ギター バックナンバー

coin ('08年1月号)

coin

対極な2人が惹かれ合い、奏で合う奇跡のハーモニー

昨年3月に解散したKOHLのヴォーカル、達樹と、仙台を基盤として精力的に活動を続けるN.E.S.のヴォーカル、憲三。共にヴォーカル&ギターながら、音楽的嗜好/志向も歌声も全くの対極に位置する2人の個性が折り重なった時、coinという類い希なるポテンシャルの高さを誇るバンドが生まれた。プロデューサーにUVERworld、ONE OK ROCKなどを手掛ける平出 悟、nilのベーシストとして活躍中の小林 勝を起用したデビュー・ミニ・アルバム『フタリバナシ』は、聴き手を選ばず、音楽を愛するすべての人を瞬時にして虜にするポップの極みとも言うべきクォリティの高い楽曲に彩られた会心の作だ。静と動、バンドとユニット、東京と仙台、コクとキレ、UK vs US、そして裏と表──。個性と個性が完膚無きまでにぶつかり合い、マーブル状に溶け合った2人の第1章が、今ここに幕を開けようとしている。(interview:椎名宗之)


自分がバンドマンであることの矜持

──そもそもこのcoinはどんな経緯で始まったんですか。

達樹:僕がやっていたKOHLと憲三がやっているN.E.S.がよく対バンをしたり、同じコンピ(『NEW GENERATION ROCK』:2004年11月発表)に入っているバンド同士でツアーを一緒に企画したりと交流は以前からあって、仲が良かったんですよ。歳も一緒だし、ライヴの打ち上げでも席が近くになることが多くて。で、N.E.S.がウチの事務所のレーベルからミニ・アルバム(『RESONANCE』:2006年発表)を出すことになって、彼らが事務所に来ていた時に僕もたまたまそこにいたんです。2人ともちょうどギターを持っていて、手持ち無沙汰だったので互いに爪弾きながら適当に歌を乗せてみたら、「意外とこれ、行けるんじゃない?」なんて話になって。事務所のスタッフも「いいじゃん、2人で何かやりなよ」と言ってくれて、そこからすべてが始まったんですよ。

──最初は極々軽いノリだったわけですね。

達樹:遊びから始まった感じですね。最初からアルバムを作ることを思い描いていたわけではないし、「試しに曲でも作ってみる?」という程度でしたから。ただ、僕はいつもパソコンで打ち込みのトラックを作って、自分である程度音を乗せてくるんですけど、憲三はかなりのアナログ人間なんですよ。彼のデモはギターを弾きながら唄ったものそのままで、「俺はこういうふうにしか録れないから、俺の曲を録って一緒に作ってくれよ」と言われて(笑)。それから一緒にスタジオに入って、「こんなリズム・パターンはどう?」とか「こんなフレーズを乗せてみようよ」とか色々とやり取りをしていく中で完成した6曲が今回の『フタリバナシ』に入っているんです。

──coinが始動したのは、KOHLが解散して程なくしてのことですか。

達樹:そうですね。ちょっと経った頃だったと思います。

──4年にわたるKOHLの解散以降、達樹さんはどんな音楽性を志向しようと?

達樹:バンドが解散して自分自身の可能性も見いだせたし、それと同じくらいの不安もありましたね。不安と言うか、何をやったらいいのか判断できない模索期間だった。ただ、自分はやっぱりバンドマンなんだという意識だけはずっとありました。個人的に好きなハウスやテクノをバンドでやってみようと形にして、それなりにいい反応も貰えたんですけど、やればやるほど何処へ向かえばいいのかよく判らなくなったんです。その時に並行してcoinの曲作りやレコーディングをしていて、その作業に没頭することによって迷いが吹っ切れた部分があったんですよ。バンド形態で誰かとリハスタに入って音を一緒に出して、“ああ、俺はやっぱりバンドマンなんだな”と改めて痛感したんですよね。

