ギター バックナンバー

TYPHOON24('07年6月号)

TYPHOON24

TYPHOON24がぶっ放す現段階最強の武器『ROCK THE NATION』

前作のミニアルバム『piece of mind』から1年3ヶ月ぶりにして、2枚目のフルアルバムが完成したTYPHOON24。その名も『ROCK THE NATION』。直訳すれば「国を揺らす」という意味になるが、まず目に飛び込んでくる“ROCK”という単語に反応してしまう。さらに1曲目のタイトルは『HARD ROCK BROTHER』。「これはROCKのアルバムで、自分たちはHARD ROCKをやってますよ」と何も知らずに手にとった人にもわかりやすいフラグ的要素がこめられている。もちろんただのフラグではなく、彼らのハードロック魂をぎっちりこめた全12曲を収録。思わず頭をふりたくなるアッパーチューンとともに、ギターアルペジオを効かせたやや切なめな曲があるのもハードロックのマナーに則しているのでは? 精力的にライブもこなし、日々ハードロックの伝道に努める彼らの楽曲づくり・アルバムづくりについてmiya38(b、vo)とSENSHO1500(g、vo)に聞いた。(interview:古川はる香)


音源は自分たちのために作るのかもしれない

──ライブを年間相当数こなしていて“ライブバンド”と言えるTYPHOON24にとって、音源とはどういう位置づけのものなんですか?

miya38:まぁ、ウエポンかなあ。

──レコーディングするたび、最強のウエポンが出来ると。

miya38:うん。CD出してライブツアーまわって、いろんなバンドと対バンして、「次はライブでこういうことをやりたい。でも今ある曲だとそれができない」っていうのが次の作曲意欲になる。だからアルバム出すごとに、バンドのライブっていうのはより楽しくなると思うんですよ。どんなバンドでも。

──聴く側はライブでいいと思った曲を音源で楽しむ喜びがありますけど、やる側は新しい曲ができたら音源という形にしなくても、ライブでどんどん広めていく方法もあるんじゃないかと思ってしまうんですが。

miya38:モトリークルーとかストーンズとか、昔ヒットした曲があるから、ある意味新しいアルバムを出さなくてもツアーにまわれると思うんですよ。昔の曲のほうが盛り上がったりするし。それでも先輩方は出すじゃないですか。それが転がり続けるってことなんじゃないかな。

SENSHO1500:「久々会ったし、なんか作ろうか?」ってノリなんじゃねーの。

miya38:まぁでもね、ライブのためにスタジオで日々練習してると、やってるほうも「う〜ん」ってなってくるから。そこにSENSHOが「こんな曲作ったよ」って持って来ると、新しいプレイが楽しいから。自分たちのために作ってるかもしれないね。


曲づくりはメンバーへの挑戦

── 曲を作ってるときは、これライブでやったら楽しいだろって考えながら作るんですか。それとも曲を完成させたいという気持ちが優先?

SENSHO1500:俺はそういう感じ。別にライブで再現しなくてもいいし、やれることをやっても楽しくないし、ちょっとだけハードルがあったほうがね。なんかいいじゃん。技術的にもメンタリティ的にも、やったことないことにアプローチしていくっていう。そうするとバンド的にも大きくなるし。今までだって「これ完成しないだろうなー」って曲も録音する前日までにはだいたいやれるようになってたから、だいたいのことはやれんだろって。

──それが自信になる?

SENSHO1500:そう。新しいものを作るっていうことに対するチャレンジだったり、実験だったりが自分の作る曲は多いかな。だからみんなにイヤがられる(笑)。「難しすぎる」とか「構成が複雑だ」とかって(笑)。

──ライブでやることが前提かと思ってました。

miya38:それだけではないね。

SENSHO1500:うん。そこだけだと作曲意欲がわかないというか。

──「次はこういうのはどうだ!」っていう挑戦が。

SENSHO1500:お客さんに対してもそうだし、miyaちゃんやdaigoに対してもね。鎌かけるじゃないけど。「これはどうだ!!」って。

miya38:まぁひょいっと飛んじゃうけどね(笑)。

SENSHO1500:俺が飛べなかったりね(笑)。

miya38:SENSHOが持ってきた曲にメロディを乗っけたり、書いてきた歌詞の歌いまわしを考えたり、SENSHOが頭の中で作ってきたイメージを軽く飛び越えてあげないと、一緒にバンドやるってことに対して失礼かなって。常に軽く飛び越えられるように準備をしておく。“男塾”に入っている感じというか(笑)。逆にHARD ROCKって言い切ってHR的なことをやってるから、SENSHOがイメージする飛び越え方がちょっと見えたりする。ノンジャンルで曲を作って来ると、例えを言われてもわからない! お互い最初に音楽の共通認識があるから、それがいいのかもしれない。

──音楽以外にも、お互いの人間性をわかってることが曲づくりにも反映されてくるんでしょうか?

