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TYPHOON24 独占インタビュー ('07年12月号)

TYPHOON24 独占インタビュー

“解散”という結論を出したTYPHOON24ラストインタビュー

10月19日(金)、川崎CLUB CITTA'ではSHELTER presents「SOUND ON SOUND-SHELTER TOURS 2007-」が行なわれていた。時間は23時。1番目に登場したのがTYPHOON24。いつもと同じぐらいパワフルで最高にかっこよくて最高にロックなライブを魅せてくれた。その数日後、「TYPHOON24は年内で解散します」という連絡がHITS-g RECORDSから来た。何を言われたのか理解に時間がかかるような言葉だった。その言葉をもう一度自分の中で読み直し、解釈してみたが、やっぱり現実を受け入れることができなかった。

今までのこと、これからのこと、とにかく詳しく聞かせてほしいと取材を申し込んだ。これがTYPHOON24の最後の言葉となる。これは後ろ向きな解散ではないということ。それをSENSHO1500が自らの言葉で証明してくれた。それぞれの道を進む3人ではあるが、きっとこれからもこの音楽業界に確実に足跡を残してくれるのだろうと思うことができた。ここで終わるわけでは決してないのだ。(interview:やまだともこ)


解散までの経緯

──単刀直入に伺いますけど、なぜ解散することに決めたんですか?

SENSHO1500: 最初はdaigoが抜けたいと言い出して、そこからですね。活動停止でもいいんじゃないかという意見や、来年いっぱい休んでもいいっていう選択肢もあったけれど、俺の中で誰かが抜けるって言い出した時点で終わるだろうなと思っていたんです。1回は活動停止にしようってところに落ち着いたんだけど、中途半端な発表をしたくなかったので、それだったら解散でいいんじゃない?って思ったんです。単純に活動停止っていう言葉が馴染まなかったので解散にしたんです。

──TYPHOON24の音楽をまだまだ突き詰めていきたいという気持ちはありました?

SENSHO1500:今までの音楽のこととかも考えた時に、ベタな言い方だけど3人で作っていたのかなっていうのはあったからそこは全然思わなかったですね。

──この3人でないなら続けなくてもいいんじゃないかと?

SENSHO1500: もっと言えばマネージャーの高際さん入れて4人。誰かが辞めるって言ったら解散っていうのは、高際さんと一緒に『RIOT』(2005年1月リリースのミニアルバム)をリリースした時から俺の中では何となく決めていたこと。

──daigoさんが抜けたいと言って納得できました?

SENSHO1500: daigoとは大学の時から一緒にバンドやってるし、そういうことを軽く言わないと思うから、最初から引き留めようとは思ってませんでした。30半ばに来て「お前やれよ」っていう言い方はできるけど、ロックをやる人間としてそれ言われてやってるようじゃダメでしょって思ったんです。

──miya38さんはどういう反応でした?

SENSHO1500: なんとなく言うかなっていう予想はあったかもしれないですね。すごい驚くっていう感じでもなかったけど、うーんって。

──TYPHOON24を辞めちゃうのは単純にもったいないと思いますね。

SENSHO1500: もったいないかもしれないけど、やれることはやったと思いますから。

──解散という言葉を敢えて使って完全燃焼するのはTYPHOON24らしいと思います。

SENSHO1500: 活動停止って使うバンドがあまり好きじゃないんです。中途半端なイメージになるから。

──お客さんもいつか再始動するんじゃないかって期待を持ちますからね。

SENSHO1500: 俺がお客さん目線だったらちょっと違う気がするって思う。

──でも、ブッキングが決まっていたライブはちゃんとやるところが、ファンとして嬉しいですよね。

SENSHO1500: ツアーに行ったり、さらに増やしましたからね。終わるじゃんっていうところで不安ではあったんですけどね。解散発表して一発目のライブがレッドクロスでしたけど、そこで一言言わなきゃなって、前の晩はサラリと行けそうな気がしてましたけど、本番前になったらどうしたら良いのかわからなくなってしまいましたが…。ピンクリボン軍の解散ツアーとか最後のイベントに出させてもらっていて、外から見る限り彼らは格好良く終わっていったんです。俺もサラリといく予定がそこで全部崩れましたね。これからのライブやツアーが大変だと思いました。

