ギター バックナンバー

DISK RECOMMEND('07年9月号)

LOFT PROJECTのスタッフがイチオシのCD・DVDを紹介!!
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★以下のジャケットをクリックすると、各レビューが読めます。


BOφWY / THIS BOφWY DRASTIC
EMI Music Japan:初回限定盤(CD+DVD;紙ジャケット仕様)TOCT-26300 3,000yen (tax in) / 通常盤(CD+DVD;プラケース仕様)TOCT-26301 2,800yen (tax in)


BOφWY / THIS BOφWY DRAMATIC
EMI Music Japan:初回限定盤(CD+DVD;紙ジャケット仕様)TOCT-26302 3,000yen (tax in) / 通常盤(CD+DVD;プラケース仕様)TOCT-26303 2,800yen (tax in)


9.05 IN STORES

ここから始まった全ての事達へ──
解散から20年を経て発表される“DRASTIC”で“DRAMATIC”なパーフェクト・ベスト!


BOφWYという不世出のバンドの功績はあまたあるが、日本のロック史における芸術性と大衆性の二律背反を初めて打破したことは特筆すべき事柄のひとつだろう。

ロックやポップスが常にチャートの首位を独占する今となっては考えられないかもしれないが、BOφWYが登場するまでの日本のロックは歌謡曲という巨大な体制に反旗を翻す一部の好事家達に支えられたものであり、あくまでマイナーなジャンルに甘んじていた。少なくとも、「記録」と「記憶」の両面で破格の成功を収めたロック・バンドはBOφWY以前には存在し得なかったのである。

『BEAT EMOTION』や『PSYCHOPATH』といった金字塔的作品を立て続けに発表して未曾有のセールスを上げ、ホール・クラスの“GIGS”で観客動員をことごとく塗り替えることでカウンター・カルチャーとしてのロックを真の意味で大衆化させた「記録」の部分。そして、実質的に僅か6年半で潔くバンド活動に終止符を打ち、華々しく散開したことで日本のロック史に鮮烈な残像を焼き付けた「記憶」の部分。BOφWYだけが何故その両面を成立できたのだろうか。
思うままに列記してみよう。氷室京介が発する歌声の圧倒的な存在感。一介のギタリストとしての範疇を超え、あらゆる音楽的ジャンルを咀嚼し複合させた布袋寅泰の高いサウンド・プロデュース能力。そして氷室と布袋という刀の“刃”を支える“柄”の部分を担った松井常松と高橋まことによる鉄壁のリズム隊。誰か一人が欠けてもBOφWYに成り得なかったそのメンバーのキャラクターに加え、ジャン・ポール・ゴルチエの衣装に身を包んだ視覚的効果、ステージやPVで見られたサイバーパンク嗜好とロシアの構成主義的志向が融合したハイブリッド性もバンドが絶大な支持を受けた理由として挙げられる。

だが、BOφWYが史実の「記録」と我々の「記憶」の両面にその名を深く刻み込んだ最たる理由は、彼らにしか生み出せなかったポテンシャルの高い楽曲の数々にこそあるのではないか。解散から20年を経た今なおBOφWYが新たなファンを獲得し続けているのも、プリミティヴなロックの精神性を分母に置いた極めてクォリティの高い歌の力に因るものだと僕は思う。

今回、10年振りに発表される新たなベスト・アルバム『THIS BOφWY DRASTIC』、『THIS BOφWY DRAMATIC』の2枚を聴いて改めて痛感するのは、徹底してビートとメロディにこだわり抜いた楽曲の普遍性である。まるで現存するバンドの如くその楽曲の鮮度は古びることなく、芸術性と大衆性の両面を絶妙なバランスで兼ね備えていることにはただ驚かされるばかりだ。また、本作は『MORAL』と『INSTANT LOVE』の楽曲までが収録され、レーベルの垣根を超えた初のパーフェクト・ベストであり、彼らが僅か6年半の間に如何に急激なスピードでワン・アンド・オンリーな楽曲を次々と生み出していったかを知る証左としても聴ける。それだけでもBOφWYというバンドの特異性と傑出した音楽至上主義が窺い知れるだろう。

