ギター バックナンバー

テイントン('07年2月号)

テイントン

田舎の人が東京に憧れる部分は残していきたい

紆余曲折しながらも、意を決して東京に上京を果たしたテイントン。
「これからが本当の意味でのスタート」だ!という力強い作品と眼差しが眩しくて仕方なかった。新作『バイバイハミングバード』が放つ魅力、九州から上京してきた今の心境について多いに語ってもらいました。(interview:樋口寛子)


「今出るしかない!」と。何のあてもなく、いきなりみんなで出てきたんですよ。

──以前は九州を拠点に活動していたのですが、なんで東京に拠点を移したのですか?

井上:2年位前に上京してきたんですけど。それまでは、九州の北九州で活動していて。九州時代もちょこちょこツアーで廻ったり、ミニアルバムをリリースしたり、数々のコンピレーションに参加したりして。いずれ東京で活動していきたいとずっと思っていて。もっと早く東京へ出ていくタイミングはあったりしたんですけど。紆余曲折しながら、やはり地盤となる九州を固めないといけないだろうという事もあって。だけど年齢を逆算して考えたら「今出るしかない!」と。何のあてもなく、いきなりみんなで出てきたんですよ。住む場所もネットで調べていきなり不動産屋へ(笑)。

──東京生活には慣れましたか?

井上:やっと慣れてきた感じですね。僕は山口県出身なんですけど。一番高いビルでも10階立てのビル位しかなくて。その事を思うと全然違うなぁ〜と。活動していた北九州はそこそこ都会なんですけどね。

──九州を拠点に活動していた時に出来た曲と東京に活動の拠点を移して出来た曲に違いを感じますか?

井上:そうですね。すごい感じますね。根底にあるものは全く変わらないんですけど。でも歌詞が変わりました。新譜に入っている4曲目の「夏色電車」は生まれ故郷で走っているローカル電車の事を思い浮かべながら歌ったったり、東京に出てきてから出来た曲「ココロノセカイ」ではフレーズの中に「ビル」という言葉が出てきたりして。今まではあぜ道を歩いていた曲を歌ってきたのに、アスファルトを歩いている曲が出来たりして。そこが明らかに変わってきたかな。

──今では、その土地に住みながら活動しているミュージシャンが多くいますが、環境がこれだけ変わってもよく曲が書けましたね!

井上:上京する時に不安だったのは、昔のノスタルチジックな感じとか牧歌的な感じとかあまりにもなくなったら嫌だなぁと思ったりしていたんですけど。根底にあるものが変わらないから。今では若干80年代のシティポップスが入ってきた感じだと思っています。

──今回の新作『バイバイハミングバード』では、いなたい部分と都会的な部分がうまく合わさった作品だと感じました

井上:自分らしさだけは見失いわないようにしています。東京へ出てきても方言は抜けないしね。田舎の人が東京に住んで書くシティポップスというか。洗練されたものではなくて、田舎の人が東京に憧れる部分は残しつつね。


やっと出来たという感じでほっと一安心しています

──全国流通する作品はすごく久しぶりの作品にあたるわけですが、この作品を作り終えた今の心境を聞かせてください。

井上:やっとこさという感じです。今回は11曲入りで、九州時代の曲がそのうち7曲あるんですけど。今まではCD-Rで地元のHMVで売っていて。その時の曲を全部取り直して、全国流通にして作品としてずっと残したいというのがあったから、やっと出来たという感じでほっと一安心しています。九州のお客さんが聴いたら懐かしい感じもするだろうし、バンドの代表曲も入っているし。新しく再構築されたものになっているので、聴きやすくなっているかと思います。

──今回は、レコーディングには、歌ものバンドには珍しいNATSUMENのA×S×Eさんを起用されていますが、一緒にお仕事してどうでしたか?

井上:仕事に熱中している時はすごい無口なんですけど。今回のレコーディング自体もあんまり今まで経験した事がないやり方だった。そんなに大きくない普通のリハスタに機材を持ち込んで、ハコの鳴りを全部パッケージした録りだったんですよ。今まではちゃんとブースに分かれて録っていたんですけど。今回は隣りでドラムが鳴っていたり、ベースが鳴っていたりして。ハコの鳴りを凝縮した様な作りになっていて。すごい不便な点もあったりしたんですけどね(笑)だけど全体的の仕上がりの空気感がものすごくよく録れていて。これがA×S×Eさんの音かぁ〜とすごく感動しましたね。

──これを持ってリスタートするんだぞ!という強い思いを作品からとても感じました。

井上:まさに初の1stフルアルバムで、東京に上京してからのちゃんとした作品なので、こっから再出発だぞ! という気持ちで作りましたね。ジョン・レノンで言うと「ダブルファンタジー」みたいな。こっからもう1回始めよう! という。

──レコーディングで印象に残った出来事って他にありますか?

