ギター レギュラーコラム

ZOOMYの眼('07年3月号)

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ZOOMYのR25時代
〜祝!メジャー・デビュー盤復刻! ZOOMYの“つきぬけた瞬間”の巻〜



長らく入手困難だったデビュー・アルバム『怒髪天』、16年振りに完全復刻!
当時まだ20代半ばだったZOOMYは何を想い、何を糧として蒼の時代の逆境を乗り越えたのか!?
R25時代の超秘蔵写真(いろんな意味でヤバすぎて門外不出・笑)を交えつつ赤裸々に独白!


失敗の後悔は一瞬、やらなかった後悔は一生

今月7日にインディーズ時代のベスト盤と同時発売で怒髪天のメジャー・デビュー盤が復刻されるんだけど、何が凄いって当時クラウンから出たものをテイチクで再発するっていうのが凄いよね。言ってみればトヨタで発売した車を日産で再発してるようなもんだから(笑)。俺としては別に今さら出さなくても良かったんだけど、聴いてみたいと言ってくれる人がいるなら出してもイイかなァ、と思ってね。あと、ヤフオクで高値がついてるのを見て自分も出品したくてウズウズしてる人もメンバー内にいるから、それを阻止するためにも出そうかな、と(笑)。

このデビュー盤を作ったのは24、25歳の時だね。山中湖のスタジオに合宿して、これを録ってから上京したんだよ。当時は何も事情が判ってなくて、裏ジャケにあの合宿中の写真が使われるのも知らなくてさ、メジャーってこういうもんなのかなって思ったよ。どんどん勝手に物事が進んでいくんだなァって。

それまでにも東京に出て来ないかって言われたことは何度かあったんだけど、バンド・ブームが終わってからにしようと思ってた。一回地ならしされて何にもなくなって、ペンペン草も生えなくなったところから一発行ってやろうかなって。まァ、お陰で余計大変だったけどね。俺達が上京した当時にはもう、ライブハウスなんてダサいと言われてた頃だった。ロックンロールをやるとかバンドそのものがダサい、と。で、上京した次の次の週くらいに事務所が潰れたんだよ。メジャー・デビューを果たしたのに、まさか一銭も貰えないとは夢にも思わなかったよね。事務所が潰れて契約まで宙ぶらりんになっちゃって、このアルバムの印税が入ったのだって一昨年の話なんだから。

今回の再発に当たってのリマスタリングにはメンバー全員が立ち会ったんだけど、改めて聴いてみるととにかく恥ずかしいよね。声も若いし。歌詞の世界観は今と変わっていないけど、やっぱり少し背伸びしてるよね。ナメられたくなかったし、ガキに見られたくなかったんだよ。むしろ早くオッサンになりたいと思ってた。今は逆に若者になりたいと思ってるけどね(笑)。

でも、24、25歳の頃の作品にしてはシブいよね。当時は憂歌団みたいな音楽がやりたかったから、オッサンに向けて唄ってる曲なんかもある。今は逆に若者に向けて唄ってる曲もあるから、それは昔の自分に対するアンサー・ソングでもあるってことだよね。そうやって同じ世界観の中にずっといられているのを考えると、やってて良かったとつくづく思うよ。照れくさい曲もいっぱいあるけど、まァ懐かしいし、この歳の頃の「こういうのがやりたい」っていうのが形にできたアルバムだから、これはこれでイイとは思う。今の若いバンドが、怒髪天は自分と同じくらいの歳の時にどんなことをやってたのかな? と思って聴いてもらえたらイイよね。演奏も唄もヘタクソだけど、続けていれば何とかなるっていうことを判ってもらえればイイかな。

あの頃はいろんなものを受け容れられなかったというか、「何だこの野郎!」っていつも思ってた。「やってらんねェよ!」「バカ野郎、ふざけるな!」ばっかり言ってたね。そのフラストレーションをいつもライブにぶつけてたんだけど、曲そのものにはそれが反映されていないのが不思議だね。あの頃よりも今のほうがもっと等身大っていうか、生活に密着してるよね。あの頃にはあの頃にしか唄えないことが絶対あったはずなんだけど、それを出せなかったのは若さゆえだったのかもしれないね。レコーディングにしても、初めて本格的にやったからまだよく判らなかったし、気負いもあったよ。でも、完成した時には「これは売れるな!」と確信してたけどね。まァ、それは大きな間違いだったわけだけど(笑)。でも、凄く青臭い言い方になるけど、いろんな夢も希望もいっぱい抱えて上京してきたんだよ。

