至上のピアノ・トリオが紡ぎ出す、まっすぐで心に響く“うた”
紛うことなき名作の誕生である。小谷美紗子の通算9枚目となるオリジナル・アルバム『Out』。『adore』『CATCH』に続き、玉田豊夢(ds)、山口寛雄(ba)が参加する鉄壁のピアノ・トリオによって制作されたセルフ・プロデュース作品としては3作目となる本作は、楽曲のクオリティ、確固たるアンサンブル、無防備なまでに剥き出しになった瑞々しい歌声、そのどれを取っても過去随一だ。「『Out』を聴いて、天狗になるのも無理はないなと思っていただければ最高に幸せである」という小谷自身の言葉からも、その絶対の自信のほどが窺えるだろう。これほどまでに彩りが豊かで柔らかく、力強くも儚く、透徹したまっすぐな歌を僕は寡黙にして知らない。内なる情念を一気に暴発させ、小谷美紗子は大切な人同士の平和を願いながら尚も声を嗄らして叫び続けている。「楽しみはありますか、好きな人はいますか」と。(interview:椎名宗之)
この3人でできることがまだまだある
──前作でピアノ・トリオ編成は極めた印象があったんですけど、今回もこの編成で行こうと当初から決めていたんですか。
小谷:そうですね。まだまだできることがありそうな気がしたので。それは前作のツアーを終えた後も感じてましたし。
──この3人でできることの可能性をもっと伸ばしていきたいというような…?
小谷:伸ばすっていうよりも…私はとにかくいい曲を書きたいだけなんです。2人とも凄くいいミュージシャンなので、彼らのいいところと私の曲のいいところが合わされば凄いものができると思ったからやっています。
──で、また凄いものができてしまいましたね。
小谷:はい、こうして(笑)。
──前作のアルバム・タイトルが『CATCH』で今回が『Out』、シングルは前回が『Who』で今回が『YOU』と、何か関連性があるのではないかとつい深読みをしてしまうのですが。
小谷:前回の「Who」は特定の誰とかいうのを隠して美しい部分だけを表現した曲だったんですけど、今回の「YOU」は具体的な曲になってるんですよね。でも、それは同じ人に宛てて唄っているわけではないんですけどね。
──先行シングルとしてリリースされた「YOU」は、このトリオ編成が生み出した過去最高のポップ・チューンだと思いますよ。
小谷:ありがとうございます。曲を書く段階でメロディとかは自由に書くんですけど、やっぱり編成の入り口と言うか、ベースラインはこんな感じとかいうのが段々自分でも判ってくるようになって。それもあって、アレンジもしやすくなったし。
──曲作りの段階で、玉田さんならこう叩くだろう、山口さんならこう弾くだろうとイメージしながら作る感じですか。
小谷:はい、そうですね。
──レコーディングに入る前に、曲の青写真というのは小谷さんの中でかなり細かくできているものなんですか。
小谷:いや、頭の中だけなので何となくなんですよね。具体的な説明の仕方が判らないから、大まかな感じで伝えるんですけど。だからそんなに細かい感じではないですね。
──「YOU」が「タイムマシーンはいらない」と今この瞬間を渇望する歌なのに対して、シングルのカップリング曲である「オオカミ(trio.ver)」は彼の学生時代に戻って当時の彼女にモノ申すという、実に対照的な歌詞ですよね。
小谷:ええ、全く逆のことを唄っていますね。でもよく考えると、「オオカミ」も穏やかでいながらちょっと怖いことを唄っているんですよね(笑)。
──「オオカミ」は『うた き』('99年3月発表)に収録されていた曲ですけど、この3人でやればまた違った魅力が引き出せると踏まえて再録したんですか。
小谷:そうですね。『CATCH』のツアーだとか他のイヴェントに出るちょっと前くらいに、昔の曲をトリオでやってみたいということになって。「生けどりの花」とか激しめな曲はトリオでもできたんですけど、静かな曲でトリオにハマる曲がないかなぁと思って、「オオカミ」をやってみたら“これはかなりいいな”と。
