HARISS
Vo.G.AKIRA(ex. SIDE-ONE)、G.SEIJI(SIX、ex THE COLTS)、WB.YUJI(CROSSFIRE、ex SIDE-ONE)、Dr.TAKAHASHI(ex PEALOUT)という強力なメンバーによって結成されたHARISS。ロックンロールからロカビリー、パワーポップまで、ジャンルを縦横無尽に飛び越えた変幻自在な楽曲で、早くも絶大な支持を得ている彼らがファーストアルバムとなる「POP SAVE US」を完成させた。強い決意のもとタイトルに入れられた「POP」という言葉。彼らにとっての「POP」とは何なのか!?(interview:北村ヂン)
楽曲に説得力があった
──最初に、このメンバーが集まった経緯を教えてください。
AKIRA:ボクは前のバンドを辞めてから五年くらいほとんどなにもしてない時期があったんですけど、バンドをやりたいと思っていてメンバーを探していたんですよ。まずウッドベースでやりたいっていうのがあったんで、一緒のバンドをやっていたYUJIを誘って。それから、ちょうどPEALOUTが解散したっていう話を聞いて……。
TAKAHASHI:正確には解散前だったんだけどね(笑)。
AKIRA:それで、共通の知人に声を掛けて頼んでもらったんですよ。TAKAHASHIくんとは以前DJイベントで一回会った事があっただけだったんですけど、その時に、色んな音楽を聴く人だなっていう印象があって。自分もルーツにロックンロールやロカビリーっていうのがありつつも、幅広い音楽をやりたいと思ってたんで、声をかけてみようと。
──今までやってたバンドを解散するっていう、微妙な時期に新しいバンドに誘われてどうだったんですか。
TAKAHASHI:でも、PEALOUTをやり切ろうっていうのと同じくらい、音楽は絶対続けたいっていう気持ちがありましたからね。ベースがウッドベースだっていうし、やった事ないから面白そうだなって思って、とりあえずデモテープもらって、今回のアルバムにも入ってる「LADY BIRD」っていう曲を聴いたんですよ。それでピンと来たというか。やっぱり楽曲に説得力があったっていうのが一番大きいんじゃないですかね。この楽曲があるんだったらすごいバンドになるんじゃないかって思いましたから。
AKIRA:それから、今回のバンドはリードギターを入れて四人でやりたいと思ってたんでSEIJIに声をかけました。もともと彼がTHE COLTSをやってた頃から対バンをやってたりして、インパクトのあるギタリストだなって思ってたんで。
TAKAHASHI:SEIJIくんは、ボクも以前、THE CLASHのトリビュートバンドを一緒にやった時から一緒にやってみたいギタリストだったんですよね。
──じゃあ理想的なメンバーが揃ったという感じなんですね。それで、活動を本格的に開始したのはいつ頃からなんですか。
AKIRA:初めてのライブが一昨年の八月ですね。「HARISSってバランスが良いね」ってよく言われるんですけど、最初のライブの時から自分たちでやっててもなんとなく行けるなっていう感覚はありましたね。
TAKAHASHI:なかなか一回目のライブで手応えがあるバンドってないですからね。
──お客さん的にも今までそれぞれがやってたバンドのイメージを持って来てるでしょうから最初は難しそうですよね。でもそんな中で十分手応えを感じられたと。
TAKAHASHI:やっぱり曲ありきというか、お客さんを説得させられるだけの曲があれば大丈夫なんだって思いましたね。
「POP」と心中するつもりでやりたい
──バンドを組もうという段階で、曲は結構揃っていたんですか。
AKIRA:今回のアルバムは11曲入りなんですけど、バンドを組む前に一人で作ってた曲はその中の半分くらいですね。やっぱり個性が強いメンバーなんで、組んでからはこのメンバーをイメージしながら作るようになりました。
──一人で作ってる頃からウッドベースっていうのは頭にあったんですか。
AKIRA:頭にない時期もありましたね。結果的に、やっぱりウッドベースじゃないとダメだなっていう事で、今は完全に頭にありますけど。
──だから、ウッドベースが全面に出た曲もあるし、あんまりウッドベースっぽくないベースラインの曲もあるんですね。
TAKAHASHI:HARISSの良さって、YUJIくんのバランス感覚にあると思うんですよね。もしYUJIくんがロカビリーに固執してたら絶対面白くならなかったと思う。そういうスタンスでウッドベースを弾いてるっていうのが一番の肝だと思いますね。