井上:熱かったですね〜。スタジオの中に機材を詰め込んでいるから、熱がこもっちゃって(笑)。あとは、今回は3人だけではなくゲストミュージシャンの方にも参加してもらいました。僕らの中ではすごく大きい事ですね。6曲目の「美しい星」はパニックスマイルの石橋さんにフルート、キーボードで参加してもらい、バイオリンも入れたりし??て。11曲目の「シーサイドメモリー」ではフルートやシタールを入れたりして。


忘れられない土地というか、約束の土地なんですよね

──今回の作品は「さよなら」というフレーズがやたら耳についたんですけど。そのフレーズは今回作品を作るにあたってキーワードとしてあったんですか?

井上:ありましたね。分かれの歌とかすごい多いんですけど。九州から東京へ出て来たというのが一番のさよならなんですけど。楽曲1曲1曲に色んな思いがあって。

──個人的に特に「さよなら」の言葉が響いたのは3曲目の「ココロノセカイ」なんですよ。

井上:これは東京に出てきてすぐに出来た曲なんですけど。急に変わった環境に土肝を抜かれた感じで。未練垂らしく九州の事を思いながら歌った曲で。

── 生まれ育った街という事もあり、東京へ出てきても、九州の存在は凄く大きいんですね

井上:またいずれ九州に戻ったっていいし。でも、今は自分達のステップアップで東京を選んだんですけど。忘れられない土地というか、約束の土地なんですよね。

──曲はすぐ作れる方なんですか?

井上:すぐ作れる方ですよ。歌詞が遅いんですけど(笑)。僕、車で配達するような仕事をしているんですけど。それで鼻歌で1日10曲位携帯に吹き込んだりして。

──だからなのか、特に移動中に聞いていたい作品だなぁと思いました

井上:ちょっとした時にフレーズが思い浮かぶ事が多いですね。家に帰ると全然曲が出来なかったりして(笑)。

──「さよなら」のキーワードと今回の作品のタイトルは繋がっていたりするんですか?

井上:作品のタイトルは最初仮で決めていたんですけど。11曲目の「シーサイドメモリー」でパニックスマイルの石橋さんが吹いてくれたフルートの音が小鳥のさえずりみたいな音で。僕らの歌と僕らが大切にしている3人のコーラスと小鳥のさえずりあわせたのがハミングバードで、そこに「さよなら」を一緒にくっつけたという。

──タイトルからも前向きな感じが受けますよね

井上:ただのバイバイじゃなくて、それは次会う時のための約束のイメージでつけました。


僕が今後突き詰めたい部分に一歩近づけたんじゃないかな?と思えた曲

──収録楽曲の解説を簡潔にお話してもらっても良いですか?

井上:HPのセルフライナーノーツにも書いてあるんですけど。1曲目「微熱少年」は、同じタイトルの松本隆さんの小説あって。その本をリスペクトしているのと、自分が置かれている状況を照らし合わせて書いた様な曲で。この曲は、僕らが一番見てもらいたい部分を凝縮した様な1曲なんです。今ありがちなギターロックバンドにならないように、根底にあるビートルズとかコーラスワークが綺麗なソフトロックを見せたかったというか。そうゆう部分を見せたくて作った曲で。これを1曲目に持ってきたというのは自分らが一番見せたかったという部分ではないのかなぁと。バンドの代表曲です。

──2曲目「Among The Living」は?

井上:大学時代の友人を九州の街から見送った曲で。友人達が色んな道へ進んで行く中、僕らは音楽という道を選んだ、その気持ちを忘れないでとどめておきたいなぁと思って書いた曲です。九州時代にCD-Rで出したものとは曲が変わっています。凄くよくなっています。

──3曲目「ココロノセカイ」は?

