目を凝らして焼き付けてみる
明日も僕らが生きていく世界を──
閃光の如く連射される9mmのパラベラム弾が日本のロックの新たな基準となる!
断言しよう。9mm Parabellum Bulletというこのなんとも覚えづらく言いづらい名前を持った新進気鋭のバンドが日本のロックの夜明けに曙光をもたらし、日本語ロックの地平を今後新しく切り拓いていくことを。2007年以降の日本語ロックの新たな基準を打ち立てる存在であることを。
猛々しい爆音と燃えるような静寂が激しく交錯し、得も言われぬダイナミズムと昂揚感を内に秘めた彼らの音楽は、袋小路の絶望を感受しきった者だけが掴み取ることのできる微かな希望を聴く者に提示してくれる。
そんな彼らの心髄はライヴにこそある。ステージを所狭しとメンバー同士が暴れ回る結果、時に楽器やエフェクターを破壊するに至ったり、時に流血騒ぎになることもある。無軌道にも程がある彼らのライヴ・パフォーマンスは、ロックが本来持ち得た破天荒な暴力性、虚実の境を行き来する出鱈目さ、思春期に初めてロックに刻まれた時の衝動と焦燥感を思い起こさせるはずだ。
9mm Parabellum Bulletが日本のロックの在り方を塗り替えていく様を現在進行形で見届けられる幸福を、一度でもロックに刻まれたことのある人ならば享受する義務があると僕は思うのだ。(interview:椎名宗之)
こちらから手を差し伸べるようになった作風の変化
──3月末にZepp TOKYOで行われた『LIVE SUPERNOVA FESTIVAL』でのステージを拝見したんですけど、the pillowsやDOPING PANDA、ART-SCHOOLといった先輩バンドにも引けを取らない堂々としたライヴが凄く印象的だったんですよ。トップ・バッターで、あれだけの大きな空間でも物怖じする態度がこれっぽちもなくて。
菅原卓郎(vo, g):ありがとうございます。去年の12月にRADWIMPSのツアーにオープニング・アクト(ゲスト)として参加させてもらって、同じように大きな会場でライヴをやった経験が生きたんだと思います。
──見た限り、最前列のほうに既に数多くの固定ファンがいらっしゃいましたよね。
滝 善充(g):客席を見たら、知ってる人が何人かいましたねぇ。
菅原:僕達のTシャツを着てくれた人がちらほら見えましたね。
──今年2月に渋谷O-nestで行われた初のワンマン・ライヴ『機械の遺伝子』のチケットは販売開始後わずか5分で完売して、ライヴの動員も鰻登り。そんな絶好のタイミングで発表されるのが、このプレデビュー・アルバム『The World e.p.』なわけですが。
菅原:メジャーでフル・アルバムを作る前に、まず挨拶代わり的なアルバムを作りたいと思って。「The World」と「Heat-Island」という新しい曲に加えて、以前発表した曲を新たに録り直して、ライヴ盤みたいな仕上がりにしたかったんです。
──新曲の2曲は元スーパーカーのいしわたり淳治さんがプロデュースを手掛けていますが、皆さんスーパーカーのファンだったんですか?
菅原:特にファンだったのは、そこの緑色の服を着た人(かみじょう)ですね。
かみじょうちひろ(ds):そんなこと言っても、活字になったら判らないから(笑)。
菅原:いしわたりさんはとても頭の柔らかい方で、僕らがすぐに頭を硬くしてウーンと煮詰まってしまうところをうまく解きほぐしてくれましたね。その解きほぐし方には凄く助けられました。
かみじょう:いしわたりさんが僕達のライヴをたまたま観に来てくれたことがあったんですよ。そのライヴを観て僕達のことを良く思ってくれて、今回こうしてプロデュースを引き受けて頂いた次第なんです。
菅原:ご自身のブログに「9mmはイイぞ!」と書いてくれてたみたいで。有難いですよね。
──いしわたりさんとの実作業は如何でしたか。
菅原:基本的には僕達が好き勝手やらせてもらって、頭を抱えるような段階になると「もう一回やってみよう」とか「こういうふうに変えてみたらすっきりするんじゃないかな?」と適切にアドバイスをしてくれる感じでしたね。もう少し時間を掛けたら自分達でも解決できたかもしれないポイントを、いしわたりさんがその場で凄く的確に提案してくれたというか。
──具体的に言うと、音数を整理してみたりとか?
