ギター バックナンバー

serial TV drama('07年4月号)

serial TV drama

自分たちの限界は決めたくない

UK-PROJECT内のRX-RECORDSのレーベル第4弾アーティストとして初音源となるミニアルバム『ginger』をリリースしたserial TV drama(シリアル ティーヴィー ドラマ)。エモ、オルタナティブ、ポストロックを彷彿させるサウンドが話題になっている2004年結成、現在平均年齢21歳の若々しいバンドだ。その楽曲は体にすっと染みこんでくるような懐かしさもありつつ、スパイスがきちっと効かされ“今”の音になっている。今回、バンドの要となる作曲・アレンジを担当する新井弘毅(Gt)、独特の声を持ち不思議な世界観の詞を担当している伊藤文暁(Vo)の2人から話を聞くうちに、彼らのまだ未知数ながら、どこへ進み、どこまで広がっていくのかが楽しみになる限りない可能性を感じることができた。(interview:古川はる香)


初めて明かされる!? 結成の真相

──どういういきさつで結成されたバンドなんですか?

新井:僕と伊藤は高校の同級生です。

──音楽系の部活仲間とか?

新井:いや、全く。遅刻したら必ず会うっていう仲で(笑)。で、席が近いときもあって、授業中話したりして。でも音楽の話は特にしてなかったですね。お互い音楽好きなのはわかってるくらいで。

──音楽で繋がるより、友達として気があったのが先?

新井:そうっすね。今は辞めちゃったメンバーと僕がバンドをやってて、高校卒業したある時ボーカルがいなくなったと。で、さっきの繋がりで「確か唄歌うらしいぞ」って軽い気持ちで伊藤に連絡したら、「あ、やるやる」って。

──伊藤さんも音楽やりたい気持ちがあった?

伊藤:そのとき大学がつまらなすぎて、違う世界に飛び込みたい気持ちがあって、ちょうどそういうタイミングで連絡がきたので。

──で、歌ってもらったら独特のいい声だったと?

新井:そうっすね。そのとき初めて声聞いたんですけど「あ、これいいじゃん!」って。

──2人の音楽のルーツは似てたんですか?

新井:そうでもないっすね。そういう話もしたことなかったし。むしろ違うだろってのは、わかった上で連絡してたので。当時僕はエモとかそういうのがやりたかったんですけど、そういうのは聴いたことないんだろうとは思ってました。

──伊藤さんは当時どんな音楽聴いてたんですか?

伊藤:当時はいわゆるJ-POPですね。スピッツがすごく好きでよく聴いてました。洋楽もそんなに聴いてたわけじゃないし。

──エモはバンドを始めて聴くようになった?

伊藤:そうですね。初めて新井と一緒にやったときに、これカッコいいなと思って衝撃を受けました。

──2人以外のメンバーはどういうきっかけで集まったんですか?

新井:えーと。今のメンバーに至るまで、複雑なんですけど(笑)。僕がもう1人のギター稲増と大学のクラスが一緒だったんですよ。お互いギターやるのは知ってて、音楽の話もしてたんですけど、それも友達としての関係で。で、ライブが来週っていう時になって「ベースがいねーぞ」って話になって(笑)。それを稲増に話したら、高校の後輩にあたる近藤太がベースやってて「大学入って(上京して)くるよ」って。で、入学したてで、友達も誰もいない状況の近藤に会って話したら、やるっていうんで「じゃあ来週ライブだから、これ音源だから、よろしく!」みたいな感じで(笑)。

──それでライブを乗り切ったと。

新井:それが1回目のライブだったんですけど、思いのほか反応がよくて。今思えば全然よくないんですけど、そこで勘違いして(笑)。そのまま近藤は入ることになったんですけど、ある日サポートでいたもう1人のギターが辞めちゃって、「お前入れよ」って稲増に言ったんです。最初は嫌がってたんですけど、僕と近藤で説得して、入ることになって、今に至ります(笑)。当時のドラムが“serial TV drama”ってバンド名をつけたんですけど、そいつが辞めて、その後入ったドラムも辞めて、今いる岡田翔太朗に声をかけたんです。岡田は対バンしてる別のバンドにいて、それが解散したんで「入ってくれよ」って。

──それはバンドでありがちなパターンですよね。

新井:そうっすね。でも、そこに至るまでが結構複雑で(笑)。取材でここまでちゃんと答えたのは初めてですね。複雑すぎるからいつも話が前後しちゃって、ちゃんと説明できたことがないんですよ。もしかすると雑誌によって、少しずつ結成の流れが変わってるかもしれないんですが……これが本当です(笑)。 初音源リリースの“楽しみ”と“不安”

──今回の『ginger』が初音源ですが、音源として自分たちの音楽が世の中に広がっていく心境は?