SENSHO1500:どうだろうね。そこまで考えるとややこしいから、俺はあんまり考えないけど。

miya38:俺がずっと一緒にやってるギタリストはみんな釣りが好きなの(笑)。だからなんか似てるところがあるのかな(笑)。


アルバムのイメージは最後まで見えない

──アルバムの曲順は3人で話し合って?

SENSHO1500:いや、miyaちゃんが。

miya38:iTunesに入れて、これとこれが繋がるといいかなって。俺が作る曲って、どれが1曲目に来てもいいように作るんですよ。すべてヒット曲狙いで(笑)。まずタイトルから作るからね。タイトルから作ってひっこみがつかなくなる感じ(笑)。

──今回のアルバムで、一番思い出深い曲は?

SENSHO1500:そうっすねー。『THERAPY-SELF』(M-7)は『piece of mind』を作り終わった頃からあった曲で、ずっとライブでもやってた曲だから聴き飽きるかなと思ってたんだけど、録っても新鮮に聴こえておもしろかったです。

miya38:ぶっちゃけると、俺はライブで1番の歌詞だけをずっと歌ってたからね(笑)。

──それには深い理由が?

miya38:覚えられないよっ!! で、レコーディングで2番も歌わないといけなくて、でも全然口もまわらないし、言葉足りなかったり余ったりっていうのがあって、SENSHOが来てないときに、内緒の組み換えをしてできたのを聴かせたんだよね。

SENSHO1500:まぁスタジオでその通り練習してもいい感じだったから。

miya38:「これでSENSHOいいって言うかなあ?」ってスタッフと相談して(笑)。

SENSHO1500:最初から「これが2番の歌詞です」って渡してたんですよ。でもまぁ覚えるの大変だし。

miya38:ライブで「なんだっけ? なんだっけ?」ってなるよりは、覚えてるとこだけでぐわーっとやってたほうがいいかなって。まだ音源も出てないっていう気楽さもあって。まぁアルバムが出てから、知ってるファンの人にも「今までと違う」って、新曲っぽく思われるかなって(笑)。

──miya38さんの思い出深い曲は?

miya38:うーん。『LET IT HARD』(M-4)はSENSHOのイメージを超えるところでやれた感がすごくある。あとは後半の『I don't want to say goodbye』(M-11)。こういう曲はちょっと久しぶりだなーって感じですね。

SENSHO1500:俺もギターアルペジオってあんまり弾いてなかった。そういう意味では新鮮ですね。サビとかちょっと難しいコードを入れてみたりして。コード辞典を出してきて「どれにしようかなー?」って考えたりしてた。

──これもタイトルから作ったんですか?

miya38:多分そうですね。

──タイトルからって作り方は意外ですね。

miya38:最近のマイブームなんです。先に到達点を決める! そのほうが歌詞も書きやすかったりします。最初タイトル決めて、家で何も繋がないエレキギターをちゃかちゃかやって歌って。イメージもくそもないんですよ。どこにどう言葉がはまればカッコいいかだけ考えて。そこからちゃんとデモを作っていく感じ。

──その段階で歌詞はできてるんですか?

miya38:ハナモゲラで(笑)。タイトルのところだけちゃんと言ってる。♪にゃにゃにゃ〜Hard Rock brother!! って。ちゃんとギターソロまで遊びで入れてるんだけど、SENSHOに全然違うの弾かれる(笑)。俺のギターソロ下手だからね。

──まぁ空気感を伝えたいと。

miya38:そうそう。

──タイトルだけちゃんと言ってるのは「ここがこの曲の肝だ!」ってわかりやすいですよね。

miya38:あとはそこの部分に繋がるような歌詞をね。最初に山つくって後で道をつくる。

──SENSHOさんの作り方は?

SENSHO1500:どうだろうなー? 歌詞の内容がだいたいできてきたら曲作るかな。結構いろんなパターンがある。リフから作ることもあるし、歌詞ができたからそれに対して曲つけることもあるし、サビのイメージから作ることもあるし、あまり決まってないです。

──こうやると作りやすいって法則があるわけではない?

SENSHO1500:理路整然としてるものより、ちょっとブレてるもののほうが好きだから。最初に何かあると、あんまりブレないじゃないですか?「気がついたらここにいた!」ってほうがおもしろいかなって。それはmiyaちゃんみたいな人がいるから、俺はわけわからないとこに行ったほうがいいかなとか。daigoはもっとわかんない(笑)。あいつはリフを口で言ってくるから。♪ダラダラダッダ〜って(笑)。弾いてみると「もっと高い」とか「もっと低い」とか言ってくるの。

miya38:エアギターですよ(笑)。

──daigoさんのデモテープってあるんですか?

miya38:いや、ないね。

SENSHO1500:ない。俺も作らないもん。

──その場で説明する?

