光と闇が交錯する人生を往くすべての人に捧げる、愚直なまでに赤裸々で真摯な詩
何の因果か、このページにふと目を留めたあなたは幸運な人だ。ここ最近どんな音楽を聴いても感受性がさっぱり応答しないとあなたがお嘆きならば、尚のことラッキーだ。このインタビュー記事が、ANOYOという特異なポエトリー・リーディングを全面に押し出したユニークなバンドをあなたが知るきっかけになるのなら、こんなに嬉しいことはない。このページに掲載されている不可解なアーティスト写真や珍奇なジャケット写真に決して惑わされないように。これは生きることに直結した、余りに赤裸々な詩を聴かせる彼らなりの照れ隠しなのだと僕は思う。平易な言葉で日常の混沌と憂いを描出し、それを明るいエネルギーに転化する原田の歌声と、確かな技術に裏打ちされたバンド・アンサンブルが音の塊となって混濁する様は得も言われぬ昂揚感をもたらす。ライヴで感涙を催すこと必至の大作「24区」が重いテーマを孕んでいるだけに、ヴォーカルの原田大輔が書く詩と世界観につい心を奪われがちだが、デビュー・アルバム『リカオン』には何処にも属さない(属せない)未曾有の音像と日本語ロックの新たな可能性が満ち溢れていることに注目して欲しい。「歌は世につれるが、世は歌につれない」とは山下達郎のけだし名言だが、ANOYOは世が歌につれないことを充分に認識した上で音楽という表現の可能性に懸けている。その姿勢が愚直なまでに真摯だからこそ、“俺達は一人じゃないんだ”というありふれた言葉が強固なリアリティと共に僕達の心に深く突き刺さるのだ。(interview:椎名宗之)
思いの丈を書き連ねたら規格外の詩になった
──不勉強ながら今回初めて皆さんの音源を聴いたんですけど…今まで知らなくて本当に損をしました。
一同:おおッ!
前田道治(b):マジッすか!? 有難う御座います!
──原田さんの詩を前面に押し出しながらも純然たるポエトリー・リーディングではないし、言葉の情報量の多いロック・バンドだと僕は受け止めたんですけど、結成当初からこのスタイルだったんですか。
原田大輔(vo):いや、全然ですね。歌が上手ければ普通に唄っていた気がします。確たる理由があって喋るようになったわけじゃなくて、ヴォーカルになって思いの丈を一生懸命歌詞に書くことになった時に、まるで長ったらしい作文みたいになっちゃったんですよ。それをメロディに合わせたら、案の定歌詞が溢れて入りきらなくなったんです。でも、これは俺が句読点に至るまでとても削ることができないという思いで書いた歌詞だし、それをメンバーに伝えたら、「じゃ、全部言えば?」と言われて。それから曲のサイズに関係なく喋るようになったんです。最初の頃はちゃんとした歌詞もなくて、その時思ったことを即興で喋る曲が幾つかあったんですよ。
──じゃあ、れっきとした歌モノの曲もちゃんとあったわけですね。
前田:むしろ歌モノの曲が8〜9割を占めていたくらいなんです。今よりももっとガレージ・ロック寄りだったんですけど。最初の最初は原田もリッケンバッカーを掻き鳴らして唄ってましたからね。それが徐々にリーディングの割合が増えて、こっちはこっちでセッションが楽しくなるとループするのが面白くなってきて。それで今に至る感じですね。
──ドアーズに『アメリカン・プレイヤー』というアルバムがあるじゃないですか。ジム・モリスンの詩の朗読テープにメンバー3人が演奏を加えた作品で、ジム・モリスンの死後発表されたんですけど。
原田:へぇ…全然知らないです!!!!!!!
──ああ、そうですか(笑)。僕が『リカオン』を聴いて反射的に連想したのはその『アメリカン・プレイヤー』なんですよ。
前田:聴いたことないですねぇ。逆に知りたいくらいですよ(笑)。
──皆さんの中でお手本にするようなバンドや音楽は特になかったんですか。
原田:なかったというか、単純に知らなかったですね。REDЯUMのKAZIさんに初めて会った時に「オマエ、町田町蔵のINUは好きか?」「ブルー・ハーブは好きか?」「ヒップホップは聴くのか?」とかいろんなことを訊かれて、「全部知らないです」と(笑)。そしたらKAZIさんが凄まじい数のCD-Rを焼いてくれたんですよ。それを聴いて、やっといろんな音楽を知るようになったんです。
──結成当初、バンドが今みたいなスタイルになるとは露にも思わず?