──摩擦係数が高ければ高いほど、それだけ得るものも大きいですよね。

達樹:1人でどれだけやれるかを試したかった部分もありましたけど、1人でやれることって最初からある程度は予想できるんじゃないかと思うんです。自分だけである程度の結果が出せたことは多少の自信になったとは言え、最初に思い描いていた以上の結果は1人だけじゃ出せないんじゃないかと。coinをやることによってその辺が凄く刺激になったし、自分の中では原点回帰に近いニュアンスがあるんです。

──パーマネントのバンドに疲弊して、そこから距離を置こうという意識はなかったですか。

達樹:それはなかったですね。曲を仕上げるのはバンド形態が一番楽しいし、各パートの1人1人が気持ち良くプレイしていると、こちらも自ずと気持ち良く唄えるものなんですよ。バンドをやっている人間はキャラの強いヤツばかりだからもちろん色々あるけれど(笑)、パーマネントのバンドに疲れるなんてことはないし、バンドをやるのはやっぱり掛け値なしに楽しいですよ。

──『フタリバナシ』にはドラムに大島賢治さん(ex.ザ・ハイロウズ)と風間弘行さん、ベースに小林 勝さんとYUTAROさん(JELLY→)が参加されていて、紛れもないバンド・サウンドに仕上がっていますしね。

達樹:正規のメンバーが僕と憲三の2人だけでも“バンド”だと言い切ろうと思っていました。“ユニット”という言い方は余り好きじゃなくて、coinはあくまで“バンド”なんです。「声」と「WALK」という頭の2曲は平出 悟さんにプロデュースを手掛けてもらったんですけど、残りの曲は勝さんにプロデュースをお願いして、バンドが曲作りをするやり方で録ったんですよ。僕と憲三が作ったデモを風間さんと勝さんに聴いてもらって、いろんなアイディアを頂きつつ形にしていったんです。2人とも大先輩だから最初は気兼ねする部分があったものの、徐々にこちらの主張を押し通させてもらって。何てことはない、これもやっぱりバンドだったんですよね。だからスタンスはKOHLの頃と何ら変わりはないし、無意識のうちにそのバックグラウンドも出るし、憲三のバックグラウンドや彼の持っているものも出ている。僕の中でcoinは単純に1と1が合わさった2ではなく、0.5ずつくらいの配分が折り重なっているというイメージなんです。憲三の曲だけだとアメリカン・ロック寄りになるし、僕の曲だけだと今度はUK寄りになる。それが、憲三の曲に僕の好きなフレーズを乗せると聴いたことのない感じが出るし、その逆もある。そこが凄く刺激になって面白いですね。


楽曲が求める声に準じた曲作り

──2人の音楽的嗜好/志向が正反対だからこそ、互いの存在が普段は使わないそれぞれの引き出しを開けてくれるんでしょうね。

達樹:そうですね。僕も憲三の好きな音楽は聴いてきましたけど、自分が曲にする時のOKラインの幅から外れたものを良しとする人間と一緒にバンドをやっているわけで、それが重なり合った時の予想を遙かに超える感覚がスリリングなんです。曲作りの時でも、音合わせの時でも、レコーディングの時でも、音楽の面白さを純粋に感じるんですよ。

──そうした音楽的嗜好/志向も然り、達樹さんと憲三さんは声質もギター・プレイも真逆ですよね。

達樹:どうやらそうらしいですね。ある程度逆だとは思っていたんですけど(笑)。声はほぼ逆と言っても差し支えないし、本来なら絶対に絡み合わない声ですよね。エンジニアさんに言われたのは、歌にしろギターのストロークにしろ、僕は前ノリらしいんですよ。憲三はもの凄く後ろノリらしくて、その意味でも真逆なんですね。