かみじょう:そうですね。あと、曲の筋道をうまく順序立ててくれたというか。
──「The World」は緩急のついた構成で、これまでになくスケールの大きな曲ですよね。
菅原:そうですね。いしわたりさんには凄く助けられたと思います。
──歌詞の世界観もかなりスケール・アップしたと思うんですよ。それまでは自分の半径3メートル以内の世界を歌のテーマにしていたのが、この「The World」ではその圏内の向こうにいる誰かに自ら投げかけを始めたというか、視野がグッと広がったように思えるんです。
菅原:うん、半径3メートルな感じだったというのは当たってるなぁと思いますね。今も同じ半径3メートルの中にいるんだけど、それまではただ物事を見つめているだけの人が声を出して話し掛けるようになったというか…。視野がパッと広がったというよりは、そういう変化なのかなと自分では思ってますね。
──自分から手を差し出して握手を求めるようになったというような?
菅原:そうですね。3メートル以内のところに人が入って来たら「おはよう」と声を掛けてみるとか。あるいは、「こっちに来んな!」って言ってみるとか(笑)。そういう意思表示をするようになったという感じですかね。
──それまでは、半径3メートルの圏内に人が立ち入ると「あっちに行けよ!」と排除するほうだったんですか?
菅原:いや、「あっちに行けよ!」と頭の中で思っていても、とりあえず見過ごしていたり、何も言わずに平静を装っていた気がします。自分の領域に厭なヤツが来た、または好きな人が来たぞっていう、そこで起こった変化を以前は歌詞にしていたんですけど、その中で何を言っていたかと言えば、特に何も言っていなかった。でも、今回の「The World」では向こうから人がやって来たら自分から挨拶もするようになったんですよ。
ライヴの勢いをそのまま凝縮させた既発曲の再録
──そうした作風の変化は、何かきっかけがあったんですか?
菅原:やっぱり、インディーからメジャーに移籍することになって、今までよりもずっと多くのいろんな人が自分達の音楽を聴くんだと考えるようになったからでしょうね。そういった意識は、RADWIMPSとツアーを回った時に僕の中でより自覚的になったんですよ。連日2,000人クラスのキャパシティの中でライヴをやって、不特定多数の人の前で演奏することで意識が開けたことは大きいですね。自分達を知っているどうかは別にして、いろんな人が9mmの音楽を聴くのを目の当たりにしたわけですから。少なくとも、元から僕達の音楽を好きでいてくれる人達に対しては自分の考えていることを伝えてみようと思って…。
──RADWIMPSとのツアーで得た経験は意外と大きなものだったんですね。
滝:僕は正直、意識の面でそこまで大きくは変わらなかったんですけど、でかい場所でも結構いけるんだなぁとは思いましたね。
──広いステージならいつも以上に暴れられるぞ、と? 9mmのライヴを初めて観た時、僕は滝さんの常軌を逸した破天荒な暴れっぷりにまず度肝を抜かれましたから(笑)。
滝:ははは。でかい所で普段以上に派手にやれたのは自信になってますよ。
中村和彦(b):僕は、でかい所でやっても、やってることは一緒だなという気はしてます。大きいステージは単純に気持ちいいなっていうのはありますけど。それが一番かな。オーディエンスとの距離はあるけど、大勢の人に見られているぶん、普段と違った感覚はありますよね。
かみじょう:大きいハコは面白いですよ。小さいハコのほうが閉ざされているぶん緊張するので。でかいともう…何をやってるのか自分でもよく判らない(笑)。むしろ大きいハコのほうが緊張しないですね。
──フロントの3人があれだけ闇雲に動き回るから、狭いステージだとドラム・セットにぶつかりそうで観ているほうも冷や冷やしますけどね。
かみじょう:まぁ、この子(滝)が実によくぶつかって来て下さいますよ(笑)。
滝:ドラムに突っ込むと楽しいですから…。
菅原:僕もたまに、ギターのネックでシンバルをチョーンと叩いて遊んだりもしてますけど(笑)。
滝:あと、僕と中村が同時にドラムに突っ込もうとして、僕が先に譲ってもらったことがありましたね(笑)。
──9mm Parabellum Bulletと言えば、ライヴでエフェクターを壊したり、メンバー同士が衝突して流血したりと(笑)、真っ先に思い浮かべるのがあの過剰なまでのステージ・パフォーマンスだと思うんですが、結成当初からあんなに激しく暴れていたんですか?
