ギター バックナンバー

吉田 肇(PANICSMILE)×AxSxE('07年5月号)

吉田 肇(PANICSMILE)×AxSxE

結成15周年を迎えるPANICSMILEが提唱する素晴らしき情操教育!

革新的なビートを軸として、不安定に融合を果たす凄まじく殺傷能力の高いノイズと浮遊する不協和音。あらゆる既成概念をブチ壊し、悦楽と不快の狭間を自由に行き来しながら酷く乱暴に聴く者を絶頂へといざなうパニックスマイルの音楽はまさに唯一無二、オリジナリティの塊である。結成から15年、度重なるメンバー・チェンジと目まぐるしい音楽的変遷を経て彼らが到達した至高の作品『BEST EDUCATION』は、前衛と大衆性の間隙を縫う危ういバランスを兼ね備えた新境地。降り注ぐ陽光と篠突く驟雨が同居したかのようなこのアルバムの完成を記念して、バンドの首謀者である吉田 肇とプロデューサー兼エンジニアを務めたAxSxEの両名に制作中の秘話を存分に語ってもらった。(interview:椎名宗之)


音はクリアに、パートの棲み分けははっきりと

──何はさておきパニックスマイル結成15周年、おめでとうございます。

吉田:ありがとうございます。

──結成15周年にして、このたび目出度く発表されるオリジナル・アルバム『BEST EDUCATION』でやっと6作目という、この寡作っぷりが如何にもパニックスマイルらしいと思うんですけれども(笑)。

吉田:福岡にいた頃にさんざんデモ・テープを作っていたんですよ。多くて6、7曲入りのテープを、年に2本の割合で。この間再発されたファースト・アルバム『E.F.Y.L.』にボーナスで入っている『scale kit 1/72 100% PLASTIC』というカセット音源がボリューム的にはアルバムに近い形だったんですけど、あれを出した時点でユ95年だったので、そろそろCDを作りたいなと。でも、当時はCDを作るスキルがなくて、結局初めてのCDがユ98年に発表した『E.F.Y.L.』だったわけなんです。まぁ、(中尾)憲太郎もルーフトップの座談会(ユ07年2月号)で「あれがファーストとは思わない」と言ってましたけどね。だから、CDでカウントすると今回の『BEST EDUCATION』で6枚目、ライヴ盤(『EATS TOKYO ALIVE! / PANICSMILE LIVE』)を入れると7枚目になるんです。

──以前、吉田さんに次作の構想を尋ねたら「次は歌モノです」と仰っていて、『BEST EDUCATION』を聴いて確かにその通りだなと。もちろんそこはパニックスマイルなので、決して一筋縄では行きませんけど(笑)。

吉田:歌モノに聴こえました? いわゆる歌モノとは全然違うと思いますけど(笑)。

──でも、不協和音で混沌とした従来のイメージは成りを潜めて、いつもは異様なまでに歪んだギターもかなりクリアな音になっていますよね。その結果、吉田さんの歌がちゃんと残るような音作りになった印象を受けましたが。

吉田:『MINIATURES』(ユ04年発表)を作った後に、「次に作る曲はエフェクトを使わんとこう」ってジェイソン(・シャルトン/g)と話していたんですよ。リードを弾く時くらいにチューブスクリーマーみたいなちょっとしたブースターは使うにしても、基本的にはアンプから出る音だけでセッションしようと決めていたんです。ライヴの現場でも、もっと音をクリアにしたいと思うようになって。ライヴって会場によって音の聴こえ方が全然違うじゃないですか。グァングァンに回る会場でディストーションを掛けちゃうと、せっかくこしらえてきたギターのフレーズが全然聴こえなくてもったいないから、クリーンでくっきりはっきり聴こえさせたほうがいいのかな? っていう、言うなればライヴ対応策でもあるんです。ギターのフレーズみたいな部分をもっと強調したかったんですよね。

