ギター バックナンバー

CD REVIEW ('07年3月号)

LOFT PROJECTのスタッフがイチオシのCD・DVDを紹介!!
レビューページの画像をクリックすると、Amazonのページにリンクします。

★以下のジャケットをクリックすると、各レビューが読めます。

AMERICAN HARDCORE / THE HISTORY OF AMERICAN PUNK ROCK 1980-1986
KIBF442 4,179yen(tax in) / IN STORES NOW

その昔(っていってもちょっと前)友人と話していたのだが「ハードコアのDVDが出るらしいよ。なんか豪華メンツが揃ってるって噂だけど」「どうせ上辺だけのなんちゃってハードコア好きの道楽じゃないの?」ちなみに後者は自分ですがこの場を借りて謝ります。スゲー作品です。凄すぎ。当時の政治などの時代背景もばっちり絡んでのヒストリー的な内容ながらびっくりするぐらいのお宝ライブ映像が満載。これはホントにびっくりした。ま、今の時代YOU-TUBEなどで映像を探すことは出来ると思うのですが、時代に沿ったガイド的な役割を果たしているこのDVD。しかもレッチリのフリーやらガンズのダフまでインタビューに出てるって、ある意味豪華すぎでしょう。この時代にこの人たちが無茶してなかったら、現在の俺はいないって人は沢山いると思う。自分もそうですし。広大なアメリカでのアンダーグラウンドのネットワークにも脱帽。日本は狭い。DEAD KENNEDYSの映像がないのが残念ですが(バンドがもめてて曲も映像も無し。涙)それを差し引いても男たるもの必ず見たほうがいい作品(もちろん BLACK FLAG 映像多数なので女性も出てますが)とりあえずBLACK FLAGとBAD BRAINSのライブが最高にかっこよすぎるのと、インナーでの行川和彦氏のコメント、合わせてフライヤーや写真などもマストなので、DVDちら見でなく必ず買ったほうがいいですよ。


下北沢SHELTER店長:西村等


宇多田ヒカル / Flavor Of Life
TOCT-40095 1,100yen(tax in) / IN STORES NOW

アルバム『ULTRA BLUE』からおよそ半年の2007年第一弾シングル「Flavor Of Life」。しかし、またなんなのですか…。「ありがとう、と君に言われると なんだかせつない」。感謝されて切ない…。
今回のシングルに恋と愛のニュアンスを特に強い曲に感じた私は「恋愛な曲だなぁ、大ヒット間違いなしなんだろうなぁ。あああ! もう! 恋とか愛とかそういうヒットチューンは苦手なんじゃあ!!」と大抵抗。しかし発売日前にはそわそわし過ぎて挙動不審。ああ、もう、どんなに抵抗してみても、聞きのまれてしまう…。どんな物語がそこにあるのか、短い日本語で広がる表現力。そこに彼女の声と曲がのると、耳は全く抵抗できない。何度も人の心を掴み続ける唄を唄い続ける。本当になんて人なのだろう、宇多田ヒカルという人は……。


斉藤友里子


echo / ♪melody
RTC-001 1,890yen(tax in) / 3.03 IN STORES

「色蓮華が放物線を描く光を集めてユラルユラルラ 入道雲から燦々と注ぐ光を束ねてユラルユラルラ 逢いに行くよ。」(echo,七道恋歌より)
素晴らしい歌詞だ。パソコンにつないだヘッドフォンから巻き舌調の力強いボーカルが流れてきた。私は思わずロフトプロジェクト音楽部長の金子に「おい、金子。この子本当に街角で見つけてきたミュージシャンか? 信じられないほどいい。」と言い、町角でこの曲とこのボーカル力に出会ったら俺も足をとめ聞き入ってしまったに違いないと思った。「一昨年の秋でした。あの雑多な音楽の町、下北沢のレインボーゲイトの下で彼女、深夜一人歌っていたんですよね。俺、一旦通り過ぎたんですが、何かその歌が気になって後戻りしてしまったんですよね。それが彼女との初めての出会いでした」と寡黙な金子部長は私に振り返ってぽつんと言った。「いい子見つけたな? それも下北の鉄橋の上ではゴーッという爆音と共に井の頭線が渡る奇妙な風景の中で…」とイメージして私はまたヘッドフォンに耳を当てた。私は深夜の下北沢で後戻りをした金子とechoとの会話が浮かんでいた。
素敵なプロジュサーと無名なストリートミュージシャンの出会い。そして金子は自身の存在を賭けてこの子のデビューを決意する。是非お聞きあれ。いずれ彼女は凄いミュージシャンになり多くのリスナーを魅了するに違いないと思った。彼女の才能を引き出したスタジオimpactの杉山オサムのミキシング力にも感謝。


