ギター バックナンバー

石橋英子+吉田達也('07年7月号)

石橋英子+吉田達也

眩いメロディと激烈アンサンブルの波状攻撃!
既成概念を破壊し続けてきた最強のデュオによるネクスト・レヴェル・ミュージック!

メジャー、アンダーグラウンド、人種、全ての境界線(ボーダーライン:ルビで)を軽々と越えて30年近くのキャリアを積み重ねる超絶ドラマー、吉田達也氏。代表的なユニットで言えばRUINSということになるのだが、Rooftopの読者に判りやすいようにあえて「日本のロック」にカテゴライズすると、YBO2やあぶらだこ(木盤)のドラマー、ということになるのだろうか。かたや石橋英子は僕のバンド、PANICSMILEの2代目ドラマーで加入して8年近く経つが、いまだに謎だらけのマルチ・プレーヤー。彼女のソロ作や町田 康バンドへの参加等、同じバンドのメンバーとは言え毎回驚かされる活動ぶり。そして、このとんでもない2人がやはりとんでもないアルバム『slip beneath the distant tree』を作ってしまったので、不肖・ PANICSMILE吉田 肇、同じ苗字、同じバンドつながり(笑)でインタビューを敢行! 限られた文字数と時間の中で出来るだけこの2人の謎解きと今作の魅力をお伝えできれば、と。「ロックの定義」がすでに崩壊している現在、こんなところに恐ろしく尖った人達がいた!(interview:吉田 肇/PANICSMILE)


98年九州ツアーの回想、ジョン・ゾーンとの共演

吉田 肇:意外にもと言いますか、達也さんがRooftop初登場ということもありますんで、いろんなことを読者に伝えられたらなと思います。まずですね、RUINSの九州ツアーをやりましたけども、あれが98年の春ですかね?

吉田達也:ツアーって、磨崖仏フェスティバルのこと?

吉田 肇:そうですね。福岡のビブレホールと、熊本のジャンゴと、北九州のマーカスの3ヶ所ですね。

吉田達也:それが最初だったかなぁ…。その前にRUINS単独で1回やったような気がするんだけどね…忘れちゃった(笑)。

吉田 肇:一番最初は、確か岡山ペパーランドの能勢さんの仲介で「RUINSを九州でやれないか?」っていう話を頂いて、達也さんも直接電話を掛けてきてくれたんですよ。正直、そのお話をもらった時に相当ビビったんですよ、「RUINSの吉田さんって人からから吉田さんに電話ですよ!」って言われて(一同笑)。何故かって言うと、やっぱり高校生の時にYBO2とかあぶらだことか聴いてて、そのドラムの人がベースとデュオでRUINSっていうのをやってるっていうのも知ってたんで、もの凄いおっかない人に違いないと思ってたんです(笑)。でですね、その当時の達也さんを取り巻く状況とかってどんな感じだったんですか?

吉田達也:98年って言うと、佐々木君(RUINSの4代目ベーシスト)が入ってから2年目くらいかな。RUINS以外にもいろいろとバンドを立ち上げていって一段落しているくらいかな。ジャズ系の人とやり始めたのもその少し前ぐらいからじゃないかな?

吉田 肇:RUINSのプロフィール的に言うと、海外進出を本格的に始めたのは90年代に入ってからですよね?

吉田達也:そうだね、大体90年くらいかな。

吉田 肇:その時の向こうでの活動ペースだったり、国内での活動状況だったり、今と比べてどんな違いがあります?