──パニックスマイルには似つかわしいほどに(笑)、凄く整合性の取れたサウンドですよね。

吉田:それはもう、プロデューサー兼エンジニアのAxSxE先生のお陰ですよ(笑)。ただ今回、棲み分けははっきりさせたんですよね。僕が単音フレーズっていうよりはカッティングに徹して、ジェイソンはそこでウネウネときしょいフレーズを弾いた組み合わせが多いんです。そのコントラストを出そうとしたから音が潰れていないんだと思います。でも、その反動でインストみたいな曲を作りたくなるから、僕もへんてこりんなフレーズを弾き、ジェイソンも負けずと弾き…みたいな感じになるんです。

──『GRASSHOPPERS SUN』(ユ02年発表)以降、ライヴ盤を含めるとこれで4作目のプロデュースとなるAxSxEさんですが、今回は吉田さんと事前にどんな音作りにしようと話し合ったんですか?

吉田:今回はあえてしなかったよね。

AxSxE:うん。ライヴはしょっちゅう観ていて、新曲がどんどん増えてくるじゃないですか。その新曲が従来とはベクトルが変わってきた感じがした。新曲を聴いて…そのままやろうって感じで。インストの3曲(「Chicken Force (May the chicken force be with you, always)」「Rabid Dog Bite」「Wedding Present」)は全然作り込まないで生音そのままに、スネアとかにコンプとか掛かってないようにして。歌有りのほうは逆にいじくろうと思って、ディレイとかいっぱい付いちゃった(笑)。吉田さんがこだわったのはバスドラの皮だよね。

吉田:そう。コーテッドのやつなんですけど、応援団の太鼓みたいな音がするんですよ。ベードラの中によく毛布とかスポンジを入れてミュートするじゃないですか。それを抜いちゃって、コーテッドの皮を打面に貼ると、バイン! バイン! バイン!って音になるんです。そういうちょっとガレージ・テイストのサウンドで録りたかったんですよ。そこだけかな、僕のリクエストとして最初にあったのは。ジョン・ボーナム(レッド・ツェッペリン)とかジンジャー・ベイカー(クリーム)とか、ユ70年代のハード・ロックのドラムみたいにベードラはボコンボコン言ってる感じにしたかったんですよね。あとはサークルサウンズの特性なのかな、あれは?

AxSxE:そうやね。自由が丘の外れにある、ただの狭いリハスタなんですけどね。俺はそこの部屋でばっかり、もう10年以上ずっと練習とかしてて。

──その部屋の空気感が良かった、と。

吉田:そうですね。

AxSxE:そこでみんなヘッドフォンもしないでレコーディングして。ヘッドフォンはね、絶対にしないほうがいいと思うんよね。たまにしゃあない時もあるけどね。俺から言わせれば…ヘッドフォンは敵だ!(笑)

吉田:その意見には賛成ですね。ライヴの時にヘッドフォンなんてしないわけじゃないですか。それと同じことですよ。演奏する時に頭に何かはまってるのが不自然でしょうがない。ヘッドフォンなしでやれるのが一番です。


戦後の教育の在り方にふと疑問を抱いた

──そんなレコーディングの在り方然り、割と素直なアルバムと言えますよね。

吉田:そうですね。ベーシックは素直ですよ。ありのままを出したというか。

AxSxE:今回も変拍子はあるけど、回り回ってエイト・ビートになった感じだよね。

吉田:そう、まさにそんな感じ。ジャム・セッションでギターを弾いた時の印象が、高校生の頃にコピーした素直なエイト・ビートみたいにしたかったというか。

AxSxE:やっさん(保田憲一/b)のベース・ラインもありそうな2音、3音の組み合わせやねんけど、やっぱり他にないかもな、っていう(笑)。ジェイソンも、酔ってないけど酔っぱらってるみたいなあのフレーズは凄いっすよ。あと、英子さん(石橋英子/vo, ds)のガクガクビートもグレートっすね。数曲の歌はメジャー・コードで、それがライヴで観た時にいいなと思ったんだよね。「Best Education」とか「Pop Song (We can write)」とかね。

──「Pop Song (We can write)」は紛うことなき名曲だと思いますよ。色々と誤解されることは多い曲だと思いますけど(笑)。「ポップ・ソングを唄うヤツは頭が悪い」と言いたいわけでは決してなく。

