ギター バックナンバー

Itsco ('08年1月号)

Itsco

自分探しの旅は、ふわりふわりとマイペースに

2008年1月、マキシシングル『Water Lily』でデビューを飾る現在20歳の新人アーティスト・Itsco。このマキシシングルに作詞・作曲・プロデューサーとして参加しているのがTGMX(SCAFULL KING/FRONTIER BACKYARD)、いしわたり淳治(ex.スーパーカー)、8otto等々その筋の音楽好きならば食指を動かさずにはおれない強力すぎる布陣だ。さらに4月発売予定のファーストアルバムではプロデューサーに朝本浩文を迎え、サエキけんぞう、土岐麻子、加藤ひさし(THE COLLECTORS)、Kiyossie(ex.DOMINO88)などが作詞で参加。これだけの個性あふれるアーティストからバックアップを受けるitscoもやはり単なる見た目のかわいい女性シンガーではない。なんとこのRooftopでの取材が記念すべき初インタビューという彼女。放っておけない危うさの中に、これから大輪の花を咲かせそうな何かを感じさせるのだ。(interview:古川はる香)


人前で歌うのが苦手なはずが歌手デビュー!?

──まずデビューまでのいきさつを教えて下さい。

Itsco:もともとは女優を目指してたので、そっち方向のオーディションばっかり受けてたんですよ。でも椎名林檎さんに憧れていて、ギターも好きだったので、ギターを続けられるものと言ったら歌手からと思いまして。

──ギターはいつからやってたんですか?

Itsco:高校1年からですね。きっかけは学校の授業だったんですけど。

──ということは、最初はアコースティックギターとか?

Itsco:そうですね。ミスチルとか弾いてました。

──椎名林檎さんを初めて聴いたのって何歳くらいですか?

Itsco:小学生です。

──小学生!? 小学生で『歌舞伎町の女王』!?

Itsco:そうです(笑)。一度聴いたら何度も聴きたくなって、一日中聴いてたこともありますね。それで、中学生のとき東京に遊びに来て、ひとりで歌舞伎町に行ったんですけど、なんか、すごいところで……(笑)。

──中学生で歌舞伎町デビュー(笑)。歌うのも好きだったんですか?

Itsco:いえ! すごい苦手だったんです!! 家にひとりでいるときは歌ってましたけど、人前で歌うのは本当にイヤで、カラオケも行ったことなかったんです。なので、学生時代の友達は私が歌手になったの相当驚いてると思います(笑)。

──ええっ!? なのに歌う仕事を!?

Itsco:はい(笑)。もうふっきれました! 10月にSHIBUYA-AXで初めてライブをしたんですけど、全然リハーサルの時間がなかったんですよ。そのままトップバッターで出て、うわーってなってるまま終わっちゃいましたね。

──初レコーディングは順調でしたか?

Itsco:初めてのレコーディングが8ottoさんとだったんですけど、初めてで、なんか……。

──プロデューサーの方とのやりとりで思い出に残ってることは?

Itsco:TGMXさんはすごく気を遣っていただきまして……。えーと……。すみません! いろいろ言われたんですけど、何も覚えてないです(笑)。

──歌について指導されたりは?

Itsco:歌は……。すみません。覚えてないんです……。

──……過ぎたことは忘れちゃうほうですか?

Itsco:いや! 本当に最近目まぐるしくいろんなことがあるもので……。特に今、アルバムのレコーディングをしてるんですよ。それでスタッフさんがまたシングルのときと違う方々なので。

──アルバムは朝本浩文さんプロデュースなんですよね? 朝本さんはitscoさんから見てどんな方ですか?

Itsco:はい。すごく気を遣ってくれる方です!!(笑)

──それはどんな時に感じますか?

Itsco:え〜と。「がんばりましょう」って言ってもらいました!

tinycar(avexA&R):シングルでプロデュースしてくれた田上(TGMX)くんもTHE STROKESのヨシオカくんも、みんなItscoを育てようとお父さんみたいになってくれてるんですよ(笑)。

──朝本さんとは音楽以外の話も?

Itsco:はい。食べ物の話とか。私がお肉大好きなので、もつ鍋の美味しいお店を教えてもらいました!

──人見知りはしないほうですか?

Itsco:前はめちゃめちゃ人見知りだったんですけど、地元から東京に出てきて直りましたね。バイトで接客をしてたらなくなりました。ふっきれちゃったというか(笑)。

──ショック療法!?

Itsco:あとはライブでステージに立たせていただいたり、テレビに出ることになって「喋らなきゃ!!」となったら、逆にがーっと喋れるようになりました(笑)。あ! もちろんまだまだですけど!!

──ひととおり音楽活動をやってみて、どれが一番楽しいですか?

Itsco:やっぱりライブですね。緊張もするし、終わったあとに反省もするんですけど、次に繋げたいことがいっぱいあって。次に活かす……。目標ができると楽しくなりますね。

──じゃあ早速次のライブへの目標がある?

Itsco:はい。とりあえずもっと楽しむことが目標です。緊張しないで、リハーサルと同じようにできることとか。

──ライブではギターも弾くんですか?

Itsco:はい。何もないのは不安なので、あったほうがいいなと思って。でも『Water Lily』では自分でふりつけして踊ってます(笑)。そんなに激しい踊りじゃなくて、手を動かすだけのアホっぽい踊りですけど(笑)。


趣味はバスとヒッチハイクでぶらり旅(笑)

Itsco

──地元の福岡から東京に出てきてどれくらいになりますか?

Itsco:3年目ですね。それまでのオーディションとかでちょくちょく来てはいたんですけど。

──ホームシックとか大丈夫でした?