吉田達也:いやぁ〜、今も昔もアンダーグラウンドで、客の数はあんまり変わらないよね(笑)。なのでやってる店とかはほとんど同じですね。客層とかはちょっと違ってきてるのかな。以前はハードコア/プログレ/ジャズとジャンルによって客層は別々だったんだけど、音楽自体がどんどんボーダーレス化するにつれて聴く側もあまりジャンルにこだわらなくなってきてるんじゃないですかね。

吉田 肇:僕らの聴き方っていうのが、福岡だったからかもしれないですけど、まさに逆輸入方式だったんですよね。ニルヴァーナとかソニック・ユースが「日本のオルタナ・バンドは面白い」って言うので、RUINSやボアダムズを知ったっていう感じだったんです。

吉田達也:まぁ、東京にいる人はそうでもなかったかもね。そういうことで客が凄い増えるとかいうこともなかったからね。

吉田 肇:そうなんですね。でも、福岡みたいに隔離されてる所だと、雑誌なり、電波媒体なりから情報が入って来てたので。で、海外での活動ペースはどうでした?

吉田達也:えっとね、RUINSで年に1〜2回とかは海外に行ってたんじゃないかな。アメリカとかヨーロッパに。

吉田 肇:その時の向こうでのお客さんの反応っていうのはどうでした?

吉田達也:やっぱり向こうのほうが反応はいいよね。日本より知名度もあるし。

吉田 肇:海外にはそういう土壌があるなって思います?

吉田達也:特にアメリカなんかはね。日本だとインディーとメジャーの落差が凄いけど、アメリカのインディーっていうのはメジャーと比べてもインディー自体の層が厚いから、どんな変な音楽でもメジャーになる可能性っていうのが高いよね。客の聴き方も凄いオープンだしね。

吉田 肇:音楽を聴く楽しみ方が根本的に違うんですかね?

吉田達也:違うよね? 日本はマスコミに左右されるのが多いもんね。

吉田 肇:そういった状況で海外でライヴをやりつつも九州に来たわけなんですけど、あの九州ツアーをやった感想を今聞いてもいいですか?(一同笑)

吉田達也:九州と言うか、博多と言えば「めんたいロック」というイメージしかなかったんで、RUINSなんて絶対受けないと思っていたんだけど、PANICSMILEみたいな変なバンドがいて、そういうシーンがあるのを知って結構ビックリしたよ(笑)。

吉田 肇:ありがとうございます! でですね、そのツアーでRUINSを待ち望んでた人とか、達也さんのRUINS以前のキャリアを知ってる古いお客さんとかも来たと思うんですよ。

吉田達也:来たんですか?

吉田 肇:えぇ、来ましたよ!

吉田達也:少し?(一同笑)

吉田 肇:(笑)あのツアーは僕的に凄い有意義なツアーで、その時のエピソードについて話すともの凄い文字数になるんで端折りますけど、ベースの佐々木さんから、カナダにRUINSでライヴをやりに行った時にNO MEANS NOのメンバーがライヴを観に来てサインをねだられた、っていうもの凄い話を聞いたんですけどね。

吉田達也:へぇ? そんな話があるんだ(笑)。それはちょっと覚えてないけど、オレはしてないなぁ?

吉田 肇:NO MEANS NOって言うと、僕らはもちろん観たこともなく、音源を聴くことしか出来ない凄いバンドっていう認識があったんですよ。だからあの頃、「NO MEANS NOはRUINSに影響を受けたに違いない!」ってみんなで話してたんです(笑)。

吉田達也:いやいや、向こうのほうが早いとは思うけどね。影響を…オレも影響を受けてるとは思うけどね。音楽的にもそうだし、インディペンデントな姿勢とかにも共感出来るよね。

石橋:私、大学生の時にNO MEANS NOに宅録のテープを送って、ロブ・ライトからお手紙で返事が来ましたよ(一同爆笑)。

吉田達也:ハハハハ、それはいい話だ。あとね、彼らは自分達で録音してるじゃない? あのスタジオで録音したいなと思って問い合わせしたんだよね。そしたら結構高かったからやめた(一同爆笑)。

吉田 肇:じゃあやっぱり、交流はあったんですね?

吉田達也:いや、交流はない(一同爆笑)。

吉田 肇:ダハハハハ! 問い合わせだけですか!

吉田達也:しかも、レーベルにね(笑)。

吉田 肇:それ以外にも、高円寺のスタジオでジョン・ゾーンとセッションしたって話も聞いたんですよ。

吉田達也:それ、録音じゃなくて?

