高橋まこと BOφWY解禁ライブ
FRIDAY, 21 DECEMBER 2007 at CLUB CITTA'
WE LOVE BOφWY, LONGER THAN FOREVER!
解散20周年を記念して開催されたBOφWY史上初のオフィシャル・コピーバンド・ライヴ!
今なおBOφWYを愛してやまないファンに贈る
最高のクリスマス・プレゼント
日本のロック史における80年代中盤は、BOφWYが普遍性と革新性を等比に内包したロックを確立し、真の意味でロックの大衆化を定着させた時期だったと言える。だがそれは、バンドの輝きがくすむ前に自らの手で全てを燃やし尽くそうとする終幕へのプレリュードでもあった。
1987年12月24日、渋谷公会堂。『PSYCHOPATH』を発表した直後から行なわれてきた全国32ヶ所35公演に及ぶツアーの最終日にあたるこの日、BOφWYは突如解散を宣言。その年の夏にシングル『MARIONETTE』がヒット・チャートの首位を奪取し、野外フェスでは軒並みトリを務め、GIGのチケットは各地で即日完売するという人気絶頂のさなかでの終焉だった。
あれからちょうど、20年──。昨年末、あの日と同じクリスマス・イヴの日に、極めて歴史的価値の高い彼らのアーカイヴ作品が一挙に3アイテム発表された。バンドの真髄とも言えるエポックメイキングなGIGの数々を収録した8枚組DVD BOX『“GIGS”BOX』、“BOφWYのレパートリー全てを演奏する”というコンセプトのもとに行なわれた伝説的GIGのセットリストを完全に再現した3枚組CD『“GIGS”CASE OF BOφWY COMPLETE』、そして『MORAL』から『PSYCHOPATH』までの全オリジナル作品と関連作品10タイトルの紙ジャケット仕様CD──以上3つの作品群がそれだ。
それらのアーカイヴ作品の発売とバンドの解散20周年を記念すべく、さる12月21日に『“GIGS”CASE OF FUNK LφVE 1221』と題されたスペシャル・イヴェントがクラブチッタ川崎で行なわれた。BOφWY史上初となる公式のコピーバンド・ライヴであり、当時の関係者とバンドのDNAを受け継いだトリビューター達が今なおBOφWYを愛してやまないファンに贈る、一足早いクリスマス・プレゼントと言えるスペシャル・プログラムだった。
豪華審査員を迎えてその前夜祭として行なわれた『AUDITION GIGS』(10月27日、原宿アストロホール)での厳正な審査を通過した5組のコピーバンドにはライヴ&ステージ・コンセプトがそれぞれ設けられ、BOφWYの6年半に及ぶ活動を俯瞰できるという粋な構成。転換の合間には、現役時代にマネージャーとしてメンバーと苦楽を共にし、“5人目のBOφWY”として知られる土屋 浩(EARTH ROOF FACTORY/B to Y Music 代表取締役)を総合ナビゲーターとして“ビート・ディスカッション”と題する関係者をゲストに迎えたトーク・ライヴも並行して行なわれた。その顔触れは、“BOφWY 20th ANNIVERSARY FROM BROKENチーム”部長の平岡尚志(EMI Music Japan)、現役時代のBOφWYのアートワークを手掛け、初代マネージャーでもあったカッツ三宅、EMI時代のディレクターだった子安次郎(EMI Music Japan/Capitol Music Co.プレジデント)、アルバム『BOφWY』と『JUST A HERO』のプロデュースを手掛けた佐久間正英、『“GIGS”BOX』のDISC-8“Artform? or Burnout! 〜EMI room 102〜”を監修した音楽文化ライター、佐伯 明の5人。知られざる当時のエピソードと各々が感じるBOφWYの魅力、解散から20年経ったことの感慨に至るまで、短い時間ながらそれぞれ思い入れたっぷりに語っていた。また、この日のPAが新宿LOFTから東京ドームまで一貫してBOφWYのライヴ・サウンドを作り上げてきた森山朝雄だったことは特筆すべきことで、イヴェントのオフィシャル感をグッと強めていた。