──でも、その真逆の歌声が折り重なった瞬間に不思議な心地良さが醸し出されるんですよね。2人のハーモニーが秀逸な「声」、交互にヴォーカルを取る「WALK」は特に。

達樹:「声」と「WALK」は2人の全く違う声を活かしてどれだけのアイディアを詰め込めるか、プリプロの段階から色々と試行錯誤した曲ですからね。コーラスでそれぞれ違う音程を唄うにしても、綺麗なハモりにするつもりは最初からほとんどなかったんですよ。2人で同時に唄っている感覚に近い仕上がりになればそれで良かった。ただ、僕はハモりが好きなので割とスムーズに作業が進んだんですが、憲三はかなり苦労していましたね(笑)。憲三の声はディストーションが掛かった感じだから、倍音が多いんです。その倍音の多いほうがハモりに来る時は一番苦労しましたね。憲三自身、コーラスはほぼ初めての経験だったらしいので。

──「Last Dance」のように、達樹さんがメインで唄って憲三さんのコーラスが入る曲は難航したわけですね。

達樹:ええ。「Last Dance」を最初にベタでハモってみたら、何処かむず痒かったんですよ(笑)。最後のほうでハモりからずれて“ダンス”だけ伸ばしている部分とか、もっと憲三の色を出したほうがいいと思える抜き差しは色々と試してみましたね。

──憲三さんがメインで唄う「ファズ」には敢えてコーラスを入れてみなかったり、とか?

達樹:そうですね。逆に、僕が唄う「エキストラ」は自分でハモってみたり、そこはケース・バイ・ケースで。「素晴らしき日々」は憲三がメインで唄っているところに僕がハモっていますね。2人でコーラス・ラインを色々と考えながら。どの曲もそうなんですけど、どうすればその曲が良い仕上がりになるかを基点に考えた結果、こういうハモりになったという感じです。

──「素晴らしき日々」は、終盤で2人が全く違う歌詞を唄いながら最後に“足枷捨てて 迎えにいくよ”という歌詞を共に唄って終わるのが何とも粋ですよね。

達樹:あの終わり方は特に“してやったり”ですね。と言っても、アイディア自体は憲三から出たんですけどね。あいつはたまにミラクルな発言をすることがあるんですよ(笑)。最後の曲だし、単純にハモって終わるだけじゃ面白くないよねっていう話をしていて、「じゃあ、最後にAメロで違う歌詞を唄ってみない?」と憲三から提案があったんです。あれは凄くうまく行ったと思いますね。

──憲三さんと達樹さんがそれぞれ単独で唄う「ファズ」と「エキストラ」のようなミディアム・ナンバーは双方の持ち味がよく出ていて、アルバムの構成としては非常にバランスがいいですね。

達樹:混ざり合ってできたこれまでにない色と、それぞれが本来持っていた色とは全然違うので、6色うまく分かれたなと思いますね。

──作詞・作曲のクレジットはすべてcoinで統一されていますが、メインで唄っているほうがその曲のメイン・コンポーザーと考えていいんですか?

達樹:大体はそうですね。曲を作ったほうがベース・パートを唄えばすんなり行くし、メロディ・ライン自体がその人のものだから一番しっくり来ますよね。曲が求めたほうの声に準じていると言うか。今後またレコーディングをする機会には、そういうことにもとらわれずに別のアプローチをしてみたいですけどね。僕が曲を作って、憲三が絶対に唄ったことのないメロディを持って行って、さぁどう出る!? みたいなね(笑)。そういうのをお互いにやってみたいですよ。憲三が唄う「ファズ」は最初、デモの段階ではあいつの好きな長渕 剛さんからの影響をダイレクトに受けた感じの曲だったんです(笑)。そこから曲のアレンジを2パターン考えて、ひとつはファズ・ギターをいっぱい入れて轟音サウンドにしてみた。そこから「ファズ」ってタイトルを付けたんですけどね。もうひとつはUKのテイストを採り入れつつサラッと聴ける感じにして、結局そのUK寄りのほうを選んだんですよ。今までは「ファズ」みたいな曲のイメージを憲三に対して持っていなかったし、もっとシャウトしているところしか見てこなかったので、こんなタイプの曲も唄えるんだなっていう驚きがあったんですよね。憲三も僕に対して似たようなことを少なからず感じたと思うので、今度はそれを最初から狙って作るのも面白いんじゃないかなと。


