ギター バックナンバー

DISK RECOMMEND part-2('07年10月号)


Discharming man / THE END
5B-06 630yen (tax in) / IN STORES NOW

7月に発売された3曲入りシングル『いた』から間髪入れずに発表されたDischarming manのニュー・シングル。『いた』の収録曲がいずれも蛯名啓太の内省的なパーソナルが滲み出た作風だったのに対し、この『THE END』の3曲は真正面からのバンド・サウンドとなっている。昨年秋のシェルター・ツアーズ札幌編で観たディスちゃんのバンド編成にはシビレまくったものだが、先月ユニットで行なわれたNahtのレコ発で観た新たなバンド編成にはそれ以上の衝撃と昂揚感とスリリングな瞬間が確かにあった。今回のシングルはその現時点でのバンド布陣(ベースはSPIRAL CHORD・現動氏の細君とのこと)によるレコーディングであり、表題曲『THE END』のイントロでいきなり性急に連打されるドラムの音を聴いた途端に思わず小躍りしてしまう。これだよこれ! 俺が求めていたのはこれなんだよ! と思わず批評行為を放棄したくなるほどの胸の高鳴りを覚える。たゆやかな川の流れを想起させるメロディと蝦名君独特の無垢な歌声に混じり合う鋭角なバンド・サウンド。そして絶え間なく浮遊するメランコリックな叙情性。完璧だ。粘着質なリズムと重いギター・リフがうねりながらも清涼感に溢れた『また遭う日まで』、キーボードのリフレインが耳に残る『怯えた剣』の2曲のカップリングも実に良い。あれだけけたたましいドラムが一貫して鳴り響いているのに、まるで羽根がゆっくりと空を舞うような静穏さがあるのが不思議だ。この何とも言えぬ不思議な音の広がりこそがDischarming manの真骨頂なのである。それはミニマムな打ち込みであろうとバンド編成であろうと変わらない。当初、Discharming manが形になるまであと3年は掛かると話していた蛯名君だったが、現時点でだいぶその輪郭が具現化したのではないかと思う。


Rooftop編集長:椎名宗之


竹内電気 / knock!knock! / do not disturb
CLA-30012 800yen(tax in) / 10.03 IN STORES

PVとメイキングを収録したDVDが封入された本作はなんと! 税込み800円。価格に負けない位、強烈なインパクトを与えるバンド名とヴィジュアル! ポップス界には珍しく、ぶっ飛んだライブを見せる彼等。くねくねと踊りながら弾くギターに思わず感電者続出! そして、あくまでも自らが放つ音は「J-pop」。感動の嵐を押し売りにした楽曲が多い昨今の「J-POP」。彼等は、まさに異端児っぷりを多いに発揮。最高です! まだまだ秘めているであろう、異彩な才能に期待しつつ、いつしか日本全国を感電させてくれる日を楽しみにしています。また新宿ロフトに出演してくださいね。東京からラブコール♪


SONG-CRUX:樋口寛子


NO FLOWERZ / Reason
NFM-001 1,500yen(tax in) /10.23 IN SRORES

いやー、あとわずかでネイキッドや慣れ親しんだ新宿とお別れかと思うと本当に寂しいです。現在は阿佐ヶ谷ロフトの新メニュー考案など雑多業務に追われてます。10月23日にNaked LOFTでレコ初ライブをやってくれるNO FLOWERZさんの新譜『Reason』を聴きながら新店の宣伝文句を考えてるんですが、どの曲もテンパってる自分を不思議に癒してくれます。2つのアコギから奏でられる心地よいインストのギターアンサンブルは、場所を選ばずどんなシチュエーションにも自然にマッチし、聴く人の心をリラックスさせてくれる「安心ミュージック」です。まだ聴いた事のない人は、10月23日にNO FLOWERZさんが出演するので、是非ネイキッドへお越し下さい!!


Naked LOFT元店長:テツオ

NO FLOWERZ&Naked Loft presents アンプラグド・イン・Naked Loft
10.23(Tue) 新宿Naked Loft
NO FLOWERZ / 大久保海太 / THE TROIKA / 月の海(ベース歌。)/ 他


