ギター バックナンバー

スケルトンズ ('07年12月号)

スケルトンズ

二回転半して辿り着いた、80'sサウンドむき出しの『うた』

『オーロラ』以来、1年8ヶ月ぶりとなるスケルトンズのニューアルバム『うたをうたおう』がリリースされた。このアルバム、実は7月にリリースを予定していたものだったが、楽曲をこだわり抜いた結果、もう少し時間が必要となったそう。ようやく生み出された『うたをうたおう』は、スケルトンズが元々持っている胸をキュンキュン刺激する12曲。ドラムを打ち込みにするという新たな試みにチャレンジしながらも、サウンドは80'sを意識した、ある人にとっては懐かしく、ある人にとっては新鮮な個性を持った楽曲群。さらに、スケルトンズはライブでは今できる最大限のエンターテイメントを取り入れている。CDとライブがそれぞれ違った顔を持っていることも魅力のひとつ。これを機に彼らの音楽にぜひ触れていただきたい。(interview:やまだともこ)


『ザ・ベストテン』みたいな感じ

──早速ですが、10月に北沢タウンホールで行なった、初の2daysワンマンはどうでしたか?

千葉:楽しかったですよ。未曾有の体験でした。

──2007年の活動のポイントになるイベントだったんじゃないですか?

千葉:そうですね。アルバムをリリースして、ワンマン2daysをやろうというのは前から決まっていたことで、ポイントではありましたね。ただ、本当は7月にアルバムとDVDを出して、TYPHOON24とレーベルツアーに行って、帰ってきてワンマンの予定だったんですけど…。制作をしているうちに欲が出てきたり、曲数が増えたり、録った後にちょっと変えようってなったりして延びちゃったんですよ。『夢見るエブリデイ』(M-6)はドラムを録り終えてからニューウェイブ的なアレンジになったので、打ち込みにしようって急遽変えたんです。まっちゃん(松岡/Dr)は「叩く前に言えよ」って感じだったと思いますが(笑)。今までは録り直しってしたことなかったんですけど、今回はアルバムのミーティングをしている段階で今までとは違うことをやろうっていう話になって、音源に対してストイックにやってみようってサウンド面のプロデュースは基本的に南雲(G)がやったんです。

──歌詞は全曲千葉さんが書かれているんですよね?

千葉:そうです。『かえるのうた』(2nd.album/05.07.27リリース)で南雲や佐々木が書いた曲も入っていて、『オーロラ』(mini album/06.03.22リリース)で全曲書いたんですけど、全部自分で書いた方がまとまりがよかったんです。

──今回どんなテーマで曲を作っていったんですか?

千葉:もともとスケルトンズのテーマが「胸キュン」ということぐらいで、明確にこういうのっていうのはないんですよ。サウンド面はあったみたいですけど。

──サウンド面は80'sですよね。これは、千葉さんが純粋に聴いてきた頃の音楽になるんですか?

千葉:俺と南雲が同世代で、小学生とか中学生の頃に聴いてた歌謡曲。80'sって言っても洋楽っぽさとかはそれほどでもなくて『ザ・ベストテン』みたいな感じ。

──今までは正面きって80'sのサウンドに取り組むことってなかったですよね?

千葉:(80'sサウンドが)くると思ったんですよねー。明確に作戦立てたわけじゃないけど、そう感じてたんじゃないかな。

──千葉さんの言う胸キュンぽさと一番合うサウンドだと思いましたよ。

千葉:歌詞が決してイマドキではないですよね。一番青春の時代だったんじゃないですかね。だからといって、懐古主義的なものでもない。結局これしかできなかったっていうところではありますけど(笑)。二回転半して戻ってきた感じです。


目指すはドリフ。

──以前インタビューしたときにスケルトンズはスキマ産業だとおっしゃってましたけど、そういう感覚って今でも変わってないですか?

千葉:誰もやってないことをやりたいんです。結果的にスキマ産業になったとか売れなかった言い訳じゃなくて、狙いたいなっていうのはありますね。

──噂によるとメジャーを目指している…と?