吉田:そうですよ。この曲をライヴでやると、僕らの後に出るバンドがやりにくくて仕方ないっていう話もよく聞きましたけどね。でもそれは…強気な言い方をあえてするならば、「Pop Song」という曲を聴く側の心の持ちようじゃないですかね。その人の心に曇りがなければ素直に届くと思うんですよ。その人の中にいやらしい雑念があると何かが思い当たるという図式なので。僕らはポップ・ソングに対してアンチの姿勢なわけじゃなくて、「俺達だってポップ・ソングを書きたいぜ!」と言ってるんです。「We can write」、書けるに違いない! と。チャレンジはしてみました、でもこんな曲になってしまいました、頭悪そうですいません…っていうノリの自虐的な曲なんですよ。ただ、ライヴで聴こえる「頭がバカになる」っていう言葉尻だけ取ると、いたたまれない気持ちになる人もいるみたいですね(笑)。

──でも、最後の「Buy now!」の連呼は凄く皮肉っぽく聴こえますよね(笑)。

吉田:いや、それは「俺達のCDを買ってくれ!」っていうことを3回言っているんですよ(笑)。最後のジェイソンのメタル・ギターは僕にとってポップ・アイコンなんです。

AxSxE:ははははは。よう考えたな(笑)。

──『BEST EDUCATION』の大きな特徴のひとつとして、歌詞がドン詰まりに暗い一方で音の表情は明るいということが挙げられますね。そのバランスが実に絶妙で。

吉田:そうですね。そこはホントにAxSxE君に救われたところなんです。仮に僕のプロデュースで録ったとしたら、本当にどうしようもなく暗いアルバムになったと思います。そこをいろんな仕掛けを施して、耳障りがダークじゃない感じに仕上げてもらったので良かったですね。僕の昔からの性質で、暗い歌詞なのにメジャー・コードの曲だったり、マイナー・コードの曲なんだけど明るい歌詞だったり、そういう気持ち悪い組み合わせが好きなんですよね。だから今度のアルバムは究極のバランスになったんじゃないかと思いますよ。

AxSxE:いやぁ、自分でもどうやったのかよく判らんけどね(笑)。ライヴを観て曲を知って、録って、トラックボールを触りながらミックスしてたらこうなったっていうだけ(笑)。あ、でもひとつ言えるのは、今回もそんなに時間は掛かってないけど、歌だけはいつもよりちょっとだけ時間を掛けたかな。演奏はほぼ一発で、思い付きで鳴り物とかダビングしたかな。曲の展開重視で録った。

吉田:8曲目の「Deceiver」は、ホントにいろんなタイプの唄い方を4、5パターンくらいAxSxE君に要求されましたからね。「もっとメロウに唄って」とか「リズムを意識して」とか「もっとブッ飛んだ感じで!」とか(笑)。それにトライすることで、この曲が一番時間が掛かりましたね。結局、採用になった2つのラインをダビングしたんですけど。

AxSxE:他のは結構、メロが固まってる曲が多かったやん? 「Deceiver」はまたそれとも違う曲やったからね。

──でも、「Deceiver」はパニックスマイル流のポップ・ソングに聴こえましたけどね。

吉田:そうですね。この曲を作ってる時は歌モノにしたかったんですよね。全然違いますけど、例えばルー・リードの歌モノのような。サビの部分は裏声で唄うと決めていたのでトライしてみたんですけど、やっぱり石橋さんの声を被せたほうがいいということになり、その結果ああいうハーモニー型の曲になっているんです。

──タイトルの『BEST EDUCATION』には、キャプテン・ビーフハートやディス・ヒート、カンといった偉大なる先人の音楽的DNAをパニックスマイルが受け継いで次世代に託すという意味が込められているんですか?

吉田:いや、そういった音楽性の伝承みたいなことは全く考えていなかったです。もちろん、そういうふうに取ってもらっても構わないんですけどね。まず、そもそもは曲のタイトルで、その時に付けた意味は全く別のものだったんです。

──では、至上の教育(“BEST EDUCATION”)を受けてさえいれば、日本は今頃こんな酷い国にはならなかったんじゃないかという意味ですか?