井上:これは東京に上京して来てから出来た曲で。フレーズの中に「ビルの風」とか出てくるんですけど。僕が住んでた田舎には、吹きっさらしの田んぼから風が吹いて来て。今まで僕はビルの間から吹いてくるビル風を経験した事がなくって。「なんでこんなに風が強いんだー!」って本当ビックリしたんですよ。凄い感動して。

──4曲目「夏色電車」は?

井上:無人駅があるローカル線の曲で。淡い恋心を頂いた、回想するような曲で。

──5曲目「渚のハレーション」は? 井上「東京に出てきた時に、九州の事を思い出しながら作った曲で。色んな思いがあったりするんですけど。爽やかなか感じに出来ました。海を思い出しながら書きました。

──6曲目「美しい星」は?

井上:これも東京に出て来てから出来た曲で。今回唯一出来たバラード曲。今まで九州時代にもバラード曲は何曲もあったんですけど。今回は、これだけにしてみました。これは、凄く自分が丸くなった曲(笑)。昔は愛しているだの、恋だのとかとてもじゃなくて歌えなくて。大人になったというか、少年から青年になった僕らが、もうそろそろ愛だの恋だの歌ってもいいんじゃないかと思ったんです(笑)。昔恥ずかしくて歌えなかったのに。今では逆にもっと歌って行きたい(笑)。

──7曲目「虹と通り雨」は?

井上:僕らの中で一番ビートルズ的というか。一番やりたい事ではあるかもしれないんですけど。ビートルズ的なものと大滝詠一さんを自分等的な解釈で融合させたような曲で。大学時代の思いを歌にした曲です。

──8曲??目「Please!Please!Please!」は?

井上:これも初期ビートルズ的な曲で。スタンダードな曲です。一番ストレートな曲です。コーラスワークなんかもね。僕はアバンギャルドなものも好きなですけど。スタンダードなものありきの話で。ベタが大好きだから(笑)。

──9曲目「オールナイトロング」は?

井上:今回の作品の中で一番ハードでヘビーな曲なんですよ。いわゆる裏テイントン的な楽曲。凄いロックな感じに仕上がりました。内面的な部分も露骨に表現してもいいんじゃないかと。言葉使いも荒かったり。

──10曲目「白昼夢」は?

井上:この曲は「オールナイトロング」とはうってかわって。これはソフトに作ろうと思って。僕が昔好きだったギターポップを意識した作品を作りたかった。

──11曲目「シーサイドメモリー」は?

井上:この曲は「バイバイハミングバード」の締めにふさわしい曲になったんですけど。これもいわゆる代表曲ではないのですが、伝えたいイメージとか、ノスタルジックな歌詞であったり、牧歌的なものであったりとか、僕らのあるべき姿だったりして。今回はシタールが入ったりして。僕が今後突き詰めたい部分に一歩近づけたんじゃないかな? と思えた曲なんですよ。


新しく出来たこのアルバムを沢山の人に聴いてもらい、バンドとしてもう少し成長してワンマンをやりたい!

──ライブに関してお聞きしたいのですが、テイントンにとってライブとはどんな存在ですか?

井上:今回作品として作ろうとした部分があるんですけど。ライブはライブで3人ともしっかり出来る様なものをやりたいなぁと思っています。綺麗にやるだけではなく、ライブ感も必要かなぁと。

──今回は細かくライブを廻りますね

井上:そうですね。今後のビジョンとしては、夏辺りにまたイベントをやって。その後にはワンマンが出来たらと思っています。

──テイントンしての目標を聴かせてください

井上:今年の目標としては、新しく出来たこのアルバムを沢山の人に聴いてもらい、バンドとしてもう少し成長してワンマンをやりたい! とにかく沢山CDを売りたいです!


バイバイハミングバード

バイバイハミングバード

HACD-012 / 2,300yen(tax in)
02.07 IN STORES
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Live info.

2/11(日)天神ビブレホール
2/12(月)長崎studio Do!
2/15(木)鹿児島SR HALL
2/16(金)熊本Django
2/17(土)黒崎MARCUS
2/20(火)千葉LOOK
3/2(金)新宿red cloth
3/8(木)渋谷O-crest
3/18(日)京都拾得
3/19(月)梅田シャングリラ

テイントン OFFICIAL WEB SITE
http://taynton.cool.ne.jp/



posted by Rooftop at 13:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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