YUJI:結構メンバーがウッドベースで遊んでくれてるっていう感覚はありますね。色んな事にチャレンジさせてくれてるんで。このバンドだったら新しい物が出来そうな感じはしてます。
TAKAHASHI:あと、HARISSを始めてから思ったのは、「初期衝動っていうのは何度でも来るんだな」っていう事なんですよね。PEALOUTの時にも「初期衝動でアルバムを作りました」とかは思ってたんだけど、HARISSでは初期衝動でバンドを出来てるっていうか、初めてバンドを組んだ時ってこうだったよねっていう感じで。スタジオに入るのが楽しみだったり、次のライブがすごい楽しみだったりとか。毎回何かを掴んで帰っているんで、四人でいると無駄な時が全くないんですよ。
──それぞれこれだけ長い間バンドをやって来てて、今そう言えるのはすごいですね。
AKIRA:この年になって馬鹿なんじゃないかなとも思うんだけど(笑)。でも本当にそう思うんですよね。
──特にAKIRAさんは五年間やってない時期があったわけですけど、その間スタジオとかは入ってなかったんですか。
AKIRA:一応いくつかバンドはやって練習とかはしてたんですけどライブをやる機会はなかったですね。最初はUKギターポップみたいなバンドをやって、次はWEEZERみたいなパワーポップをやって、その次はロカビリーとデジタルが混ざったようなバンドをやって……ってしてたんですけど、そのどれも上手くいかなかったんですよ。で、最終的にHARISSではその全部が混ざってるような感じになってるんですけど。
──HARISSをやるに当たって、もうジャンルを限定する必要ないなという感じはあったんですか。
AKIRA:自分では特に「ジャンル関係ない」とも意識はしてなかったんですけど、メンバーが集まった時点でバンドの核が出来た気がしたんで、あとは何でもありだって思いましたね。
SEIJI:漠然と「こういうスタンスでやりたい」っていうのはあるんですけど、基本的には自然な感覚だけでやってますね。
──だからこそ、HARISSって「こういうバンドだ」って説明しづらいですよね。
AKIRA:そうですね。だから、漠然と「POP」っていう言葉をつけたんですよ。ロックンロールでもロカビリーでもパワーポップでもギターポップでも何でもいいやって。イメージを曖昧にしたくって、それを一番表現できるのが「POP」っていう言葉だったんですよね。
TAKAHASHI:「POP」っていうのは意味が広いんで、「今回の作品はポップで……」とか逃げ言葉に使われる事が多いんですけど、オレたちは「POP」っていう言葉を結構覚悟を決めて使ってますよ。パワーポップとかギターポップって言ってもPOPじゃないものが多いじゃないですか。みんな言葉で安心しちゃってるんじゃないかと思うんですよね。だから、オレたちは「POP」と心中するつもりでやりたいと思ってます。
──どういう物が「POP」なんだと思いますか。
TAKAHASHI:説得力のある音楽だと思いますね。オレにとってビートルズって「POP」の最高の形だと思うんですよ。そこから色んな音楽が派生してきて、エネルギーが溢れてるし。「POP」って、何かを変えてしまう力だと思いますね。曲を聴く事によって、昨日やれなかった事を今日はやれるとか、そういう物なんじゃないかな。だから、HARISSのアルバムもそういう感じになれると良いなと思ってますね。
「楽しい」に勝る感情はない
──今回のレコーディングはどうだったんですか。
TAKAHASHI:いやー、録ってみたら全ての曲がライブよりも速かったんですよね。。
──スタジオで録った方が速かったんですか。
TAKAHASHI:そういうモチベーションで録ってたのかな。全部クリックを聞きながら録ったんですけど、気持ち良く演奏出来るテンポに合わせたら、後で聞いたら全部速かった。でもファーストアルバムってそういう感じなのかなって思いますね。
──ライブよりも先走ってる感じで。
TAKAHASHI:一枚目に良い物を作らないと次に行けないですからね。最初っからハードルは高い方が良いですよ。
SEIJI:でもレコーディングをやって、いかに今バンドが順調なのかわかりましたね。アルバムにはその順調な感じが上手く収められてると思います。
TAKAHASHI:バンドの良い雰囲気も録れてると思いますね。全く後ろ向きなところがないというか。徹底的に楽しいだけのアルバムっていうのもあって良いと思うんで。