吉田:はい、シンプルに言えばそういうことです。僕は普段よく電車を利用しているんですけど、ほぼ毎日人身事故で電車が止まるんですよ。さっきここに来るまでも中央線が止まってましたから。京王線も小田急線もよく止まるんです。要するに、そうやって凄い勢いで電車に飛び込む人が連日いるわけじゃないですか。そういうのはだいたい午前中に起きるんですよね。電車に飛び込んだ彼は、出社して「営業に行ってきます」と表に出て、やるせなくなってホームに身を投げたのか、あるいは遅刻して「今日も怒られるな…いっそ死んでしまうか」と思い詰めて飛び込んだのか、それは判らないですけど、たいていは会社の出社時刻前後に電車が止まるんです。飛び込んだ彼は50代の定年間際かもしれないし、僕らと同じ30代半ばかもしれないし、入社したてのフレッシュマンかもしれないけど、いずれにしてもみんな戦後の教育の下で育ってきた人達ですよね。その人達が見失ってしまった生き甲斐や自由というものを考えた時に、果たしてこれが良い教育だったんだろうかと僕は思うわけです。それが「Best Education」のテーマなんですよ。

──最後の「Goodbye」では直接的に自殺を扱っていますよね。「今日も誰か死んだのかな?」という諦念にも似た一行から始まる曲で。

AxSxE:でもこの曲、コードは明るいよね(笑)。

吉田:そこで救いがあればいいなと作り手としては思うんですけどね。

AxSxE:そうかぁ、戦後かぁ…。

吉田:うん。戦後に疑問を持った時期が一昨年辺りかなりありまして。

──ということは、「Best Education」という曲はパニックスマイル流のポリティカル・ソングとも言えますか?

吉田:いや、ポリティカル・ソングとは捉えて欲しくないんですよね。完全に僕一人の中の妄想なので。僕はそこまで社会派じゃないし、自分の中で感じたモヤモヤを形にしたにすぎないんです。三島由紀夫の『行動学入門』や『葉隠入門』なんかを読むと、この物質至上主義の社会にまみれた自分が如何にだらしないかを痛感するわけですよ。僕は日本経済がバブルに湧いたユ80年代に多感な時期を送りましたからね。そんな自分は今もまともな職にも就かずにバンドを続けている。自分の中の答えはそれで幸せなんですよ。でも、その一方で連日連夜電車に飛び込む同世代の人もいる。果たしてどっちが幸せなんだろう? と僕は考えるんです。一事が万事こんな調子なので、全体的に歌詞は暗いんですよ(笑)。


何処にも属せないパニックスマイルの特異性

──なんというか、凄まじく情報量の高いアルバムだということが話を伺ってきてよく判りましたよ。

吉田:今までのアルバムも本当は情報量が高いんですよ。ただ、こうしたインタビューでも歌詞に関してそこまで深く訊かれたことがなかっただけで。みんな歌詞まで見ないというか、音の斬新性ばかりに話がどうしても行ってしまいがちなんです。でも、そんなスクエアなバンドではないし、歌詞の深い部分まで語らなくても別にいいかなという気もしてましたしね…。

AxSxE:俺はなるべく歌詞を分析しないように努めて作業をしてたんだけど、今の吉田さんの解説を聞いてなるほどなぁ…と思ったよ。俺はそんなに暗いとは思ってへんかったからね(笑)。でも、言葉はちゃんと聴こえるようにはしたかったんよね。

吉田:面白いのが、僕の書いた日本語の歌詞なんてほとんど判らないジェイソンが「アルバムのタイトルは『BEST EDUCATION』にしよう」って言ったことなんですよ。それを聞いて、こいつ、日本語を判ってないくせによく判ってるなぁと思って(笑)。タイトル曲のテーマはどの曲にも通底しているので、僕も全く異議なしだったから、それで行こうと。

──吉田さんの中では、コンセプチュアルなアルバムにしようという意図は当初からなかったんですよね。

吉田:ないですよ。今話したような説明は初めてしたし、AxSxE君にも初めてしたし、実はメンバーにすら話してないんですよ。他のメンバーは、「なんかよく判らないけどそういうことを唄ってるんじゃないの?」っていう感じでしょうね(笑)。

