ギター バックナンバー

moools ('07年11月号)

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祝!モールス(moools)結成10周年!
その独創的かつ徒然な魅力に迫る!

1997年の結成以来、モデスト・マウス、フォーク・インプロージョン、キャルヴィン・ジョンソン、ブラッドサースティ・ブッチャーズ、スパルタローカルズなどなど国内外、メジャー/インディ、ジャンルを問わず幅広いラインナップとの共演を果たし、その唯一無二のパフォーマンスにより共演者からの賞賛と支持を得ているモールス。結成10周年を記念して初のワンマンライヴを行うと同時に、廃盤状態が続いていた1999年発表のファースト『光ファイバー』と2000年発表のセカンド『マジック200』が貴重なボーナス・トラックを収録した2枚組仕様で再発決定! 10周年を迎えてさらに磨きのかかるモールス流の脱臼ポップソングはどのような背景で生まれ、そして今後どのように続いていくのか…酒井泰明(Vo&G)と 有泉充浩(Ba)にじっくり語ってもらった。(interview:横山マサアキ)


売れるアドバイスなんて出来るわけがないし(笑)

――まずは結成10周年おめでとうございます!

酒井:ありがとうございます。

――この10年間をざっと振り返ってどうですか?

酒井:記憶が曖昧な部分も多いですが、なんとか10年間やってきましたって感じです。

――苦労が多かったですか?

酒井:ん〜、そうですね。でもバンド活動は順調だったのではないかと…。具体的にライブの本数が劇的に増えたとか作品をリリースするスパンも変わらなかったので、比較的苦労もなく自由に活動することができました。

――なるほど。劇的な音楽環境の変化はなかったんですね。

酒井:そうですね。活動を休止したりする冬眠期間みたいな時期もなかったんです。ずっと続いていたって感じですね。ただしプライベートは激動な10年間でしたけど(笑)。

――ははは。

酒井:プライベートは現在進行形で「激動中」です(笑)。

――有泉さんはこの10年間はどう思っていますか?

有泉:ん〜、月並みですが「長いようで短いようで」って感じですね。

――10年続けてこられた理由って何だと思いますか?

酒井:肩に力を入れずにいい意味で気楽に活動してきたし、誰かにケツを叩かれながらでもなく、ある程度ライブにしても作品のリリースにしても自由にやらせてもらっていたからではないでしょうか…。メンバー同士の年齢も近いし友達という感覚も多いので、あまりストレスになるような要素がなかったのだと思います。

――バンド活動におけるストレスって具体的にどんなことですか?

酒井:主にライブを決める際にスケジュールの関係で揉めたりだとか、お互いの仕事との兼ね合いだとかの問題が多いと思うんですけど。

――そのあたりは特に問題なく進めてこられたんですね?

有泉:はい。いまだにそういう問題で揉めたことはないですね。

――素晴らしいですね(笑)。それだけメンバーがモールスに関わる時間を大切にしているということですね。

酒井:もちろん周りのバンドに助けられましたし、構ってくれる人たちがいてくれてラッキーだったんですけどね…。いい加減な部分と真剣な部分を持ち合わせているバンドが周りに多かったせいなのか、のらりくらりと続けられたんでしょうね。

――今までのことを感傷深く振り返ったりすることはありますか?

酒井:現実的なところで、対バンの年齢が10ぐらい年下ってことが多いから「あぁ、10年やってきたんだ〜」とは思いますね。

有泉:あまり気にしてはいないんですけど、「先輩!」みたいに接してくるバンドも多くなったなぁと(笑)。

酒井:でも若いバンドから「バンドを長く続ける秘訣って何ですか?」ってよく聞かれるんですけど、まったくアドバイスは出来ないんですよね(笑)。「僕には才能がないのでしょうか?」って相談されるんだけど、それは「曲を作る才能」なのか「売れる才能」なのか、どちらのことを指しているのか理解できないんです。そもそも売れるアドバイスなんて出来るわけがないし(笑)。

――それは相談した本人も理解してないと思いますよ。バンドを始めた当初は「長くのんびりやろうよ」って始めても、10年という時間の中で価値観の変化や環境の変化があるのは当然だとは思うんです。その変化の中で、ひとつのバンドを続ける気持ちはどういうものなのでしょうか?

