THE RYDERSのOHNO、KOJIを中心としてNASU(早朝ピストンズ)、OHGUCHI(THE STRUMMERS)、そして豪華なゲストミュージシャンも迎えての最強RAMONESトリビュート・アルバムが完成! 長らく「日本のRAMONES」と称されてきたTHE RYDERSだけにそのクオリティは圧巻。まさにRAMONESが憑依したかのような音源となっている。今後はRAMONESさながらのライブツアーまで予定されているというRAMONESリスペクト・ユニットDUMBに話を訊いた。(interview : 北村ヂン)
あそこまでシンプルにやれる人たちはいない
──今回の企画はどういうきっかけでやる事になったんですか。
OHNO:まあ、THE RYDERSチームのKOJIとオレは昔からRAMONESが好きだったんですけど、RYDERSでこういうことをやるのもなかなか難しいので、いつかこういうチャンスがあればなと思いながら十何年も経ってしまったんですよ。でも、RAMONESのフロント三人も亡くなってしまったし、RYDERSも休止になってしまったというのもあって、丁度良いから追悼の意味も兼ねて二人でRAMONESをやろうっていうのがきっかけだったんですよ。あとは広島にいるNASUくんっていう超速い8ビートを叩くドラマーと知り合って、最後に昔っからRAMONESフリークのOHGUCHIくんにお願いしてギターを弾いてもらうことにして、こういう形になりました。
KOJI:やっぱりTHE RYDERSはRYDERSとして活動していたし、オレとOHNOに関してはRAMONESっていうのが知り合うきっかけになってたりと、大きな存在ではあるんだけど、他のメンバーはそこまでRAMONES、RAMONESっていう感じでもなかったんで。
──むしろ、影響が大きすぎて若い頃にはやれなかったっていうのもあるんじゃないですか。
OHNO:そうですね。やっぱり自分のバンドのオリジナリティを持ちたいっていうのはあるじゃないですか。RAMONESは当然好きなんだけど、好き過ぎちゃって昔はそのカラーばっかり出ちゃってたんで、それと戦ってた部分はありますね。自分たちのオリジナリティーを探すためにRAMONESに対して反抗的な態度に出てた時期もあったんで。
──しかし今回色々なタイミングも合って企画が実現することになり、いざやるとなったら10曲とかじゃ収まらずに、いきなりドーンと20曲以上やってますからね。
OHNO:最初はライブだけやる予定でやってたんですけど、RAMONESって一曲一曲が短いんで30分で15曲くらい出来ちゃうんですよ。で、やってみたら意外といいセン行ってるなって思って、レコーディングもしちゃおうかって話になって、それからトントンと進んでいったような感じですね。だから、レコーディングもライブフィーリングでやってます。
──アレンジ的には基本的にRAMONESのテイストは崩さずに、かといって単純に完全コピーをしたという感じでもないですよね。
OHNO:RAMONESなんて30年とかやってるわけだから、その時々で歌い方も変わればプレイの仕方も変わってる訳だし、時代によってスピードもどんどんアップしてるからね。そういうのをフィーリングで集大成にしたらこんな感じかなって自分たちで組み立てて、結果的に初期の雰囲気もあればライブの雰囲気もあり、スタジオの雰囲気もありって感じで上手くいったかなと。RAMONESの色んな部分が出せたと思いますね。
──RAMONESって、ずーっと同じ事やってる……って思われてますけど、実は時期ごとに全然違ってますからね。だから今回のアルバムは、RAMONESがまだ続いててライブをやったらこうなるんじゃないかなっていう感じがしましたね。
OHNO:この企画をやるに当たって、まずは『LOCO LIVE』っていうライブ盤を意識したんですよ。90年代に入ってから解散するまでの雰囲気が出ているライブだと思うんで。そのライブのスピード感とかを想定してやったという感じですね。
KOJI:初期の『It's ALIVE』なんかだとテンポ的にも違うからね。
──なるほど、だから変にアレンジして自分たちの色を出すというよりは、RAMONESを踏まえた上で時代性を出したような感じがしますね。
OHNO:やっぱり、ここまで思い切ってやれることってないんで、なり切りたかったっていうのはありましたからね。まずは忠実に練習して、でも当然RAMONES本人たちではないので、そこから「こんなフィーリングもあったんじゃないかな」っていうのを叩き込んでいったという感じですね。