ロック新人評論家・平野悠


overall+ / ハナゴコロ
XQBZ-1001 2,100yen(tax in) / 3.07 IN STORES

overall+(オーバーオール)に出会ってどれぐらいになるんだろう。初めてライブを見たのは弾き語りイベントの時。自分的に衝撃が大きくて今でもそのステージは覚えている。ボーカルのトーテムさんの力強く、それでいて時折切なさを交えた歌声に、気持ち良すぎる程自然に重なる吉田さんのコーラス。最初から私のツボをわかってるかのような心地よいメロディー、絶妙なタイム感。どこをとっても完璧だった。それからしばらくは『Select Album-overall+collection-』ばかり聴いてたな。その中の『月面着陸』が特に好きだった。
今回リリースされる待望のミニアルバム『ハナゴコロ』。『-overall+collection-』にも挿入されている『サイレン』や『1時』『はじまりのうた』(こちらも名曲!)等は新たに録音され、より重厚で濃厚なバンドサウンドに仕上がっていた。音作りの緻密さ、楽曲のクオリティーの高さも含め、確実に進化しているのがよくわかる。この作品をスタートラインとして全国の人が聴けるようになるということは本当に嬉しいし、1人でも多くの人に聴いてもらいたいと思う。そして、今後どんな曲が生まれるのかが今から楽しみでしかたがない。


Rooftop:やまだともこ


音速ライン / 真昼の月
UPCH-89001 900yen(tax in) / 3.21 IN STORES

随分と前にメンバーから「凄くいい曲が出来たよー!」って聞いて、はたまたどんな曲を彼らは作ってきたんだろう? って気になっていたところ、まだマスタリング前の音源が私の手元に届いた。早速聴いたところ、音速ラインを作りあげていく上で、大事な要素の一つである胸をギュっと掴む音像と切ない言葉の数々。まさにそんな仕上がりとなった楽曲(=「真昼の月」)じゃん!! って第一印象として残った。 そして、初回限定盤に収録されている「ありがとうの唄」の質感が最高によくって。とてもシンプルな曲ですが、だからなのか言葉の一つ一つが胸にジーンとくる。この曲を初めて聴いた時、この曲が持つシンプルなメロディと言葉に自然と涙がこみ上げてきた。また普段口に出来ないけれど、感謝の気持ちを大切な人にソッと「ありがとうの唄」に託して伝えたくなる曲。大好きだなぁと思える音楽(=音速ライン)があって良かった。音楽を仕事にしているからこそ、本当にそう思う。


SONG-CRUX:樋口寛子


KENICHI FUJISAKI / JUSTY-NASTY
BRCDS-8011 2,000yen(tax in) / http://www.kenichi-fujisaki.com/にて通販のみ販売

最近私のテンションが一気に急上昇した音源。それは「月刊フジサキ」と題してリリースされた、企画第1弾のこの音源、ヴォーカリスト藤崎賢一が1987〜1995年まで組んでいたバンドJUSTY-NASTYのセルフ・カヴァー・ミニ・アルバムです! それだけでもテンションは上がるのに、レコーディングにはなんとex.J-Nメンバーの辻剛(Guitar)、岸根光(Bass)、大石尚徳(Drums)が参加! その上、収録曲には 1.ジェラシー 2.JESUS&CRAZE 3.ムーンダストに抱かれて 4.あすも夢を 5.そして君は涙を知った 6.KISS ME という名曲揃い! 曲を聴いてテンションは更に上昇!これはヤバイです! 最初のリリースからもう十何年も経ってる曲なので、当時とはまた違った味が出ているこのアルバム。やっぱりカッコイイ曲はいつ聴いてもカッコイイ! Beretta Records通販のみの限定発売なのですが、ロックファンには是非聴いてほしい1枚です。そして「月刊フジサキ」第2弾、お待ちかねのライブが5月に下北沢CAVE BEにて決定! …第3弾は何が飛び出すのか!? 今からとても楽しみです!!