千葉:そうそう、それけっこう本気(笑)。

──(笑)ということは、本気モードに来たのかなと。

千葉:寸劇とかもマジでやっていて、前から本気ではあったんですけど、楽曲が良かった分、これでより伝わるようになったんじゃないですかね。

──スケルトンズの場合、CDを聴いて想像したステージを良い意味で裏切ってくれるんですよ。

千葉:ライブ=エンターテイメントなんです。スケルトンズが定義するライブはショー。演奏するというよりは楽しませたいっていうのが大きい。前々から言ってたけど『WE WILL ROCK YOU』的なことがやりたいんです。この間のワンマンも最初は8割演劇をやるとかいろいろ考えてましたけど、レコーディングと並行してやらなきゃいけなくなって劇の割合は減ってしまったんですが…。

──ワンマンの時は劇団の方も出演されてましたよね?

千葉:最終的には劇団の人とコラボレーションしたいみたいなことでああゆう形になったんです。『トゲホネロック』でチアリーダーが出てきたときのあの華やいだ感じは、明らかに客席の雰囲気が変わりましたね。今まで味わったことがない感じでしたよ。

──音楽だけでライブを完成させないっていう方法が、より明確になってきたのかなっていう感じですね。

千葉:割り切ったというか、覚悟を決めたというか。ライブに関してはやるならとことんやろうと。ステージの構成もかなり練ってるんですよ。

──アドリブっぽい笑いのひょうきん族的というよりは、事前にネタを練り込んだドリフっぽい感じですね。

千葉:そう。ドリフを目指しているんです。MCもある程度話すことを考えておいて、行き当たりばったりなのはやめようってなったんです。ライブの間はお客さんに楽しんでもらいたいんです。

──80'sの音を出すということで、機材とかってこだわったりしてます?

千葉:本気でやるなら機材を借りてきたりできたらいいのは重々わかってたけど、それをできる状況ではなかったから、あるものの中でできる限りの音作りはしましたね。鍵盤はムーグを借りることができたので、それっぽい音を作る努力をして。

──アレンジは今までより時間をかけた感じはしますね。

千葉:サウンド面に関しては南雲にほぼ任せてました。責任感はあるんですよ。ただ彼らの性格でいくと、簡単なことからやっていくから、難しいものがどんどん後回しになっていく。理路整然とやれば取りこぼしもないのに、難しいものを後回しにするから最終的に入れるはずの音が入ってなかったりとか、最後のほうに全曲のソロをまとめて録らなきゃいけないとか…。大変でしたよ、最後のほうに詰まっちゃって。

──『うたをうたおう』は、全曲このアルバムを作るために作った曲なんですか?

千葉:そうです。

──一番新しい曲は?

千葉:『うたをうたおう』(M-12)ですね。

──このアルバムも前回に続いて、曲ができた順に並んでいるんですか?

千葉:今回はバラバラですよ。最後にこの曲がうまくハマったんです。

──『うたをうたおう』はスケルトンズらしい、みんなでうたおうという曲になってますね。

千葉:みんなのうた的なことはいつも意識してます。『ネコ』(M-8)は宇多田ヒカルの「ぼくはくま」を聴いて思い浮かんだ曲でもあります。

──…と言っても、挿絵にマヌケなネコが描かれてましたが(笑)。

千葉:(笑)マヌケなネコ。


スケルトンズはエンターテイメント集団!?

──今後の課題としては、ペース配分かもしれないですね。

千葉:そうなんですけど、このバンドでは無理かなって気づいたんです。あんまり意識しすぎるとストレスになるので…。ルーズで良いとかじゃなくて、それぞれの良い部分を伸ばせれば。各自の得意なこととか苦手なものはわかっているから、得意なものをのばすためにも責任の所在をはっきりさせるためにも、サウンドプロデュースは南雲にして完全分業だったんです。曲と歌詞に関しては、自分的にはすごく満足してできた。

──南雲さんがいなかったらこういう曲にはならなかったかもしれないですね。

千葉:まるで違うと思う。もっとダラッとしたものになる。

──アレンジでまるっきり変わったモノってあります?