酒井:曲を作るペースもバンドを始めた当初から変わってないんですね。だからマンネリ化していく感じがまったくないんです。

――いまだに新婚夫婦のような関係であると。

酒井:はい(笑)。他のメンバーにはまだ聴かせていない新曲のアイデアが常にあるんですよ。「次はどんな曲を作り上げようかな?」っていう気持ちが自然に生まれてくる感じですね。だから一息ついてみようと思ったことはないですね。

――創作意欲のペースがまったく落ちてないんですね?

酒井:はい。頭の中には常に新曲のモチーフが入っているし、常に課題があるんです。

――それを10年持ち続けられるということは幸せなことだと思いますよ。好きで始めたことでも、続けていく中で気持ちが磨り減ってしまうことが多いですよね。

酒井:とはいっても、新しい刺激を求めて最新の音楽をくまなくチェックしているわけではないんですけどね。それがモールスの難点だと思います(笑)。

――10歳以上年下のバンドと競演したりコミュニケーションすることも多いですよね?

酒井:はい。

――例えば自分が10代だった頃は30歳以上のミュージシャンの音楽を聴いても、一部例外を除いてはあまりリアリティを感じなかったんですね。「なんだか古くさいロックをやっているな〜」と。

酒井:そうですか(笑)。

――失礼なことを承知で聞きますが、「30過ぎているミュージシャンなんてオッサンだし、感覚やセンスが古いんだろうなぁ〜」とか、若い世代に思われたりすることに不安はないですか?

酒井:同世代がやっている音楽でもピンとこないものもあるし、若い世代がやっている音楽に感銘を受けることもあるし、年齢は関係ないと思いますね。

――なるほど。

酒井:そもそも若いバンドにモールスがどう見られているのかはさっぱりわからないです(笑)。

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「いかに自分が納得した音楽を作れるのか?」が大事

――若いバンドからは多大なリスペクトを受けていますよね。

酒井:「競演してください」ってイベントにもよく誘ってくれるのですが、モールスのどこを評価してくれているのかは理解できないですね(笑)。

――モールスの魅力って自身ではどんな所だと思いますか?

酒井:ん〜、正直なんとも言えないです。100人中100人が好きになってくれるとは思わないですし、好きになってくれる人が少なからずいるってことは何かしらの魅力があると思いますが。

――その魅力を自分で理解したいとは思いますか?

有泉:皆には理解して欲しいとは思いますが、自分で理解しようとは思わないです。だから観にきてくれる方々に「モールスのドコがいいの?」とは聞かないですね。

――仮に恋愛に例えるなら、「私のドコが好きなの〜?」って聞くことで自己確認をして安心することもあると思うのですが...。

酒井:でも言葉で説明するのが不得意な人もいるだろうし、ライブを観にきてくれる人でも、感想を言わずにサッと帰ってしまう人もいるし…それぞれだと思いますよ。たまに頼んでもないのに「モールスの何が素晴らしいか」をガンガン一方的に語ってくる方も稀にいますが(笑)。

――そういう「モールスの何が素晴らしいか」を一生懸命に説明してくれる方をどう思いますか?

酒井:ありがたいと思うのでしっかり聞いています(笑)。

――ははは。それでは「モールスはこうであらねばならない」みたいな目標はあったりしますか?

酒井:俗に言うステップアップ的なことはあまり考えてはなかったですね。

――例えばメジャーデビューやCDリリース、ライブの動員、会場の大きさなどを目標とするならば、ある程度バンドの達成度や充実度は計れるとは思うんです。そういう数字的に見えやすい結果を意識したりしますか?