吉田 肇:リハをやったって聞いたんですよ。

吉田達也:いや、ジョン・ゾーンとは録音もライヴもやったけど、その為にリハはしないんじゃないかなぁ。その時か判らないけど、20000ボルトでライヴをやったね。RUINSと、ジョン・ゾーンと、フレッド・フリスで。あっ、あとNULL(ZENI-GEVA)も。で、『MASSACRE』の曲をやったりしたよ。

一同:うわぁ? 凄い!

吉田 肇:そういう話を聞いてですね、ジョン・ゾーンと言えば当時僕らは『NAKED CITY』を聴いて初めて知ったくらいだったんで、NO MEANS NOに続きまたそこでビビりましたよ(笑)。そういう意味で凄い刺激になったツアーで、ホントにその節は九州まで来て頂いてありがとうございました!

吉田達也:いえいえ(笑)。

吉田 肇:その時にRUINSがやったライヴは確実に九州に種を蒔いていって、今まさにそういうムチャクチャなバンドが増えてるんですよ。最近、確実に吉田さんの影響がでかいなと思ってたんです。

吉田達也:それは光栄です(一同笑)。

吉田 肇:僕らも当時からKIRIHITOとか突然段ボールみたいに、これ以上ないオリジナリティを持ったバンドを福岡に呼ぶのに夢中だったんで。

吉田達也:それも大変そうだよね。

吉田 肇:で、そのツアーの後に僕たち上京したんですけど、いきなりベースをクビにしまして(苦笑)、その後ホッピー神山さんに気に入られてアルバムを作った際に、ベースの佐々木さんからコメントもらったりとお付き合いさせてもらうんですけど、初めて3人編成になったPANICSMILEとRUINSで対バンしたんですよ。

吉田達也:それっていつ?

吉田 肇:確か99年の年末だったと思うんですけど、ライヴ終わって楽屋に戻ったら達也さんと佐々木さんがいて、「4人より今のほうがいいよ!」ってもの凄い勢いで言われたんですよ(一同笑)。で、その後にドラムが抜けて、それで石橋さんの登場になるんです。それが2000年くらいですね。石橋さんの加入後は試行錯誤して、僕が唄うのを辞めて石橋さんが叩きながら唄うっていう形になったんですよ。

吉田達也:その間はオレ全然観てないんだよね。なんかの雑誌で、女の子のドラムが入ったんだっていうのは知ったけどね。


「Planet of reverberation」は地球と宇宙の区別が付かなくなるようなイメージ

吉田 肇:ここで石橋さんに質問なんだけど、RUINSにはどういう感想を持ってるの?

石橋:RUINSは20000ボルトに出てるのを何回か観たことあって、音源も聴いたことはあったんだけど、オリンピック出場選手を見ているような雲の上の存在だったと言うか、もうそこで終わってる感じ(一同笑)。今でもそういうことを考えると白目むいちゃう(笑)。1年前もこの2人でCD出すなんて考えてなかったからね。

吉田 肇:そもそもこの2人でやる切っ掛けっていうのは?

石橋:最初は私のソロで達也さんにドラムを叩いてもらったんだけど、それはこのデュオの始まりじゃないかな。厳密に言うと、秋葉原グッドマンのスタッフから達也さんに連絡が来て、石橋さんと何かやってくれってリクエストが来たのが始まりかな。

吉田達也:そのライヴをやる前から、対バンの時に音楽性の話とかはしてて、プログレの趣味とか、クラシックとか、近いものはあるなと。石橋さんのソロ・アルバムもそうだし。あっ、そのソロのアルバムにコメントくれって連絡があって、でも文章書くの嫌いなのでイヤだって言ったんだけど…(笑)。

石橋:「聴いた上で判断して下さい」ってお願いしたんです。

吉田 肇:じゃあ、石橋さんのソロ・アルバムが履歴書だったみたいな?(一同笑)