このデビュー盤を出してから『痛快!ビッグハート維新'95』が出るまでの20代後半の数年間っていうのは、ホント苦々しいもんだったね。何とかなると思ってたものが何とかならなくて、焦りと不安だらけの毎日だった。それでも、「もうちょっと時間が掛かるのかなァ…」なんて思ってたところがバカだよね。それが結局はバンドの活動休止に繋がっていくんだけど、そういう苦い経験も確実に今に活きているからね。

今24、25歳で夢を追ってる若い人達は、やりたいことがあるならとにかくやってみたほうがイイよ。やって失敗した時の後悔は一瞬だけど、やらないで「ああ、やっとけば良かった」っていう後悔は一生だからね。あと、「やりたいことが見つからない」っていう人って結構いっぱいいるけど、やりたいことがないんだったら、やりたくないことをやるしかないよね。でも、そのやりたくないことの中から「これはマシかな」と思えるものを見つければイイ。そのうち何となくやりたいことが見つかるんじゃないかな。焦る必要なんかないしね。

好きなことをやるには苦労も多々あるだろうけど、それに見合うだけのものは必ず後で付いて来るから。若さゆえの勘違いって、後で判ったら恥ずかしいものだけど、勘違いは若くないとできないことだからね。そして、一度知ってしまったことを知らなかったことにはもう絶対にできない。これは本当に大事なことだよ。何事も若気の至りで行けばイイよ。何も怖れることなんかない。人から嫌われたって、嫌われたらそのぶん好きになってくれる人もいるんだから。敵を作ったらそのぶん味方もできるんだから。とにかく自分のやりたいようにやればイイと思う。それがこれを読むR25世代への、そしてあの頃の自分に言ってあげたい言葉かな。



怒髪天 information

◇1999年の活動再開から2004年にメジャー復帰するまでのインディーズ盤コンプリート・ベスト&1991年のデビュー・アルバム復刻盤、3月7日同時リリース!

D-stance “FREIHEIT YEARS 1999-2004”

D-stance “FREIHEIT YEARS 1999-2004”

TECI-1149/2,000円・税込
★amazonで購入する
怒髪天

怒髪天

TECI-1149/2,000円・税込
amazonで購入する
発売はいずれもテイチクエンタテインメント/インペリアルレコードより

◇増子直純:番組MC
音楽情報番組『音流〜On Ryu〜』(テレビ東京のみ・毎週金曜27:15〜27:45)のMCを担当!

Live info.

D-stance tour
3月15日(木)下北沢SHELTER(ワンマン)
3月18日(日)京都磔磔(ワンマン)
3月21日(水)鹿児島SR HALL
3月22日(木)熊本django
3月24日(土)福岡SKALA ESPACIO(『デリバリー ブラッサム“熱血!九州便”』)
3月25日(日)大分T.O.P.S(『5th Anniversary Live「デリバリー ブラッサム“熱血!九州便”」』)
3月27日(火)広島Cave-Be(the pillows presents『CHEMICAL BUMP SHOW!!』)
3月29日(木)名古屋Electric Lady Land(the pillows presents『CHEMICAL BUMP SHOW!!』)
4月4日(水)千葉LOOK
4月7日(土)函館Bay Sity's Street
4月9日(月)旭川CASINO DRIVE
4月10日(火)帯広REST
4月11日(水)北見Onion Studio
4月13日(金)札幌PENNY LANE 24(『デリバリーブラッサム vs バズライブ“故郷、春待ち便”』)
4月25日(水)HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
4月26日(木)水戸LIGHT HOUSE
5月2日(水)福山club JB's
5月3日(木)高松DIME
5月6日(日)金沢vanvan V4
5月12日(土)高崎CLUB FLEEZ
5月13日(日)HEAVEN'S ROCK 熊谷
5月16日(水)横浜F.A.D.
5月18日(金)HEAVEN'S ROCK 宇都宮
5月19日(土)仙台MACANA
5月25日(金)名古屋CLUB QUATTRO(ワンマン)
5月26日(土)大阪Fandango(ワンマン)
5月27日(日)大阪Fandango(ワンマン)
5月30日(水)渋谷O-WEST(ワンマン『嗚呼!花の東京十六年生』)
5月31日(木)渋谷O-WEST(ワンマン『D-stance tour final』)

CUE MUSIC JAM-BOREE in ゆうばり
オフィスキュー設立15周年企画!夕張での野外ライブイベント「CUE MUSIC JAM-BOREE」出演決定!
オフィシャルHP→http://cmj.office-cue.com/pc/

怒髪天 OFFICIAL WEB SITE
http://www.dohatsuten.jp/

posted by Rooftop at 08:00 | TrackBack(0) | レギュラーコラム

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