coin

バンドという最小限の編成でやるべきことをやる

──従来にはない自分の資質を互いに新たなカードとして切るのは、全く新しいバンドならではですよね。

達樹:歳も一緒だし、昔から勝手知ったる仲だし、同じヴォーカル同士だし、2人とも年上の人と一緒にバンドをやっていたりと、共通点がいくつもあるんですよ。真逆のことのほうが圧倒的に多いんですけど(笑)。お互いのないものねだりみたいなところもあるんでしょうね。僕の声では限界があるから、憲三のように男っぽく唄いたいというのがあるし、憲三は憲三で「達樹みたいにもっと綺麗に唄いたいんだよ」ってずっと言っていますし(笑)。

──それにしても、2人がやってきたバンドの音楽性を考えると、『フタリバナシ』の収録曲のキャッチーさはいい意味で少々面喰らいますよね(笑)。どの曲も一度聴いたらメロディを忘れないし、ポップの純度が凄まじく高くて。

達樹:曲に関しては、そこまで意図的にキャッチーにしようと考えたつもりもないんですけどね。「声」と「WALK」の2曲はかなり早い段階でできた曲だったので、アレンジをあれこれ考える時間があったんですよ。プロデュースの平出さんからのアイディアも部分部分で頂いたし。coinを始めるにあたって、最初はやっぱり色々と考えましたからね。ヴォーカル&ギターが2人いることの意義は何なのか、どれだけ冷静に考えても堂々巡りだったから、とりあえず曲を書いてみようと思って。余り考えすぎなかったのが良かったのかもしれないです。

──歌もギターも二乗なのに、ちゃんと棲み分けができていて音に整合性が取れているし、サウンドは至極シンプルですし。

達樹:レコーディングに参加してくれたサポート・メンバーも含めて、この4人でできることをやりたいと思いましたから。竿が3本同時に鳴っている引き算しきれていない部分もありますけど、基本的にライヴで出せる音を出したかったんですよ。鍵盤や打ち込みを入れる案も最初はあったけど、バンドという最小限の編成でやるべきことをやろうと。だからサウンドがシンプルで力強いものになったんじゃないかと思います。

──今回、サポート・メンバーを選出した基準というのは?

達樹:憲三は昔から小林さんと風間さんと仲良くさせてもらっていたみたいですね。僕は僕で、KOHLが駆け出しの頃にお客さんが2人だけのライヴをやったことがあったんです。その2人のお客さんのうちの1人が勝さんだったんですよ(笑)。その頃からお世話になっている方なので、今回は是非力を貸して欲しかったんです。大島さんとYUTAROさんは平出さんからの紹介ですね。YUTAROさんは事務所のスタッフとの繋がりで以前から話は聞いていて、共演したのは初めてでした。4人とも本当に凄いプレイヤーで、色々と勉強になりましたね。ドラムとヴォーカルの関係性って凄く重要で、しっかりと歌を唄えるか唄えないかはドラム次第だと思っているんですよ。これまでの自分の活動で言えば呼吸の判るドラマーは1人だけだったから、理想的なリズム隊をヴィジョンとして描くまでには達していなかったし、平出さんに紹介して頂いて良かったですね。完全に手探りの状態でしたから。

──『フタリバナシ』を録り終えて、ようやく自分の声に合うグルーヴがどういうものかが理解できたんじゃないですか。

達樹:そうですね。こういう人が叩いてくれるとこういうグルーヴが生まれて、曲がこうなるんだというのがはっきりと判りました。大島さんと風間さんの違い、YUTAROさんと勝さんの違いも理解できたし。ただ、coinでは“この曲にはこういうドラムが欲しいんですけど…”という感じではなく、その時々で僕達の音楽に興味を持ってくれた人にお願いをして、その人とバンドで新たに曲を完成させるスタンスで在りたいですね。