SEIJI:全ての出来事とか感情とかの中で、「楽しい」に勝る物ってないと思うんですよね。それを自分たちなりにどうやったら一番表現できるのかっていうのを考えて作りましたね。
──サウンド的にも演奏的にも、ですね。
TAKAHASHI:あとは日常生活の反動っていうのもあるんですよね。普段生活してたらやっぱり楽しい事ばかりじゃないし、どこかで「畜生」って思う事もあるじゃないですか。それを良い意味で転化出来てると思いますよ。「畜生」って思った事をネガティブに出すんじゃなくて、ポジティブに発散するというか。最近はもうニュース見るのもイヤになっちゃうくらい良いニュースってないじゃないですか。スタジオ入ったり、ライブやってまでそういう気持ちを引きずるのはしんどいんで。大げさかもしれないけど、こういうどんよりとした世の中で、「このアルバムがあって良かった」って思えるような存在になれたら良いですね。
──そういう意味ではすごく時代性のあるアルバムとも言えますね。
AKIRA:50年代のロックンロールなんかも、当時戦争があったりして、そういう時にエルヴィス・プレスリーの「LOVE ME TENDER」が出てきたりしてるわけじゃないですか。仕事を終えて「今日、イヤな事があったけどライブに行って発散させたい」って思ってる時に、現実的な歌を歌われるよりも、楽しい曲を聴いて楽しみたいじゃないですか。
SEIJI:政治の事を歌ったり、戦争の事を歌ったりっていうやり方もあるとは思うんですけど、そういう曲ってどうしても血の匂いがして好きになれないんですよね。それよりも馬鹿の方が良いじゃんって思うんですよ。楽しいって事に勝てる事ってないし、楽しいヤツを見てると楽しくなるし。
AKIRA:恥ずかしいくらいストレートなのかもしれないですけどね。
──でも、反戦ソングを聴く事よりも、実際に一人一人の生活を変えるのはむしろこういう曲なんじゃないかとも思いますね。
TAKAHASHI:中東戦争が始まった時に、米軍の出撃の直前に流れた音楽が「ROCK THE CASBAH」だったって聞いて、THE CLASHメチャメチャ好きなんですごいショックだったんですよ。自分の人生を変えてしまったバンドですら、そんな使われ方をしてしまってるんで、自分たちはそういうところからは遠いところにいたいと思いますね。ただ、ニュースから目を背けるんじゃなくて、今起こっている事を感じた上で、それにアンチな音楽をやりたい。でも、「この曲のメッセージは……」とか、そういう聴き方じゃなくて、音楽として楽しんでもらいたいですね。ある意味、ながら聴きでも全然オッケーっていうか。もちろんちゃんと聴いて欲しいけど、サラッと聴けて、でも大事なアルバムなんじゃないかな。
笑いながら聴いて欲しい
──最後にこれから始まるツアーとアルバムについて一言づつお願いします。
AKIRA:とにかく自信作なのでアルバムを是非聴いてもらって、本当に楽しいライブなんでライブにも来てください。多分ライブを観てもらえれば、今のHARISSをわかってもらえると思うんで。
TAKAHASHI:バンドを好きになるきっかけになれるくらいわかりやすいアルバムだと思うし、本当に良いアルバムです。「HARISSがいて良かった」って思ってもらえるような存在になれるんじゃないかと、このアルバムを作って実感しています。ライブではそれを体験しに来て欲しいですね。
SEIJI:何も考えないで聴いて欲しいですね。そして何も考えないでライブにも来て欲しい。笑いながら聴いて欲しいですね。
YUJI:直球を投げますんで、受け止めてください!
POP SAVE US
LOCA-1008 / 2,100yen(tax in)
2007.3.14 ON SALE
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Live info.
3.10(Sat) 下北沢CLUB QUE
3.11(Sun) 本八幡ルート14
3.22(Thu) 下北沢SHELTER
<RELEASE TOUR>
4.07(Sat) 札幌SPIRITUAL LOUNGE
4.12(Fri) 神戸STAR CLUB
4.15(Sun) 京都CLUB METRO
4.21(Sat) 仙台PARK SQUARE
4.28(Sat) 下北沢CLUB QUE<ONE MAN>
5.04(Fri) 名古屋UP SET
5.06(Sun) 大阪KING COBRA
HARISS OFFICIAL WEB SITE
http://www.hariss.info/