BOφWYと同時代を過ごしたファンには解散20周年のメモリアル・アルバムとして、これからBOφWYの音楽に触れようとするビギナーには格好の入門編として末永く聴き継がれるであろう『〜DRASTIC』と『〜DRAMATIC』は、“φ”=“何処にも属さない、誰にも似ていない”姿勢を最後まで貫いたBOφWYの音楽を未来に伝えるタイムマシンのような作品である。


Rooftop:椎名宗之


Idol Punch / BLACK DIAMOND
DDCE-14 2,300yen(tax in) / IN STORES NOW

記憶に新しい所では昨年のラコスバーガー車、高速道路炎上!! をはじめ、活動の拠点を岡山としながら、下北沢SHELTERではお馴染み、毎回こだわったコンセプトの企画で数々の伝説を残し、強面ハードコアからメロコア、パンクをも喰いつくす、ファストポップともいえる超個性派、僕らのIdol Punchが約7年ぶりにアルバムをリリースしま〜す、シャーイ!! すかんち、フランクシナトラのカヴァ−曲を含む全20曲、トータル約30分の今作はRAZORS EDGEのKENJI RAZORSのレーベルからリリース。コーラスにはlocofrank、KENJI RAZORSの面々がいたり、USGさんというGのお手伝いがいたり……短期間で仕上げたとは思えないくらいの内容です。LIVEとは違った意味で、聴いたあなたを間違い無く楽しませてくれます。なんといっても縁の下のリズム隊。速くて、ポップで泣けてきます。こんな世の中だけど、彼等のやりたいこと丸出し感がいつでも元気をくれるんです。楽しくなくっちゃ意味が無い。
レコ発ツアーもあります〜〜!!! HAWAIIAN6、BEAT CRUSADERS、locofrankと強力面子を従えて、9/27 渋谷AXを開催します! CDを買って予習するべし。残念ながら食べられるアルバムではございません、あしからず……。


新宿LOFT:平子真由美


Orange Clover / 夢咲き
mh-3 2,100yen(tax in) / 全国わしたショップ及び通販、ライブ会場で発売中

僕は正直Orange Cloverの曲を聴くのは初めてで、このアルバムを聴く前に家に帰る電車の中で歌詞カードを読んだ。すると詩を読んだだけで、僕の地元・沖縄の風景が頭の中に浮かび上がってきて電車に乗っているのに一瞬「琉球バス」に乗ってるのかと錯覚したとかしないとか(笑)。家に帰りすぐにアルバムを聴いた。最初に聴こえてきたのは沖縄独特のメロディーに三線の音色、かけ声が僕の中に入り込んできた。すぐに耳に入り、馴染んでいく…いつの間にかOrange Cloverの世界に引き込まれている事に気づいた。爽やかに走る曲もあればシットリと聴かすバラード、ウチナァー口(沖縄の方言)を所々にちりばめて、どんな人にでも、どんな場所にいても沖縄を感じさせて虜にさせてしまうのがOrange Cloverのパワーなのだろう。沖縄が気になるけど時間が作れなくてまだ行けない人、お金が無くて行けない人にこのアルバムを是非聴いてもらいたい。Orange Clover のウチナァーソウルが詰め込まれています。


Naked Loft:ぐしけん


Good Dog Happy Men / the GOLDENBELLCITY ep2
TBCD-1982 1,500yen(tax in) / 9.05 IN STORES

唯一無二、空前絶後の世界観を作り出すバンドGood Dog Happy Men。前アルバム『Most beautiful in the world』で至上の現在進行形最高傑作を作り上げたかと思えば、その1年後、新たな三部作の物語を作り上げたそうだ。新たな世界では、とても土っぽく、立体的な空間を感じ、ふと気付くとその音の世界の中心にいて、ファンタジックでドラマチックな世界へ入っていきます。ただファンタジックに感じつつも、土っぽい音は正に身近で感じる音楽で、綴られる詩は余りにもリアルでした。
Vo,Gの門田曰く、今作の4曲は「愛についての音楽」だそう。愛とは、何だ? 慰め合いか? 優しさか? 欲望か? 幸せか? 慕う情か? 温かさか? 私にはよくわかりませんが、今回の作品は愛について歌っているんだとは何となくわかりました。とにかく素晴らしい音楽でした。


