10年越しの対談が実現!
左のページに続き、planeのアルバムリリース特集です。こちらでは、planeがバンドを始めた当時から付き合いがあり、日頃から相談に乗ってもらっているというアンダーグラフの真戸原さんを迎えての対談。ソングライターであり、メロディーメーカーであり、ボーカリストであるという同じ立場にいるお二方。出会ってから10年が経過し、常にお互いバンドとして、ボーカリストとして成長を意識しながら、今日に至る。今回は、planeがアルバム『locarizer』を、アンダーグラフがシングル『セカンドファンタジー』をリリースするということで、お互いの作品の話から、今後のことまで、「今日、初ライターやねん」といつのまにかライターと化した菊地さんが奮闘したおかげで、普段のインタビューでは聞けないお話もたくさん聞くことができました。「10年後にこうやって対談ができることが嬉しい」とおっしゃっていた言葉通り、とても嬉しそうに話をしていました。その雰囲気をお伝えできればと思います。(text:やまだともこ)
辞めちゃうんじゃないかという時期があった
──お二人は大阪にいた頃からのお知り合いなんですよね?
菊地:出会いは大阪城公園でストリートライブ(通称:城天)をやっていた頃で、10年来の付き合いですね。出会ってからしばらくして、アンダーグラフが東京に行くっていきなり言い出してですね。その時、「行かんほうがええんちゃう?」って誰かを止めてんな。そこからお互い2004年にデビューしたんだよね。
真戸原:planeは賢く計画性をもってやってきたんだよね。
菊地:ちゃうちゃう。僕らも東京に出てメンバーと一緒に住んでいたからアンダーグラフと状況は一緒でしたよ。そこに遊びに来てくれましたもんね。
真戸原:社交辞令ですよ(笑)。
菊地:いやいや(苦笑)。ところで、アンダーグラフは11/21に7枚目のシングル『セカンドファンタジー』が出ますね。どうですか、リリースするにあたって。
真戸原:がんばっていかなあかんなと思ってますよ。
菊地:この曲はサビに行く前のメロディーの感じがポイントだと思いました。
真戸原:初めてできた転調の曲やね。あまり自分ではやったことがなかった。ギターのコードネームが思いつかない感じの曲を意識して作りました。
──『セカンドファンタジー』は、曲ができなかった時期を乗り越えてできた曲だとライブで言われてましたよね。
菊地:まとさんでも曲ができないことがあるの?
真戸原:あるよ。一人で作るからね。
菊地:今回、ですます調がいつもより強いよね。曲ができない時ってどうしてる?
真戸原:詞を書いてみて、わからんところはわからんって無理をしないで真正面に向き合ってみたらできたんだよ。『セカンドファンタジー』は気持ちよく聴ける曲にしたくて、今の感じになったんです。
菊地:僕は、半身浴しながら『セカンドファンタジー』をいつも聴いてるんですよ。
真戸原:半身浴しながら…(笑)。
菊地:一番リラックスできる状態で聴いてんの。
真戸原:服着て聴いてよ(笑)。
菊地:(笑)2曲目の『9[ナイン]』は野球がテーマになってますよね?
真戸原:違うよ。10点じゃなくて9点でも良いんだよっていう話なんだよ。
菊地:そういう意味なんや。歌詞に“グランド”とか出てくるし、まとさんは野球やってたから、野球の歌やと思ってた。もう一回聴き直さないとな。でも、野球こそまさに10点満点じゃなくていいスポーツじゃないですか。イチローさんの名言がありますよ。「3回打って1回ヒットを打ったら」いいって。
真戸原:そうやな(苦笑)。
──お互い新しい作品を聴いてみてどう感じました?
菊地:アンダーグラフやなと思いましたよ。イントロの音がいいですよね。あれは凝ったんじゃないですか?
真戸原:(笑)全部凝ってるよ。
菊地:でも、イントロって一番大事じゃないですか。
真戸原:planeは常に変わり続けてるよね。僕らの知ってる頃のplaneよりも成長してる。4人ありきでちゃんとやってるね。
菊地:ありがとうございます。でも、まとさんだって変わってるでしょ?
真戸原:歌のスタイルは変わって来てる。あとは、メンバー仲良くやって欲しいな(笑)。
菊地:今一番仲良いですから。それより、大阪で出会って10年後にこうやって対談ができるって嬉しいですね。お互いデビューできてよかったですよ。最近のアンダーグラフは何しているんですか? 毎日、アンダーグラフのホームページは見てんねん。
真戸原:(笑)ありがとう。ずっとアルバムのレコーディングをやってるよ。
菊地:アルバムに入れる曲はどうやって決めるの?
真戸原:だいたい俺が決めて、メンバーにこういう流れでやろうって言う。
菊地:反対の意見が出たら?