新宿LOFT:どうきょうみゆき


JAZZ JUICE / 52nd STREET
XTCK-00030 2,300yen(tax in) / 3.14 IN STORES

オランダ発クラブ・ジャズ・ユニットJAZZ JUICE。クラブなどでは先行アナログシングル「Atravessar」が話題となっていましたがこの度、満を持してのアルバムリリースです。オルガンや管楽器を取り入れた生音とそれをMIXさせたDJプレイのバランスが秀逸。そしてアルバムタイトル「52nd STREET」からもわかるように単なるクラブ・ジャズで終わらぬ、ちゃんと偉人たちが残したジャズをリスペクトしつつ、更に昇華したスウィートでスタイリッシュでソウルフルなサウンドはきっとあなたに高揚感と幸福感を齎してくれることでしょう。国内盤には日本ハウス界のブライテスト・ホープDJ KAWASAKIのリミックス入り。発売日は3.14。バレンタインデーのお返しに添えるとモテ度UP間違いなしです。


Naked LOFT:植村孝幸


スモウルフィッシュ / 風たちぬ夕暮れどきに
MONA-013 1,890yen(tax in) / 3.02 IN STORES

彼らの音源に初めて触れたのは、今から1年前にmona recordsで販売されていた彼らの自主作品『珈琲賛歌』だった。「何かオススメの音源ってありますか?」とmona recordsのスタッフさんに訪ねた所、1番に彼らの音源があげられた。早速家で聞いたところ「ヤバーい! 凄くいいー!」と、私特有の良いバンドに出会った時の反応が出てしまったのではないですかー!! 気づいたら何度も繰り返し繰り返し聴いてしまった自分。音源を聞き終わってからも一人ソワソワした事を思い出す。その後、スモウルフィッシュの中心人物である磯辺君と会う機会があり、会話を重ねていくうちに段々と親しくなった。人柄や北海道という土地柄もあるせいか、とてもゆっくりと時間が流れるかのような、何とも暖かい1枚。けして派手な作品ではないけど、まさに老若男女選ばず、長く愛される1枚を1st albumにして作り上げてしまったのである。それが『風たちぬ夕暮れどきに』。常に素敵な音を探している自分にはまさに奇跡の1枚。早くも次作が楽しみで仕方ありません。


SONG-CRUX:樋口寛子


Taiji All Stars / FEMME FATALE
FLCG-3126 3,000yen(tax in) / IN STORES NO

Theatre Brook佐藤タイジによる女性Vocalフューチャリングプロジェクト。選ばれたのはSAKURA、UA、bird、松雪 泰子、hitomi、COLDFEET、Leyona、Magnolia。全員に共通してるのは力強さと優しさがある歌声を持っていると言う事、いかにもブラックミュージック好きの佐藤タイジらしい人選だ。全曲Vocalが違ってもバラける感が全く感じないのは、バックを固めるTheatre Brookの面々によるところも大きい。そしてなにより佐藤タイジといえばギター、というかレスポール。常に歌っていない分Vocalの裏でかなり弾き倒してます。それでもそればかり目立たないようになっているのは、ここはプロデューサー佐藤タイジの腕によるもの。双方のファンには納得と新しい発見があるはず。


新宿ロフト舞男:水野裕二


Qomolangma Tomato / チョモと僕は柵の中
RESI-2004 1,800yen(tax in) / 4.11 IN STORES

2月にO-nestで行われたQomolangma Tomatoのギグに行った。本番の途中でギターが鳴らないというトラブルになり、急遽有りモノのギターに変更。私は心の中でやり直すのか、どう乗り切るのかと思っていると、Voイシイさんが「……2回戦はない!やり直しはキカナイーー!! 」と叫んだ!!! 上がりましたよ。その場に居合わせた誰しもが上がりましたよ、彼らを見ていたら。くすぶってらんないっすよ。やったるわーというか、やれるわぃ! って気持ちにさせてくれます。そんな彼らのリアルを詰め込んだアルバムが出るんです。4月11日発売!! いやぁ待ち切れない〜! 彼らは本当にここからどんどん上って行くんだろう。彼らの第一歩をしかと聞くがよいっ!