厳しい予選を勝ち抜いたトリビュート・バンド5組
1組目のトリビュート・バンド、HONESTYLE〈オネスタイル〉のライヴ&ステージ・コンセプトは“LOFT”。女性サックス・プレイヤーを擁した5人編成で、メンバーはまだ20代という若さだ(1981年5月11日、初めて新宿LOFTのステージを踏んだBOφWYのメンバーもまた20代だった)。「MASS AGE」に始まり、「ON MY BEAT」「OH! MY JULLY Part I」といった『MORAL』『INSTANT LOVE』時代のナンバーがその激しくエネルギッシュな演奏と共に色鮮やかに甦る。オーディエンスはいきなりの総立ち状態で、トップバッターとしてフロアを温める役目も十二分に果たした。また、この時代のマネージャーを務めていたカッツ三宅が舞台袖で彼らの演奏を見ながら落涙する姿を見て、筆者も思わず貰い泣きしてしまったことを付記しておきたい。
続くTHE BADFEELINGS〈ジ・バッドフィーリングス〉は元プロ・ミュージシャンを中心に結成されたテクニックの光るバンド。コンセプトは“BERLIN”で、ドイツのベルリンにあるハンザトン・スタジオでレコーディングが敢行されたアルバム『BOφWY』の収録曲をパワフルなヴォーカルと安定した演奏力で聴かせた。珠玉の名曲「CLOUDY HEART」の演奏時に、最前列の観客の何人かが激しく涙を拭っていた姿が忘れられない。
3組目に登場したバンド、BOφWY-4〈ボウイズ・フォー〉はウェブ・サイト“コピーバンド・ネットワーク”で半年間にわたって1位を維持した実力派。コンセプトは“JUST A HERO”、言わずと知れた氷室京介の色が強く出た4作目のアルバムだ。「DANCING IN THE PLEASURE LAND」「1994 -LABEL OF COMPLEX-」「わがままジュリエット」など人気の高い楽曲を矢継ぎ早に披露し、その余りに似すぎているヴォーカルの容姿と唄い方も相俟って、客席を大いに沸かせていた。
4組目のROφWY〈ロウイ〉は、ヴィジュアル、アクションともに再現度No.1の呼び声が高いバンドで、その高い完成度を誇るパフォーマンスはまさにオフィシャル・コピーバンドの真打と言える存在だ。BOφWYサウンドの確立と商業的な成功を同時に手中に収めた5枚目のアルバム『BEAT EMOTION』発表直後のツアー“ROCK'N ROLL CIRCUS”がライヴ&ステージ・コンセプト。「B・BLUE」で始まり「ONLY YOU」で終わるというBOφWY絶頂期のナンバーが引きも切らず忠実に再現され、否応にも盛り上がる。
トリビュート・バンド最後のφ:FAI〈ファイ〉は、渋谷公会堂での解散宣言ライヴの曲目、衣装、メンバーの立ち居振る舞いや仕草までを微に入り細にわたり蘇生し、20年後の現在にその息吹を伝えた。コンセプトはもちろん“1224”。女性キーボードが1曲目の「LIAR GIRL」のイントロを奏でた途端、ファンの誰しもが無条件に思い起こす“あの日”のライヴの張り詰めた空気がクラブチッタの場内に甦る。音の持つ映像喚起力と情報量の多さを改めて感じた瞬間だったと言えるだろう。
至高の音楽として語り継がれるBOφWYサウンド