小林健治(ds):こうなって欲しいなという気持ちはありましたよ。20歳の時に僕と原田の2人でバンドを始めた遅さゆえのコンプレックスもあり、早くオリジナリティを持った形になればいいなと思ってましたから。
──そもそも、曲の成り立ちはどんな感じなんでしょう。やっぱり原田さんの詩が先にあるんですか。
小林:いや、まず楽曲がある感じです。曲の断片をそれぞれが持ち寄って来るところから始まって。
前田:最近は原田がここで喋るとか、ここで唄って欲しいとかを盛り込んで作るようにしてます。
小林:そこからセッションなり話し合いなりで広げていって完成させて、原田に渡すっていうケースが多いですね。
原田:それを受けて、最後に僕が詩を当てはめるという…。
──へぇ。それは意外ですね。てっきり原田さんの詩がまずありきなのかと思いましたが。
原田:しかも、いつも先にタイトルが決められているんですよ。そこから自分でイメージを膨らませるんです。まぁ、ほとんど無視しますけどね。何か引っ掛かるイメージがあれば書き進めていきますけど。でも、ボツになることも結構多いんですよ。
──ははは。ダメ出しは1対3の比率なんですか。
原田:そうなんです。俺の側に立って一緒に戦ってくれるヤツはいませんよ(笑)。
林慎之介(g, cho):でも、僕は結構、原田に助け船を出してあげることが多いですけどね。「このタイトルはこういうことなんじゃないの?」っていうふうに。
──まるでバンド内で大喜利をやっているみたいですね。楽器の3人がお題を出して、原田さんが即意妙答で応えるような感じで。
前田:ああ、そうかもしれませんね。そういうやり方が勝手にポップだと自分達では思ってるんですけどね。
身に起きたことをまず受け容れるのが大事
──ポエトリー・リーディングと言うと、とかく難解なイメージが付きまとうかもしれないけど、『リカオン』を聴くとANOYOはとてつもなくポップでキャッチーなバンドなのが判りますよね。
原田:そのつもりでやってますね。伝えるメッセージも「生きてたら楽しいよ」とか「でも、上手く行くようで行かないです」とか、極々簡単な言葉を選んで使ってますから。わざと哲学っぽいことや小難しいことを書こうと思えば幾らでも書けるんですけど、聴いてる人の理解が追い付かないとイヤだし、俺としてはそれじゃ面白くないんですよ。
──『リカオン』の収録曲はどれも、歌詞カードを読まなくても原田さんの話していることがちゃんと耳に残るんですよね。「ラジオ」の即興で語り掛ける部分もちゃんと伝わるし。滑舌がいいのは大きなアドヴァンテージだと思うんですけど。
原田:ホントですか!? 今まで散々「滑舌が悪い」「何を言ってるのか判らない」と言われ続けてきて、意識して滑舌を良くするように頑張ってきたから嬉しいですよ。
──そもそも、アルバム・タイトルの『リカオン』というのは何なんでしょうか。
原田:動物の名前です。耳がでかくて、イヌだかキツネだか判らない姿形をして小汚くて、動物の中ではかなりの上位に入るくらい好きなんです。狩りがムチャクチャ上手いんだけど、ライオンとかにうっかり横取りされちゃうんですよ。群れ方もハーレム状態じゃなくて、ボスは死ぬまでつがいと添い遂げるし、凄く家族的なんです。走るのが遅いけど声のでかいヤツは狩りの間に警戒の役目をしたり、適材適所にボスが配置したりして。そういう社会的なところがあって、俺にはそんなリカオンの群れ方が凄く人間っぽく感じるんですよね。
──リカオンの在り方と浮世に生きる人間の姿が原田さんの中で重なったわけですね。
原田:そうなんです。たとえば人間が浮気したりすると、動物的な本能が働いたなんて話をよくしますよね。でも、リカオンみたいに随分と愛らしくていじらしい動物だっているんだよっていうか。
──そういうストイックさというか、前向きで希望を忘れない姿勢は『リカオン』の収録曲にも通底していますよね。
原田:それはありますね。自分も明るく生きたいし、誰しもが明るく生きて欲しいですからね。人間って、悪いほうに酔っぱらいやすいじゃないですか? 良いことよりも悪いことのほうを過剰に受け止めてしまうし。明るく生きていくことを忘れないで欲しいっていう気持ちは常に抱いてますね。