新宿LOFT:キッスは目にして貴美子


dj KENTARO / ENTER
BRC-168 2,800yen(tax in) / IN STORES NOW

「好きな音楽のジャンルは?」と聴かれたら即座に「ダンス・ミュージックです。」と答えるあなた。コレを聴くしかありません。2002年ターンテーブリストの世界一を決めるDMC DJ CHAMPIONSHIPを若干20歳で制し、一躍世界の注目の的となったdj KENTARO待望の1st Full Albumが到着。ヒップホップ/ハウス/レゲエ/ロックetc…と音楽の波をサーフィンする様に、とにかく多ジャンル多国籍なゲストを迎えてのバトル・ロッカーズぶり。まさに“NO WALL BETWEEN THE MUSIC”(音楽に国境はない)を体現しているのです。そして何と言ってもその魅力はその驚愕のライブ・パフォーマンス。ターンテーブルから放たれる音楽という名の毒はきっとあなたを侵し、その洪水に飲み込まれることでしょう。


Naked LOFT:植村孝幸


怒髪天 / D-stance “FREIHEIT YEARS 1999-2004”
TECI-1150 2,500(tax in) / 3.07IN STORES

1999年から2004年まで、フライハイト在籍時の音源を収録した怒髪天初のベスト盤。ライヴで中核を成す曲を多く含んだインディーズ盤が現在全て廃盤。それじゃあライヴで聴いた曲を家でも聴きたいと思った人がいたときに大変だってことで、こうして名曲・代表曲を厳選してのリリース。「これ1枚と最新盤を聴いておけば、より一層ライヴを楽しめる」とは増子兄ィの弁。A面はノリが判り易すぎるくらい判り易い「怒髪天節」全開な曲が多いので、入門編として特にオススメ! よくあるシングルを掻き集めたカラオケ練習用のようなベスト盤より遥かに良心的です。更に、V.Aのみに収録だった曲や、ここでしか聴けないライヴ音源、未発表デモ音源、新録曲から隠しトラックまで収録しているので、既存版をコンプリートしている人も是非。つまり全怒髪天ファン必携! 華も嵐も踏み越えて来た「D-stance」=「怒髪天の軌跡」を辿れる一枚。


LOFT PROJECT:稲垣由香


怒髪天 / 怒髪天
TECI-1149 / 2,000(tax in) / 3.07IN STORES

こちらはコアなファン待望! 長らく入手困難で、某オークションでも値段が高騰していたデビューアルバムが16年の時を経て遂に復刻!
山中湖のスタジオに泊まり込みでレコーディング、題字はかの北島“サブちゃん”三郎先生。前途洋々でデビューしたのかと思いきや、本作を携え札幌から上京した直後に事務所が倒産したというのはファンの間ではもはや有名な話? その後東京砂漠で何年も苦汁を飲み、遂には一時活動休止にまで追い込まれることになったその全ての根源とも言えるいわく付きの作品。
さすがに16年前ともなれば、メンバーの見た目の変化も去ることながら(なぜか今の方が若く見える方もいらっしゃいます)、増子兄ィの声や唄い方が今とはかなり違うのに注目。曲名や歌詞の中に英語が使われていたり、ちょっと可愛らしいラブソング的な曲があったりする辺りにも時の流れを感じます。が、歌詞の世界観、情緒に富んだメロディー、様々なジャンルの音楽を吸収した楽曲の振り幅の広さ等々、至るところに現在の怒髪天の面影が。そして、メンバー4人の素敵な笑顔だけは今とちっとも変わっていません。


LOFT PROJECT:稲垣由香


TOMMY THE GREAT / AFTER PARTY AT DANCE FLOOR
COAR-0048 2,310yen(tax in) / 3.19 IN STORES

わざとらしい! 妙にハイテンションな曲名だとかリリックだとかジャケだとか、これは確信犯、というかもう犯罪ですよ。もちろん、そんな構える必要はないし、ツルッと聴けちゃうポップチューンが爪先から頭のてっぺんまで満載なんですが、でも油断するスキは一瞬たりとも与えてくれません。解りにくく喩えるならば、クラスの後の方に座ってて、よく遅刻してくるけどあまり先生にバレなくて、オシャレで女の子にもモテて運動もそこそこできて勉強はちょっと苦手で顔も良くて、でもなんか憎めない、っていうかそいつと友達であることを自慢したくなるような、でも家に帰ると独りで『我が闘争』をのほほんと読んでいたり押し入れにヘンな機械が隠してある男子高校生、みたいな。つまり何が言いたいかといいますと、心の底から愛らしい、ところがどっこい底知れない、そんな素敵でクセになるアルバムを、クールでヒップでパーティーでロックンロールでデストロイでハッピーなトミーザグレイトが3月19日にドロップします。そしてそれが、とても良いです。