──なるほど。今、ステージで昔の曲をやる比率はどれくらいなんですか。
小谷:ワンマンだと、半分くらいは昔の曲ですね。
──昔の曲をトリオ編成でやるとなると、やっぱりアレンジしづらいものなんですか。
小谷:フル・バンドでやってるアレンジとかはギターがいないだけでだいぶ違うので、同じようなバンド・サウンドにしようとすると絶対に寂しくなっちゃうんですよね。だからアレンジを最初から変えるとか、逆にシンプルにして隙間をたくさん作るとかしています。やっぱり練り直さないと難しいですね。
戦争もごく身近な諍いも同じくらい辛い
──せっかくの機会なのでアルバムの収録曲を一曲ずつ追って訊いていきたいんですけど、まず何がびっくりするかって、1曲目の「消えろ」がいきなりドラム・ソロから入るっていう(笑)。しかも、あんな性急なビートで。
小谷:(笑)それ、他のインタビューでも言われたんですけど、そんなにびっくりすることなのかな? って。確かにテンポは今までで一番速いですけどね。ドラム本人も「エッ、ソロから行くの?」って言ってましたけどね(笑)。
──必ずしもピアノが主役ではない、それが小谷さんの考えるトリオの在るべき姿ということですか。
小谷:曲を書いている時点で、そういうドラムが私の中ではずっと聴こえてたんですよね。だからトリオだとかトリオじゃないとか言う前に、曲の前奏としてドラム・ソロが必要だから「やってよ」って言って。レコーディングの時も、ドラム・ソロは後にしてとりあえず本編をちゃんと録るっていうのが普通なんですけど、それだと勢いが途切れるような気がしたから「ソロからやって下さい」と。そのまま本編まで一発で録りました。
──今回はそういう録り方が多かったんですか。
小谷:そうですね。“せーの”で。歌だけあとでちょっと直すとか、ベースを一小節直すとかはあったんですけど。
──どの曲もそれほどテイクは重ねていない感じですか。
小谷:ほとんど2、3回ですね。やっぱり新鮮さを大事にする3人なので、こなれてきて上手になって、カッチリしたミスのないテイクになっても、それだとやっぱり何かが足りないと思っちゃうんですよね。精神的にいいと思えるテイクを一番大事にするので、結局一番最初のテイクがいいねっていうことになるんです。
──「消えろ」のプレイは、山下洋輔トリオを彷佛とさせるスリリングさとスピード感が大きな特徴ですよね。
小谷:おおー、それは凄い(笑)。
──「どうせいつか死ぬんだし、今は辛くてもこの苦しみには必ず終わりが来る」という、唄われている内容は凄くヘヴィですよね。そんな歌を1曲目に持ってくるのがまた小谷さんらしいと言うか(笑)。
小谷:そうですね(笑)。困難な状況で息を切らして走っている人達に向けたメッセージ・ソングなんです。
──そして「YOU」ですが、この曲を完成させるために『adore』『CATCH』という作品があったのではないかとすら思える名曲ですね。清々しさのある一方で、血の匂いもするような曲で。
小谷:そうですね、両方持ち合わせた感じで。
──タイトル・トラックの「Out」は、小谷さん自身の解説によると「宗教の違いによって別れることを選んだ愚かな2人の曲である」という非常に切ない曲ですね。
小谷:これも根深いですよね。日本でも、口にしないだけでいっぱいあると思いますよ。そういう理由で大事な人と別れるのは凄くつまらないことだよっていうことを唄いたかった曲ですね。
──宗教観の違いもそうですが、つまらぬ先入観で物事を線引きしてしまうところは誰しもありますよね。
小谷:そうですね。そういう些細な線引きとか小さな差別とかが大きくなって、戦争とかにも繋がっているんじゃないかなって。でも、戦争もごく身近な諍いも、同じくらいに辛いことなので。だからどっちにも目を向けて欲しいと思いますよね。