──「24区」で唄われている“毎日を毎日歩いて行く/それは物凄く良いことなんだ”という一節も、忙しない日常に追われてつい忘れがちだけど、真理だと思いますよ。闇雲な熱量と明日へと繋ぐ活力を充分もらえるし。
原田:歌詞に関しては全部俺が考えて俺の中で完結しているので、他のメンバーからの意見はああだこうだ出ないんですよね。
前田:歌詞の内容に対してダメ出しをしたことがないですからね。あるとすれば、サイズの注文くらいです。「そこまで長いと誰も聴いてくれないよ!?」「喋り過ぎだよ!」みたいな(笑)。
──でも、「ブシ」という曲はほとんど唄わずに喋りだけで引っ張って行く9分近い大作ですよ?(笑) もちろん、冗長さを全く感じずに聴けるんですけどね。
原田:今回、アルバムを作るために初めて歌詞を起こしたんですけど、自分でも異常な長さだと感じましたからね(笑)。即興にする部分というのは、たとえば「ブシ」なら「ブシ」のテーマから外れないところで喋るから、「ブシ」の中で「24区」みたいなことは喋らないんですよ。
──ただ、「ブシ」と「24区」はコインの裏表のような関連性があると感じましたけど。
原田:その2曲は“対”の関係ですね。出来たのは「ブシ」のほうが先で、3、4年前からある曲なんですけど。明るく生きて欲しいし、楽しく生きて欲しいし、出来る限り笑いながら生きて欲しいという思いがどちらも基本にはあるんですよ。ただ、当たり前のように明日も辛いことがあるのは本当だよっていう部分を省くと、今度は楽しさに酔っぱらっちゃうじゃないですか? 大事なのは、身に降り掛かったことは良い悪いに関係なく受け容れて、そこから自分でどうするかを考えることだと思うんですよ。まずは受け容れることから始めないとダメだと俺は思っているんです。「24区」では、日々の暮らしは幸せなことのほうが多いよって唄ってるんですよ。2番目の歌詞で、朝起きたら決まった時間に会社へ行って、“毎日が毎日の繰り返しだ”と喋ってる部分があるんですけど、それは当たり前の話なんです。メシを食うために仕事をすれば繰り返すしかないし、そこから目的を持って行動できる人間なんてなかなかいないし、棚からぼた餅もそうそうあるわけじゃないっていうのが本当のところだと思うんですよ。
──全くの同感です。「ブシ」も「24区」も物事の光と影の両面にちゃんとフォーカスを当てているし、安直な頑張れソングとは一線も二線も画していますからね。
原田:肯定はしてあげたいけど、「頑張れ」とは余り言いたくないですね。どんなにフラフラしてるヤツだって、みんな頑張ってるんだから。フラフラするのだって、それはそれで大変ですからね。
音楽が変えるのは世界じゃなく、人の心
──「ブシ」と「24区」が長尺の曲でありながらも滞りなく聴けるのは原田さんの声の説得力も大きいんですけど、バンドのアンサンブルがしっかりしているからこそだと思うんですよ。
小林:でも、各々のパートが他のパートに対して余り口出しをしないバンドなんですよね。そこは暗黙の了解なんだけど、最後はちゃんとキレイにまとまるのが僕らのやり方なのかなと。
──バンドのリーダーは小林さんなんですよね?
小林:いや、僕は象徴的なリーダーですね(笑)。大抵はイエス・マンなので、バンドは上手く回ってると思いますよ(笑)。
原田:バンドのバランスは凄くいいですよ。バンド内の悩みとか人間関係の不和の話をよく聞くけど、俺達はそういうのとは無縁ですね。
──一見、原田さんのワンマン・バンドのようにも思えるけど、ちゃんと音源を聴けば、誰が欠けても成立しないバンド然としているのがよく判りますよね。
原田:むしろ、俺が一番権力がないですからね。会社で言えば、入社早々いきなり窓際に追いやられるくらいの平社員ですよ(笑)。平どころか、雑巾掛けから始めるバイトみたいなもんです。たまにみんなの湯飲みに雑巾で絞った水を入れたくなるんですけど(笑)。
──アルバムで箸休め的な役割を果たしている「5884」は、要するに「コバヤシ」ということですよね?
一同:オオーッ!