Pleasure-Crux:前川


nitt / NEW DAY
TBCD-1030 1,000yen(tax in) / 3.07 IN STORES

nittのニューアルバム『NEW DAY』がようやくリリースされます! 私がnittを知るきっかけとなった名曲『雨男傘もささずに』が入っているミニアルバム『朝の風 夜の風』からだから3年ぶり。今作は春という環境が変わる季節を意識した『NEW DAY』を始め、イマドキ男子の複雑な男ゴコロが描かれた『太陽と海と君と』や、結婚式の定番ソングになってほしい『ジャスミンの花を飾ろう』、nitt節が炸裂する『遊べよコラソン』にライブ録音された2曲の計6曲。楽曲の詳しい話はインタビューページで!
ここでは私なりに彼らの魅力を語ります。1つは、アジアンテイストが混じったサウンドと耳障りの良いメロディー。自然に体が揺れます。そして、誠一郎さんが奏でるギターの音色。ギターには全く詳しくないけど本当にいいと思った。そしてライブで篤さんが見せるパフォーマンス。本人は至って真剣なんだけど、予想外の動きに毎回ハラハラ・ニヤニヤさせられます。あの見た目で普通にいいメロディー、いいサウンド、いい歌、いい歌声だったら何とも思わなかっただろうけど、見た目と反する予想外のサウンド、メロディー、人柄、動き…。だから好き。今後はライブハウスだけでない活動もしていくそうなので、まずこの作品を聴いてから、彼らの音楽に触れていただきたいです。


Rooftop:やまだともこ


No Regret Life / Allegro
AICL-1813 3,059yen(tax in) / 3.14 IN STORES

昨年2月のメジャーデビューアルバム『Sign』からほぼ一年ぶり、No Regret Lifeのセカンドアルバムがついに完成。アルバムタイトルである『Allegro』(駆け抜ける速さで)が示すとおり、軽快なテンポで駆け抜ける楽曲からスリーピースバンドとは思えないドでかいスケールの楽曲まで、ガッチリ聴かせてくれる。
先行シングル『憧れの果て』、『右手の在処』、『Day by day』といった100%ノーリグ印な王道スタイルはもちろんのこと、『ミスキャストは誰だ?』(M-4)のような厳しく社会を告発するハードなナンバー(骨太なサウンドを支える松村&橋口のリズム隊の充実ぶりも今作の聴きどころ)や、ボーカル小田が耳元で歌っているような優しく繊細な弾き語りナンバー『君待ち』(M-10)など、新機軸を打ち出した楽曲もアルバムにすんなり馴染んでいる。『ランドリー』(M-7)の歌詞にも引用されているoasisの名盤『Morning Glory』を想起させる壮大且つロマンテックな楽曲達は、絶対に聴き手を選ぶことはしないし中途半端な音楽知識人のオモチャになることは決してない。そんな風通しのよさがノーリグの最大の魅力であり武器でしょう。メンバー本人達の今作への思い入れは半端なものではなかったようで、ボーカル小田がタップリとインタビューページで語ってくれているのでそちらもじっくり読んで受け止めていただきたい。
とにかく有象無象の音楽シーンにおいて裸一貫で立ち向かうような彼らの姿勢は、シニカルになりがちな僕達の生活に一筋の光を示してくれるはず。3月からは北海道から鹿児島まで走りぬける怒涛のツアー(43本だって!)も始まります(ファイナルは6/15渋谷O-WEST)。とにかく彼らの実直で真摯なサウンドをライブでも体感していただきたい!


横山マサアキ


パイナップルフリーウェイ / ブラザーブラザー
WXCR-2 1,680yen(tax in) / IN STORES NOW

「え!? パイナップルフリーウェイのニューアルバム出てたんだ!しかもタイトル曲があの名曲『ブラザーブラザー』!?」と思った方、今すぐCD屋さんに走ってください。思わなかった方、今すぐパイナップルフリーウェイに出会うためにやっぱりCD屋さんに走ってください。一度聴けばぴんと来る方はすぐぴんと来るはず。ぴんと来ない方もいるかもしれないですが、そのときはそのときでしょうがない。そんな音楽なんです。
人と生活が交差する線路前というイラストが彼らの歌詞にぴったりな歌詞カードを開くと、ステージから身を乗り出し髪を振り乱して歌うライブの写真。そう、パイナップルフリーウェイの魅力っていえば、不器用なくせに優しくてきゅんとさせる歌詞とか、凄腕の演奏とか、ブルージーでファンキーでソウルフルとか、でもなによりも、汗だくでぐちゃぐちゃでしわくちゃで、全身で向かってくるライブでの姿。ロックンロールなんてそれがすべてで、熱くって、ちょっと切なくなってしまうのです。