──「笑う明かり」は本作の中で最もメロディアスで、いろんなことを先延ばしにしてしまう自分を蝋燭の炎がせせら笑うという、これもまた美しくも翳りのあるナンバーですが。
小谷:(笑)これは男の人に人気のある曲ですね。
──ああ、女性の視点と男性の視点はやっぱり違うものなんですかね。
小谷:そうですね。シャイな男の人とかが良いと言ってくれますよ。「消えろ」「YOU」と暴れ放題暴れた後でこの曲があると、凄くバランスがいいと思います。
──「fangs」と「mad」の2曲は、とりわけ意欲的なアレンジやアイディアが凝縮された曲ですよね。
小谷:「fangs」は、ベースもドラムもやったことがない曲と言うか。いろんなミュージシャンとやってきたけど、この曲はどうしたらいいの? みたいな。だから余計2人が面白がって、「難しい、難しい」って言いながら喜んでて(笑)。
──ということは、小谷さんがSで、玉田さんと山口さんがM気質なわけですね(笑)。
小谷:そういうことになりますね(笑)。
──この編成で3作目ともなると、お2人からアレンジの意見が活発に出てくることも多々ありますか。
小谷:そうですね。ドラムのトムくんはいろんな音楽を知っていて、何かを参考にするとかいうのは通用しない人なんで、とにかくいろんなパターンを試してみるとかは言ってきますけどね。ヒロくんは…「俺どうしたらいいの? どうしたらいいの?」って(笑)。そう言いながらいつも凄くいいベースを弾いてくれるんですけど。
大切な人のために善悪を忘れてしまう性の怖さ
──「fangs」はアレンジもユニークですよね。ちょっとアラブっぽいテイストもあって。
小谷:私達がスタジオで話していたのは、鼻とか耳に凄く大きいピアスをして槍を持って飛び跳ねてるイメージ(笑)。だからアフリカなんですよね。何処か判らないけど、そういう人がいる所、って。
──ちょっと土臭いアレンジと言うか…。
小谷:そう、土の匂いが一番大事なんです。
──「fangs」は一言で言うならば、あなたに絶対服従しますという“愛の奴隷ソング”なのかなと。
小谷:そうです、その通りですね。
──大切な人のためなら善悪も忘れて行動してしまうという、末恐ろしい曲ですよね。
小谷:そう、だから自分がどういう人を信頼して服従するかっていうのは、やっぱり自分がしっかりしてないと。相手は凄く悪い人かもしれないし、もしかしたらオサマ・ビンラディンかもしれないし。
──そう考えると、「Out」の歌詞の内容ともリンクしてきますね。
小谷:だから根深いんですよ。凄く深いところで全部曲が繋がってるんですよね。
──色恋に限って言えば、悪い人だと判っていても、その悪いところに何故か惹かれてしまうことってありますよね。
小谷:ありますね。自分も酷い目に遭わされるかもしれないけど、それでも魅力を感じてしまうっていうのは、多分その人を可哀想に思うからなんじゃないかな、と。それは男女関係なく、人間の母性みたいなところで好きになってしまうんじゃないかと思うんですよね。…って、何の話でしょうね(笑)。でも、男の人はそういうの多いですよね。凄くいい男に限って。
──いい男に限って、同性からの評判が良くない女性と付き合ってることが多いですよね。あれは何ででしょうね?(笑)
小谷:やっぱり男は……ですね(笑)。
──(笑)そんな恐ろしさが次の「mad」で加速していくという。
小谷:あはは。でもファニーな曲ですよ。訳さなかったらファニーでしょ?(笑)
──ファニーなんですけど、英詞を訳すと背筋の凍るような歌ですよね。
小谷:でも、それは男の人からするとですよ。女の人はみんな思ってることですよね。
──「もうそろそろ逃げたほうがいいよ、でも何処へ逃げようとも追いかけてつかまえてやるし、何処へ逃げようとしているかも知ってるけどね」ですからね(笑)。あと、歌詞を読むと「浮気は許しても、乱暴な運転は許さないよ」とありますけど、浮気はいいんですか?
