光り輝き出した七色の閃光、永遠に輝き続けるであろう『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』という六話の物語
ギリシャ語で“楽器”と言う意味を持つこの7人編成のバンド“ala”の新たなストーリーが今、始まる…。ダンスロック・シーンで頭角を現してきた彼らが『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』という傑作を携え、いよいよメジャーシーンに殴り込み!!とにかく“色”に拘ったという今作は、今のalaを体現するにはうってつけの1枚。新たな音の導入、より緻密なアレンジ、雑食性から来る新機軸な展開など、話題には事欠かない従来のalaを踏まえた上での成長を魅せた1枚に仕上がった。レコーディング秘話から今後の展開、そして今現在のalaについて、メンバーを代表してほとんどの全詞曲を手がけるヴォーカルのYU-KIとドラムのTEPPEI、今作からレコーディングに参加し、alaに新たな血を注入しているベースのに話を訊いた。(interview:植村孝幸)
新メンバーKOHTA加入で新たな“SEVEN COLORS”へ
──いよいよメジャー・シーン進出ということですが、何はともあれおめでとうございます。
一同:ありがとうございます。
──メジャーとインディーズで、何か大きく変わった点とかあります?
KOHTA(B):自分たちとしては、特にそこまでは変わってないですね。
YU-KI(Vo):活動は変えずにいこうって決めてたんです。レコーディング・スタジオとかも全く同じ環境で録ったしね。
──UNCHAINとのスプリット・シングルが昨年の10月末にリリースされましたよね。スプリット・シングルと今回のミニ・アルバムのレコーディングの時期は重複したりしてたんですか?
TEPPEI(Dr):いや、全く別ですね。スプリットのレコ発ツアーの前だから11月くらいですかね。
──そういえば前回の取材の際、UNCHAINとやってみてレコーディングのやり方が勉強になったとおっしゃってましたよね。いつもはドラムとベースのリズム隊を先に録って、それからギターを重ねていくという録り方をしてたけれど、ドラム、ベース、ギターを同時に録ってみたら、やり易かった、と。それで同時にやるって方法に変えてみようかなって話をされてましたが、今回、その方法は採用されたんですか?
TEPPEI:いや、スタジオのブースに空きが無くて、結局出来ませんでした。
一同:(笑)
KOHTA:結局それだけ時間もかかっちゃいましたね。
TEPPEI:でもやっぱりやり慣れてるスタイルでもあるし、1つずつ確認し易いので落ち着くかなと思いましたよ。
──ところで、今回のアルバムのタイトル『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』は、ずっとやっている自主企画『SEVEN COLORS SAUCE WITH』と同じタイトルですね。自信作である表れと考えてよいですか?
YU-KI:それもありますし、メジャーといっても僕ら的にはインディーズの頃とスタンスは変えずに行きたいっていう思いも込めたかったんです。あと、KOHTAが加入して初めての音源なので、改めてこの7人で“SEVEN COLORS”って認識を明確に提示したかった。そこに今まで自分たちに関わってくれた人たちに感謝の気持ちを込めて、それを“YOU”に集約してこういったタイトルをつけたんです。
──KOHTAさんが加入されて初めてのレコーディングということで、何か録りの部分で変わったりしました?
YU-KI:ロックっぽさが増したかなと。
──KOHTAさんは初レコーディングにおいて、戸惑いはありました?
KOHTA:戸惑いはありましたけど、それを含めて全部面白かったですね。alaっていうバンドに入って今まで自分が体験して無かったことが自分自身を変えたりして、その辺が成長だったり面白さだったりして、楽しめてるなって思いますね。
──初期の荒々しさというか、勢い重視の楽曲はだいぶ減ってきましたね。
TEPPEI:そうですかね。でもKOHTAが入った事により、より緻密な曲構成が出来る様になったかなって思います。
──KOHTAさんはスプリット・シングルの際も曲の構成を率先してやられていたと伺っていますが、今回もアイディアは出されたんですか?