真戸原:話し合って決める。その意見のほうが良かったらそっちに決める。
菊地:そういうのはplaneも一緒やね。
真戸原:でも、スタジオの雰囲気は俺らの方がいいと思う(笑)。
菊地:俺らもめっちゃええで。一時期はほんまにヒドかったけどな(苦笑)。そういうのでも悩んでて、話を聞いてもらっていた時に、まとさんの名言があるんですよ。「菊地君、やさしさの距離感やで」って。やさしさの距離感が必要だと。ええこと言うなあって思いましたよ。
真戸原:菊地君はまじめに考えすぎてメンバーとも近い距離で付き合おうとしていたから、そうじゃないと。
菊地:勉強になりましたね。まとさんとは会うと音楽の話をするんです。ポイントポイントでそういう話をしてますよ。僕からしたらお兄ちゃんなので。
真戸原:バンド暦は先輩じゃないですか。
菊地:こういう芸人さんみたいなややこしいことを言うんです(笑)。
真戸原:(笑)もうバンドは長くやってるよね?
菊地:11年目になりました。
真戸原:辞めるんちゃうかなと思ったことがあったけど、なんやかんや続けてるよね。だから、好きなんやろうなって思いましたよ。
菊地:好きなんかな。そう考えると自分でもよく続いてると思いますよ。
東京に出てきてからも苦労の連続
──お互いライブを見ていて刺激を受けることはあります?
菊地:ライブを一緒にやったのは昨年(2006年8月9日@なんばHatch)でしたよね? ライブを見るって、若い時を知ってるのでお互い恥ずかしいですよね。
真戸原:おちょくりたくなるよね(笑)。
菊地:なるなる(笑)。ステージに出て行きたくなんねん。ストリートのときは横で見てたりとか、ドラムの後ろに座ってたりとかしてたから。
真戸原:ストリートのときはいろいろあったよね。
菊地:アンダーグラフは東京に来てもストリートやってたんだよね。 東京出て2年ぐらい離れていたからアンダーグラフの苦労を知らんねん。一度話をしたときに、チケットを売るのが大変やとかライブでノルマを払ってるとか言ってたけど。僕らは温室育ちやからノルマはあんまり払ったことがなかったんですよ。だから、東京に行ってもすごいなって思ってました。
真戸原:planeは貧乏なイメージがないもんね。いつも服買えてたでしょ。最近の服を持ってたよね。そのへん、ちゃんとメンバーのことを考えて先を見据えた活動をしていたけど、僕らはそうじゃなかった。
菊地:東京行って苦労した分、ひとまわりもふたまわりも成長したんですね。
──音楽的に魅力を感じるところはありますか?
真戸原:昔、菊地君にアンダーグラフがインディーズの時に作ったCDを聴かせて言われたことが2つあるんです。1つは「ちょっと昔の感じですね」、もう1つは「デザインどこでやったんですか?」。
──それだけですか?
真戸原:それだけ(笑)。
菊地:(笑)人の音楽をどうこう言われへんねん。俺よりまとさんの方が音楽好きやもん。
真戸原:菊地君は思わず聴きたくなるメロディーを出すから、弾き語りを聴いてみたい。
菊地:難しいテーマを出すね(苦笑)。僕は弾き語りは苦手だけど、まとさんは今でも弾き語りをすんねんな。
真戸原:この間大宮で歌ってたら、オバチャンが「上手いねー」ってアメをくれました(笑)。
菊地:すごいやん。今度誘ってくださいよ。でも、まとさんにひとつ言いたいことがあって、メールにplaneの歌詞を打ってくるのはやめてほしい。新曲出たら歌詞をメールしてくるでしょ。それやめてくれへん? 今回だって、歌詞の後に「取材呼んでくれてありがとうね」って(笑)。
真戸原:印象に残った歌詞をね(笑)。それだけ耳に残ったよってことだからいいんじゃない?
菊地:俺はメールが苦手だから返さないんだけど(苦笑)。
真戸原:昨日も「明日お願いします」っていう、たった1行のメールのメールを送ってきたよね(笑)。
──ボーカル・ギターとしてお互いを意識していることってありますか?
菊地:この間の東京のライブ(アンダーグラフ@LIQUID ROOM Ebisu)に行った人に聞いたところによると、まとさんがすごい動いてたと。それがすごい。僕は動かないんですよ。板付き系ですもん。次のアルバムでギターを持たない曲をやるので挑戦してみたいですね。そういえば、まとさんはライブで歌詞とか間違える?
真戸原:歌詞は間違える。
菊地:注意される?