小谷:愛していればね。自分の凄く愛する人が浮気をしたのに気付いたとしたら、お母さんが息子の悪事を見つけちゃって、怒ってるんだけどちょっと面白いみたいな感じなんですよ。「またやってるわ」って。
──手のひらの上で踊らせている感じですか?(笑)
小谷:私はそうやって泳がすタイプですね。泳がせておいて、ウソをつく顔とかも見てみたいなぁって(笑)。
──……恐ろしすぎますよ(笑)。
小谷:でも幸せな歌ですよね、許してもらえるんだから!(笑) 凄く愛していないと、こんなことは言ってもらえないですよ。
──小谷さんのピアノに追いかけられて、まるで逃げるようなドラムとベースの演奏も聴き所ですよね。
小谷:急にテンポが変わるっていうのも、特にドラムは難しいですよね。私は自分で作ってるから簡単なんですけど、2人の慌て具合とかが曲の内容と繋がっていて面白いなぁと思いましたね。英語で唄ってるから直接的な怖い内容を彼らは知らないはずなんだけれども、何処かで感じ取っていたんでしょうね。 もう絶対に逃げ帰れないから東京にいる
──そしてラストの「東京」ですが、アルバムの結末に相応しくグッと胸に迫るナンバーですね。東京という都会の歪な感じや異形さが巧みに描写されていて。
小谷:田舎から出てきた人達にとっての東京のイメージですね。特に私は、京都の山と川と海しかないような所で育ったので。経済格差も、田舎より都会のほうが凄いじゃないですか。田舎はお金がなくてもそれなりに楽しいけど、東京はお金がなくちゃ追い出されるような所ですよね。現実を突き付けられる所と言うか。
──普段、夕暮れを見たら“綺麗だな”と思う瞬間も、小谷さんの歌詞では太陽がビルとビルの間に挟まって窮屈に見えるという…。
小谷:そうなんですよ。もちろん綺麗なんですよ? 綺麗なんだけど寂しい風景、みたいな。私の知ってる太陽は、海の中にボテーっと落ちるものだから。太陽さえも窮屈に見える東京とは如何に窮屈な街なのか、っていうところでそういう表現にしたんですけどね。
──東京は田舎者の集まりだから、生粋の東京人は少ないなんてよく言われますよね。
小谷:生粋の東京人って、田舎の人とよく似てるんですよね。服装とかも流行を求めてない感じだったりとか。優しいし、親切な人もいっぱいいて。だから、つんけんしてるのは田舎から来て頑張ってる人ですよね。
──そんな東京で小谷さんが頑張れるのは、唄い続けたいという強い意志があるからですか。
小谷:そうですね。やっぱり非情な現実を見るからそういう歌詞もできるんだろうし。のほほんとはしていられないので、自分や他人を見極めるには凄くいい街ですよね(笑)。
──今は地元に住み続けながら東京でライヴをするバンドも多いですけど、小谷さんは敢えて東京で生活することに意義を感じていますか。
小谷:デビューのために東京に出てきた時に、“やる!”と決めたからじゃないですかね。私にとって東京という街はテレビの中の世界で、現実には存在しないんじゃないかと思うくらい遠い街だったんですよ。自分が東京に行くなんて思ってもみなかったし。だからデビューするために東京に行くと決めた時に、もう絶対に逃げ帰れないんだって思いましたからね。
──小谷さんにとって東京は、戦地みたいな感覚?
小谷:そうですね。ここで自分の居場所を作らなきゃいけないっていう。もう田舎は出てきてしまったし、帰れないから東京にいるって言うほうが正しいかもしれないですね。
──安息する居場所を見つけてしまったら、唄わなくなってしまうかもしれないと考えたりとかは?
小谷:居場所があるってことは、凄くハッピーだってことですよね。ハッピーな歌は…作れないなぁ(笑)。
──私生活で満たされている時は、やっぱり表現には向かわないものですか。
小谷:向かわないですねぇ…。まぁ、曲をちょっと書いてみようかなっていう気にはなるんですけど、歌詞は絶対書かないですね。
──「消えろ」で唄われている“もうやりきれない、死にたい”という感情は、小谷さんの場合どんな時に湧き起こりますか。
小谷:あんまり仕事とか恋愛のことで死にたいとかは思わないですけど、自分が大事な人を助けてあげられない時とか、そのことを心配しなければいけない時とかですかね。
──自分のことよりも、身近にいる大切な人に降り掛かる辛さのほうが…。
小谷:うん、そっちのほうがしんどいですね。
──そういう思いは、このアルバムの収録曲に通底しているテーマのように感じられますね。
小谷:そうですね。「Out」とかはそんな曲ですし、5曲目の「fangs」もそうだし。大事な人がいて自分が存在している、っていう曲。でも、そんなに綺麗なものではないんですよ? 自分が大事だから、自分の気持ちを下げたくないから自分の大切な人には幸せでいてもらわないと困る、と言うか。結局は自分のためなんです。
──そういう考え方は子供の頃から?