石橋:まぁそこまでじゃないけど、音楽の話とかで判ってもらえる部分が多いなって。

吉田達也:最初はPANICSMILEの対バンで初めて石橋さんを観て、男気のあるドラムだなぁ〜と(笑)。叩きっぷりがね。けども、ヴォーカルは凄い繊細っていうギャップが良かった。次に会ったのはMONG HANGで対バンした時で、キーボードとかフルートとか色々やってて、何でも出来て羨ましいなぁと。

吉田 肇:なるほど、MONG HANGっていうのは重要かもしれないですね。今回のアルバムで使ってる楽器っていうのは、大体MONG HANGでやってますもんね。

吉田達也:だけど、ソロの作品を聴いた時、またそれらとも違った世界観があって、その辺が面白いなって思って。

吉田 肇:これは僕の性格なんですけど、九州バンドマンの縦社会で育ってると、とてもじゃないですけどキャリアのある人にキャリアのない人が挑んでいくっていうのがもの凄く考えにくいんですけど、石橋さんはいとも簡単に飛び越えて共演してるっていうところに嫉妬しながらも(笑)、羨ましくも思い、かつそういう精神性もリスペクトしてるんです。逆に言うと、達也さんもなんですけど、ジョン・ゾーンとかと一緒にやりつつも歳の離れた石橋さんとやるっていう部分が、そこは音楽性ありきなんだなって。

吉田達也:それはねぇ、やっぱりいつも同じ人とばかりやるよりは違う刺激があったほうがいいじゃない?

吉田 肇:どうですか、その辺? その凄さっていうのを僕は感じて、ビビっちゃって弾けないと思うんだよね。

石橋:ああ、でも未だにビビってますよ(笑)。自分との戦いと言うか、自分に苦を与えないとすぐに甘えちゃうから。未だに練習でもビビってるし(笑)。

吉田 肇:今回のこの作品なんですけど、もの凄く良いクロス・ポイントでバランスが取れてるなと思ったんですよ。どちらかが突出してるとか、才能出せてないっていうのがないので、どういう感じで作品が作られていったのか凄く興味があるんですよ。

吉田達也:曲を共作というのはなくて、お互い持ち寄った曲にそれぞれ別の色を添えていくという感じですね。お互いの良いところをリスペクトして出せればいいと思った。

吉田 肇:具体的に達也さんからのダメ出しとかは?

石橋:歌詞かな(笑)。まぁ、結果OKにはなったけどね。基本的にそんなにダメ出しとかはなかったけどね。

吉田達也:まぁ、ダメだったら基本的にやらないかな。出来るところで良い部分を引き出すっていうね。

吉田 肇:「Festival of Teeth」って曲あるじゃないですか? あれはもの凄い曲だと思うんですけど。この2人のバランス感が象徴されてる気がするんですよね。で、あの歌詞がダメだったと?

石橋:ダメって言うか、最初は何も考えずに口ずさんでるうちに出て来た言葉で書いたほうがいいかなと思って。でも唄い終わったらやりすぎかな、とも思った。

吉田 肇:で、その歌詞を達也さんも唄ってるんですよね?(一同笑) 何回聴いても凄いなと思って。

石橋:だってあの曲、変でしょ?(笑) 最初聴いた時、爆笑したもん。愛すべき曲です。

吉田達也:最初聴いた時はこれはちょっとまずいんじゃないか? と思ったんだけど、何回か聴いてるうちにやっぱりいいんじゃないかと思ってきて、気づいたらコーラスを重ねていた(笑)。

吉田 肇:また、曲によっていろんな表情があって、恐らくお互いの作家性が出てる違いかなと感じるんですけど。一番最後の曲「Planet of reverberation」も凄いと思いましたよ。

吉田達也:アハハハ。いやぁ、あれはちょっと悩んだけどね。途中まで出来てこれは入れるのマズイかなと思ったけど、ここに石橋さんのヴォーカルを入れたら今までにないものが出るかなと思って、思い切って入れたけどね。