真戸原:されるよ。ギターの阿佐に。コーラスだから。
菊地:よしお(planeのベース木田)は、僕がコーラス間違えたら一緒に合わせてくれるの。で、間違って歌った!って、動揺してCメロ忘れたと思ったらずっとコーラス歌ってる。
真戸原:Cメロ忘れるの? ちゃんと歌いや(笑)。
菊地:Cメロ忘れてるときあるやん。
真戸原:ないよ。
菊地:あるやん。あと、お客さんが一緒に歌ってくれてるときって緊張せいへん?
真戸原:いや、嬉しい。ありがとうって思うよ。
菊地:ありがとうって思うけど緊張する。お客さんに気を取られて間違えそうになる。
真戸原:(苦笑)それはないわ。
菊地:…すごいね。
まずは一緒にアコースティックのライブを!
菊地:現在アルバムを制作中だそうですが、次はどんなアルバムになりそうですか?
真戸原:ロックや歌謡曲までいろんな曲をやろうと思ってますよ。
菊地:アルバムの曲は録り終わってるんですか?
真戸原:うん。
菊地:前に出したアルバムでパーカッションの曲(『ハロー ハロー』/ 1stアルバム『ゼロへの調和』)あったでしょ? あれ、楽しそうでええよね。そういうのを僕らもやっていこうかな。
真戸原:アルバムでやってみたらいいんじゃない?
菊地:勉強になりそうだから、今度アンダーグラフのスタジオを見学させてもらおうかな。他にも聞きたいことがたくさんあるんだけど、ライブのMCはどうやってる?
真戸原:最近は前もって考えないでやってる。
菊地:へえ。お客さんの反応はどうですか?
真戸原:いいよ。そのほうがいいと思う、ライブって。
菊地:とりとめなくなるときない?
真戸原:ないよ。MCは考えていないんだけど、考えてないと関西弁にもなるし、考えると標準語になるけど、綺麗な言葉で話そうとか止めたほうがいいと思うよ。自分の言葉で言ったほうがわかりやすい。
菊地:勉強になりますね。なっかん(中原.Ba/アンダーグラフ)のMCはすごいなっていつも思うけどな(笑)。あっ、ひとつ思い出したわ。前に、なっかんが買った機材が自分のパソコンじゃ使われへんくて、よしおくんがもらって使ってんねん。そのおかげでplaneは打ち込みの曲をライブでできてん。なっかんにそれをもらわなかったら『signal』(ニューアルバム『locarizer』)とかできてないの。なっかんありがとう。ところで、アンダーグラフの次のライブはいつでしたっけ?
真戸原:東京だと11月3日の学祭ですね。
菊地:学祭ってどう?
真戸原:楽しいよ。
菊地:パワーがすごいよね。昔出た学祭は乾杯してからライブしたわ。あと、ライブをやってる前でプロレスが始まったり、待合室で待ってたらX JAPANのコピーバンドがやってたりしてたね。学祭じゃないと見られない風景だよね。アンダーグラフは学祭にたくさん出るから、見てくれる生徒の皆さんに一言。
真戸原:それはライブに来てくれた人に言いますよ。
菊地:古田か、お前は!
一同:(笑)
──学祭と普段のライブはどう違います?
真戸原:学祭はお祭りですからね。僕らの音楽を知らない人も見てくれているけど盛り上がりますね。
菊地:でも、その中には普段ライブに行かないという人もいるわけでしょ。どう盛り上がっていいかわからへん時はどうしたらいいんでしょうね。
真戸原:僕らの場合は、手拍子とか一緒にしてくれたら楽しめると思いますよ。
菊地:最後に…今年も終わりますので、2008年に向けて一言。来年アルバムが出ますからね。
真戸原:planeには負けへんようにね。
菊地:音楽は勝負じゃないから。負けるとか勝つとかだめだから。30代の1歩目でしょ。
真戸原:自然体で行く。2007年は違ってん。30になって思考回路が少年のようになってきた(笑)。
菊地:全力少年でお願いします。
真戸原:それスキマスイッチや。じゃあ、炭酸少年で行きますよ(笑)。
菊地:あかん。炭酸は気が抜けてまう! 来年は2マンとかできたらいいですね。まずはアコースティックのライブやりましょうよ。「ボーカルとしてもっと自覚をもたなあかん」と、この前まとさんに怒られてますからね。がんばりますよ。
アンダーグラフ
セカンドファンタジー
FLCF-7143 / 1,050yen(tax in)
11.21 IN STORES
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★iTunes Storeで購入する(PC ONLY)
Live info.
アンダーグラフ
11.02(Fri)愛知大学(豊橋校舎)学生会館1F大ホール ※学園祭
11.03(Sat)学習院 目白キャンパス 100周年記念会館 ※学園祭
11.04(Sun)阿南市市民会館ホール
11.11(Sun)日本福祉大学(美浜キャンパス)文化ホール ※学園祭
アンダーグラフ official website
http://www.under-graph.com/