小谷:そうですねぇ…例えば、学校で嫌なことがあっても親には言わなかったり。親が自分のことを心配するほうがしんどいっていう。でも、そういうふうに考える人は多いんじゃないですかね。
何処にも属せない小谷美紗子の特異性
──『Out』というタイトルは、小谷美紗子というアーティストを象徴するような言葉だと思うんですよ。現状の音楽シーンにおいて、ジャンル的にもどのカテゴライズにも属さないアウトサイダー的な立ち位置であるとか。
小谷:「Out」という言葉をタイトルに決めた時は、私の思う“これはダメだ”というところを出したくて仕方がないとか、「Who」の歌詞みたいに時代の片隅で叫んでるっていうこととか全部を含めて、「Out」という言葉はいいなと思ったんですよね。
──アルバムを聴いても迷いが一切ないし、凛として吹っ切れた感じが音にもよく表れていますからね。
小谷:そうですか、良かったぁ(笑)。もう今は迷いはないですね。
──何処に居場所を置いてもはみ出してしまう特異な在り方は、ご自身でも感じていますか。
小谷:感じてますね。特にミュージシャンの方に凄く気に入ってもらえるので、珍しい存在なんだろうなぁとは思います。いろんな音楽を知っているだろうミュージシャンの方が私の音楽を選んでくれるっていうのは嬉しいですよ。
──ところで、オフィシャル・サイトの日記で知ったんですけど、CPという楽器をライヴに導入されたそうですね。以前、新宿ロフトに出演して頂いた時はアップライトでしたよね。
小谷:アップライトは壁に向けて弾くように作られているので、前が見えないんですよ。私はそういう矛盾が一番嫌いで、アップライトはああいう客席と距離が近いライヴ会場に持って行ったらおかしなことになっちゃうし…。
──音色の問題もありますよね。CPはその辺の問題は解消できるんですか。
小谷:CPのほうが、いわゆるフル・コンサートというグランドピアノに、まぁ何とか近付けると言うか…。
──CPとグランドピアノは、どれくらい差があるんですか。
小谷:ダイヤモンドとうんこくらい違います(笑)。
──そんなに違うんですか!?(笑)
小谷:全然違いますよ。それだけグランドピアノというのは素晴らしいんですよね。でも、CPはエレピの中では一番なんですよ。鍵盤のタッチもピアノに似ていて、システムを入れれば音色も選べるので、その点では一番素晴らしいと思います。ただやっぱり、弾き語りだけのライヴだとCPでは絶対にできないんですよ。音が伸びなかったり、タッチを変えても抑揚も大して付かないし。でも、バンドでドカーンとやる時はそんなことよりも勢いが勝るので、CPでもできるって感じです。
──それは平たく言えば、今の小谷さんのモードとしては繊細さよりも勢いを重視しているということなんでしょうか。
小谷:いや、勢いを出すためにCPを選んでいるわけではないんですよ。どっちが爆発的なパワーを持っているかと言えば、やっぱりピアノなんです。だからアルバムの中の鍵盤は全部グランドピアノだし、その勢いっていうのは凄く重要なんです。ただ、会場によってはグランドピアノが入らない所もあって、そこにCPが登場してライヴがいっぱいできるようになったんですよね。
──じゃあ、このインタビューを読んでいる全国のライヴハウス関係者にはもれなくグランドピアノを常設して頂いて(笑)。
小谷:そうですね(笑)。本当に素晴らしい楽器だってことが判ると思いますよ。
──今後、このトリオ編成でやってみたいことはありますか。
小谷:やっぱり曲ですよね。いい曲ができればもっとやりたい。トリオ編成はピアノと凄く合うので。あとは、フル・オーケストラともやってみたいですし。
──では最後に、読者にメッセージを。
小谷:ドカーンっていう感じを、やっぱりライヴハウスで観て欲しいですね。インストア・ライヴは聴きたい放題なので(笑)、是非足を運んで頂きたいです。
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1.YOU 2.オオカミ(trio.ver)
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1.消えろ 2.YOU 3.Out 4.笑う明かり 5.fangs 6.mad 7.東京
Live info.
Trio TOUR 2007“Out”
7月1日(日)福岡DRUM Be-1
7月4日(水)心斎橋CLUB QUATTRO
7月6日(金)名古屋CLUB QUATTRO
7月7日(土)LIQUID ROOM Ebisu
ROCK IN JAPAN FESTIVAL.2007
8月3日(金)国営ひたち海浜公園
【info.】ROCK IN JAPAN FESTIVAL事務局:0180-993-611(24時間テープ対応/PHS不可)
インストアライヴ
6月9日(土)TOWER RECORDS 京都店 OPEN 16:00〜
6月10日(日)TOWER RECORDS 名古屋パルコ店 OPEN 15:00〜
小谷美紗子 OFFICIAL WEB SITE
http://www.odanimisako.com/