祝・結成10周年!
一貫してホームグラウンドであり続ける新宿ロフトで初のワンマンを敢行!
ジャパニーズ・ヘヴィネス・スラッピング・メタルNo.1バンド、PULLING TEETHが今年結成10周年を迎え、記念公演としてホームグラウンドである我が新宿ロフトで初ワンマンを行なう。この歴史的な1日をどのように受け止め、どんなライヴにしようと考えているのか、バンドの中心メンバーであるSUZUKI氏(g, vo)が大いに熱く語る──ってことはなく、盟友であるマイライトのアサノノリタツ氏、SUNS OWLのSAB氏、MINOR LEAGUEの大工原 亨氏、名物ローディのパンサー改め二代目調子朗に集まって頂き、この10年の軌跡を振り返る座談会的呑み会を催した。
バンドとは何たるか、酒とは何たるか、そして漢とは何たるかを、家呑みならぬ楽屋呑みをしながら(そして案の定大いに脱線しながら)話を訊きました。(text:大塚智昭/新宿ロフト店長)
新宿ロフトは日本のライヴハウスの頂点
大塚:PULLING TEETHの結成10周年、おめでとうございます!
SUZUKI:ありがとうございます!
SAB:PULLING、もう10年っすか!? びっくりしちゃうねぇ。
SUZUKI:お陰様で、今度の11月でね。
アサノ:初ライヴはどこだったんですか?
SUZUKI:もちろん、旧ロフトだよ! …ん、ロフトが初か? 違ったかな? そうだ、その前があった。東京でライヴをやりたかったんだけどどこも誘ってくれなくて、宮崎の人に「是非来て下さい」って呼ばれたことがあるんだよ。で、宮崎行くのに20時間かけて、16分ライヴをやってまた20時間かけて帰ってきたんだ(笑)。そこからバンドが始まったんだよ。
大塚:その時のメンバーは誰だったんですか?
SUZUKI:泰治と……あとは忘れたな(笑)。
──率直なところ、10年経ってみてどうですか?
SUZUKI:俺が語る前に、俺達よりも5年長く活動してるSUNS OWLのブーサー(SAB)にまず訊いてみましょう。なんせPULLINGの大先輩ですから(笑)。
SAB:いや、俺達は15年やってないかもしれないですよ。途中、休んでた時期もあったから。
SUZUKI:なんでバンドをやってこれたと思う?
SAB:うーん…なんでですかねぇ?
SUZUKI:やりたいからでしょ? そうでしょ!? そうなんですよ!!(一方的)
──PULLING TEETHは結成以来、一貫して新宿ロフトをホームグラウンドとして活動してきましたよね。
SUZUKI:当たり前じゃないですか! 俺が東京でオンステージする時は歌舞伎町ですよ! それしかないですよ!
──ライヴ本数を数えたら凄まじい数になりそうですけど。
大塚:前のバンドから数えたら凄いですよね?
SUZUKI:前のバンドとか、オマエはなんでそういうこと言うの?(笑)
パンサー:まぁ、ロフトでは年に3回くらいのペースじゃないですか?
SUZUKI:そうだね。3回×10年で、最低でも30回はやってることになる。ロフトが今年でオープン31周年でしょう? その歴史の1/3は出てることになるんだよね。でも何が凄いって、その30回のうち28回くらいコイツ(パンサー)は打ち上げでお漏らししてるからね(笑)。
パンサー:入口のエレベーター前はマーキング済みですからね!(笑)
──店長から見たPULLING TEETHのライヴの魅力とは?
SUZUKI:店長は見てないですよ。大塚君はいつも現場にいないからね(笑)。
大塚:いやいや、メチャメチャ見てますよ! 自分がプライヴェートで他のライヴハウスにも足を運ぶ数少ないバンドですからね。
SUZUKI:ああ、そう?(笑)
大塚:ああ、そう? って! これはお世辞抜きで、PULLINGは日本一格好いいバンドだと思いますよ!
パンサー:でも、俺が打ち上げで寝小便したりして、詫びを入れに手土産を持っていくと「これじゃ足りない」とか言う非情な店長だからね。ありったけのドーナツを自分の銭で買えるだけ買ってきてるのに…(笑)。
──PULLING TEETHと言えばロフトでは“酒サマー”“酒ナイト”のイメージが強いんですけど、最初はどんな感じで始まったんですか?
SUZUKI:確か、ハウリングブルに移ってから初めてのレコ発をロフトでやらせてもらったんですよ。その時は“Iron Fist”っていうタイトルだったんですけど。それをロフトのスタッフが“酒ナイト”って呼んだのが始まりですね。次の年の年末に「イヴェントやらせてくれませんか?」って尋ねたら、スタッフの誰かが「ああ、あの“酒ナイト”ですか!」って言ってたんで、「じゃあ“酒ナイト”で!」ってことになったんですよ。もの凄く単純ですね(笑)。かれこれもう6、7年はやってるのかな?