Naked LOFT:こだま


THE BACK HORN / 美しい名前
初回盤:VICL-36234 通常盤:VICL-36235 1,200yen(tax in) / 3.21 IN STORES

昨年末発表されたシングル『声』が今もなおロングセールスを続けているTHE BACK HORN が2007年早くもニューシングル『美しい名前』をリリースする。メンバーが目の当たりにした体験をもとに、使命感みたいなものを自覚して書き上げられた曲だという。最初にこの曲を聴いた時、僕は言葉にできない、説明のしようがない感情が込み上げてきた事を覚えている。そして、その時この曲は沢山の人に届いてほしい曲だと思ったし、願った。あなたにも、大切な人がいるでしょう。「名曲」といっていいのか判らないが、名曲が誕生した。泣かす為に書かれた曲ではないことは聴けばわかる。ただのラブソングではないのだから。
彼らは先月より全国24カ所すべて異なる対バンによる「KYO-MEI対バンツアー」〜共に鳴らす夜〜を敢行し、全国で共鳴している。


新宿LOFT:佐藤 統


papas milk / あさのひかり
FECD-0074 1,000yen(tax in) / 3.14 IN STORES

尋常じゃなく切ない哀愁が漂う霧中の中から、一筋の光の筋とも言える希望の声が見える。そんな曲でした。頭の中であるストーリーが浮かぶ、そして精一杯の自分の日常を考える。こんな心に刺さる雰囲気は、そうoasisの『Morning Glory』の様だ。と思って何気なくこのシングルのタイトルを見たら、なんと『あさのひかり』。なんて素晴らしいまっすぐな音楽なんだ。
先月レビューを書いたtobaccojuiceと言い、混沌としたこの世の中、こういった絶対なる希望を持ったバンドが居る事で、何とかやっていけるもんだ。本当に良い音楽です。


新宿ロフト店長:大塚智昭


ピンチブロック / 七人の敵
NHCR-1041 1,000yen(tax in) / 3.10 IN STORES

Rooftop2月号ではインタビューを掲載しているピンチブロックのニューシングル『七人の敵』は3月10日にリリース。これに伴い発売記念ライブを発売日当日の3月10日に渋谷屋根裏で行なうそう。
ジャケットの写真から楽曲を想像するに、お調子者でちょっと笑いを交えつつのバンドなんだろうと思いがちだが(実際私がそうだった)、CDを聴いてそのギャップに驚いた。聴き心地の良い楽曲がさやわかに流れ、なおかつあの一番のお調子者だと信じて疑わなかったボーカルが、春のそよ風以上にやわらかな歌声で歌っている。CDの中身間違えたか?と思ってもおかしくない。
表題曲になっている『七人の敵』は、インタビュー時に「このタイトルはどんな意味が?」と問いかけた時、「男は一旦外に出ると七人の敵がいるんです。」と真顔で答えたボーカル橋岡さん。「何言ってんだ?」という驚きをうまく隠せない。でも、第一印象のイメージからは間違ってないんだな。  そんな不思議で素敵なピンチブロックのさわやかすぎる作品『七人の敵』は騙されたと思って聴いてほしい。いい意味の裏切りが心地よくなります。