新宿LOFT店長:大塚智昭


鈴木亜美 joins 中田ヤスタカ(capsule) / FREE FREE / SUPERMUSIC MAKER
AVCD-31235B(初回盤)1,890yen (tax in) / IN STORES NOW

僕は普段から辛酸を嘗めたアーティストの姿に自分を投影してしまいがちだ。本人が好むと好まざるとに関わらず光よりも影のイメージがあって、明るい表通りよりも寂れた裏通りを歩いているような人につい肩入れしてしまう。本誌インタビューに登場するバンドでも、一度活動休止に追い込まれた人達のほうが一言一言に重みがあり、人を惹き付けるエピソードが豊富だったりすることが多いので好きだ。そこで鈴木亜美である。ビー・トゥギャザー! ビー・トゥギャザー! である。そう、そもそも“トゥギャザー”という言葉はルー大柴ではなく鈴木亜美のためにあったのではないかと俺はつくづくシンクしてしまうのだ。
彼女もまた辛酸をテイストした表現者である。ビロング・トゥ(所属)オフィスとのトラブルにより、人気サミット期だった18歳から20歳になるまでというアイドル・エイジでは旬のタイムに芸能界を干されたわけだが(ルー語、読みづらいですか?)、文藝春秋社から写真集を発表して戦線復帰してからの彼女は著しく女っぷりを増し、みにくいアヒル(口)の子から美しい白鳥へと見事な変貌を遂げた。活動休止期間は大人の女性になるために必要不可欠な試練だったのである。だからこそ、今の彼女は人の心を激しく揺さぶる歌が唄える。クラブ・シーンで絶大な支持を集める中田ヤスタカ(capsule)との“join”作であるこの『FREE FREE』、PVを含めマドンナの『Confessions On A Dancefloor』からの影響が色濃いのは確かだが、アッパーなエレクトロダンス・チューンをしっかりと咀嚼して肉体性を帯びた自分の歌にしている。と同時に、この“join”作は自らの資質を模索する実験劇場的側面もあり、いつの日か再び大輪の花を咲かせるための大いなる助走なのである。『ASAYAN』時代の上っ面のシンデレラ・ストーリーではなく、こんな世知辛い浮世だからこそ、どん底を見た者が天下を獲るリアルな物語を俺はこの目で見たいのだ。


Rooftop:椎名宗之


SPARTA LOCALS / メロディ泥棒&ビート刑事(デカ)
TKCA-73245 2,800yen(tax in) / 9.26 IN STORES

スパルタローカルズの初のライブ盤。にしてライブベスト盤。2007年5月、春の日比谷。安部コウセイの「晴れたぞー!! 」という一言から始まる。楽しくて、バカみたいに踊れて、きゅんと心に沁みて、気づくと笑顔になっている。そんなスパルタのライブが丸ごと詰まっていて、こういう形でその時の風景を思い描けることをうれしく思うし、それと同じくらい自分がその空間にいられなかったということが悔しかったりもする。
この曲を作った時に絶対にここでやろうと決めていたという『ヒビヤ』。あの場所で聴くからこそ響く言葉と音があって、このアルバムの中でも特に心に沁みます。会場にいた人は色んなことを思い出しながら、残念ながら会場に行けなかった人は私と同じような思いをしながら聴いてください。


新宿LOFT:チーさん


東京ポルチカ歌劇団 / 東京ポルチカ歌劇団のアルバム
OBBQ-0013 2,100yen(tax in) / IN STORES NOW

私は未見だが、歌と踊りを中心とした少女歌劇風ステージが都内のライブハウスなどで評判の「東京ポルチカ歌劇団」。今やGSや昭和歌謡はすっかり定番化しているが、東京ポルチカ歌劇団の場合、戦前ジャズからスイング、映画音楽まで幅広いレパートリーを「歌劇」というスタイルでアレンジしているところがユニークだ。2001年からメンバー不動で活動しているそうだが、今作が待望のファーストアルバムとなる。ちなみにプロデュースは、デキシード・ザ・エモンズのハッチハッチェル。独自の世界観が構築されているのはさすがだ。オリジナル曲もあるがカバー曲の選曲も秀逸で、『銀座のバカンス』『私の猛獣狩』『ミネソタの卵売り』(“コッコッコッコッ コケッコ〜”ってやつですね)など、どれも非常に楽しい。自分が生まれる前の曲なのに、なぜか懐かしく聴こえてくるのがこうした音楽の素晴らしい所だ。これは是非ライブを観てみたい。


