3.13(Thu)千葉 LOOK
3.15(Sat)宇都宮 HEAVEN'S ROCK VJ-2
3.16(Sun)仙台 enn (ワンマン)
3.18(Tue)青森 SUNSHINE
3.20(Thu)函館 Bay City's Street
3.22(Sat)旭川 CASINO DRIVE
3.23(Sun)札幌 SUSUKINO 810
3.25(Tue)八戸 ROXX
3.26(Wed)盛岡 CLUB CHANGE
3.27(Thu)郡山 CLUB #9
4.01(Tue)長野 LIVE HOUSE J
4.02(Wed)新潟 CLUB JUNK BOX mini
4.03(Thu)金沢 vanvan V4
4.05(Sat)名古屋 ell.FITS ALL
4.06(Sun)岡山 PEPPER LAND
4.08(Tue)鹿児島 SR HALL
4.09(Wed)熊本 DRUM Be-9
4.11(Fri)福岡 DRUM SON
4.12(Sat)大分 T.O.P.S
4.13(Sun)広島 NAMIKI JUNCTION
4.15(Tue)島根 APOLLO
4.16(Wed)神戸 VARIT.
4.18(Fri)松山 SALON KITTY
4.19(Sat)高松 DIME
4.20(Sun)徳島 JITTERBUG
4.22(Tue)京都 磔磔
5.03(Sat) 高崎 club FLEEZ
5.11(Sun)十三 FANDANGO (ワンマン)
5.16(Fri)渋谷 CLUB QUATTRO (ワンマン)

THE BAWDIES official web site
http://thebawdies.fc2web.com/

posted by Rooftop at 12:00 | バックナンバー