前田:初めて解読してくれた人がいました!(笑)
──果敢にもヒューマン・ビート・ボックスに挑戦されていますけど(笑)。
小林:というか、あれでも一応歌なんですけどね。歌詞が書いてないだけで(笑)。“ド、チ、タ”…つまり“どっち行った?”って唄ってるんですよ。
前田:よく言うわ。そんなこと初めて聞いたよ(笑)。「5884」は小林がヒューマン・ビート・ボックスなんてできないのを判ってて僕が提案したんですけど、まぁ笑ってくれればいいなと思って。
原田:情報量の多い曲が多過ぎるから、そんな息抜きの曲もあったほうがいいなと思ったし、いいフックにもなってるんじゃないかと。
──確かに、「ブシ」と「24区」が続けて配置されていたら息苦しい印象は拭えないでしょうね。
小林:最初はそういう手もあったんですけどね。でも、それは常識としてないだろうと思って。
──パニックスマイルとナンバーガールが融合したかのような「ジェーン」やジャジーな雰囲気のある「カルキ」、パンキッシュな「アンネ」など、曲調はヴァラエティに富んでいて最後まで飽きさせませんね。
前田:元々、僕はアップライトのベースを弾いていたくらいですからね。壊れてから使わなくなっちゃったんですけど。
小林:結果的に多彩な曲が揃ったのは、自分達が飽きないようにするためでもあるんですよ。仮にパンク一辺倒だと自分が非常に退屈してしまうと思うので。どのジャンルもつまみ食いしたい欲求が根本にあるんでしょうね。
前田:それはあるね。どんなジャンルでも万遍なく好きだし、ルーツ・ミュージックみたいなものが特にないからじゃないですかね。
──良い意味で根無し草なんでしょうね。でも、だからこそ何かのフォロワーで終わらずに確たるオリジナリティを生み出す土壌がある。
原田:だから最初の頃は他のバンドによく言われましたよね、「何がしたいんだか、どういうジャンルなんだか訳が判らない」って。
林:僕が加入した時も、バンドの背骨らしきものもまだ何もなかったですからね。
前田:最初は「何だこりゃ!?」と思いましたよ。演奏がまず全然できてなかったし、完全に我流でやってましたから。今のスタイルになって、ここまで濃くなったのは本当に最近のことなんです。
原田:今でこそリーディングをやるバンドも増えてきましたけど、俺達がバンドを始めた頃は青春パンクの真っ只中で、完全に浮いてましたからね。バンドを始めてからいろんなバンドのライヴを観てきたんですけど、「音楽が世界を変えるんだ!」みたいな熱い物言いが俺は大嫌いで、そんなわけねぇだろ! と思ってたんですよ。それは今でも強く思いますね。
──でも、その音楽を聴いた人の人生が変わることは往々にしてあるんじゃないですか。少なくとも、その人の生活の半径3メートル以内は確実に変える力はあるでしょう。
原田:ええ、音楽が変えるのは世界じゃなくて、その人の心だと思ってますからね。でも、世界を変えるのはあくまでも人ですから。音楽で世界を変えたいと思ってるんだったら、早くバンドを辞めて政治家になったほうがいい。繋がってるようで繋がっちゃいないんですよ。音楽が必ずしも聴いた人の心に良い変化を与えるわけじゃないんです。聴いた人の気持ちを明るいばかりでなく、暗い方向に持って行くこともできるわけで。俺は音楽が何かのためにあると思ったことはないですけど、もしも音楽が変えられることがあるとしたら、音楽は人がやってるものだから人の心は変えられると思うんです。その音楽も、結局のところ俺が話せるのは俺が思うこと以外にないんですよ。
孤立はみんなで生きていくための第一歩
──それは、自分自身に対しても、ANOYOの音楽を受け取る側に対しても嘘をつきたくないという思いが一貫してあるからですか。
原田:生きてりゃ大なり小なり、絶対に嘘はつくものだと思うんですよ。一概に嘘を悪いものとは言えないと思うし、良い嘘もたくさんありますからね。ただそれは実生活の中での話であって、何かを表現する立場の人間として、俺は自分自身以外に見せられるものが他にはないと思っているんです。余りにヒリヒリし過ぎて辛い時は辛いけど、もしも「そんなちっちぇこと言うなよ」って言われても、俺は「そんなわけには行かねぇ!」と絶対に突っぱねるし。もちろん、どう感じるかは受け手次第ですよ。「24区」を聴いて感動して泣いてくれる人もいれば、「そんな青臭いことをいつまで言ってるんだよ?」と言う人もいる。それでいいと思うし、物事には賛否両論あって当然ですよね。ただ、表現する上で比喩を使うこともあるけど、1から10まで比喩を使って終わっちゃうことはしたくないんです。
──今年の8月から不定期に週2回、新宿ロフトのバー・スペースで深夜にゲリラ的ライヴを敢行していましたよね。あのライヴはバンドにとって非常に良い経験になったんじゃないですか。
原田:そうですね。かなりの武者修行になりましたよ。路上でライヴをやってるような感覚もありましたね。深夜だからお客さんが誰もいなくて、スタッフだけが俺達を観てるようなことも多々ありましたから。
前田:ライヴが終わって無料音源をお客さんに配ってたんですけど、その時の心持ちやアピールの仕方も凄く勉強になりましたしね。
小林:ライヴ自体は15本ほどやったんですけど、ライヴとして成立したのは後半の3本くらいでしたね。音響の設備は物理的に音の返しがないので、他の3人の音をしっかり聴かなきゃいけなかったんですよ。それが自分の中では身になった気がします。そこで音のバランスがだいぶ良くなったので、今は原田の詩が聴こえない状況が減ったんじゃないかと思いますけど。
──ライヴの向き合い方もかなり変わってきたのでは?