菅原:いや、最初は全然違って、棒立ちのアクション・ゼロの状態だったんですよ。
滝:最初は、もう少しライヴを面白くしていこう、お客さんに観て楽しんでもらおうっていう考えから始まったんです。もちろん今もそういう気持ちは変わらないんですけど、いつの間にかやりすぎになってて…。
菅原:ある時から100%振り切るかの如く動き回るようになって、それが今日まで100%を保っている感じなんです。
──いや、100%どころか、現時点で120%は余裕で超えていると思うんですけど…。
滝:いやぁ、まだまだですよ。まだまだエクストリームな方向に持って行きたいと思ってますから(笑)。
菅原:例えて言えば、逆立ちしたままギターを弾くとかね(笑)。でも、よく雑誌とかに“流血バンド”って書かれることが多いんですけど、いつも血を流しているわけじゃないんですよ(笑)。
中村:『ロッキング・オン・ジャパン』に載った流血写真も、菅原さんがあんなに血を流したのは初めてだったんですよ。あれを見たら、いつも血を流しながらライヴをやるバンドだと勘違いするでしょうけどね(笑)。
菅原:滝の出血度は最近割とおとなしくなってきましたけど、以前はピックガードが常に血で染まって赤かったんですよ。それをまた拭かないもんだから、カリカリっと爪で削ると血の粉が取れるような感じになってたんです(笑)。
──まるで無駄な流血ですよねぇ。いっそ献血したほうがいいような気もしますけど(笑)。
菅原:献血はイヤだなぁ…僕は(笑)。でも、ホントにライヴはまだまだだと思っていて、「今日のライヴは行くところまで行けなかった…」とかよくメンバーと話すんですよ。
中村:「今日は全然弾けなかった…」とかね。
──まぁ、過剰も度を超えて一周するとゼロに戻る感覚になりますからね(笑)。でも、そういったライヴで積み上げてきた経験値の高さも今回の新曲に活かされているように感じましたけど。
菅原:そうですね。特に、新しく録り直した5曲に関しては、今の自分達が演奏したらこうなるぞっていうところをちゃんと聴かせたかったんですよ。
──アレンジは大きく変わっているわけではないですけど、再録されたほうがオリジナルよりも明らかにいいですよね。ギターのエッジが完膚無きまでにささくれ立っていて、鬼気迫るものがある。
菅原:ありがとうございます。オリジナルを発表した当時は、レコーディングのことなんてなんにも判ってなかったですからね。2万円しかしないギターを背負ってスタジオに行って、1日に7曲録って、ヴォーカルも次の日に7曲録るような感じでしたから。ミックスやマスタリングの意味もさっぱり理解していなかったし。
──2ndミニ・アルバム『Phantomime』を発表した時点でもそんな感じだったんですか?
菅原:2枚目を出した時はその狭間というか、まさに混乱の時期だったんですよ。でも、そういった時期を経てレコーディングのなんたるかが自分達なりに徐々に判ってきたから、今回は音作りの段階でエッジの効いたものにしようとか、理想の形が明確にあってやりやすかったですよ。
結局は人間のことを唄うことになる
──再録曲でバンドが重要視したのは、荒削りなライヴ感?