Rooftop:やまだともこ


FOUR KING COUSINS / INTRODUCING... THE FOUR KING COUSINS
TOCJ-66316 2,500yen(tax in) / IN STORES NOW

女性を表現するのに、カワイイ、エロイ、綺麗、オシャレと色々な形容があるが、そのどれにもあてはまらない素敵さを表現するのに「優しさ」が有る。自分と隣席に座っている39さんの間では度々この表現を使って会話が繰り広げられています。「あの子どうですか?」「優しいですね。」、「このバンド良いッスよね。」「でも優しさが足りないですね。」、「このボーカル、高井麻巳子ばりに優しいですよね。」等といったような、端から見たらそうとうアレなディスカッションが日々、繰り広げられています。
そんなある日、39先輩が「これは優しさの名盤ですよ」と持って来たのがこのCDでした。全員ソングライターではないので、いわゆるボーカルグループ。まあアイドルグループの元祖の様な存在だと思いますが、非常にオシャレで、演奏はもちろんプロだし、コーラスも優しさに溢れていて、一時期流行った女性のパーパパ、パーパパいうコーラスもこういう所にルーツがあったりするのでしょうか? やはりこちらが本物というか安っぽくなく、気品すら漂っています。ああ、何だか自分なんかがレビューしても、むしろこの優しき名盤が汚れる気さえします。
現在、リマスタリング紙ジャケ仕様で発売中なので、優しさを求める男性、女性も、モテなんとかを研究するよりこれを聴いた方がモテると思いますよ。


LOFT RECORDS/TIGER HOLE:オオサワシンタロウ


FUGAZI / 8-28-93 KANSAS CITY,KANSAS MEMORIAL HALL

前回CDが93年8月9日(ワシントンDC)で、今回が93年8月28日。同じ月じゃん!って買った人やWEB見た人は突っ込んでるんでしょう。が、前回が野外(おそらく)で雰囲気や曲数の少なさなど、かなり違う趣が。『EXIT ONLY』でスタートしてアンコール含めて19曲。いつも通り「まぁまぁ落ち着けや」MCなどもあり、とりあえずSUGGESTION(#14)が圧巻(けど長い)。個人的にはここがスゲーってところが見当たらずですが、今から14年前の自分の誕生日8月28日(当時17歳。メロコアばっか聞いていた頃。 MIGHTY MIGHTY BOSSTONESがFUGAZI(MINOR THREATかも)の曲をカバーしてて聴くようになった覚えが)に、FUGAZIがLIVEをやっていたことがなにか嬉しい。ま、全くの偶然ですが…。っつうかDISCHORDのHP、リニューアルしてますけど皆さん見た?


下北沢SHELTER店長:西村等


メロン記念日 / FRUITY KILLER TUNE
EPCE-5439 3,150yen(tax in) / IN STORES NOW

昨年末に発売されたメロン記念日のベストアルバム。タイトルもジャケットもイカシているが、中身も超クール! メロン記念日といえば99年にモーニング娘。の妹分グループとしてデビューしたが、娘。の方が次々にメンバーチェンジを繰り返しているうちに、いつしかメンバー不動のメロンの方がお姉様的存在になっている。この「不動の4人」というのがメロンの大きな魅力の一つで、ハロプロ中最も熱狂的なファンを持つと言われているメロンは、まさにファンと一緒に成長してきたグループといえる。もう一つの魅力として挙げたいのが、メロン記念日のロックバンド的な佇まいだ。実際にライブハウス公演も多く、ロック界隈でも、掟ポルシェやライムスター宇多丸、ビート・クルセイダースのヒダカなど、メロンの熱狂的なファンは数多い。最近はDJイベントも立ち上げ、ますますロックシーンに近い存在に見える。とはいえ、あくまでメロン記念日は王道アイドル路線を突き進んでいる。だからこそこのアルバムが多くの邦楽作品の中でも群を抜いて光っているのだ。


加藤梅造


EUROPE / SECRET SOCIETY
VICP-63631 2,520yen(tax in) / IN STORES NOW

4月に来日が決定しているEUROPEの再結成第2弾ALBUM。俺はもうチケットも取って、来日公演に備えてこのALBUMを毎日聴いて予習しています。
正直、筋金入りのEUROPEファンの俺でも最初は馴染めなかったこのALBUMですが、繰り返し聴いているとどんどん好きになってきました。ジョーイ先生のメロはやっぱり最高です。ジョンノーラムに限って言えば過去最高のギタープレイではないかと思います。(特にM3のギターソロは圧巻!)そして日本盤のボーナストラックには、前回来日時の渋谷AX(もちろん俺は最前にいた!)のLIVE音源が収録されています。
ま、こんなレビューをRooftopに載せても何の反応も無いのは分かってるんだけど、昨夜ジョーイが夢に出てきて、「レビューを書きなさい。そうすればお前の好きな曲をLIVEで演るぞ。」って言ってたので書きました。誰か関係者の人、これ見てたらジョーイに『HEART OF STONE』やってって頼んでー!


下北沢SHELTER:ゴーミ テンペスト


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