加藤梅造


nobol / 夢
500yen(tax in) / nobolライブ会場限定で販売中

1年半くらい前、初めてnobolを観たとき、ああ、よくある感じの下手っぴな女の子バンドだなぁ、なんていう、上から目線バリバリの高飛車なことを思いました。が、その後ライブを観るたびに、メンバー個々の演奏力がグングン向上し、ヘナヘナフニャフニャだったバンドアンサンブルはガッツリしっかりしなやかなものとなり、それに伴って楽曲がキラキラ照ら照らと魅力的に光輝き始めまして、なんだなんだ、なにごとだ!と、びっくりしました。ただの石かと思ってたら、宝石の原石だったわけでございます。で、僕は、いつの間にかファンになっていました。nobol大好き。
そんな僕をはじめとしたnobolファンが待ちに待っていた新譜は、最高。若干の余裕も垣間見えるかな? って気がしないでもない歌と演奏で素敵度が格段にアップ。超素敵。


宮城マリオ


papas milk / スロウテンポ
FECD-0083 1,000yen(tax in) / 9.12 IN STORES

『あさのひかり』『三月』に続き、2007年のシングル3連続リリースを締めくくる『スロウテンポ』。センチメンタルな秋をイメージさせる3曲。叙情的なイントロから始まる表題曲『スロウテンポ』は、ギターのメロディーラインがとても美しく、そこに乗せて伝えられる純粋な言葉達は、素直に聴く者の心へと届けられる。これがpapas milkの魅力だと思う。『愛くるしい』(M-2)は、以前アコースティックで聴いていた際、不意に涙がこぼれてきた曲(本人には伝えなかったけど…)。聴きながら浮かんできた景色や風景が驚くほどに重なり合い、ストレートに曲で泣いたというよりは、BGMとしてかかっていた『愛くるしい』があまりにも雰囲気があってリンクしすぎたということなんだけど、こういうのが良い曲っていうんだろうなって思った。
本当に今年に入ってからのpapas milkは、今までため込んでいたエネルギーを一気に放出させているかのごとく、活発に動いている。何年もの間、地面の中で外に出るタイミングを図っていて、芽を出したとたんグイグイと思ってもいない早さで成長していく感じ。もうすぐ大きくて綺麗な花を咲かせます。その花のひとつとして、11月には新生papas milk初のアルバムリリースが予定されているのだそう。どんな素敵な言葉とサウンドを届けてくれるのかと、楽しみに待っています。


Rooftop:やまだともこ


PANTA 〜響 / オリーブの樹の下で
FLPC-005 2,940yen(tax in) / IN STORES NOW

なんかこの夏になって暑さとけだるさの怠惰な風が吹きつける灼熱の都会があった。そんな中でどんどん、それは恐ろしいほどいわゆるロックに興味がなくなっていく「自称・新人ロック評論家」の私がいた。だから先月号の小誌にもレビューを書く気がしなかった。わざわざヨイショまでして紹介したいCDなんてほとんどないのだ!(こんな暴言が許されるのも私が還暦を過ぎたから?)
しかしこのCDは是非とも紹介しようと思う。PANTAの新しいCDは、ほぼ全篇あの日本赤軍・重信房子との共作で、勾留中の重信房子が詩を書き、それにPANTAが曲をつけているものだ。PANTAのデビュー作である頭脳警察の1stは有名な革命3部作のために発禁になったが、その頃からPANTAは一貫して赤軍(日本赤軍)とパレスチナ解放運動への共鳴を貫いている。全曲中、特にハイジャックで有名なライラ・ハリッドの半生を歌った『ライラのバラード』は、名曲『マーラーズ・パーラー』をも思わせる大作となっており、「祖国を奪われた民には、抵抗する権利がある」と歌うPANTAの姿勢は35年前と何も変わっていないのだと思う。


平野 悠


フジファブリック / パッション・フルーツ
初回生産限定盤TOCT-40154 通常盤TOCT-40155 1,000yen(tax in) / IN STORES NOW