そして、この日のクライマックスはここからだった。BOφWY解散後も一貫してバンド活動に拘り続けている“Mr.8ビート”、高橋まこと本人がステージに登場し、待っていましたとばかりに客席から凄まじい歓声と拍手が巻き起こる。“CASE OF BOφWY”のロゴが入ったタンクトップに“ROCK'N ROLL CIRCUS”ツアーの頃から20年以上にわたって愛用している黒のパンツ、そして“LAST GIGS”で着用していたジャン・ポール・ゴルチェのジャケットに身を包んだ高橋は、徹頭徹尾BOφWYモード。この日のドラム・セットは、2バスの上にずらりとロート・タム(胴のない膜鳴楽器)を組み込んだBOφWY時代を彷彿とさせるもので、そのヴィジュアルだけでも壮観だ。高橋はこの日ステージに立った5組のトリビュート・バンドと1曲ずつ共演。BOφWYに憧れて追い掛け続けてきた各バンドにとって、これほど栄誉なことはないだろう。HONESTYLEの「DRAMATIC? DRASTIC!」、THE BADFEELINGSの「JUSTY」、BOφWY-4の「LONGER THAN FOREVER」、ROφWYの「BEAT SWEET」、φ:FAIの「IMAGE DOWN」と、高橋自身も心ゆくまで楽しんでプレイしている姿がよく窺える。そしてやはり、解散から20年を経ても全く色褪せることのないパワフルな高橋の8ビートにただただ驚嘆するほかなかった。
高橋はその後、ゲスト・プレイヤーに榊原秀樹(g:De+LAX/カリキュラマシーン/POWERS)と佐久間正英(b)、松嶋 重(vo:POWERS)を迎えたこの日限りのスペシャル・バンドで「DREAMIN'」「NO. NEW YORK」の2曲を披露。来年デビュー20周年を迎えるDe+LAXで高橋とはソウル・メイトの関係にある榊原はソリッドなギターを直情的に掻き鳴らし、昨年10月にリキッドルームで行なわれたプラスチックスの復活ライヴも記憶に新しい佐久間は、自ら松井常松にアドバイスしたダウン・ピッキング奏法で躍動感に溢れた貫禄のプレイを聴かせ、オーディエンスと舞台袖に集まった関係者達を魅了。そこに氷室京介から“原始のドラム”と呼ばれた高橋の力強く芯の太いドラムが有機的に絡むのだから、鉄壁のリズム隊というありきたりな言葉では到底済まされない凄味を観る者に与えた。まさに圧巻だった。
「NO. NEW YORK」では全出演者が再度ステージに上がってスペシャル・バンドを取り囲み、最前列のオーディエンスも興奮の余りステージに駆け寄る白熱ぶり。徹底してビートとメロディにこだわり抜いたBOφWYの楽曲が、20年経てもなお高い普遍性を有していることを如実に物語っていた。そして、このスペシャル・イヴェントを観て痛感したのは、BOφWYのバンドとしての本懐は一貫してステージの上にあったことであり、エナジーが迸るオーセンティックなライヴ・パフォーマンスはその何よりの証左であるということだ。過去も未来もない、ライヴという“今この瞬間”に全てを投げ打って完全燃焼すること。それがロック史上稀に見るクリエイティヴな集合体だったBOφWYに与えられた命題だった。翻って言えば、BOφWYとは今・今・今の数珠繋ぎのような存在だった。芸術性と破壊性の狭間を激しく行き来しながら、彼らは“φ”=“何処にも属さない、誰にも似ていない”前人未踏の境地へと達した。錆び付くことよりも燃え尽きることを選んだからこそ、彼らは永遠になれた。決して真っ直ぐな線にならずに一瞬一瞬を点の爆発で在り続けた彼らの魅力はこうしてあまたいるコピーバンドや我々ファンのDNAに着実に受け継がれ、次の20年後にも至高の音楽として語り継がれるであろう永久の輝きが充ち満ちているのだ。
“GIGS”BOX
◇『“GIGS”CASE OF BOφWY COMPLETE』『BEAT CHILD』を含む、BOφWYの歴史を語る上で欠かせないGIGを収録した初DVD化映像集。1985年に限定発刊されたイメージ・ブック『HYSTERIA』をこのBOXのために復刻し、特別付録としてBOX内に収納。
★amazonで購入する
EMI Music Japan:TOBF-5555/32,000yen (tax in)
完全生産限定/豪華BOX仕様/デジパック仕様のDVD 8枚組