──本作のドラムに関して言えば、大島さんのドラムは曲の持ち味を最大限まで引き出すプレイで、風間さんはバンドとしての一体感を優先させるプレイという違いを感じますね。

達樹:大島さんはスネアだけ後ろノリで、外国人のドラマーみたいなイメージでしたね。仰る通りで、その楽曲のリズム感の中でグルーヴを作ってくれる人なんです。風間さんはもっとバンドマンらしいプレイヤーで、風間さんのリズムと曲が合わさった上で僕達が唄うような感じだった。そういう違いのひとつひとつが新鮮で、凄く面白かったですよ。

──そこはリズム隊を固定していないバンドの強みと言えますね。

達樹:楽しさをずっと失いたくないですから。ただ単に面白いということではなく、バンドを続ける上で生じる摩擦を含めての楽しさ、面白さを大切にしたいし、それを今回再確認できた気がします。僕自身、レコーディングそのものが久しぶりだったし、凄く新鮮な気持ちで臨めたから、その気持ちをキープしたい。KOHLの最後のほうは楽曲を作る速度が凄く早くて、純粋に音楽を楽しむゆとりが余りなかったんです。それを否定するつもりはまるでないし、そこがあの4人の持ち味だったからそれはそれでいいんですけど、今は始めたてのバンドの新鮮さと曲作りの面白さに改めて魅せられているんですよ。もちろん、曲作りに伴う難しさも含めてです。リスク込みで、今は凄く楽しい。


誰かと対話しながら物作りをする面白さ

──KOHLにはHIDEOさんというバンドの支柱であり名コンポーザーがいたから、背負い込む責任感はこのcoinで格段に増したんじゃないですか。

達樹:KOHLの時はたまに曲を書く程度だったし、ヴォーカリストとしてバンドをやっていた感じなのかな。他では得難い経験をたくさんさせてもらいましたけど。今はヴォーカリストである前にアーティストという意識がまずありますね。“アーティスト・長尾達樹”というスタンスで活動しているから、曲のアレンジやメロディ・ラインの細部にまで神経を注いでいますね。今回、ジャケットも自分で手掛けましたし。いい意味での責任感はもちろんありますよ。それがなければ面白みに欠けますよね。

──達樹さんがここまで秀逸なポップ・ソングを書く人だったとは、KOHL時代には皆目見当が付かなかったですからね(笑)。

達樹:それはよく言われます(笑)。曲は前から書いていたんですけど、確かにcoinでなければここまでキャッチーな曲にはならなかったかもしれないですね。

──coinの楽曲は、KOHL時代よりも達樹さんのパーソナリティが表出していると言えますか。

達樹:ひとりでやるとcoinとはまた全然違うことになりますけどね。このメンバーで自分を出したらこうなった、という感じです。どのバンドで唄っても、すべて長尾達樹であることに変わりはないんですけど。『フタリバナシ』の楽曲が僕のすべてか? と訊かれたら、それは自分でも判らないです。このバンドのメンバーである長尾達樹はこういう人間ですよ、とは言えますけどね。

──coinというバンド名は、相反する2人の個性、物事の裏と表、音楽性における静と動、明と暗を象徴したものということなんでしょうか。

達樹:このバンド名は、レコーディングの最終日までずっと決まらなかったんです。やっている中身が純粋に面白かったから、バンド名のことはすっかり後回しになっていたんですよ(笑)。そこでまた憲三ミラクルがありまして、あいつがスタジオの自販機で缶コーヒーを買った時に110円だったらしいんです。いつもの癖で120円を入れたら10円戻ってきたと。それを見て、バンド名はcoinがいいと思ったそうです(笑)。で、「達樹、coinってどう?」と訊かれて、何か響きも良かったし、裏と表という意味合いもあるし、物事の二面性を言い表していてピッタリじゃないかと思ったんですよ。後付けと言えば後付けなんですね。