KOHTA:どんどん出しました。
──KOHTAさんが加入したことにより、安定性が増した感がありますね。
TEPPEI:KOHTAはバンドに安心感をもたらすというか、一緒にやっていて落ち着くんですよ。
アレンジ力がUPしたalaのロック・バンドとしての可能性
──リード・トラックとなる『PLEASE ME』(M-1)は曲の構成が複雑ながら、魅せるところは魅せると言うか、各々楽器のソロ・パートがあったり、2人のヴォーカルと2本のサックスの絡みなどが絶妙で、今のalaを前面に出した挨拶代わりの1曲だと感じましたが。
YU-KI:最初からパッドを使ったのが見事にハマって、4つ打ちだけどハウスっぽくならないところをうまく出せたかな。ヴォーカルに関しては僕とSEIJI(Vo)で音域がハッキリしていて、2人とも気持ちいいところはバランスよく出せて、歌の乗り方はいい感じかなと思います。
──ヴォーカル2人にサックス2人で、フロント4 人の音のバランスは大変じゃないですか?
KOHTA:やはりハーモニーには時間がかかりますね。
──曲としていいところに到達するまでということですか?
KOHTA:曲に広がりを持たせるために妥協はしたくないですからね。
TEPPEI:リズム隊は、最初の録りで大体決めます。
KOHTA:ベースラインもメロディより先にカッチリ決めて。
──メロディが最後って珍しいですね。
TEPPEI:段々飛躍していって、最後は原型がなくなってたりという部分が多々ありますけどね(苦笑)。
──それをライブで試しながら、まとめていくって感じなんですね。
YU-KI:基本的にやり方がアナログなんですよ。合わせて、録って、聴いて、変えてという感じで。
KOHTA:時間はかかりますけど、経過とかも楽しめますからね。
TEPPEI:『PLEASE ME』はスタッフや、まわりの仲間からの評判が良かったんですよ。だからリードトラックとして選んだんです。
──『PADDBRE』(M-2) は、あのダンスの基本ステップのことですか?
YU-KI:そうですね。
──ということは、この曲は完全にタイトルは後付けで?
YU-KI:そうです。曲のイメージで付けました。
──曲を聴いていると、何となくタイトルとマッチしてるかなと。
YU-KI:テンポやノリが良いから、聴いてくれた人が思ったようにステップを踏んで欲しいし、各々自由に楽しんで欲しいってこともあって名付けたんです。
──そういえば、歌詞はまず曲が出来てから乗せる形ですか?
YU-KI:そうですね。まずはデモの段階で要所要所単語をはめ込んでいって、その響きが気持ち良かったら進めていくという感じです。
──歌詞を書く時に何か留意点とかあったりします?
YU-KI:曲にもよるんですけど、基本的にはやはり英語でやってるんで曲の瞬発力というか、聴いていて一番気持ちのいい、その曲にあった歌詞を書くようにしてます。でも歌詞の内容は、知りたい人に読んでもらえればいいぐらいにしか思ってないんですよ。もちろん全員が読んでくれたらそれは嬉しいですけどね。
──そこまで詞の内容を意識させようとは思ってないんですね。
YU-KI:そうですね。僕の詞を読んで「良いこと言ってるな」って思ってくれたとしても、詞を解釈した上で曲の聴き方が変わるようだったら熟読してくれなくても良いかなって思うんです。だったら、バンドとしては声が音の一部として聴いてくれた方がいいかなと思っているので。
──そこは“ala”の名が表していますね。
YU-KI:ハハハハハ、そうですね。
──ということは、バンドとしてまずは音在りきということを考えているのですね。
YU-KI:もちろんメッセージ性は潜ませていますけど、それが押し付けにならない程度にしたいなと思います。
──UNCHAINとのスプリット曲『WE'VE GOT SOMETHING』もalaでのヴァージョンで再録されてますが…、良い意味で期待を裏切られました(苦笑)。
一同:ハハハハハ。
──UNCHAINとやってるのを最初に聴いた時は、あれだけハッピーでアッパーなサウンドに仕上がっているのは、alaの持つ音楽性があのテイストの曲にしたのかと思っていたんです。
KOHTA:これは完全に狙ってますね。やるんだったら全く同じにやっても面白くないですからね。
YU-KI:アレンジするにあたって、全く違うものにしたいってのが大前提にあったんです。
──シンセサイザーやパーカッションを大胆に導入して…、ホーンは使用していないと?
TEPPEI:はい(笑)。
──alaの新たな一面と言うか、新機軸になり得る曲じゃないですか!