SENSHO1500:デモ作ると、その通りにしなきゃいけなくなるし。めんどくさいし(笑)。

miya38:SENSHOは変な読めない譜面を持って来るね(笑)。

SENSHO1500:構成だけを書いたものを。Aが8回、Bが何回って。

miya38:そこに全然違うコードが書いてあったりね。

SENSHO1500:回数も合ってないの。あ、ちょっと違ったわって(笑)。

miya38:この地図じゃ、どこにも行けません! っていうような(笑)。

──でも、ちゃんとSENSHOさんには道が見えてる?

miya38:SENSHOはそれ見ながら弾けるの。すげーな、お前の道! って(笑)。

SENSHO1500:基本的に人に伝える気がないの(笑)。口で説明するのめんどくさいから「ここは8回」とか。「8回くらいかなー?」ってときもあるしさ。作ってて、自分でも弾いてて計算できないんです。譜面書けないから「このくらいかな?」って。違っても後で直せばいいじゃんって。

miya38:でもね、デモテープって何年か経ってパソコンで見つけて聴いてみるとおもしろいよ。「あー鍋のときにみんなにコーラスやってもらったわー」とか。あいつ歌う場所じゃないのに変なこと言ってくれちゃったりしてて......って。一度ボーナストラック的に入れたいね。よくあるじゃん? 未発表テイクみたいな。ほとんど使えないけど(笑)。俺の変なギターソロとか入ってるから。

SENSHO1500:ツアーとか地方行くのに自分たちで運転してるから、万が一事故とか遭ったりしたら、これが最後のオレの音源になるのか〜。これが遺作はやだなーって。だったら残さないほうがいいかって思いもちょっとあるんですよ。「あのDVD誰が処分するんだろう?」とか。

──日記見られたらイヤだなーとか(笑)。

SENSHO1500:そうそう(笑)。だからあんまり残さないほうがいいなって。

miya38:デモ聴いてると、俺はソロだとここ止まりだけど、バンドでこんなカッコいいことになったって思えるんだよ。

──頼もしいギタリストがいてよかったと。

miya38:俺よりちょっとだけうまいですね(笑)。

──それぞれの作り方があって、それが交じり合ってTYPHOON24の音になるんですね。

miya38:曲はゴールが見えるけど、アルバムの全体的なイメージは、録り終わるまでいつも見えません(笑)。

──最初にこういう風に作ろうってテーマがあるわけじゃないんですね。

miya38:先にアルバムのタイトル決めちゃえばもっと楽かもな。

SENSHO1500:ああ、タイトルありきな。

miya38:『RIOT』のときはそうだった。

SENSHO1500:ああ。最終的にアルバムのタイトル決めるのってめんどくさそうだなーと思ってて。だから最初に言っちゃえば、言ったもん勝ちかなって。その時は「タイトルなんて何でもいいじゃん」って気持ちがあって。俺はトータリティとして、そこにこだわりはないというか。人が勝手につけちゃったタイトルでもいいし。

──曲がちゃんとできあがればタイトルにはこだわらない?

SENSHO1500:別に言葉じゃないと。聴いてもらえればなんでもいい!(笑)


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Live info.

6.09(Sat) 川崎CLUB CITTA'
6.10(Sun) 下北沢SHELTER
6.13(Wed) 郡山CLUB#9
6.14(Thu) 仙台MACANA
6.15(Fri) 盛岡Club Change WAVE
6.17(Sun) 札幌HALL SPIRITUAL LOUNGE
6.22(Fri) 京都MOJO
6.23(Sat) 岐阜BRAVO
6.24(Sun) 神戸STAR CLUB
6.26(Tue) 高松DIME
6.27(Wed) 松山サロンキティ
6.29(Fri) 熊本DRUM Be-9
6.30(Sat) 大分TOPS
7.01(Sun) 福岡DRUM SON
7.02(Mon) 長崎DRUM Be-7
7.04(Wed) 広島CAVE BE
7.05(Thu) 岡山CRAZYMAMA 2ndROOM
7.07(Sat) 新潟CLUB JUNKBOX mini
7.08(Sun) 金沢vanvanV4
7.12(Thu) 静岡SUNASH
7.15(Sun) 下北沢SHELTER
7.20(Fri) 名古屋アポロシアター
7.21(Sat) 大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
8.10(Fri) 下北沢SHELTER
9.15(Sat) 新宿LOFT ※ワンマン

TYPHOON24 OFFICIAL WEB SITE
http://www.hits-g.com/

posted by Rooftop at 18:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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