前作『Surfer king』から今作『パッション・フルーツ』と、思わず身体を動かしてしまうかの様なノリの良い作品をリリースしいている彼ら。そのノリの良さは、ただライブを意識しているだけの薄っぺらい楽曲とは一線を置き、言葉を一字一句読み返してみたくなる歌詞の面白さは本作品も健在。既に今夏、様々なライブでお披露目されているから、ファンの間ではお馴染みの楽曲ではあるけど、ブックレットを見ながら改めて楽曲を聴いてみると、曲の深さがじわりじわりと伝わってくるんだな。この効果は彼らにしか出来ない杞憂な技だと思っている。やっぱりフジファブリックはそう簡単に理解出来ない。私も時間かかったからな(笑)。そこが魅力なんだけどね!


SONG-CRUX:樋口寛子


FLIPPER'S GUITAR / ヘッド博士の世界塔
POLYSTER PSCH-1024

フガジのライブシリーズも書き終わって書くものあるかなー(無いわけではない)なんて思って、IKEAで買ったCDラックへCDを入れていたら名盤からなんだこりゃまで出てきました。フリッパーズは以前も書いたと思うのですが(しかも限定ジャケ)、改めて聴くとやっぱイイデスネー。『GROOVE TUBE』なんて曲名からイイデスネー。1991MADE IN JAPANとありますので16年前作成ですが、色褪せない楽曲+ビジュアルセンス。そういえば最近この手のアーティスト(音楽センスに長けていて、ビジュアル(ファッション)からくるライフスタイルもリスペクトされる様な)が出てきてないように思うのですが…。下北沢の新しい王子と称される「高森ゆうき」の新しい音源に期待しましょう。


下北沢SHELTER:西村等


plane / 花火
TFCC-89215 1,050yen(tax in) / IN STORES NOW

先日、ご飯を食べていたお店の有線からふと流れてきた曲。普段、有線から流れてくる曲を気に留めることなんてほとんどないのに、珍しく気になる曲だった。一定のリズムを刻むドラムに、淡々と歌われるボーカル・ライン。そこにギター、ベース、キーボードの電子音が混ざり、より表情のある曲を作り出す。サビは、開けた大地を想像させる壮大なサウンド。圧巻。でも、この声、このメロディー、確実に聴いたことがあるんだけど誰だったかな。いつもとは違う景色で不意に流れてくると急には思い出せないもんだ。…思い出した。そうだ、planeだ。彼らが目指すバンドスタイルの「第一期の集大成」とも言えるポップチューンとなったニューシングル『花火』。『花火』というタイトルを持ちながら「花火」の賑やさはなく、ちょっぴり切ないラブストーリー。こういう捉え方もあるんだと、詞を読みながらもっとこの曲に夢中になっていった。ヴォリュームを最大にしてヘッドフォンで聴くと、より入り込むことができる。『ぼくの中の血液』(M-2)は個々のパートが前面に押し出された軽快なロックチューン。力強く歌われる詞は、時には相手にぶつかる事の大切さを再認識し、新しい方向を見つけた彼らの決意表明とも取れる。
planeは、10/2に新宿ロフトで行なうRooftop企画イベントに出演が決定! この日に『花火』を聴くことができるのかな。ここで書いておけば考えてくれるかな。


Rooftop:やまだともこ


pegmap / see you
DLOB-2002 / IN STORES NOW

8月にリリースされた彼らのセカンドアルバム。前作『HAVE A NICE DAY』は良く言えば粗削りで、悪く言うと未完成。激情に身を任せた楽曲のオンパレードにも関わらず、いまひとつ心に入ってこなかったのだが、本作では実はポップなメロディーとアレンジが前に出ることで、断然“突きささる”1枚となった。楽曲の説得力もより増しており、バンドが着実に成長した軌跡を見せられているようで何だか嬉しくなってしまった。いや、むしろこちらが彼らの本当の姿だったのかもしれない。クリーンヴォイス、ダミ声、シャウト…と不安定に暴れまわるヴォーカルに好き嫌いは別れると思うが、一度ハマるとM-2『日々の泡』やM-7『AM 4:00』あたりで号泣できます。


PLEASURE-CRUX:前川


Masayasu Tzboguchi Trio / Radio-Acoustique
FLYCD-09 2,400yen(tax in) / IN STORES NOW