新井:楽しみだし、不安だよね?

伊藤:不安はあるね。

──不安っていうのは、どういう形の?

新井:どうにでもとれる音楽だから、どうとられるんだろうって。単純に言えば、どういうレッテルをはられるのかが、楽しみだし、不安。

──思いがけない“○○系”みたいな名前をつけられたり、予想しないジャンルにくくられたり?

新井:そうっすね! それです!

──詞と曲は誰の担当ですか?

新井:曲が僕で、詞は伊藤です。

──伊藤さんが詞を書くようになったのは、バンドを始めてから?

伊藤:そうですね。前から絵本を書いたりするのは好きだったんですけど。

新井:初耳だ……。

伊藤:あんまり言ってないからね(笑)。絵本に関しては、家にそういう環境があったので、小さい頃から書いてて。でも歌詞はまた別物なので。

──伊藤さんの歌詞は音がおもしろいですよね。

伊藤:響きはすごく大事にしてます。ちょっと違和感があったり、ちょっと奇をてらってるんだけど、そこに納得できる部分があると、もっとそれを好きになって受け入れてもらえる気がして。ありえない表現ではないけど、わざとちょっと変なものにしてみたりします。そのほうが響きもおもしろかったりするし。

──心情を深く描くより、シーンを描いたもののほうが多いですね。

伊藤:日常的なシーンを自分にあてはめて、出てきた感情がそのまま正解。それは聴く人におまかせしてるというか、歌詞の余白にどんどん入ってきて、自分のものにしちゃってくださいという感じで。自分の主観はできるだけおさえてます。


ひとつの“作品”として聴けるアルバム

──『ginger』のアルバムとしてのコンセプトは?

新井:“作品”であることを一番考えました。最初から最後までちゃんと通して聴けるものを作りたくて。前からあった曲が形を変えて入ってるんですけど、もともとあった曲はもっと1曲に凝縮されてるというか、もっと違う要素がたくさん入ってる。それをそのまま7曲並べらたらちょっと重たいし、詰まり過ぎててお腹いっぱいかなって。わりと早い段階で入れる曲も曲順も決まってたんですけど、曲がだんだん仕上がってきて聴くじゃないですか? 1曲で聴いたら「アリ」なんですけど、全曲通して聴くと「この曲のこういう部分はいらないかな」とかそういう話になって。曲単位というよりは、7曲全部を1曲と考えて作った感じなので。“作品”であることを意識したっていうことで。

──もともとライブでやってたような曲が収録されてる?

新井:はい。長いことやってた曲を出し惜しみしたくなくって、もう全部入れちゃえって。きっと普段ライブで聴いてたバージョンと違ってて「あれ?」ってこともあると思うんでですけど、それはそれで。今回はこの形で楽しんでくださいと。

──ライブでも曲の繋がりって考えると思うんですが、アルバムとして通して聴くことを考えると、こだわる部分は違いますか?

新井:そうっすね。あんまり勢い良く出しすぎても疲れちゃうというか。どれだけ自然にすんなりと入っていけるかというのが。いい意味で邪魔にならないことを狙ったので。もしかしたら曲単位で聴く人は「この曲つまんない」と思うかもしれないけど、そこまで範囲にすると、全部聴いたときの感想とまたずれてきちゃうので。今回は全曲聴いて感じてくださいということで。

──i-Podとかでシャッフル機能を使って聴く時代に、あえてそれを!

新井:そうっすねー(笑)。

伊藤:シャッフルで聴くと「物足んねえな」ってなるように作りました。

──『ginger』に収録されてる曲をライブで聴くと、またちょっと違う感じになるんですね?