YU-KI:まぁ、遊びの部分があってもいいかなって思ったんです。でもやっぱり誰が何の楽器をやろうが、alaはalaですからね。
──ライブでやると今までと全然違うalaの姿が見られそうですね。
YU-KI:全く想像つきませんけどね(苦笑)。
末永く輝き続くであろう『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』
──今回のアルバム全体を通して聴くと、うまい具合のバランスだなと感じたんです。でもそれでいてしっかり1本芯は通っていて、そこはalaなんだなと感じました。
YU-KI:“色”を意識して曲作りをやったんですよ。やっぱりメジャー初の音源なんで、1本調子にならず、色んな面のalaを見せたかったんです。だから結構難産だったんですよ。
KOHTA:自分たちのイメージしている“色”が、ばらける様にはしたつもりです。
TEPPEI:色々作っていくうちに、こういうのもやりたいって欲も出てきて…。
──でも言われた通り、カラフルでいてハッピーな雰囲気が漂ってますね。言うならばアルバム全体が虹のような…6曲入りですけどね。
一同:(笑)
YU-KI:虹みたいに輝き続けるアルバムになればいいですね。
──アルバムとしては完全に1年以上空いてますよね。その間、曲は書かれていたんですか?
TEPPEI:ちょこちょことは。
YU-KI:でも、この1年はツアーを3本もやったので、あまり時間がなかったんですよ。その限られた時間の中で出来たものに関しては、ライブでやったりしてたんですけど。
──“FIVE ON THE MOVE TOUR”やUNCHAINとのスプリットツアーや、盟友と回ったツアーの前後ではバンドの持ってるモチベーションであったり、作った曲で変化はありました?
TEPPEI:色々思いつくようになりました。UNCHAINと一緒に回った時に、彼らのギターアレンジとかは絶品なのですごく勉強になりました。
──それは自分たちの曲にも反映されているんですか?
TEPPEI:さりげなくしてると思います(笑)。
YU-KI:ただ、多分自分たちでは大きく意識してないんで、もしかすると変わったりしてるかもしれない…という感じです。それは聴いてる人の方がよく判るのかもしれません。
──ライブ感が凄い伝わるアルバムであると同時に、勢いだけではなく繊細な音作りをしてるなと思ったんですが。
YU-KI:そうですね、ライブ感ってのはやはり意識してやってますね。
──UNCHAINとのスプリット・ツアーを拝見した時に、充実感があるライブでバンドが非常にいい状態にあるんだなと見受けられました。
一同:ありがとうございます。
──バンドとして成熟してるということは、意外と自分たちでは感じないものなんですか?
KOHTA:ライブは前より楽しんでやれるようになったかなと思いますよ。あとライブの激しさは増したと自分たちでも思います。
──確かに以前はちょっと緊張しているというのがわかりましたからね(笑)。
TEPPEI:リラックス出来てるかなって思いますね。
YU-KI:メンバー同士、お互いを見たりする余裕が出来ましたね。極端な話、歌ってるだけで楽しかったのが、演奏に歌を乗せるっていう喜びが深まった感じがします。
──それが観ている側にも一番伝わってますし、フロアに還元されていて相当な盛り上がりになっているんですよ。
YU-KI:僕らが楽しいってのがフロアに伝わって、フロアも楽しんでるってのが理想の形ですからね。
TEPPEI:そこは素直に嬉しいです。
alaというオリジナル・サウンド構築への第一歩
──リリースされるといよいよツアーとなりますね。今回は9箇所10公演とalaにしてはちょっと少なめですが、今回は全箇所対バンありなんですね。
YU-KI:そうですね。
──対バンはriddim saunterやFed MUSICなどの盟友はもちろん、SHELTERではMARS EURYTHMICS、広島ではghostnote、ファイナルの代官山UNITではJAPONICANSと色とりどりですね。
YU-KI:基本的に自分たちがやりたいバンドに直接声をかけているんで すよ。
──でもghostnoteやJAPONICANSは、全く毛色の違ったバンドですよね。
YU-KI:ジャンル分けをしてバンドを見ていないというか。本当に好きなバンドを誘ってます。普段あまりやらないバンドと一緒にやると、自分たちにもいい刺激になったりしますしね。
KOHTA:ツアーは楽しく回るのが一番ですから。
──初日はSHELTERですね。昨年は初ワンマンもSHELTERでやっていただきまして。
YU-KI:こちらこそお世話になりました。
──皆さんにとってSHELTERはどんなハコなんですか?