聴くたびに新しい発見がある。なんて言葉はよく聞きますが、本当に発見の尽きない音を詰め込んだ作品です。一言でいうと「ピアノ ・トリオによるオリジナルの演奏を解体し、現代的な手法 ・視点から再構築するというコンセプトのもと制作された全10曲」とのことです。リアレンジ、リコンポーズなどでJAN JELINEK、AOKI TAKAMASA、パードン木村などなど国内外のアーティストが参加していますが、坪口さん本人によるリアレンジにも腰を抜かしっぱなしです。
「坪口昌恭TRIO」は9月9日に行われる「riddim saunter presents "COLLAGEALL"」のSpecial Guestとして下北沢SHELTERに出演が決定しています。公式HP情報によるとriddim saunterの曲も1曲カバーする予定だそうです。いやー、みなさん震えて待ちましょう。


下北沢SHELTER:ミネ


メロン記念日 / お願い魅惑のターゲット
EPCE-5496 1,050yen(tax in) / 9.05 IN STORES

メロン記念日16枚目のシングル『お願い魅惑のターゲット』は既にファンの間では名曲として親しまれているものだ。昨年インディーズで発売された曲だが、ライブでの人気があまりに高いので今回のメジャーリリースとなったのだろう。まさにファンの要望が形になったと言える。再リリースにあたって『オリジナルnew ver.』と『マンゴープリン Mix』の2バージョンが両A面として収録されている。オリジナルバージョン(新録)は、ビートパンクを思わせる軽快なロックアレンジで、メロン・ロック路線の王道をいくナンバー。もう一方のリミックスバージョンは、南国風クラブミックスに韓国語のラップが重なり意外な仕上がりだが、原曲のよさはそのままなのでこれはこれでCOOLだ。そして何より驚かされるのがこのジャケット! このアートワークを見るだけで、今作におけるメロン記念日の気合いがビンビンと伝わってくる。「こんなメロン記念日を待っていた!」という声があちこちから聞こえてきそうだ。これは売れますよ!


加藤梅造


riddim saunter / Think,Lad&Lass
NIW-022 2,650yen(tax in) / 9.07 IN STORES

前作リリース後、メンバーチェンジなどもあり約1年9ヶ月ぶりとなる本作。前作は非常に若さと勢い溢れるポップセンスが爆発した傑作だったと思うが、その反面、せわしい、落ち着かない感がある作品でもあったと思う。そして、前作での重要なファクターの1つであった女性コーラスが抜けてどう変わるかが今作の見所でもあった。まず彼らは前作の楽曲をどう調理し直すかという点を持ち前の転換力で見事にリアレンジし、ライブでは今のリディムとして体現、そして今作は新曲を時間をかけて練り上げ、前作の楽曲群の上をいくハイクオリティな作品を作り上げたと言えよう。その1曲1曲と全体がストーリー性と共にコンパクトに纏められており、しっかりとした統一感のもと構成されている。メンバー脱退という困難をものともせず、マイナスをプラスにもっていくところがこのバンドの強みであろうと思う。彼らが求める必要最低限の音数でこれだけの表現力、そして音世界を作り上げるところは流石の一言に尽きる。“ダンスロックとは呼ばせない”なんて触れ込みにはあるが、明らかにそれとは一線を画す常に進化し続けるであろうバンドの姿が垣間見える。前作とは一味違った傑作であると僕は思う。