石橋:あれは、私の中で地球と宇宙の区別が付かなくなるようなイメージがあった。

吉田達也:ヴォーカルがなければレコメン系って言うか、普通のプログレっぽい感じなんだけど、ヴォーカルを入れたことによってだいぶ違う世界になったと思うんだよね。

吉田 肇:あんな曲が最後に入っていて、かなり大ショックを受けましたもん(一同笑)。

吉田達也:レーベル側は中盤にっていう話もあったんだけど、これは最後のほうがいいだろうってことでね。あるいは1曲目とかね(笑)。

吉田 肇:僕も最後か1曲目かなと思いましたよ。

吉田達也:まぁ、1曲目だとインパクトありすぎるかな(一同笑)。

石橋:みんな項垂れちゃうよ。


2人のユニゾン・ヴォーカルを聴いて欲しい

吉田 肇:お互い曲を出し合ったとは思うんですけど、トータル的にこういうアルバムを作ろうみたいなのはあったんですか?

吉田達也:そういうのは全くなかったね。ただ出来た曲を詰め込んでいっただけですよ。最初はカヴァーしかなかったから。最初にグッドマンでライヴをやってくれっていうのがあって、2回くらいライヴをやった頃にレーベルから出したいって話が来て、じゃあオリジナルも作らないと…ってなって作り始めた。

吉田 肇:じゃあ、もの凄く短い期間で制作したんですか?

石橋:カヴァーとかは去年の9月くらいから少しずつ録り始めてた。普通のリハスタでね。

吉田達也:集中してレコーディングって感じではやってないよね。ドラムも簡単に録ったりしたし。

石橋:あとは達也さんが1ヶ月くらいヨーロッパに行って、いなくなったり。

吉田達也:でも、旅先でも編集してたからね。

石橋:達也さんも忙しいから、コンピュータを使ってデータのやり取りで作ったんです。

吉田達也:それで初めてコンピュータを使ったんだよね?

石橋:はい。コンピュータを初めていじりました(一同笑)。

吉田 肇:まぁでも、2人のスケジュールを考えたら、そういうのが不可欠だもんね。

石橋:でも、結局コンピュータでもMTRみたいな使い方しか出来なかった。間違えたら貼り付けるとかじゃなくて、録り直しって(笑)。

吉田 肇:そのせいか判らないですけど、あまり編集してる感じと言うか、パソコンで作った感じではない自然な感じに仕上がってますよね?

吉田達也:そうだね。最低限しかいじってないからね。

吉田 肇:そういった意味でもの凄くいろんな要素を含んでいて、それぞれのキャリアだったりいろんな音楽面がガチンコしてる名作だなと思って、楽しんで聴いております。 石橋&

吉田達也:ありがとうございます。

吉田 肇:最後にですね、今作の聴き所なんかをそれぞれにアピールしてもらえたらなと。

石橋:聴き所は…いろんな曲が入ってるから最初は通しても聴けるし、飛ばしても聴けるし(笑)、いろんな楽しみ方があるような気がします。あとは達也さんの繊細なプレイかな。

吉田 肇:何回か聴いたんですけど、鍵盤のテクニックやセンスが石橋さんのソロの時よりも更に進んだ気がするんだけど、どう?

石橋:私はこの10年間くらいピアノに関しては努力してなくて、達也さんとやるようになって「練習しないといけない!」って思いました(笑)。今も練習中です!

吉田 肇:じゃあ、そこを聴いて欲しいですね。達也さんは?

吉田達也:やっぱりヴォーカルかね。2人のユニゾンのね(一同笑)。カヴァーのね、あれはめったに聴けないでしょ。

吉田 肇:カヴァーの選曲なんですけど、もちろん2人で納得して決めてるんでしょうけど、あれは達也さんのバックボーンというふうに捉えても構わないんですか?