菅原:そうですね。まぁ、あえて荒削りにしてみたというわけでもないんですけど。
滝:正直にやったらこんな感じですよ、っていう。今の僕達はライヴでこんな感じでやってますよ、と。
菅原:メンタルの部分で、オリジナルとは気合いの入り方が違うと思うんですよ。録る前に「これはライヴ盤だから!」って自分達に言い聞かせてブースの中に入って行ったことが何度もあったんです。一度リリースした曲だから、別の統一感を出すにはやはりライヴっぽい感じにするしかないと考えたんですよ。
──再録する曲の選出基準というのは?
菅原:自分達が好きな曲であるというのが一番の理由ですね。それと、ライヴでハイライトになっている曲であること。あとは、以前レコーディングした時にサウンド的にもう少しなんとかしたかったという部分で録り直した曲もありますけどね。
──その、もう少しなんとかしたかったというのは具体的にどんな部分ですか?
菅原:単純にギターの音色だったり、バンドとしてのまとまった感じだったりとか…あるいは、バンド全体が歪んでなかったとか(笑)。
──オリジナルの音源は、今よりもちょっとこもった感じもありますよね。
滝:そうですね。そういうこもった感じを払拭したかった部分はあります。
菅原:1枚目の『Gjallarhorn』の音は今でも好きなんですけど、同じようにやってもしょうがないですから。
中村:あと、今回は機材が新しくなったことも大きいと思いますね。さっき菅原さんが言ったみたいに、2万円のギターや3万円のベースで当時は録ってましたから。今は少しだけ良くなって(笑)、昔の曲をいい音で録れて良かったな、と。当たり前の話かもしれないけど、レコーディングに対するアプローチ的な部分やテンションが当時とは全然違いましたね。
かみじょう:音に気遣うようになりましたよね。前はテンションや荒々しさだけで突っ走っていたのが、今では音の細部にまで気を留めるようになったんです。今回の再録に関しては、いろんな意味合いを込めてノらせやすく、聴かせやすくというのを意識したつもりなんです。そこは自分達でもうまくやれた気がしてますね。
──もう一方の新曲「Heat-Island」は、文字通り地球の温暖化現象について言及しているようにも受け取れそうですけれど…。
菅原:地球の温暖化というのはひとつの象徴的な出来事としてモチーフに使ってますけど、そこまで意図しているわけではないんですよ。「Heat-Island」と聴けば皆「あれか?」と思う取っ掛かりなんです。
──「アスファルト 逃げ水の陽炎に群れる蛍/あっちの水 こっちの水 甘さだけもとめ迷う」という歌詞は、浮き世の趨勢に右往左往させられる現代人の滑稽さを描いているように感じたんですが、そういった人間のおかしみを歌のテーマにしているのかと思ったんです。
菅原:唄うことのテーマはいつも考えているんですけど、結局人間のことを唄うんだろうな、と。何を唄うにしてもズーンと内省的な方向に行きがちなので、自分でもいかんなぁと思ったりもするんですけどね。例えば、今目の前にある灰皿のことだけを唄えるようになれたらいいな、とか(笑)。
──それよりも、人間の持つ根源的な悲しみや救いようのない情けなさについ目が向いてしまう?
菅原:ええ。情けないことが悪いとか、そういうことではもちろんないんですけどね。やっぱり…人間が好きなので(笑)。メジャーに移籍することで唄いたいテーマが変化してきたわけじゃないんですけど、灰皿をテーマにした曲を気軽に自由な気持ちでやれたらいいなと思う気持ちも一方にはあるんですよ。仮に灰皿のことを唄っても、結局は人間のことを唄うことになるんだろうし。
──今回、「The World」も「Heat-Island」も作詞のクレジットが菅原さんになっていますが、以前は作詞・作曲がすべてバンド名義になっていましたよね。これには何か理由があるんですか?