特別付録:限定発刊『HYSTERIA』復刻版(BOX内に収納)
購入先着特典:『BOφWY BE AMBITIOUS TOUR』復刻版ポスター(B2サイズ) *数量限定
収録内容
◇DISC-1〜3/“GIGS”CASE OF BOφWY:“BOφWYのレパートリー全てを演奏する”というコンセプトのもと、1987年7月31日神戸、8月7日横浜で行なわれたGIG。
◇DISC-4/BEAT CHILD:1987年8月22〜23日、南阿蘇アスペクタで台風直撃の中行なわれた伝説的野外イヴェント。
◇DISC-5/ロックステージ イン 新宿(都有3号地):1986年8月4日、都有3号地(現・東京都庁)にて行なわれた豪雨の中でのGIG。
◇DISC-6/FINAL伝説:2001年にNHKで放映されたBOφWYのドキュメンタリー番組。
◇DISC-7/野外イヴェント集:1987年7月26日に札幌真駒内オープン・スタジアムで行なわれた“HOKKAIDO ROCK CIRCUIT '87「A BIG MOUSE PARTY」”、1986年8月10日と1987年8月9日にスポーツランドSUGOで行なわれた“ROCK'N ROLL OLYMPIC '86 / '87”でのGIG。
◇DISC-8/Artform? or Burnout! 〜EMI room 102〜:音楽文化ライター・佐伯 明氏の監修のもと、レア映像で構成されたもうひとつのBOφWYヒストリー集。
“GIGS”CASE OF BOφWY COMPLETE
◇1987年7月31日の神戸ポートピア・ワールド記念ホールと、8月7日の横浜文化体育館での2日間行なわれたGIGから39曲を収録(前作には収録されなかった11曲を追加)。セットリストを再現した正にコンプリートな内容。
★amazonで購入する
EMI Music Japan:TOCT-26490/3,800yen (tax in)
初回生産限定スペシャルBOX仕様/紙ジャケット仕様のCD 3枚セット
初回封入特典:『“GIGS”CASE OF BOφWY ツアー・パンフレット』復刻版(CDブックレット・サイズ)/『“GIGS”CASE OF BOφWY ツアー・パンフレット』完全復刻版(B3サイズ)プレゼント応募ハガキ(当選100名様予定)
紙ジャケット・シリーズ
◇BOφWYオリジナル・アルバム、そしてBOφWY関連アルバム全10タイトルを紙ジャケット化、期間生産限定盤としてリリース(EMI/ビクター/徳間ジャパン/フォーライフ共同企画)。
各 2,600yen (tax in) /期間生産限定商品(2008年5月末日まで)
全10タイトル購入・応募者全員にスペシャル・プレゼント:[1]スペシャル・コレクターズBOX(全タイトル収納可能)[2]『BAD FEELING』12インチ・シングル復刻紙ジャケットCD[3]BOφWYシングル・ステッカーセット *以上3つをまとめた『20th ANNIVERSARY FROM BROKEN スペシャル・セット』
◇EMI Music Japan:BOφWY(TOCT-26493)/JUST A HERO(TOCT-26494)/BEAT EMOTION(TOCT-26495)/PSYCHOPATH(TOCT-26496)/SINGLES(TOCT-26497)/ORCHESTRATION BOφWY(TOCT-26498)◇ビクター:MORAL(VICL-62670)◇徳間ジャパン:INSTANT LOVE(TKCA-73288)◇フォーライフ:BOφWY Tribute(FLCF-4210)/BOφWY Respect(FLCF-4211)
BOφWY official website:BOφWY HUNT
http://www.emimusic.jp/boowy/