──今回、色んなゲストボーカルの方も参加されてますけど、やっぱりみんなジョーイのモノマネではないんだけど、ちゃんと雰囲気を捉えた歌い方になってますよね。
OHNO:RAMONESっていざ歌ってみると意外と難しいんですよね。ジョーイ・ラモーン独特の歌い方っていうのもあるんで、その辺はみんな結構苦戦してましたね。
──あ、そうなんですか。RAMONESって初心者でもコピー出来る、みたいなイメージもあるじゃないですか。
OHGUCHI:イヤー難しいよ! 奥が深いっていうかね。
OHNO:やっぱりリズム感がしっかり合わないと、こういうシンプルなベーシック・ロックンロールって合ってこないんだよね。とっかかりとしては色んな人が「これだったらオレにも出来るんじゃないか」って思うかもしれないけど、実際やってみるとシンプルでグルーヴ感を出すっていうのはすごい難しいんだよね。でも今回はその辺をオレたちになりに出せたんじゃないかと自信は持っているんですけど。
──ちゃんとやらないとただヘタなだけになっちゃうという感じですか。
KOJI:味がないんですよ、全然。スリルもないし。
OHGUCHI:誰にでも出来るんだけど、でも極めてないと出来ないんだよね。
OHNO:あそこまでシンプルにやれる人たちっていうのは、世界的に見ても他にいないだろうし、その意欲っていうのがプレイしている時にやっぱり出ているんで、簡単に聞こえるかもしれないけどその辺の情熱っていうのかな、やってみると全然違うんで難しかったですね。でも、やってる内に、好きこそ物の上手なれじゃないけど、……やっぱり降りて来ちゃうんだろうな。
──そこはRAMONESも長くやってたけど、RYDERSもそういう方向性を見据えながらこれだけやって来ていますからね。
OHNO:そうだね。
あれもこれも入れてたら100曲とかになっちゃうよ
──あれだけあるRAMONESの曲の中から、収録する曲はどういう風に決めたんですか。
OHNO:基本的に最初は『LOCO LIVE』の曲を練習してたんですけど、もうちょっとやりたい曲もあるなって思って曲を挙げ出したら40曲にも50曲にもなっちゃったんで(笑)。もうサイコロ振って……みたいな感じで選ぶしかなかったですね。だから色んな人が「あの曲入ってないの?」とか言ってくるんだけど、あれもこれも入れてたら100曲とかになっちゃうよって。オレたちはここまでやったんで満足だから、あとは自分らでやれよって感じだね。
──RAMONESって、もちろんわかりやすい代表曲もありますけど、それぞれが好きな曲っていうのもありますからね。
OHNO:まあ今回は基本的に明るめの曲が多いんじゃないかな、あんまりダークな曲は性に合ってないんで。RAMONESがライブでやってる曲っていうのが中心じゃないかな。ただRAMONESもライブじゃやってないような曲も敢えてやってたりもしますけど。「COME ON NOW」なんかはライブじゃやってないんじゃないかな。「NEEDLES AND PINS」なんかもほとんど聴いたことないもんね。そんな事も踏まえてちょっとマニアックに選んでみました。
──「NEEDLES AND PINS」なんかはカバーのカバーですもんね。
OHNO:しかもキーボードを入れてやってますからね、あれは完璧に「ここからはオレたちがアレンジしよう」っていう感じでやってしまったんですけど。
OHGUCHI:RAMONESがこういう風にやってても良かったんじゃないかな、くらいのね。
──かわりにやってあげたという。
OHNO:ずうずうしく言えばそうですね(笑)。
骨の髄まで染みこんでる
──このユニットは、今度はどういう展開をしていくんですか。
OHNO:自分たちのバンドもあるんで、期間を決めて、ツアーで日本の津々浦々を廻ったら解散しますっていう感じですね。秋くらいまでかな。
──これだけRAMONES漬けになったらもう満足だっていう。
OHNO:今までにライブを二回やったけど、もう十分だからね(笑)。やっぱりファンとしてRAMONESを聴く部分と、自分たちでやるっていうのは違うと思うんだよね。さっきも言ったけど、自分たちのオリジナリティーを追求してきた部分があるんで、RAMONESの曲だけをやっててもどうしても満足出来ない部分があるんだよね。やっぱりオレはRYDERSの曲を歌った方がピンとくるなっていうのはやっててすごい感じたんで。