AxSxE:バンドが全て一丸となって突き詰めてやるのもアリかも判らんけど、そうじゃないところが俺はパニスマの良さのような気がするけどね。

吉田:今までも一貫してそうだった気はするんですけどね。『10songs, 10cities.』(ユ01年発表)と『GRASSHOPPERS SUN』は石橋さんがヴォーカルで、歌詞は僕が書いていたんですけど、最初のヒントを石橋さんからもらうんですよ。「この曲はこういうストーリーにして欲しい」というように。それに対して僕が歌詞を渡す作業をしていたので、そこはひょっとしたら意味が通じていたのかもしれないけど、前作の『MINIATURES』からは歌詞に関して特に説明はしていませんからね。

AxSxE:吉田さん以外の3人はなんか共通してるところがあるよね。「ケッ!」と思うポイントが同じとかさ(笑)。

吉田:そうそう、僕以上に他の3人のほうがパンクかもしれないですね(笑)。

AxSxE:その「ケッ!」っていう感じが演奏中にも出てるもんね。

吉田:特に石橋さんがね(笑)。ジャケットの写真には控えめで清楚な音楽教師として写ってますけど、リアルにスケ番ですからね(笑)。

──今回のアーティスト写真も随分と思い切りましたよね。『BEST EDUCATION』だけに、メンバー全員が教師に扮する凝りようで(笑)。

吉田:レーベルA&Rの片山君のアイディアなんですけど、『BEST EDUCATION』というタイトルにするなら学校で撮ろうよって話になって、トントン拍子で話が進んで。

──4人とも、夜になると別の顔がありそうな訳あり風情な教師に見えますよね(笑)。

吉田:そういう先生も最近問題になったじゃないですか。この間も下着泥棒の現行犯で逮捕された中学教師とか、子供の死体を自分のホームページにアップしていた小学校の教師とかいましたよね。

AxSxE:吉田さん、話つなげるのウマイねぇ(笑)。昔やったらちゃんと怖い先生っておったやん? 生徒よりもちゃんと強い先生がね。今の時代は立場が逆になってるもんな。

──今の教育現場は、表向き体罰は厳禁らしいですからね。

吉田:僕が子供の頃なんて平気でありましたよ。先生に竹刀でボコボコにされてましたからね。でも、だからと言って体罰を受けて警察に届けを出そうなんて思わなかった。

AxSxE:そうそう。あと、昔は道徳の授業とかあったよね。今思うと、意外とああいうの大事だったんじゃないかな。

──そうですよね。あと、小学校の運動会で手をつないでみんなが1等になれる徒競走をやるような横並び主義の教育方針では、闘争意識すらも芽生えてこないですよね。その延長線上にあるのが、仲の良い寄り合い所帯バンドの馴れ合いライヴだと僕は思うんです。そういう没個性で画一的な教育こそが“WORST EDUCATION”じゃないかと(笑)。

吉田:判りますよ。僕らの若い頃は、対バンは時に敵であり、時に良き競争相手だという意識がどのバンドにもありましたからね。今はみんなで仲良しな感じで、いいライヴもダメなライヴも「良かったよ、カンパ〜イ!」でオシマイだから、ぬるいなぁと思いますよね。

──それに比べて、パニックスマイルはライヴでアウェイを強いられることが多いですからね(笑)。

吉田:アウェイじゃない場所もあるにはあるんですけど、そういう所でライヴをやるのはもうちょっと後でいいかなと思ってるんですよ。

AxSxE:アウェイのほうが燃えるよね。逆にワンマンとかやっても、“なんでこんな人来てんねやろ”って自分で思ってしまうなぁ(笑)。

吉田:僕達は、実はまだワンマンをやったことがないんですよね。

AxSxE:やろうよ! むずがゆい感じになるかもしれないけど(笑)。

──お客さん全員が非国民みたいな感じになりそうですよね(笑)。

吉田:300人でも400人でもいいから、そういう嗜好性の人達が集まったらホントに非合法集会みたいですよね(笑)。でも、僕は心底アウェイが好きなんですよ。単純にモチベーションが上がりますし、“とにかくやらかしたるで!”って思いますからね。