菅原:インディーズ時代も詞は僕が書いていたんですけど、バンドの一体感を出すためにも9mm名義にしていたんです。レッチリも4人の共作名義にしてましたからね。でも今回は、「“作詞:菅原卓郎”にしていいですか?」とダダをこねて(笑)。さっき話したように、自分からはっきりモノを言うという部分と繋がってくるんですけど、自分の言うことはちゃんと自分で責任を取りますっていう意識が芽生えたからでもあるんですよ。
──それは、自分の発する言葉に揺るぎない芯がある自信の表れではないですか。
菅原:うーん。でも、相変わらず迷いっぱなしなんですけどねぇ…(笑)。
──この号が出る頃には、東京と大阪で行われる2度目のワンマン『旧世界の催促』も大盛況のうちに終えていると思いますが、今のバンドの勢いなら他の主要都市でもワンマン・ライヴの需要が大いにあるような気がしますけど。
菅原:いや、まだまだですよ。去年の中頃から年末にかけてのいろんな動きがあったから僕達を知ってくれる人が増えたというだけで、それまではお客さんを呼べるバンドでは全然なかったし…。
──でも、特に『Gjallarhorn』を発表して以降はライヴハウスのブッキングマンや音楽レーベルの人達から次世代の注目株として熱い視線を注がれていたと思うんですが、そういう反応はメンバーの皆さんも肌身で感じていたんじゃないですか?
滝:いや、それはないですねぇ…。
菅原:そういう気運をあえて感じないようにしていたというか。自分達とは関係のないことだと思うようにしてましたね。
名前を略す時は“キューミリ”でお願いします
──せっかくの機会なので、バンドの生い立ちについてもお訊きしたいんですよ。最初にバンドを始めようと声を掛けたのは誰なんですか?
菅原:かみじょう君です。
──かみじょうさんはどんな音楽をやりたいと思って始めたんですか?
かみじょう:音楽云々は置いといて、恰好いいことをやりたかったんですよ。大学のサークルで組んだんですけど、僕が4年生の時に菅原と滝がサークルに入って来て、徐々に彼らの気質が窺えて一緒にバンドをやろうと声を掛けたんです。「こいつら、ヘンな匂いがしやがる」と思ったので。
菅原:失敬な(笑)。
かみじょう:それが9mmの前身バンドで、初めはベースレスで3人でやってたんですよ。ベースがいなければダメだっていう固定観念もなかったし、とにかく恰好良ければいいと思ってたんです。話し合って共有できた価値観もあったし。でも、各々が忙しくなって、途中で空中分解してしまって。その半年後に活動を再開しようって時にベースを入れてみようという話になって、菅原と滝の次の代に中村がサークルに入って来たんですよ。中村も「こいつ、くっせぇな」と思って、バンドに入れてみることにしたんです。
中村:失敬な(笑)。
──これまでにもう何度も各方面で訊かれているとは思うのですが、改めてこの覚えにくく言いづらいバンド名の由来を訊かせて下さい(笑)。
かみじょう:前身バンドの名前が余り好きじゃなくて、中村も加入したことだし、改めて名前を付けてみようと。どうせ変えるなら、やっぱり恰好いい名前がいいなと。それで僕は……数字が好きなんですよ。十進法の最後の数字である“9”……恰好いいじゃないですか。
菅原:それ、今思いついたでしょ? 聞いたことないもん(笑)。
かみじょう:えー、訂正します(笑)。3つの単語が並ぶのもいいなと思ったんですよ。自分で恰好いいと思えたバンドはどれも名前が長いことに気づいて。RED HOT CHILI PEPPERS、BLANKEY JET CITY、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとか。
──9mm Parabellum Bulletとは、9mmのパラベラム弾という意味ですよね。
かみじょう:ドイツの拳銃の弾の固有名詞なんです。『ルパン三世』のワルサーP38や『バイオハザード』のベレッタM92とかにも使われていて、世界中に普及している弾らしいです。