新井:今後考えることなので、はっきりとは言えないですけど、『ginger』のバージョンでやることもあったらおもしろいのかなって。ライブと全く別物ってことはないんで、ライブでできないことはやってないし。曲にライブでやるためにある形と、音源に入れるためにある形と2つあるだけで。

──1曲で2度おいしいってことですよね。

新井:そうっすね(笑)。うまくいえばそういうことです!

──『B-101』ってインストの曲がありますが、こういうのも入れておきたかった?

新井:歯磨きソングですね(笑)。やっぱり休憩時間を与えたかった。そこに曲を入れちゃうと、全部が曲で、それこそお腹いっぱいだし。

──この歯磨きとか日常の音を録るのに苦労したらしいですね。

新井:苦労しました!! イメージ通りの部屋から探して、自分で機材を持ち込んで。音源だと削られてるかもしれないんですけど、冷蔵庫を開け閉めする音も録ってて。「今のデカすぎないか?」って何テイクも録りました。ラインを自分で決めるしかなかったんで、時間もなくて大変でしたけど、すごく納得いくトラックになりました(笑)。

──他にアルバム製作で大変だった曲は?

新井:全部大変でした。もともと正解だった前の形が頭にあるので、それをいかにふりきって、今の形にするのかが大変でしたね。

伊藤:だんだんわかんなくなってきちゃうんですよ。

新井:プリプロとかも全曲4回くらいやったんですよ。一度全部録って聴いてみて、違うってなって直してやってると、「このままやって正解見つかるのか」ってなったことも。テンポとか毎回そうだったよね? 前のテンポも微妙だし、今回のテンポも微妙って。

伊藤:1下げてみたりしてもね。

新井:1下げたらもう遅いし、1上げたら速いとか。テンポについては今後の課題でもありますね。今回は今回で納得してるんですけど、まだ「間違いない」という自分の中での定説みたいなものができてないんですよね。

──今後の展望は?

新井:そうっすね。ないっていうのはウソだけど、あるっていうのも違う。こういう曲ができたからこっちの道に行くっていうのを繰り返して、だんだん今の自分たちの形になってきたので。だから今後の曲作りで、だんだんとどうなりたいっていうのが決まってくると思うんです。

伊藤:今まで自然に変わってきたように変わっていくだろうし。それにつれて曲も変わってくるだろうし。可能性を狭めるようなことはしたくないです。なんでもありって感じで。

新井:例えば、ライブで伊藤がキーボードを弾くんですけど、キーボード担当が伊藤である必要はないと思ってるんですよ。稲増が弾いてもいいし。まぁ弾けないんですけど(笑)。そういうものに固執する必要はない。一番気にするのは「今何が必要か」ってこと。限界を感じることでも、うちらが今やらなきゃいけないことならやるしかない。そうやって進んでいく集大成を作品と捕らえてもらえたらうれしいですね。

──現段階の集大成が『ginger』?

新井:そうですね。それは間違いないです。


ginger

ginger

RX-010 / 1,680yen(tax in)
RX- RECORDS
IN STORES NOW
★amazonで購入する
★iTunes Storeで購入する(PC ONLY) icon

Live info.

インストアライブ開催!
4.15(Sun)ハイラインレコーズ
15:00〜
アコースティックライブ
※入場フリー
【特典】ハイラインレコーズオリジナル特典 先着で缶バッチ&ポストカードセット
http://www.highline.co.jp/

“ginger” Release Tour
4.28(Sat) 下北沢ERA
5.12(Sat) 前橋DYVER
5.13(Sun)北浦和KYARA
5.18(Fri) 甲府KAZOO HALL
5.19(Sat) 松本ALECX
5.25(Fri) 滋賀B-FLAT
5.26(Sat) 四日市CLUB CHAOS
5.27(Sun) 名古屋CLUB R&R
5.30(Wed) 横浜F.A.D
6.01(Fri) 大阪なんばROCKETS
6.02(Sat) 神戸BLUE PORT
6.03(Sun) 京都MUSE
6.06(Wed) 千葉LOOK
6.09(Sat) 宇都宮HELLO DOLLY
6.16(Sat) 新宿ACB ※FINAL

serial TV drama OFFICIAL WEB SITE
http://serialtvdrama.com/



posted by Rooftop at 20:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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