Itsco:地元は海が近かったので、やっぱり海に行きたくなって。東京にいても江ノ島のほうとか行っちゃうんですよね(笑)。地元の海と雰囲気は違うんですけど、繋がってる感があって。ふふふ(笑)。インタビューってこんなので大丈夫ですか!?

──大丈夫ですよ(笑)。環境にはすぐ慣れるほうなんですね。

Itsco:結構すぐ慣れます。多分どこでもひとりで生きていけると思います(笑)。

──今はレコーディング以外の時間はどんな風に過ごしてますか?

Itsco:レッスンが毎日のようにありまして……ありました。あ! あります!! 家では寝るだけですね〜。お風呂でフリを考えたり(笑)。

──まる一日休みがあったら何します?

Itsco:海行くかな? でも私泳げないからマリンスポーツもやらないし、魚介類も食べれないんですよ。だからただ見てるだけで(笑)。

──東京だとどこに行きます?

Itsco:とりあえず渋谷に出ることが多いかな。あとはバスが好きなので、バスに乗ってどこかに行きます。気持ちいいですよ〜。考え事するときはいつもバスに乗ります。

──ふらっと乗っちゃう感じ?

Itsco:はい。あてもなく終点まで乗っちゃったり。

──終点まで行ったら次のバスに乗り継いでみたり?

Itsco:いや、循環が多いです(笑)。

──ちゃんと出発点に帰ってくるんだ。賢いですね。

Itsco:はい。賢いです(笑)。電車だと小田急線が好きなんですよ。だから下北沢の銭湯に入りに行ったり、江ノ島行ったりするんです。ふらりと何も考えずに箱根まで行って、温泉入って帰ってきたりもします。

──本当にふらっと派ですね!!

Itsco:そうなんですよ。それでヒッチハイクで帰ってきたり。私の場合、車の窓をコンコンって叩くんです。親指立てるんじゃなくて。

──若い女の子がひとりで!? 危なくないですか!?

Itsco:ちゃんと人選ぶんですよ。大丈夫そうな人を。やっぱり女性とか、やさしそうなおじいちゃんがいいですね。


“Itsco”っぽさを探して旅は続いていく

──歌うときは特定の景色が浮かびます?

Itsco:はい。やっぱり想像を膨らませていきます。歌詞をいただいたときにぱっと浮かぶんですけど、歌うときによってその景色は変わります。

──誰か別の人の演じるような感じなんですか?

Itsco:それはないですね。誰かは演じない。自分だったらこういう感じかな?というのを考えてます。

──自分では想像がつかないようなことを書いた歌詞もあるのでは?

Itsco:今回のシングルやアルバムでは“自分探し”ってテーマで書いていただいてるので、そこまで自分と違うものはないですね。どこか共通するものがあります。

──作詞担当の方と事前に話をしてるんですか?

Itsco:しました。Kiyossieさんには“バスが好き”ってことを伝えて、アルバム用にバスとか地元の名前が入った歌詞を書いてもらいました。

──『Water Lily』の作詞もKiyossieさんですけど、不思議な歌詞ですよね。

Itsco:ですよね。ところどころにサンスクリット語が出てくるんですけど、Kiyossieさんがインド人の方がやってるカレー屋さんに行って、ネイティブのインド人の方の発音を録音したものをレコーディングに持ってきてくれたんですよ(笑)。

──じゃあ歌の中の発音はかなり正確なんですね?

Itsco:いや、そうでもなくて(笑)。わざわざ持ってきていただいたのに失礼なんですけど、あまりにもリアルすぎてうまく曲にのらなかったんですよ(笑)。でもイメージは伝わりました!

──いしわたりさん作詞の『SEKI-LALALA』は、また印象の違う曲ですね。

Itsco:この曲もいしわたりさんに「自分探しをテーマにしてください」ってお願いしました。もともとはロンドンのLEVELLOADさんの曲なんですけど、歌詞に字あまりもひとつもなくきちっとはまってるし、意味もちゃんと通ってるし。すごいと思いました。第一印象は「難しい言葉をいっぱい使ってる!」でしたけど(笑)。私にとっては難しいんですよ!

──そういうときは辞書で調べるんですか?

Itsco:あ、いしわたりさん本人に聞きました。「“千仭の谷”(せんじんのたに )って何ですか?」って。そしたら「突き落とされるみたいなことだよ」って。

tinycar:いしわたりくんにもマエソノくんにも1行ずつ歌詞の説明してもらったじゃん! 3曲目の『手のなる方へ』っていうのは迷ってる人へのメッセージで、そういう人を手のなる方へ導くんだって。

Itsco:教えてもらいました! そうか! そういうのを取材で言えばいいんですよね〜!!(と、メモをとる)

──シングルとアルバムで様々な“自分探し”がテーマの曲を歌っていって、“自分”は見つかりそうですか?

Itsco:まだこれからですね。最終的には、街で流れてても“○○っぽい”っていうのがあるじゃないですか? 曲だったり、アレンジだったり、声だったりが。そういうので“itscoっぽい”っていう個性を出してる人になりたいです。


Water Lily

AVCD-31355
1,200yen(tax in)
2008.1.16 IN STORES
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★iTunes Storeで購入する(PC ONLY) icon

Live info.

1.27(Sun)TOWER RECORDS新宿店
2.01(Fri)SHIBUYA O-WEST “The Strikers VS TOKYO PARADE”
2.16(Sat)TOWER RECORDS札幌ピヴォ店

Itsco official website
http://www.itsco.tv/
Itsco official MySpace
http://www.myspace.com/itsco

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