菅原:単語自体にバラバラの意味があるんじゃなくて、3つの単語ひとつで“9mm Parabellum Bullet”という名前の弾丸を指すそうなんです。
かみじょう:ガンマニアの間では“キューミリパラ”と呼ばれているみたいなんですが、僕達の名前を略す時は“キューミリ”でお願いします。“ナインミリメーター”も受け付けません(笑)。
──ああ、考えてみれば頭の“9”だけ“キュー”と読むのも変わってますよね。
かみじょう:なんせ僕らは日本男児ですから…(笑)。
菅原:あと、僕達のことを“キューパラ”と呼ぶ輩がたまにいますけど、それはくすぐったいのでやめて欲しいですね(笑)。
──佐藤江梨子を“サトエリ”と呼ぶようなことはやめてくれ、と(笑)。
菅原:そうですね。サトエリさんは嫌いじゃないですけど(笑)、あくまで“キューミリ”でお願いしたいです。
メンバー4人の音楽的ルーツ
──音楽的ルーツの話もしておきたいんですが、メンバー個々の影響を受けたバンドを訊かせて頂けますか。まず、かみじょうさんから。
かみじょう:僕は中学くらいからバンドを始めたんですけど、当時はヴィジュアルの最盛期で。そこら辺は一通り聴いて、高校時代はハードコア/メロコア・ブーム。そこも一通り聴いて、大学に入ってからは皆さんが聴いてるような音楽を聴いてました。
──みんなが聴いているような音楽?
菅原:BLANKEY JET CITYとかTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTとか。あと、洋楽ならRADIOHEADとかですね。そういうバンドの音楽はメンバーの共通項だったんですよ。その他に各々の青春バンドがありまして…。
──菅原さんの青春バンドは?
菅原:そんなに青春の時期に聴いていたわけではないんですけど、僕はジョン・フルシアンテが凄く好きで。レッチリも好きなんですけど、彼のソロが特に好きなんです。ファーストの『Niandra LaDes』と6枚連続シリーズの最初の『The Will To Death』、FUGAZIのイアン・マッケイとやった『Dc Ep』…もうほとんどのアルバムが好きですね(笑)。特に好きなのは、2004年に出た『Shadows Collide With People』とファーストかな。『Shadows〜』はアコギが全編にわたって入っていて、家でそのコードをコピーして唄ったりすることはありますけど、直接的に彼のギター・プレイに影響を受けたというほどでもないですね。ファーストは、家でストレッチをしながら聴くとなんだかいい感じになってくるんですよ(笑)。
滝:僕は逆に凄く身体が硬くて、やばいことになってるんですよ。前屈はマイナス20cmくらいです(笑)。
──それでよくあれだけライヴで暴れられますね(笑)。そんな滝さんが影響を受けたバンドは?
滝:僕の青春は…Hi-STANDARD、eastern youth、ヌンチャク、海外だとBAD RELIGIONですね。いわゆる日本のハードコアの最盛期でしたね。でも、高校生当時は若干背伸びして聴いていたような気がします。ギター・プレイで影響を受けたのは、やっぱりハイスタの横山健さんとイースタンの吉野寿さんかなぁ…。あと、近いところではQomolangma Tomatoの小倉(直也)さんからも影響を受けているので、似てる部分も意外とあると思います。
──滝さんのあの過剰なステージ・パフォーマンスは誰に影響を受けたんですか?
滝:影響を受けているとしたら…BRAHMANですかね。高校の頃からバンドをやっていて、当時からライヴではできるだけ暴れてやろうと思ってました。あと、AT THE DRIVE-INからの影響もかなりあると思うんですけど、ライヴを観てる人には判らないでしょうね(笑)。
──確かに(笑)。中村さんがとりわけ影響を受けたのは?