──解散発表したバンドがツアー全部キャンセルしちゃうこともありますけど、私はそういうバンドに対して理由がどうであれファンに対する責任は全然感じないんです。だから決まっていたツアーもやって、ワンマンで終わるというのはお客さんにしてみたら納得いく形にはなるかと思いますね。TYPHOON24らしいなって思いますよ、ファンを大切にする感じというのは。

SENSHO1500: そうですね。結局、“らしさ”というところで、異論がなかったんです。全てをきれいに終わらせることはできないからひずみは出るんだろうけど、最終ラインはお客さん目線ですから。

──解散を発表してからのライブとか変わりました?

SENSHO1500: ライブだからいい時もあるし、納得がいかない時もあるけど、この場所はもう来ないんだなって思いますね。逆にライブをやることに関して言えば、最後だからって変な力が出るわけではなく、最後だから必ずしも超いいライブができるわけでもない。そこはライブのいいところでもあり、難しいところでもあり。失敗できないけど、失敗もある。でも、ミュージシャンとしてはちょっとでもいいライブをやるっていう姿勢は変わってませんよ。

──daigoさんの脱退の理由は?

SENSHO1500: それはそれぞれの口からちゃんと言った方がブレがなくて良いですけど、今後の音楽活動は未定ですね。

──SENSHOさんは今後どうしていきたいとか考えてます?

SENSHO1500: 基本的にはバンドをやりたいですね。その時に、お客さんはハードロックを期待しているかもしれないし、そこを裏切っていかないと面白くない気もするし。TYPHOON24でやれなかったと個人的に思っていることができるバンドじゃないとやりたくないかなと思っています。ハードロックで育ったからハードロックはすごい好きですけど、次のバンドがそうなるかはわかりませんね。でも、近いうちにインタビューを受けられるような形にはなる予定でいるので大丈夫です。

──miyaさんと一緒にやろうというのは?

SENSHO1500: それは考えていません。結局ひとり抜けただけという見られ方も嫌ですから。


TYPHOON24が与えた影響

──10年間活動していていろんなポイントはあったと思いますけど、振り返ってみてどういう10年でした?

SENSHO1500: 遊びで始めたバンドが徐々に大きくなって、最初は俺もdaigoも他のバンドでメジャーデビューしていて活動できない時期があって、それからペース掴んでまたやろうかってなって、そこから始まりかな。それでmiyaちゃんが入って、俺が前のバンドで大阪に初めてライブに行った時に当時大阪に転勤していた高際さんに会ったんです。そこで飲みながら話をしたら音楽の趣味も似ていて、その後また飲む機会があって「僕はレーベルやりたいんだよね」って高際さんが言ってたんです。

高際:厳密には、その時「僕はHITS-g RECORDSっていうレーベルをやりたいんだよ」って言ったら、いつのまにかTYPHOON24が最初のインディーの音を出したときに勝手にHITS-g RECORDSって使っていたんです(笑)。俺に何も言わずに、ロゴまで作っていつのまにか出していた(笑)。

SENSHO1500:(笑)HITS-g RECORDSって、本気じゃないと思ってたもん。飲み場の席だし、盛り上げるために高際さんも大変だなって思って、でもそういうのも拾ってまっせっていうのを示したんですよ。その後、高際さんが東京に戻ってきて、 僕らはBEAT CRUSADERSとツアーに回って、その時にテレビアニメ『BECK』の話が来て。2005年6月からまたBEAT CRUSADERSとツアー回った時にTYPHOON24だけでやっていこうかなと。『BECK』のサントラと『RIOT』をリリースした時がすごいターニングポイント。それから、いろいろ物事が動いて、スケルトンズと対バンし始めたりして。

──TYPHOON24が活動をしていく中で、ハードロックを若いリスナーに根付かせたのは大きいと思いますよ。私もハードロックを聴いたことはなかったですけど、初めて正面切ってハードロックだと言ってる人たちに出会って、一番身近なハードロックでしたね。

SENSHO1500: 他にやってるバンドがいないから特異な存在になれるかなって。隠れハードロックなバンドが最近はちらほら出始めているのも嬉しいし、ちょっとぐらいはやれたかなって思ってます。

──HITS-g RECORDSには残ります?