小林:底上げはできてきたんじゃないかと思いますけどね。
原田:でも、俺自身が凄く弱い人間なので…。プロとかミュージシャンっていう呼び方が俺は好きじゃないんですけど、自分がそういうものだとしたら良くないとは思うんです。一定のものがライヴで見せられないわけだから。ただ、どうしてもその日の気分や体調、天候にも大きく左右されてしまうんですよ。
前田:確かに、原田のきめ細かさは尋常じゃないですよ(笑)。
──でも、自分の感情に実直であり続けるという意味では、表現者として何処までも真摯であることの表れにも思えますけど。
原田:ライヴではお客さんの顔を見ながら唄うんですよ。その時に「こいつにはこういうことよりももっと違うことを伝えたいな」って思うことが多々あるんです。そうやってその時々で歌詞が変わるんですよね。それで「判ったね?」と相手の反応を見る。でっかいコール&レスポンスじゃなくてもいいんですよ。一人でもいいから俺の表現で心を動かすことができれば、それで充分じゃないかと俺は思うんですよね。そのスタンスは、新宿ロフトで500人相手にライヴをやる時も何ら変わりはないんです。何人いようが常に一対一で臨んでますから。
──プロでもなく、ミュージシャンでもなく、敢えて自分自身に肩書きを付けるとしたら、何になると思いますか。
原田:質問の答えに合ってるかどうか判らないけど、俺の肩書きは原田大輔ですね。それ以外の何者でもないです。それに依って立っているつもりだし、弱かろうが何だろうが、常に自分の感じたままを包み隠さずにいたいんですよ。だからまず、「それでも立ってていいんだよ」っていうことをANOYOの歌詞の全編を通して必ずどっかしらで表現しているんです。そこで救いの言葉を提示しているわけじゃないんですよ。「俺はこう思うけど、君はどう思う?」という問い掛けなんです。「24区」の中で“(俺達は)一人じゃないんだ”という言葉があって、それは孤立と孤独は結び付かないってことを言いたかったんですよね。個々人で理解し合えない孤立は避けられないけど、同じ時代に共に生きている以上は決して孤独じゃないんだってことを訴え掛けたかった。同じ時代に生きているからこそ、俺は今こうしてライヴで君達に話をしているし、君達は俺達が見えてるし、俺達も君達が見えてるよ、っていう。その認識が凄く大事なんです。孤立とは、みんなで生きていくための最初の一歩なんですよ。
DEBUT ALBUM
リカオン
National Burger RECORD DLNB-2001
2,000yen (tax in)
初回生産限定特典:アノヨーヨー(軟弱な現代っ子と団塊世代を繋ぐ、家族愛を深める注目アイテム! 老若男女にお楽しみ頂けます!)
2007.10.10 IN STORES
Live info.
10月21日(日)新宿LOFT『リカオンリリース祭』
出演:ANOYO / MINOR LEAGUE / SiM / どろんこ (オープニング・アクト)
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKETS:advance-2,300yen (+1DRINK) / door-2,800yen (+1DRINK)
info.:shinjuku LOFT 03-5272-0382
11月2日(金)大阪HOKAGE
11月3日(土)大阪クラブジャングルライフ
11月5日(月)宇都宮HEAVEN'S ROCK
11月6日(火)池袋手刀
11月18日(日)下北沢ERA
11月19日(月)柏ZAX
11月28日(水)横須賀かぼちゃ屋
12月1日(土)仙台REDHOUSE
12月2日(日)岩手CLUB CHANGE WAVE
12月4日(火)仙台CLUB JUNK BOX
12月5日(水)水戸LIGHT HOUSE
12月13日(木)京都MOJO
12月16日(日)本八幡ROUTE 14
12月17日(月)横浜FAD
12月23日(日)吉祥寺WARP
12月29日(土)池袋手刀(ツアー・ファイナル)
ANOYO OFFICIAL WEB SITE
http://homepage3.nifty.com/anoyo/anoyo1.htm