大塚:ロフトでもそんなに長く続いているイヴェントは稀ですよ。恐らく、死ね死ね団の次くらいでしょうね。
SUZUKI:まだ上がいるのか?(笑)
──SUZUKIさんの中で、ロフトは他のライヴハウスと比べてやはり別格の存在なんですか?
SUZUKI:なんでそんなベタな話を訊くんですか? そりゃそうですよ! 振り返ると古い話ですが、バンドをやりたくて上京してきた頃から新宿ロフトは日本のライヴハウスの頂点でしたからね。最初は出たくても敷居が高くて出られなかったんですから。
──旧ロフトに出演していたバンドマンの中には「歌舞伎町に移ってからのロフトはロフトじゃない」という意見もありますけど…。
SUZUKI:そんなこと言ってる人こそしょぼいね! 場所が移った以上、ここがスタートなんですよ。ここからまた新しく歴史を築いていけばいいだけの話。
“酒ナイト”の1番手と2番手はスペシャル・ゲスト
──今年は結成10周年ということで、11月3日にロフトで初のワンマン・ライヴが行なわれますね。
SUZUKI:まぁ、ロフトで呑むためにライヴをやってるというか、そのためにバンドをやってるというか(笑)。だって、○×○×とか□△□△みたいなライヴハウスで呑んだって酒が美味くねぇもんな!
パンサー:ライヴが終わったらそそくさと追い出されて、「もう帰って下さい!」みたいなね。お漏らしの始末をしてくれるような心の広いスタッフはいないしね。
大塚:PULLING TEETHのライヴがある日は、店の酒の消費量も半端じゃないんですよ。その月で言えば確実に売上トップクラスですから。とにかくビールの樽を一番多く用意してるバンドですよ(笑)。
──今までで一番酒の消費量が凄まじかったのはいつか覚えていますか?
パンサー:“酒ナイト”の2、3回目じゃないですか? SUZUKIさんが潰れて血ゲロを吐いてましたからね(笑)。あと、SUZUKIさんを抱えて車に乗ったこともありましたよ。
SUZUKI:間違いなく俺のほうがオマエを何度も車に乗せてるよ! まだ“Iron Fist”の頃、PULLINGが先にやってその後に大砲が出たんだけど、大砲が終わる頃には潰れちゃって、もう俺いなかったからね。
アサノ:そういうのを学習して、最近のライヴはPULLINGが1番目ですもんね。
SAB:とっととやって、とっとと呑むみたいな?
SUZUKI:だから“酒ナイト”の1番手、2番手はスペシャル・ゲストなんだよ。早くライヴを終えて呑んでいいんだから(笑)。
大塚:逆に若手が一番最後みたいな?
──“酒ナイト”は若手を育てる場でもあるわけですね(笑)。
SUZUKI:それも問題なんですよ。若手、若手と言えど、どのバンドを本当の意味で若手と言えば良いのか? っていう。ここにいる連中はみんな俺より年下だけど、SUNS OWLは15年やっていてPULLINGよりも先輩なわけだし、マイライトが辛うじて後輩だけど、メンバーはみんな30歳を超えてますからね。30過ぎた中年を若手と呼ぶのはどうなんだ? と。でもまぁ、永遠の若手はSPANAMかな(笑)。あいつらは30そこそそこだけどね。 (ここでMINOR LEAGUEの亨氏が登場)
SUZUKI:おう! お疲れ!
亨:うわッ、もうみんな完全にベロベロじゃん!(笑)
──そう言えば、最近の若手バンドは打ち上げもせずに帰ることが多い傾向にありますよね。
大塚:それどころか、酒自体を呑まない人達が増えてますね。
アサノ:そりゃ、もったいないお化けが出ますよ!
パンサー:よろしくない状況ですね。この繋がりだって、打ち上げがあったからこそ生まれた絆なんですから! 黄金が眠ってる金山をみすみす見逃してるようなもんですよ! “酒ナイト”万歳ですよ!
SUZUKI:あ、そうだ! 今年の“酒ナイト”は各バンド40分で行くから! バンドの数を減らしていこうかなと思って。あの永遠の若手であるSPANAMですら10年以上やってるわけだから、そろそろ本気で力出すぞということで。各バンドの持ち味を出し切って、自分達のお客さん以外にもちゃんとアピールする感じで…要するに出会い系だよ! 時代は今、出会い系です!(笑)
──それ、微妙にズレてる気もしますけど…まぁ、ロック好きはシャイな人が多いし、たらふく酒を呑んで開放的になろうと?
SUZUKI:そう! だから今年は樽酒2個で! この間は1バンドで樽酒がすぐになくなっちゃったから(笑)。
パンサー:樽酒をお客さんに振る舞うと大渋滞が起こりますからね!
──それじゃ店としては商売あがったりですね(笑)。
大塚:でも、みんなそれ以上に呑むので。常連のいつも酔わない人が酔ったりしてますからね。
SUZUKI:日本酒を呑んだがゆえに、もっと呑みたくなって呑んでるんだから。
パンサー:それは作戦だよ! 売上返せよ! カムバック!
大塚:(無視)じゃあ、今年は2樽用意しますよ!