有泉:まったく意識をしていないと言えば嘘なんですが、それよりも「いかに自分が納得した音楽を作れるのか?」が大事なんでしょうね。

――なるほど。モールスはその感覚のままコンスタントに活動できているので希有な存在だと思います。

酒井:ただただ10年続けているっていうバンドは多いとは思うのですが、バンドの自由度が高い状態で1年に1枚ぐらいのペースで何かしらの音源をリリース出来たりするので、環境は本当に恵まれているとは感じますね。

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今回のアメリカツアーはまさに10年の集大成

――10周年記念企画としてファースト『光ファイバー』、セカンド『マジック200』がカップリングで再リリースとなりますね。

酒井:はい。何年も前から廃盤になっていて手に入らない状態だったんです。「どこで手に入るのですか?」っていう問い合わせも多くて、今回10周年ということで再リリースするのが良いタイミングなんでははないかと...。

――リマスタリング&未発表音源も収録ということで、改めて最初期の音源を聴いてみてどうでしたか?

酒井:恥ずかしかったです(笑)。でも1曲1曲聴くたびに、レコーディングした場所だとか、どういう気持ちで作ったかを思い出して考え深かったですね。ファースト・アルバムをリリースした時のドキドキしたりモヤモヤしたりした気持ちや風景が甦ってきました。

――僕もモールスとは長い付き合いになりますが、「ついに出来上がったんだよっ!」ってファースト・アルバムを四谷フォーバレーで手渡されたあの場面は思い出せます(笑)。当時は今と違ってデモ音源なんかはカセットテープだったから、流通するCDをリリースすることには重みがあったんですよね。

酒井:はい。だから必死で作っていたことを思い出しました。

――そしてモールスは当時からUSインディバンドとの交流が多かったですよね?

酒井:そうですね。ファーストのレコ発もザ・クラブス(USアナコーテス出身のインディバンド)のジャパン・ツアーに同行という形でしたし。

――そういえば最近までアメリカツアーに行ってましたよね?

有泉:はい。体力的にはかなりしんどかったです。正直、しばらくツアーには行きたくないです(笑)。2週間以上連続ライブでオフの日が1日もないので気が休まる日がなかったんですね。

酒井:例えば日本でのツアーであれば基本的にリハーサルがあるし、仮に初めて出演するライブハウスだとしてもなんとなくのイメージが出来るんですけどね。アメリカの場合はバンが着いて、すぐセッティング、すぐライブって感じなんですよね。そんでもって会場は普通の人が住む家みたいなところもあるし、はたまたデカイ会場もあったりしてかなり揺さぶられることが多かったんです。それでライブが終わったらすぐ機材を片付けて移動みたいな…。

――でもその経験でバンドが強くなったりしますよね?

酒井:そうですね。まさに修行みたいな感じで。スリル満点でした(笑)。

有泉:テンションをキープしたり、短時間で気持ちを上げなくてはいけなかったリとかは勉強になりましたね。

酒井:機材に関しても普通にボロボロだったりするので、それでも対応できる曲順にセットリストを変更したりだとか...。

――なるほど。そんな過酷なツアーを終えて、ライブに対して意識が変わったことなどはありましたか?

酒井:体調管理だとかフィジカルな部分が大切だと思いました。でも演奏が始まってしまえば、アメリカの観客の方がわかりやすい反応を示してくれるんで、やりがいは非常にありましたね。

――モールスにとってアメリカ・ツアーやUSインディ・バンドはどういった存在なのでしょうか?

酒井:何の因果かRBF(レベル・ビート・ファクトリー …『光ファイバー』『マジック200』発売当時のリリースレーベル)やK(キャルヴィン・ジョンソン主宰のUSオリンピア産インディレーベル)との付き合いから、USインディ・バンドの来日ツアー・サポートをするようになって、その後自分自身のバンドでアメリカにツアーに行くようになるなんて何か因縁めいたものがあるのかなぁとは感じますね。モールスとして活動していた10年間でアメリカ各地にバンド友達のネットワークが出来たんで、今回のアメリカツアーはまさに10年の集大成と言ってもいいのではないかと思います。

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ワンマン・ライブは10年分頑張りますんで!

――ところで初のワンマン・ライブ(11月16日下北沢SHELTER)が間近に迫っていますね。

酒井:このタイミングを逃すと、もう永遠にワンマンライブが出来ないんではないかと。今なら10周年っていうお祝いで皆ライブに来てくれるんではないかという下心です(笑)。

――ははは。

酒井:特にワンマンということに思い入れはなかったんですけど、バンドたるもの、いつかはワンマンをやらなくてはいけないだろうってこともウスウス感じてはいました。単純に10年やってきて曲も増えたってことも大きいですね。

――ではセットリストも新旧織り交ぜて長時間演奏する感じですか?