──そのパニックスマイルのアウェイ感っていうのは本当に独特ですよね。

吉田:何処にも属せないがゆえのものなんでしょうね。普通の人が「言わなくていいじゃん、それ」っていうようなことを、マイクロフォンを通じてPAシステムを使ってあえて言うので(笑)。「またそういうこと言ってるよ」っていう雰囲気にさせてしまうから、「みんなで仲良く頑張って行こうよ!」みたいなことにはどうしてもならないわけですよ。

──そう考えると、15年もよくバンドが続きましたよね(笑)。

吉田:ホントですね(笑)。歌詞は一貫してイヤなことばかり唄い続けているし、ようやれたなぁ…と自分でも思いますよ。その割には普通のOLにモテたい願望もあるんですけどね(笑)。

AxSxE:そんなこと思ってるの?(笑)

吉田:モテたいっていうか、聴いて欲しいよね。ミスチルやスピッツを聴いてる人にもパニックスマイルの音楽を聴かせたいんですよ。闘魂溢れる若いサラリーマンにも聴いて欲しいし、いわゆるJ-POPを聴いているような一般層の人に聴かせてナンボだと思っているので。僕が好きだったニューエスト・モデルやエレファントカシマシの初期、(忌野)清志郎さんも然り、どれも凄く毒々しかったじゃないですか。そういうロックがもっといっぱいあってもいいのになぁと思うんです。今は“はれたほれた”の歌ばかりだし、「たまにはこういうのどうですか?」って僕達の音楽を勧めたいですよね。

AxSxE:今回のアルバムはいい意味でこれまでと全然違うから尚更だよね。こういう形のあるアルバムを作った後に、むっちゃやらかすような正反対のアルバムを作りそうなのがパニックスマイルの面白いところやと思うよ。

吉田:今回のアルバムは、紆余曲折ありながらもこういうことがやりたくてここまでやって来たんだなと自分でも思えたし、それがベストな状態でできたので幸せですね。たまに地元の同級生と会うと、それぞれ温かい家庭があったり、立派な役職に就いたりしているんですよ。自分はそんな身分じゃないけど、ずっと音楽をやり続けて、こうして理想的な作品を作ることもできたんだから、形は違えどやっぱり幸せなんだな、と。だから、「幸せに暮らしているので心配しないで下さい」と同級生達に伝えたいですね、この誌面を通じて(笑)。あと、福岡の親父にも(笑)。


BEST EDUCATION

6th original album
BEST EDUCATION

RHYTHM TRACKS / PERFECT MUSIC TRACK-007
2,200yen (tax in)
5.02 IN STORES
★amazonで購入する
★iTunes Storeで購入する(PC ONLY) icon

Live info.

PANICSMILE 6th ALBUM『BEST EDUCATION』発売記念
PANICSMILE and ELECTRIC EEL SHOCK coupling tour
『New Heavy Metallic Education Tour 2007』

5月23日(水)下北沢SHELTER
5月25日(金)神戸VARIT
5月26日(土)広島NEOPOLICE HALL
5月27日(日)福岡decadent DELUXE
5月29日(火)大阪十三ファンダンゴ
5月30日(水)名古屋CLUB ROCK'N'ROLL
*全会場入場者全員に両バンドのステッカー・プレゼント!
【total info.】PERFECT MUSIC:03-6231-6527

11th ANNIVERSARY『HOWLING』
5月6日(日)秋葉原CLUB GOODMAN
w/ ロレッタセコハン (福岡) / AMAZON SALIVA / デラシネ
OPEN 18:00 / START 18:30
TICKETS: advance-2,500yen (+1drink) / door-2,800yen (+1drink)
【info.】CLUB GOODMAN:03-3862-9010

PANICSMILE OFFICIAL WEB SITE
http://www.panicsmile.com/

RHYTHM TRACKS WEB SITE
http://www.rhythmtracks.jp/

posted by Rooftop at 10:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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