──これだけ高水準の楽曲が揃うと、早くライヴで体感したいという期待が増すばかりですが。

達樹:1月28日に新宿ロフトで初ライヴをやります。その後のライヴも基本的に風間さんと勝さんにサポート・メンバーとして参加して頂くことになっているんですけど、如何せん皆さん多忙すぎる方々なので、都合の合わないライヴもあるかもしれません。そこはある程度フレキシブルに対応したいと思っています。ここ1年くらい自分の名前名義でアコースティック・スタイルのライヴをずっとやっていて、その延長上でバンド形態にしたライヴを2回ほどやったんですよ。でも、ちゃんとしたバンドとしてスタジオに入ってライヴをやるのは本当に久しぶりですね。coinでライヴをやるのは単純に楽しみなんです。今までにやったことのないことができますから。ギター&ヴォーカルがマイクから離れる瞬間があるというのはもの凄くレアなことで、たとえば「WALK」だったらメインで唄う部分があるのに動けるのが個人的には楽しみなんですよ。今までの行動範囲は半径1メートル以内に限られていましたからね(笑)。

──それと、「ファズ」を演奏する時はギタリストに徹するわけですから(笑)。

達樹:リズム・ギターばかり弾いていたので、真正面からギタリストと呼ばれると語弊があるんですけど(笑)。でも、そういう部分が凄く楽しみなんですよね。いつもとは違う見せ方ができると思うし。

──今後、ソロ名義での活動を並行していく構想はありますか。

達樹:有り難いことに、ソロ・アーティストの長尾達樹としてのリリースはどうか? という話も頂いたんですけど、僕はやっぱりバンドマンなんですよ。ソロという呼称がどうも好きになれなくて。KOHLの終わり頃からライヴに誘われて歌とアコギでやっていた時期もあったんですが、ソロという言い方は絶対にしたくなくて、あくまで“アコースティック”と言い張っていたんですよね。つまり、バンドマンがアコースティック・スタイルでやっていることを重要視していたんです。ソロという言葉自体に魅力を感じないし、最初からある程度の結果が見えている活動にしか僕には思えない。この先もっと広い目で見られる時が来るかもしれないけど、少なくとも今はソロとしての活動には惹かれませんね。

──生涯一バンドマンで在りたい、と?

達樹:そうですね。最初から最後まで自分1人で完結するのはつまらない。単純にそれだけのことですよ。1人よりも2人でやるほうが面白いアイディアは数多く出てくるものだし、自分以外の誰かと対話をしながら物作りをしたほうが僕は楽しいんです。僕にとって憲三は同じ立場と価値観を共有できるヴォーカリストであり、ライバルであり、それ以前に友達であり、互いに尊敬もしている。憲三という素晴らしいパートナーと巡り会えて、今は本当にラッキーだと思っていますね。


1st mini album
フタリバナシ

PICTUS DLCP-2081
1,890yen (tax in)
2008.1.16 IN STORES
★amazonで購入する
01. 声
02. WALK
03. Last Dance
04. ファズ
05. エキストラ
06. 素晴らしき日々

Live info.

LOFT POWER PUSH!
1月28日(月)新宿LOFT
w/ Buffalo'3 / theorch. / World End Risotto
OPEN 18:00 / START 18:30
TICKETS:advance-2,000yen (+1DRINK) / door-2,500yen (+1DRINK)
info.:LOFT 03-5272-0382

JUICERS
2月2日(土)南青山REDSHOES
w/ あきゆきバンド / etc...
DJ:林 拓一朗 / タシロック / マリ / シュン / Limo / enlarge
OPEN / START 21:00〜All Night(ライヴは00:30までに終了予定)
ノーチャージ(要1Dオーダー)
info.:REDSHOES 03-3486-1169

coin official website
http://www.oz-music.net/coin/

posted by Rooftop at 13:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

この記事へのトラックバック