突然段ボール / 純粋で率直な思い出
HACD-014 2,300yen (tax in) / IN STORES NOW

今年結成30周年を迎える突然段ボールの通算12作目となるアルバム『純粋で率直な思い出』は、'95年発表の『スーパー』以来、久方振りのロック・バンド編成による作品だ。その得体の知れぬアヴァンギャルドな印象が強いので喰わず嫌いの向きも多いかもしれないが、本作はプロデュースにPANICSMILEの吉田肇が、レコーディング・ミックスにNATSUMENのAxSxEがそれぞれ携わっており、そうしたメンバーよりも下の世代の辣腕者が制作に参加したことで若いリスナーの鑑賞にも充分耐え得る鮮度の高さを誇っている。そこにベテランならではの滋味が絶妙なバランスで溶け合っているのが本作の大きな特徴と言えるだろう。歌詞はすべて'03年8月に逝去した蔦木栄一によるもので、活動初期の'78年頃に書かれた5曲、他界直前に書かれたものが5曲収められている。栄一の弟、俊二によれば、これは「兄と歩んだ27年間の最初と最後で挟み込んだ選曲」だという。ただし楽曲自体のタイムラグは全く感じさせず、まるでバンドを始めた当初の純真さと攻撃性、そして瑞々しさが通底しているのが驚異だ。それはあたかも兄の不在を悲しむメランコリックさを振り切るように荒々しく、毒々しい批評精神に溢れている。そんないじらしい姿が時折垣間見られるのでこちらも多分に感傷的になるが、それ以上に、兄の意志を受け継いでバンドを続けていこうとする俊二の矜持が頼もしく感じる会心作であることは断言できる。来月14日のシェルター・レコ発が楽しみだ。


Rooftop編集長:椎名宗之


Fed MUSIC / I call your name
NIW-027 2,625yen(tax in) / 11.02 IN STORES

予想以上の手応えを掴んだ夏前の“FIVE ON THE MOVE TOUR”。新たなインディーシーンを担うであろう、この世代のBANDが確実に盛り上がりを見せている。“あなたに音楽を届ける”という意味を込めて、突然の改名宣言で周囲を驚かせたFed MUSICが、既にLIVE会場限定で3ヶ月も前から販売しているという(!!)1st ALBUM『I call your name』を、デビューミニアルバムからわずか半年という早さでリリースする。ZARIGANI5のエッジの効いた部分は残しつつも、彼等の原点でもあるUS、UKのROCK的要素を取り入れ、Voリク氏の透き通ったハイトーンヴォイスから創り出される独自の世界観が幸せな気分を運んでくる。今作品は激しいナンバーから、グルーヴィ−なミドルナンバー、メロディアスに哀愁ただようナンバーなど幅広い。会場限定で完売させた名曲『LET ME GO』も収録。今までのパーティー感溢れる部分だけではなく、Fed MUSICというサウンドをしっかりと創りあげている。現在、盟友riddim saunterとのツアーもこなしながら10月12日(金)には下北沢SHELTERにて自主企画“Age of innosense #5 ”をhe、susquatch、LOCAL SOUND STYLEを迎えて開催する。この機会を逃さず、是非とも体験して欲しい。


新宿LOFT:平子真由美


MICRON' STUFF / Scrap?
RZCD-45650 1,680yen(tax in) / IN STORES NOW

8月22日にはスガシカオさんが参加されているシングル『Precious』をリリースしたMICRON' STUFFから、早くも3rd.アルバム『Scrap?』が届けられた。こちらの作品のインタビューは本誌9月号で掲載しています。インタビューが「昨日まで作業をやってたんです」という日で、できたてほやほやのおかげでいろんなお話が聞けましたが、メンバーはとにかく疲労困憊のご様子でした。でも、難産の末に生まれたアルバムだからこそ、聴いていてとても心躍る出来になっています。
プロデューサーには日野ケンジさんを迎え、楽曲はアコースティックサウンドやダンスクラシック、レゲエも取り入れたファンクポップなものが多く、トラックの雰囲気に気を取られて、「すごいかっこいい曲!」と第一印象で思いがちですが、詞は“頼れない情けない男の子”。このギャップが好き。『Face off』は、雰囲気も歌い方もセクシーで、聴いた瞬間に「わぉ!」って思うぐらいコーフンしましたが、よくよく詞を読んでみると「さよならだけはいわないで」って完全に女子の方が優位に立っている様子が覗えます。現代を象徴していますね(笑)。今は女が強い時代ですから。と言っても、最初にも書いたようにトラックが本当にかっこいい。ヒップホップとかミクスチャーが好きな人にはお勧め。やっぱ、こういう曲を演奏する人って輝いてないとどんなに曲が良くても魅力が半減しちゃうんだよなー。その点で言ってもマイクロンはかなり満点に近いです。