酒井:そうですね。このライブを観てくれればモールスの歴史が総括できると思います。

有泉:いつもは皆が飽きないうちにパッと去っていくんですが、ワンマンは皆を飽きさせるくらいタップリやろうかと。

――ワンマンということで特別に気合いが入ったりする部分はありますか?

酒井:じっくりとゆっくりやろうとは思っています。それと…いつもはライブハウスや対バンに迷惑にならないようにリハーサルも短めで切り上げていたんですが、ワンマンなんでリハーサルも気が済むまでやってみようと思います(笑)。

――他にワンマンならではの企画はありますか?

酒井:個人的なんですけど…1回のライブでギターを持ち変えるっていうのが夢なんですけど。

――(笑)ローディーがギターのストラップを持ち上げて待っていてくれるみたいなことですか?

酒井:ライブハウスにアンプを持ち込んだこともなければ、サブのギターを用意してきたこともないんです。そういうプロっぽいことをしてみたいですね。

――その程度ならいつでもできるでしょうに(笑)。では最後にルーフトップ読者に一言どうぞ。

酒井:ワンマン・ライブが決まっちゃったんで観にきてください(笑)。

――「決まっちゃった」って…そんな受け身ではダメですよ(笑)。

酒井:では頑張ります。

――簡潔すぎますよ(笑)。では気を取り直して有泉さんどうぞ。

有泉:ワンマン・ライブはぜひ観にきてください。10年分頑張りますんで!

――その調子です。

有泉:本当は酒井もやればできる子なんですよ(笑)。 (ここで内野正登/Dr.が仕事帰りのスーツ姿で到着)

内野:遅れてすみません(笑)。

酒井+有泉:もう終わっちゃったよ(笑)。


now printing

レベル・ビート・ファクトリー・イヤーズ

epcd 041/2 / 2,700yen (tax out)
12.08 IN STORES
CDアルバム2枚組31曲
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★iTunes Storeで購入する(PC ONLY) icon
Disc 1 : 光ファイバー+6
1. 光ファイバー
2. チャーミーグリーン・ソー・チャーミー
3. マイクテスト マイクテスト
4. フランダースの犬
5. ハッピーターン
6. 花言葉
7. 盆地の夏
8. バオー・来訪者
9. イルミネーション依存症
10. 言葉の意味はよくわかるからすごい自信ない
11. なわとびの前で (Alternate Version)
12. イエスタデイをうたってをうたって
13. イルミネーション依存症 (Alternate Version)
14. 温床の都 (Alternate Version)
15. 白地図
16. 盆地の夏 (Live at Yoyo A Go Go 1999)

Disc 2 : マジック200+5
1. めまいセロハンごし
2. A.B.K.B.
3. デカール
4. 鳥と歌おう
5. ダイヤの大幅な乱れ
6. やさしさ
7. UV/紫外線
8. バースデイ
9. なわとびの前で
10. インドラの網
11. 言葉の意味はよくわかるからすごい自信ない (Alternate Version)
12. キャッチ&リリース&キャッチ
13. 公園・写真
14. ホイッスル (Alternate Version)
15. 花言葉 (Alternate Version)

Live info.

moools 10 Years Anniversary One-man Live
11.16(Fri)下北沢SHELTER
OPEN 19:00 / START 19:30
ADV. 2300 / DOOR 2800
moools

7e.p. 5 Years Anniversary Show
12.14(Fri)渋谷O-NEST
OPEN 18:00 / START 18:30
ADV. 2500 / DOOR 3000
Maher Shalal Hash Baz performing "L'Autre Cap"
moools performing "モチーフ返し" featuring 植野隆司(Tenniscoats) & 石田真人(Ocean, Venus Peter)
OGRE YOU ASSHOLE performing "アルファベータ vs. ラムダ"
plus Special Secret Guests

moools official website
http://www.moools.com/



posted by Rooftop at 19:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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