Naked Loft:ウエムラタカユキ


LINK 13 / El diablo
SR-002 2,520yen(tax in) / 9.20 IN STORES

千葉にLINK13あり! ってのはサイコ/ロカビリー系のみならずパンクおよびストリートに根ざしたロックを奏でるバンドにはもはや常識。しかし、なにも彼らはイベント屋じゃないし、地元に引き篭ってる地域密着型バンドなわけでもなし。長らく続けてきたイベントもお休みし、最高傑作である今回の新作を引っさげ世界を股にかける気満々、準備万端なのだ。ウッドベースを片手一本で吊り上げる人間山脈・TEZUKAの豪快なパワーと日本人離れしたセンスはもちろん圧巻だが、そこに妖しいセクシーさとイーヴィルな魅力も加味され、デモーニッシュなブギーや暴走のモーターロックンロールを轟かせる。スピーカーから血の色のワインが流れ出てきそうな、もしくはマッチひと擦りで大火事になりそうな、とにかくそんな危険な香りがプンプンのギタープレイ、そして死人も這い出てきては踊り出しかねぬヴードゥーリズムもシビレるかぎり。ジャケのイラストを見ておくれ。高層ビル立ち並ぶ近未来社会を歩く前時代的風貌の悪魔はどこか居心地悪げに見える。その姿は流行に流されぬロックンロールを愛すがあまり、現代のロック事情の中で行き場を求めて彷徨い続ける彼らともオーバーラップし、シンパシーを感じてしまう。しかしながら悪魔は悪魔。どんな状況下でもあなたの魂を掴み取っていくであろう。悪魔を憐れむなんてとんでもない。呑気にかまえてるとザックリやられるぜ。


恒遠聖文


REDЯUM / 070422
1,500yen(tax in) / 新宿LOFTのみにて現在販売中

070422...初期メンバー外さん(B)復帰後初のライブの日。オリジナルメンバーが揃うということで、お客さんも期待していただろうし、それ以上にメンバーが一緒に音を出せる事を楽しみにしていた日だとも思います。かくいう私もREDЯUMファンの一人であり、今回このようなライブ音源が発売され、耳にする事が出来、とても嬉しく思います。私はREDЯUMの創りだす空気が好きです。激しくも時に寂しげで、優しさと懐かしさを感じさせるメロディー。そして美しく優しいYUMIさんの歌声が、時に妖しい色を出し、曲の世界を創り上げている。この世界はREDЯUMにしか出来ないもので、私たちリスナーにこの世界を魅せることができるのはREDЯUMしかいないでしょう。
11/11にLOFTにて完全復活ワンマンを行う彼ら。ネットでは即完となった本作品をこの日から発売することになりますので、是非ライブに足を運んで、REDЯUMの世界を堪能して欲しいと思います。


新宿LOFT:ちびた


LENNY KRAVITZ / ARE YOU GONNA GO MY WAY
VJCP-28156

自分が初めてバンドを組んだのは中学の頃だったのですが、地元にスタジオなどなく、公民館で練習に励んでました(そんな人多いと思いますが)。その頃はバンドの音楽的趣向は定められてなく、X JAPANやRAMONES、Motley Crue、FACE TO FACEとかランダムにやってました(当時はドラムでして、KICK START MY HEARTのドラムパターンは簡単なのになんてかっこいい曲なんだ! とよくやってました)。確か高校2年の時にちょっと離れた町の公民館でノルマ制のライブがあり、初ライブ(東京のライブハウスなんて恐れ多かった)。今思えばなにやってんだですが、パートチェンジなるものがあって、初ライブなのにレニーの『ARE YOU GONNA GO MY WAY』のギターをやりましたね。流行ってたんですよね、よくやったな俺(笑)。まぁ高校生の初ライブなんて、理想と現実が違いすぎてその後一ヶ月は公民館には集まりませんでしたね。このCDはそんな青春の1枚。


下北沢SHELTER:西村等


WRENCH / nitro
CTCR-14549 2500yen(tax in) / 9.05 IN STORES

君は「WRENCH」と言うバンドを知っているだろうか? 当然のごとく知っている人もいれば知らない人もいるであろう。しかし、このバンドは絶対に知っておくべきであろう!! 僕はそう豪語出来る自信がある! 前身となるバンドから数えれば今年で結成15周年かな? そのWRENCHの8枚目のアルバムが届いた。とにかく圧巻です! 常に進化し続けて来た証がここにある。そのクオリティ、その迫力、その勢い、その偉大さや立ち振る舞いまでもが今までにないものを産み出し、新しい世界へと羽ばたかせてくれる。パンク? ハードコア? デジタルミュージック? ニューウェーブ? もうそんな事なんてどうでもよい! と言うか、そんな簡単にくくれる音楽では無いことをこのCDを聴けばわかるであろう。それが分からないようであればもういい。ただ時代の流れから振り落とされてしまうのです。そう、これからの時代を切り開いていく1枚のアルバムになったと僕は思う。


新宿LOFT:HxGxK


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