SUZUKI:いや、2樽じゃ足りないかもしれないね。
大塚:…ってか今気付いたんですけど、11月のワンマンじゃなく“酒ナイト”の話になってますよ!(笑) 軌道修正しましょう!
パンサー:ご祝儀代わりにみんなチケット買って下さいよ。ご祝儀込みで3000円だから安いもんでしょう!
格好付けるためにバンドをやり続けている
──ワンマンは10年の歴史を1日で見せてやるぞ、みたいな感じですか?
SUZUKI:いや、そんな大それたことはしませんよ。90分くらいで終わるんじゃないかな。ただし曲が短いから、40曲はやると思うけど(笑)。
パンサー:ゲストとかはないんですか?
SUZUKI:ここにいるマイライトのアサノが、スペシャル・ユニット“ぼんくら”として弾き語り出演するよ。
アサノ:それは弾き語りじゃなくて、“弾き殴り叫び”と自分では呼んでます。
SUZUKI:そんなのはどうでもいいよ(笑)。
アサノ:いやいや、そこは凄く重要ですよ!(笑)
SUZUKI:まぁ、ワンマンは初めてだから準備が大変ですよね。
SAB:何なら俺、弾きに行きますよ。ハンドマイクで1曲くらいどうですか?
SUZUKI:いいよ、やろうよ。えーと、やっぱりワンマンは2時間半やります! 亨を入れてハモるから(笑)。
パンサー:でも、SABさんは「あれ弾け」って言われたら弾けるんですか?
SAB:練習してくるよ。
パンサー:んじゃ、どう転ぶか判らない。練習してきたのに「やっぱいいよ」って言われるかもしれないし(笑)。
SAB:それは別にいいよ。だってPULLINGが主役なんだから。
大塚:昔の曲はやらないんですか?
SUZUKI:もちろんやりますよ。
大塚:ベースが変わって、スラップありとなしで同じ曲を2回やったりとか?
SUZUKI:いや、それは面倒くさいからやらない(笑)。
──ご祝儀と称して、関係者からまたお酒がたっぷりと舞い込みますね。
SUZUKI:今回は多分、一人が両肩に乗っけて缶ビール2ケースずつ来るでしょうね。まぁ、すぐに全部なくなるだろうね。みんな自分達で酒を持ってくるんだけど、結局自分達で呑んじゃってオシマイなんだよね。農家のような自給自足もいいところだよ(笑)。
──それはご祝儀でも何でもないですね(笑)。
SUZUKI::でも、持ってきてくれたっていう事実が嬉しいですよね。
──では、ワンマンはゲストの方が多数ご来場ということで。
SUZUKI:それはまだ言えませんね。
──もうここで言っちゃってるようなものですよ(笑)。あの、バンドの10年についてもう少し伺いたいんですけど…。
SUZUKI:そんな真面目な話ですか! テンション下がっちゃいますよ!(笑)
──というか、それがこのインタビューの趣旨なんですけど(笑)。SUZUKIさんが10年間バンドを続けてきた意義を聞かせて下さい。
SUZUKI:バンドっていうのは、食うためにやってるわけじゃないですよね。あくまで格好付けるためにやってます。亨がバンドをやってるのは何でなの?
亨:多分、始めた時と今は違ってるんだけど、ステージに立ってる時の自分が気持ち良くなってるからバンドをやり続けてる。これで暮らせていけたら最高だな、と。SABは?
SAB:ステージ上は俺自身でありたいっていうか…普通ですかね?
SUZUKI:俺が思うに、SABはミュージシャンなんだよ。亨とアサノと俺はロックンローラー。もちろんそれはどっちのレヴェルが上とかじゃなくて、要するにその人ができることは何かっていうこと。一心不乱に楽器を奏でるタイプなのか、その時お客さんがこっちをどう見てるかが気になるタイプなのかの違い。俺はステージという場所を借りて自分自身を発散させたいんだよ。
SAB:俺もそうですよ。
SUZUKI:いや、違う!
SAB:本当はそうなんですよ。テクニカルだとか演奏が巧いとか言われると、サブイボが立つんです。
SUZUKI:SABだけにサブイボ?(笑)
──……えーと(笑)、ぼちぼち締めましょうか?
SUZUKI:まだ俺が喋りたい話をしてないじゃないですか! コラッ、大塚!
大塚:いやいや、文字数はもう充分稼ぎましたよ(笑)。
パンサー:じゃあ、その訊いて欲しい話のヒント的なものは?
SUZUKI:ナニ!? いや、もう酔っぱらって訳わかんねぇからもういいや(笑)。
Live info.
10th anniversary party of formation!“count 10”
2007年11月3日(土)新宿LOFT
PULLING TEETH
Frount Act:アサノノリタツ(弾き語り)
OPEN 18:00 / START 19:00
TICKETS:advance-3,000yen (+1DRINK) / door-3,500yen (+1DRINK)
info.:LOFT 03-5272-0382
PULLING TEETH OFFICIAL WEB SITE
http://www.smd-web.com/pt/