吉田達也:そうだね。

吉田 肇:クラシックのメドレーも含め、そういう意味で達也さんの背景まで晒し出した貴重な盤なんじゃないかと思います。僕みたいなロック側から見たら、THIS HEATの「Twilight Furniture」とかは「なるほど」と思うんですけど、GENESISで「Time table」を選ぶっていう意外性にビックリしました(一同笑)。

吉田達也:いやぁ、あれは単純にいい曲だからっていうだけだけどね。オレはあんまりコードに関しては判らなかったんだけど、凄い転調が多くてね(笑)。

石橋:そうそう、すっごいプログレッシヴなの。いい曲だから普通に聴いちゃうんだけど、やってみたら転調だらけなの。

吉田 肇:僕らみたいに80'sで育った人間から見ると、ピーター・ガブリエルって言うよりはGENESISと言えばフィル・コリンズみたいな印象があったんですけど、そういう意味ではプログレ時代のGENESISを紹介するいい曲だなと思いました。この曲を聴いて、GENESISは『Invisible Touch』だけじゃないんだぞ! って。

吉田達也:今はそういう子が多いのかね?

吉田 肇:じゃないですかね…どうですか? 達也さんのプッシュがないと終わらないんですけど(笑)。

吉田達也:ああ、オレはそのヴォーカルということで(一同笑)。あと、7月頭には東名阪をレコ発ツアーで廻ります。

〈追記〉
ドラマー吉田達也と言えば、みたいな書き出しはこの際不可能であろう、数え切れないバンド数、セッション数、ジョン・ゾーンやビル・ラズウェルとのユニット、ペインキラー、灰野敬二とのユニット「サンヘドリン」、RUINS、是巨人、高円寺百景から今作まで、全て地続きで、すでに時空を越えている。80年代初頭にパンク/ニューウェーヴ/オルタナティヴ・サイドからスタートしたキャリアではあるが、そんなカテゴリーに収まるはずもなく、プログレッシヴ・ロックのアティテュードをベースに00年以降はジャズや即興演奏へと今なお活動範囲を拡大中。8月にはドイツのバンドGURU GURUのドラマー、マニ・ノイマイヤーとのデュオ作がリリースされる予定。


slip beneath the distant tree

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RHYTHM TRACKS / PERFECT MUSIC TRACK-008
2,300yen (tax in)
IN STORES NOW
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Live info.

ACID MOTHERS TEMPLE SWR & 石橋英子+吉田達也 ダブル・レコ発
7月4日(水)東京:高円寺MISSION'S
with ACID MOTHERS TEMPLE SWR/高円寺百景
OPEN 18:00 / START 19:00
TICKETS: advance-2,500yen (+1DRINK) / door-2,800yen (+1DRINK)
【info.】MISSION'S:03-5888-5606

7月5日(木)名古屋:今池TOKUZO
with ACID MOTHERS TEMPLE SWR/Japanese New Music Festival Petit
OPEN 18:00 / START 19:00
TICKETS: advance-2,500yen (+1DRINK) / door-2,800yen (+1DRINK)
【info.】TOKUZO:052-733-3709

7月6日(金)大阪:難波BEARS
with ACID MOTHERS TEMPLE SWR/Japanese New Music Festival Petit
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKETS: advance-2,000yen (+1DRINK) / door-2,500yen (+1DRINK)
【info.】BEARS:06-6649-5564

発狂天国 vol.33
7月22日(日)東京:東高円寺UFOクラブ
with VAMPIRE!(京都)/突然段ボール/CLISMS/core of bells
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKETS: advance-2,000yen (+1DRINK) / door-2,800yen (+1DRINK)
【info.】UFO CLUB:03-5306-0240

石橋英子 OFFICIAL WEB SITE
http://www.eikoishibashi.com/

吉田達也 OFFICIAL WEB SITE
http://www5e.biglobe.ne.jp/~ruins/

PANICSMILE OFFICIAL WEB SITE
http://www.panicsmile.com/

RHYTHM TRACKS OFFICIAL WEB SITE
http://www.rhythmtracks.jp/

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