千葉:基本的にまるっきり違う。でも、ちゃんと伝えるところはイメージを伝えてるからそこまでかけ離れてはいないんですよ。意外とそこの連携はよくできているので。

──全体的に合理的にできたんですね。

千葉:合理的なつもりだったんですけど、そういうことじゃ図れないことがたくさんあったので難しいですね。責任の所在をはっきりすることだけで人が変わると思ったら大間違いだった(笑)。責任を持ってる人間でも変わらないことは変わらない。次の課題はそこをどうするか。やり方的にはけっこう良かったんですけどね。

──千葉さんと南雲さん以外のメンバーは、曲作りで意見を言うことはないんですか?

千葉:全然ないですね。南雲が音にしたいイメージを「このバンドのこの曲を聴いておいて」とメンバーに伝えて、聴いてきて弾くという感じです。

──トニセンとカミセンの世代間は問題ないですか?

千葉:ないですね。まっちゃんは、もしかしたらメンバーの中で一番スケルトンズのことが好きかもしれないぐらい愛情を持っていて、南雲のこともリスペクトしているので…。

──スケルトンズって千葉さんが引っ張ってるイメージがありますね。

千葉:俺のバンドっていうふうに、みんながしてくれているんです。本当に引っ張ってるのは南雲なんですけどね。

──バンドの振るまい方も含めて、エンターテイメントみたいな感じなんでしょうか?

千葉:それもありますね。

──スケルトンズの次の構想は?

千葉:音源とかはどうなんですかね。まだ出たばっかりですからね。でも、新曲はできてますよ。

──『オーロラ』をリリースしてから1年半以上が経って、音楽に向き合う姿勢は変わりました?

千葉:音楽そのものに向き合う姿勢は変わってないです。でも、リスナーにどういう曲が求められているのか とか、スケルトンズで自分が何をすればよいのかっていうのはわかってきました。

──リスナーには、どういう曲が求められていると思いますか?

千葉:グッとくるというか、キュンとするというか、胸キュンというと安っぽいけど、そこなんですよ。永遠のテーマなんです。

──バンドの中の自由度はかなり高いですから、いろんなことができるんじゃないですか?

千葉:そうですね。あとは演奏力かな。そこが上がればもっと自由度があがる。バンドも年を重ねてきているので多少の変化はありつつ。

──南雲さんのギターも聴き所満載ですからね。

千葉:そこが肝じゃないかな。サウンド面に反映されてますね。唯一神様が与えてくれたもの(笑)。あれで寡黙なギタリストだったらすごいかっこいいんだけど、寸劇で一番前に出ようとするからあいつは残念なんです(笑)。プレイ中には絶対遊ばないからその反動があるのかもしれないですね。

──そういえば、『f.U.Y.u』(M-11)は『n.A.T.u』とパターンが似てないですか?

千葉:似せてるんです。使ってるコードも構成もほぼ一緒で、歌詞とメロディーがちょっと違うだけ。サビのコード進行は全曲一緒。だから歌ってて、間違えちゃう(苦笑)。

──2008年のスケルトンズはどんな活動を?

千葉:月並みになっちゃいますけど、できる範囲で無理せず。『うたをうたおう』に入れた曲がけっこう粒ぞろいで、全部乗せラーメンみたいだねって話をしていて、あと1曲入れなかった曲があるからそれは録りたいな。あとは…メジャーデビューをしたいですね(笑)。12月8日のレーベルナイトは、TYPHOON24とやるのは最後になるのでぜひ来てもらいたいです。

──レーベルメイトとして、TYPHOON24の解散はどう感じました?

千葉:前向きな人間なのでバンドが解散するって言っても、その次が楽しみな人なので特に何もないんです。SENSHO君はスケルトンズに入ればいいのに。俺ら、ベースがいないからmiya38さんに入ってもらって。daigoさんがまっちゃんと変わって。吸収合併だね(笑)。


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うたをうたおう

PRCD-006(ポンゴリックレコード/HITS-g UNITED)
2,400yen (tax in)
IN STORES NOW
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Live info.

12.08(土)渋谷O-West
『HITS-g UNITED presents Road to N.A.G. 006』

OPEN 18:00 / START 19:00
ADV 2,800 / DOOR 3,300(1drink別)
W)TYPHOON24

12.31(月)高円寺CLUB LINER

スケルトンズ official website
http://www.hits-g.com/skeletons/

posted by Rooftop at 19:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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