中村:RAGE AGAINST THE MACHINE、THE MAD CAPSULE MARKETS、AT THE DRIVE-IN、BAD RELIGION。あと、WEEZERやTHE GET UP KIDSとかも好きです。やっぱり、マッドのTAKESHIさんにはベース・プレイの影響をかなり受けましたよね。あの動きも凄く好きでした。
──かみじょうさんが思春期に影響を受けたドラマーと言えば?
かみじょう:中坊時代はYOSHIKIさん、高校時代は恒岡章さん、大学に入ってからは中村達也さんになるのかな。
──個々で見るとなるほどなという感じがしますね。各自様々なバンドから影響を受けていらっしゃいますが、あのライヴ・パフォーマンスだけはやはり唯一無二のオリジナルだと思えますね。
滝:いやぁ、もっと凄いバンドは他にたくさんいますよ。
──これまで対バンした中で言うと、例えばどんなバンドですか?
滝:ミドリ。あれはまさしく正しきハードコア・バンドだと思いますよ。ミドリに比べたら、僕達なんて甘っちょろいポップス・バンドみたいなもんですよ(笑)。でも、僕達も無理をしてあのテンションまで持っていってるわけではなく、自ずとああなってしまうんです。普段こうして人と話をしている延長線上にあのテンションがあるんですよ。僕がライヴで一番伝えたいことは“驚き”なんです。お客さんが驚いてくれたら充分満足ですね。
──もう充分に驚いてますよ(笑)。よくもまぁあれだけギターをストラップでブンブン振り回して取れないもんだな、って(笑)。
滝:いや、しょっちゅう取れるし、ストラップもブチブチ切れますよ(笑)。
かみじょう:次世代の新体操的な発想というか…。リボン、フラフープの次はギターかな、と(笑)。
アウェイの観客にどれだけ自分達を印象づけるか
──ライヴは常に闘いの場であるという意識はありますか? 『Phantomime』に収録されていた「Talking Machine」のPVがリングの上で演奏するものだったので、つい訊いてみたくなったんですけど(笑)。
菅原:自分達自身との闘いという部分はありますね。
滝:メンバー同士で闘ってる感じはしないですけど、闘うならやっぱり自分自身か、お客さんとの闘いっていうことになりますね。
かみじょう:初期の頃はメンバー同士で闘うのが面白かったんですけどね。
中村:そうそう。ライヴがまるで運動会みたいな感じだったんですよ(笑)。
──楽器を使いながらの障害物競走みたいな感じですか?(笑)
かみじょう:そうですね、音楽とはすなわちスポーツですよ!(笑)
──でも、自分との闘いはハードルが年々上がっていく一方ですよね。
菅原:年々上がっていく一方だからこそバンドも良くなっていくんだと思うし、ゼロになってもまた一からやり直せばいいわけで、一段ずつ一歩一歩階段を踏み締めていけばいいと思ってます。
──菅原さんにとっては、メジャーに進出することで歌をちゃんと伝えることが更なる重要課題になってきつつあるんじゃないですか?