Rooftop:やまだともこ


YUKI / プリズム
ESCL-2298 525yen(tax in) / IN STORES NOW

僕がCDを買ったりとか音楽にハマったキッカケは誰が何と言おうが、JUDY AND MARYである。SO! 忘れもしない中3の冬。義務教育からの卒業と言う事でブチ上がってた僕に不幸なニュース。JAM解散! ショック! そして高校に入学した僕にグレイトなニュース。YUKIのソロ決定! イェス! それからと言うもの最初のシングル、アルバムから今年の頭に発売した最近のシングル、アルバムまで、もちろん全部購入、アンド必聴、アンド完璧! 新しいCDを聴く度に生きていて本当に良かったと思ってます。写真は数々の名曲の中でも僕がNO.1に上げる2枚目のシングル『プリズム』である。歌詞、楽曲、歌のノビ、バックの音の一つ一つ、ジャケのプリティー度、あー付き合いてー! って枕を抱きしめる度、もー何をとってもレジェンド、と言うより愛です。


下北沢SHELTER:豚


LITE/Funanori / a tiny twofer
UKDZ-0060 1,575yen(tax in) / 10.03 IN STORES

フジロックでも熱狂のステージを見せたIGGY POP&THE STOOGESのベーシスト、マイク・ワットが新たに結成したユニットがこのFunanori。三線を大胆にフューチャーしたその音は斬新なサウンドで新たな世界観を表現。そして注目すべきはそのSPLIT EPの相手に指名されたのが日本のLITE。国内のみならず海外での活動も活発化してきたインストポストロック界の新進気鋭。先日のSHELTERワンマンでも驚愕のライヴで観るもの全てを興奮の坩堝に陥れた。『Tomorrow』は既にライヴではお馴染みのリズムとメロディが激しく絡み合うLITEには珍しいファストコアな楽曲。対象的に『Primary』は情緒的な雰囲気漂うメロディが特徴の7分半にも及ぶ大作。続く『ef』はこれぞLITEの真骨頂と言うべき作品。まさに三者三様ならぬ三曲三様ながらどこか軸にブレがなく静と動のコンストラクトを絶妙に表した実にLITEらしい楽曲群と言える。間もなく始まるリリースツアーが実に楽しみである。


Naked Loft:植村孝幸


V.A. / GOOD GIRLS DON'T NEO
KOCA-39 1,995yen(tax in)

「古閑社長って言えば最近はメタルだよね」というのは身内では有名だが、K.O.G.Aといえばやっぱりギターポップだったりガールズボーカルだったりでしょう。今回はガールズコンピの第三弾。何が凄いってインターネットをフル活用、全国から集まった新進気鋭のガールズボーカルバンドで17バンド(新曲16 曲!)、シェルターからも縁のあるアーティストが入ってるのが嬉しいですね。社長の音楽性の広さからかバラエティに飛びまくってるアーティストでおもちゃ箱ひっくり返したようなこのCD、未来のブレイクアーティストも入ってる、かも?? レコ発は11月4日(日)、もちろんSHELTERにて全国各地からバンドが集合します!


下北沢SHELTER:西村等


V.A / おにいちゃんCD〜1200の「おにいちゃん」が聞けるCD〜
CIM-002 1,200yen(tax in) / IN STORES NOW

つい先日の土曜日秋葉原に行って来た。案内役の今話題の北村(ルーフトップギャラクシー編集長)に「北村よ〜、メイドカフェは行ったことあるし、執事喫茶なんか面白く何ともない。なんかもっと面白いところ連れて行け」と言った所、「妹カフェ」なるところに連れて行かれた。実は私にとってここがとびきり面白かったと言うよりは、ものすごいカルチャーショックを受けた。男兄弟ばかりだった私はいつまでも興奮しまくっていた。(この妹カフェ探訪記のドラマは次号のルーフトップギャラクシー・おじさんが行く!」に書く。)次の日会社に行くと私の机の上にこのCDが置いてあった。この訳のわからんCDにぶっ飛んだ(笑)。す、す、すごい。私はロリコンや少女趣味は全く無いが、これが寝床で目をつぶって聞くと、なんとも妖しげな世界に埋没できるのだ。ロック系のCD聞いてこんな気持ちになったことが無かったので、私はきっと飽きるまでこの「おにいちゃ〜ん」を聞きまくるに違いない。多分よく知らないがこの声優達は秋葉の萌え系のアイドルなのだろうが、相当有名な子達らしい。
「12人による1200のおにいちゃんボイスサンプリング集。凄く照れながら、おねだりするように、甘えるように、ちょっと切なく…おにいちゃんなど100種類のシチュエーションを12人の声優が連呼、今までにない萌え系ボイスサンプリング集、「妹系」ファンの待望の1枚です」(同CDより)


妹系新人評論家・平野悠


posted by Rooftop at 06:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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