SENSHO1500: 基本的には残りますよ。バンド単体なら解散して再出発はいくらでも考えられますけど、レーベルとなるといろんな絡みがあるから。ただ、そこまで目を向けられなくて、ライブ自体どうするんだっていう感じだったから、どうにもできないなとは思いましたけど。


あとは良いライブを魅せるだけ

──ライブはあと何本やられるんですか?

SENSHO1500: 東京と近郊だけになりますけど、年末を含めて6本です。

──レーベルイベント『Road to N.A.G. 006』で、スケルトンズとの2マンも最後ですもんね。

SENSHO1500: 彼らを残してなくなってしまうのは不安ではありますが(笑)。

──(笑)最後にシェルターで行なうワンマンは、話し合いをした結果ですか?

高際:どういう形で終わりを迎えるかというところで、年内で区切りをつけようということになったんです。でも、30日までSEX MACHINEGUNSのライブがあるし、大晦日のノーマルな時間にワンマンなんてできないから、いろいろ考えた末に今年一番お世話になったシェルターに提案をしてみたんです。そしたら西村さん(下北沢シェルター店長)も賛同してくれてワンマンができることになったんです。

SENSHO1500: シェルターってギターロックのハコだけど、気が付いたらスタッフ含めハードロックが好きみたいで。

──予定としてはワンマンはどんな感じになりそうですか?

SENSHO1500:ちゃんと話し合ってはいないけど、ダラダラはしないようにしつつ。

──結成して一番初めに作ったCDとか聴きたいんですけど…。

SENSHO1500: デモテープならありますよ。開場中のBGMぐらいにはできるかと。

──スケルトンズも会場には来るんですかね。

高際:スケルトンズもライナー(高円寺クラブライナー)の早い時間にライブがあるだけだし、ライナーでは毎年テルスターが朝方やってるんだけど最後だからって見に行きたいって、ファイナルをやるならライナーはそれまでに閉めるって言ってたんです。最初に話した段階では、まだシェルターは決定していなかったんですけど。

SENSHO1500:その話聞いたときに、アツくなっちゃいましたね。新曲作ろうかとも思いましたけど、それもお客さんを期待させる意味も含めちゃうから。今までやってたおもしろかっこいい部分をマックスに。あとは、いいライブを魅せるだけです。それは解散が決まっていても決まっていなくてもいいライブをやるのはバンドの財産ですから。

──最後に、お客さんに一言お願いします。

SENSHO1500: 10年間…無責任な形で終わることもあるけど、お客さんに対しては取れるだけの責任は取ったつもりです。複雑な思いはあるかもしれないけれど、音が出てる間だけは楽しんでもらえたらいいなと思ってますね。年内まではライブいっぱいやるので遊びにきてください。…でも、やっぱりしんみりしちゃいますよね。


Live info.

12.08(Sat)渋谷O-West
『HITS-g UNITED presents Road to N.A.G. 006』

18:00 OPEN/19:00 START
ADV 2,800 / DOOR 3,300
w)スケルトンズ

『Spirit of Rockman〜関東ツアー'07〜』
w)SEX MACHINEGUNS / KING
12.22(Sat)HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
12.25(Tue)横浜アリーナサウンドホール
12.29(Sat)目黒鹿鳴館
12.30(Sun)HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3

12.31(Mon)下北沢SHELTER
『TYPHOON24×1MANLIVETOKYO #FINAL』

OPEN 26:30 / START 27:00
ADV 2,500 / DOOR 3,000(1drink別)

TYPHOON24 official website
http://www.hits-g.com/

posted by Rooftop at 18:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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