菅原:そこはもちろんそうですね。けど、その限りではないっていうか。歌は歌なんだけど、曲の中では楽器の一部だし、ただ唄うだけじゃなくて9mmの中では5つ目の楽器でもあるわけで、特に歌だけを届けたいわけじゃないんです。バンド・サウンドがあってこそ初めて成立する歌詞もありますからね。
──5月30日からは、その名も『The World tour』が千葉LOOKから始まりますね。
菅原:9mmに関心のない人にも是非観てもらいたいんですよ。基本的に、自分達のことを知らないお客さんの前で演奏するほうが燃えるのかもしれない。去年、MUSIC ON! TVのイヴェントでSHIBUYA-AXのステージに立った時は僕達のことを知ってる人なんてほとんどいなくて、やりたい放題やれましたからね。
かみじょう:確かに、そういうアウェイなライヴのほうが思い切りできるのかもしれないね。
──とすると、9mm Parabellum Bulletの根本はM体質なんですかね(笑)。
かみじょう:いや……Mですね(笑)。でも、Sでもあるんですよ。アウェイの時はM的な要素も含んでいるんですけど、アウェイの中でどれだけ自分達をオーディエンスに印象づけることができるかという部分ではSなんです。
菅原:もちろん、ワンマンの時は9mmの音楽を好きな人達に向けてもっと派手にやってやろうと思いますけどね。とにかく一度僕達のライヴを観て欲しいですね。ツアーの始まる2週間前に『The World e.p.』が出るので、まずはそれを聴き込んでからライヴを観るとより一層楽しいことになるんじゃないかと。いっぱい旅を回って楽しいライヴをやるので、期待していて欲しいです。
滝:ツアー・ファイナルの浜松は半端じゃないことになると思いますよ(笑)。恐らく流血どころの騒ぎじゃないでしょうから、皆さんこぞってご参加頂きたいと思います。
菅原:なんのために“うなぎパイ”が名物の街を僕達がツアー・ファイナルに選んだのか? っていう話ですよ。
──皆さん、“夜のお菓子”が大好物ということですか?
菅原:いや、それほどでも(笑)。
──なんだ(笑)。じゃあ、滝さんには骨折はおろか骨なしになるまで暴れ回って頂きましょう。ウナギだけに骨がなくなるまで。
菅原:お上手です!(笑) オチがついたところでこの辺で(笑)。
prepared disc
The World e.p. [limited edition]
TOSHIBA-EMI / CAPITOL MUSIC TOCT-26246
1,500yen (tax in)
5.16 IN STORES
*2007年8月31日までの期間限定出荷盤
★amazonで購入する
★iTunes Storeで購入する(PC ONLY)
1. The World
2. Heat-Island
3. (teenage) Disaster [new recording]
4. Mr.Suicide [new recording]
5. marvelous [new recording]
6. Talking Machine [new recording]
7. sector [new recording]
Live info.
The World tour
5月30日(水)千葉LOOK
5月31日(木)茨城Club SONIC mito
6月1日(金)群馬Club FLEEZ
6月3日(日)栃木HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
6月5日(火)盛岡CLUB CHANGE WAVE
6月6日(水)仙台CLUB JUNK BOX
6月9日(土)札幌COLONY
6月12日(火)新潟JUNK BOX mini
6月13日(水)長野LIVE HOUSE J
6月16日(土)東京SHINJUKU LOFT
6月19日(火)京都MOJO
6月20日(水)大阪club DROP
6月22日(金)福岡VIVRE HALL
6月23日(土)大分T.O.P.S
6月25日(月)松山SALON KITTY
6月26日(火)高知 X-pt.
6月27日(水)広島CAVE BE
6月29日(金)神戸VARIT.
7月5日(木)名古屋APOLLO THEATER
7月6日(金)浜松FORCE
SAKAE SP-RING 2007
5月13日(日)CLUB QUATTRO
club JB'S / EDITS / OZON / SPIRAL / TIGHT ROPE / DOXY (12日のみ) / BLUE NOTE NAGOYA (13日のみ)
OPEN 12:30 / START 13:00(予定)
TICKETS: 1DAY PASS-2,980yen / 2DAYS PASS-4,980yen
【info.】チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード:250-918)
DEVILOCK 1
5月17日(木)Zepp TOKYO
w/ BEAT CRUSADERS / FRONTIER BACKYARD / and special guest
OPEN 17:30 / START 18:30
TICKETS: advance-3,000yen (+1DRINK) / door-3,500yen (+1DRINK)
【info.】DEVILOCK:03-3496-6464
ROCK IN JAPAN FES. 2007
8月3日(金)国営ひたち海浜公園
OPEN 9:00 / START 10:30(予定)
【info.】OFFICIAL HP:http://www.rijfes.co.jp/
9mm Parabellum Bullet OFFICIAL WEB SITE
PC:http://9mm.moo.jp/
mobile:http://9mm.moo.jp/mobile/