TEPPEI:落ち着く場所ですね。最初は憧れでしかなかったので、初めて出た時はあり得ない!って感じでしたけど、やっぱり昨年も初のワンマンだったらSHELTERって決めていたんです。
──では、最後にこのアルバムの聴きどころ、ライブの見所等をお話してください。
KOHTA:アルバムは全曲聴き所満載です。今回から音源に参加したんですけど、満足出来た作品に仕上がったなと思っています。タイトル通り、カラフルな作品に仕上がりましたね。その中でalaっていう一本筋の通ったものになったなと、それはメロディなのかもしれないんですが、今までのalaを好きな人にも、これから知る人にも最後まで聴いて貰えて楽しめるアルバムになったんじゃないかなって思います。
YU-KI:非常に手前味噌な話なんですが、飽きないアルバムになったなって思います。自分のアルバムなんですけど、最近一番聴くアルバムです(笑)。
TEPPEI:緩急ついていて、アッパーな曲もあればメロウなものもあるし、歌い上げているものもあれば音として聴いて欲しい曲もありで、キャパは広がったなって感じてます。
──このツアーで、新旧の楽曲が組合わさったライブが楽しみですね。多分顕著に幅の広がりが判るのはライブだと思いますし。
YU-KI:曲を繋いでやったりするし、まだライブでやったことがない曲もあるし、どうなるのか未知の世界なんです。このツアーで、どう馴染んでいくか自分でも楽しみですね。
TEPPEI:ホント、自由に聴いて欲しいです。この曲はこういう曲だという概念とかないので、受け取る方がいろんな景色を思い浮かべながら聴いて欲しいです。
KOHTA:うちの親父が「息子が訳の判らないバンドに加入した」って嘆いてたみたいなんですけど(苦笑)、逆に言うとそういった音楽が出来てるのかなって。
一同:(笑)
YU-KI:うちらは形容する言葉が見つかんないですよね。とりあえず7人居るとか、ヴォーカルが2人とか管楽器が2人とかそんな感じでなんですよね。
──確かに、alaを一言で説明するのは難しいですからね。
YU-KI:常にオリジナルなことをやっていきたいと思っています。
【alaの皆さんから素敵なプレゼントがあります!】
Live info.
SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU TOUR
2.23(Sat)下北沢SHELTER
3.02(Sun)仙台MACANA
3.08(Sat)札幌BESSIE HALL
3.20(Thu)千葉LOOK
3.22(Sat)広島NAMIKI JUNCTION
3.23(Sun)福岡CB
3.29(Sat)新潟JUNK BOX
4.05(Sat)名古屋APOLLO THEATER
4.06(Sun)大阪shangri-ra
4.13(Sun)代官山UNIT
ala SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU
RZCF-77004 1,500yen(tax in)
IN STORES NOW
1. PLEASE ME
2. PADDBRE
3. LOOKING BACK TO TODAY
4. WE'VE GOT SOMETHING (SEVEN COLORS VER.)
5. THE HEART OF EVERYTHING
6. BLOOMIN'LADY
★amazonで購入する
★iTunes Storeで購入する(PC ONLY)
タイトルに偽りの無い非常にカラフルでそれでいて力強い光を放つ温かいアルバムである。元来alaの持つ華やかさ、賑やかさ、甚だしさに大胆さと健さを兼ね揃えた待望のメジャー・デビュー盤は近年盛り上がりを見せるダンス・ロック界でも異彩を放つ傑作であると断言出来る。リードトラックとなる『PLEASE ME』では親しみ易いメロディの中に予てから定評のあった表現力、演奏力、そして+αとして展開力、斬新さを搭載し今のalaを体現した音を醸し出している。また、UNCHAINとのスプリット・シングル『WE'VE GOT SOMETHING』のalaヴァージョンでも全く予想を裏切るアレンジがストレンジを産み出している。メンバー7人の雑食性から作り出された6曲の楽曲は今後いつ聴いても腐食しない、ハイスタンダードなクオリティーを保っている。全曲捨て曲ナシ、被りナシ、とにかく型に拘らず常に新しい立ち位置を探す彼らの今後の動向も見逃せない。(植村孝幸)
ala official website
http://www.alajapan.com/