──原点に近い所にRAMONESがありながらも、そこで満足できないからこそ自分らのバンドがあるわけですからね。でもまあ今回のアルバムはRAMONESを知らない若い子たちへの入門編としても良いんじゃないかと思いますね。
OHNO:入門編としてオレたちが成立してるのかなっていうのはちょっと心配なんだけどね。もちろん自分たちとしては達成感はあるけど。最近じゃ、バンドを知らなくてもRAMONESとかPISTOLSのTシャツを着てる人っているでしょ、だからそういうTシャツから入ってもいいし、日本のオレたちみたいなバンドから入ってくれてもいいんで、そういう橋渡しが出来ればとは思ってます。
──やっぱり、最近のパンクを聴き慣れた人がいきなりRAMONESのファーストを聴いちゃうと、テンポも遅いしピンと来ないかもしれないけど、その間を橋渡すっていう意味では、今回のアルバムくの感じは良いと思いますよ。
OHNO:ライブフィーリングで録ってはいるんだけど、ギターはスタジオっぽくLRで入ってるし、音的にも良いセンいってるんじゃないかなって思いますね。まあ、本当に全然リハをやらないで一発録りでやったんだけど(笑)。
──練習をする必要もないと。
OHNO:ドラムを叩いたNASUくんとは会ったのが二回目でいきなりレコーディングだったからね。いきなり回して1、2、3、4でレコーディングだから。奇跡だよね。こんなバンドいないんじゃいかな。それだけ熟知してたってことなんだろうけどね。
OHGUCHI:だから「あそこって何回繰り返すんだっけ?」って聞いても誰もわからないんだけど、考えないで実際やってみると合ってるんだよね(笑)。
OHNO:骨の髄まで染みこんでるからね。あとはそれを毛穴からただ出すだけっていう感じだから。
OHGUCHI:しかもそれをただコピーしてるだけじゃなく、メチャクチャ格好良く仕上がってるから。オレ的にはこのバンドでブラジルに行くっていうのが一応夢なんだけどね(笑)。
OHNO:あ、ブラジル目指す(笑)!? でも、世界的に見てもこういうユニットってないんじゃないかな。一応秋には解散するんだけど、また来年になってやりたくなったら集まってもいいと思うしね。
OHGUCHI:本当そうですね、どっちにしろリハやらないんだし(笑)。
OHNO:いずれは海外版も出したいと一応思ってるんですけどね。ただ、RAMONESをやるっていうのはやっぱり緊張するんで、ヘタな事は出来ないなとは思いますけど。
──それじゃ最後に、今回のアルバムについて一言づつお願いします。
KOJI:自分の初期衝動をこうやって音源として残せたっていうのは嬉しいし、RAMONESは自分の全ての始まりみたいな物なんで、是非聴いてもらいたいなと思いますね。あんまりかたっくるしくどうって事はないけど、音もちゃんと作ってあるし、気持ちもこもってるんで聴いてください!
OHGUCHI:RAMONESが好きな人たちが集まってやってる音源なんで、安心して楽しんで聴けるんじゃないかなと思います。
OHNO:オレ的には本当に自己満足の世界でやってしまったという感じではあるんですけど、自分に対する決着っていう感じもあるし、今までの葛藤を爆発させたっていうところもあるんで、自分の世界観を出せたなとは思っています。もちろん音楽をやる以上は聴いてくる人がいてくれてナンボだと思ってるんで、出す以上はちゃんとみんなが楽しんでくれるように考えて作ってます。「HAVE FUN」っていうのがオレのテーマだから、みんなが楽しんで聴いてくれたらいいな。それで、これをきっかけに本家RAMONESを聴いてくれて、やっぱりすごいなって気付いてくれる人が一人でもいてくれたら嬉しいなと思いますね。
TRIBUTE TO THE RAMONES
LOCA-1009 ¥3000(tax in)
2007.5.16 IN STORES
IN STORES NOW
★のれん街で購入する
Live info.
REAL PUNK GENERATION
5.5(土)下北沢SHELTER
DUMB / RADIO CLASH / SEDITIONARIES
OPEN 18:00 / START 19:00
Adv.2500yen / Door.2800yen
THE RYDERS OFFICIAL WEB SITE
http://www.the-ryders.com/main/