ギター バックナンバー

MIC JACK PRODUCTION('06年12月号)

MIC JACK PRODUCTION

革新と保守の奇跡的混在と“普遍的真理”への挑戦

マイク ジャック プロダクションは札幌を拠点に活動し、現時点でMC4名(B.I.G JOE、INI、LARGE IRON、JFK)とトラックメーカー3名(DJ DOGG、KEN、HALT.)の7人で構成されているヒップホップ グループだ(グループの精神的支柱であると同時にリーダーでもある札幌オリジナルMCのB.I.G JOEは現在オーストラリアで服役中であるが、刑務所内のスタジオを使い参加している)。個性豊かなそれぞれのパーソナリティーが詰まった彼らのセカンド アルバムは、まさに本作のタイトル通りの“普遍的真理”をとらえたアルバムと言える。ヒップホップ ファンはもちろんのこと、すべての音楽ファンに聴いてもらいたい一枚!!(interview:池田義昭)


色んな音楽の中にもヒップホップの要素は存在している

──こうやって見てるとメンバー全員の仲が良さそうですよね。皆さん普段はどんな感じの仲なんですか?

INI:簡単に言うと、こいつらがいなかったらほとんど友達もいないという…(笑)。

全員:(大爆笑)

KEN:それ、お前だけでしょ(笑)。

──(笑)知り合ったのは、結構昔とか?

KEN:昔ってほどでもないと思うけど。

HALT.:でも、実際もう結構年月は経ってるんじゃないの?

INI:皆が皆ってわけじゃないけど、高校卒業したぐらいからだと思うけど。

──では、出会い方はどんな感じだったんですか?

INI:基本的にはB.I.G JOEのもとに集まってきた奴らが、残って…。

──でも、普段のつながりも音楽を介してが多そうですよね。

LARGE IRON:そうですね。ただ普通に遊ぶっていうのはないですね。

INI:普通に「じゃあ、皆で飲みに行こう」みたいなのはないよね。

HALT.:(集まる理由は)サッカー ゲームが目的ですよ(笑)。

──(笑)そういう表面的な仲の良さというより、根底の部分でのつながりをマイク ジャックからは感じますよ。例えば、好きな音楽はそれぞれ違いそうだけど、ハウスとか聴いていてもアガる部分が一緒だったりしてそうで。

HALT.:そうそうそう。最近思ったんですけど、クラブ系とバンド系では相当違うなって。仲の良いバンドの人と話をしてて、パーティーをやるにしてもそれをやるまでの流れとかが違っていて。例えば、出演するにしてもギャラうんぬんの話がバンド系とかだったら逆にチケットのノルマがあったりするし。あれ……(笑)。

INI:全然、質問の答えにはなってないね(笑)。キッカケ的にはB.I.G JOEのやってた“GEORGE'S HOUSE”ってパーティーに色んな経緯はあるんだけど集まってきて、そのパーティーが“JUDGEMENT MONDAY”ってパーティーに変わって同じようなオープン マイクのフリー スタイルのイベントなんですけど。そこに集まってたのが段々仲良くなって、曲とかを作り出していったんですよ。そうやって仲良くなっていってつながっていったということも、そういうつながりを感じる要因だとも思いますよ。

──皆がヒップホップにこだわってるのを凄く感じると同時に、メンバー全員が考えてるヒップホップというのはミュージックと同じ意味合いに思えて。それは音楽的な要素をすべて詰め込めるものがヒップホップであると思っているんだろうな、ということでもあるんですが。

HALT.:ただ、個人的にはヒップホップの定義というのは、明確にありますよ。

INI:オレらが勝手に思ってるだけなのかもしれないけど、色んな音楽の中にもヒップホップの要素は存在してるというか。例えば、ロックの曲の中にもブレイクビーツでそのままヒップホップになってしまうものがあったりとか。そういう共通したグルーヴ感みたいなものもあると思っているから。

──では、皆さんから見て日本のでも世界のでもいいのですが、ヒップホップのシーンというのはどのように映っているのですか? いわゆる王道と思われてるようなものに染まらないようにしてる感じを受けるんですよ。

HALT.:今のメインストリームのNYのヒップホップにということですよね。

──そうです、そうです。

INI:それはありますね。

HALT.:単純に聴いていて良いと思わないんで、やっぱ自分達が良いと思うものを作るから自然にそうなりますね。

INI:良いものもあるけど、自分のアンテナに引っかかった良いものをただそのままやるのをしたくないというのはメンバー皆の中にあると思うんですよ。それを自分なりに噛み砕いて、自分達らしさを出すと言うか。住んでる環境も全然違うわけだし、無理に他のものを真似しても…。何か違うだろうし。影響とかを受けつつ、自分達の独自性を出していかないと勝負にならないとも思うし。

──今、独自性という言葉が出て来たので訊きたいのですが、自分達の独自性はどこから出てくると思いますか?

INI:それぞれの人間性がまずあって、それをさらけ出していけば自然と出てくると思いますね。

──そのさらけ出してる感はマイク ジャックにはありますね。それはラップにしても、トラックにしても。

HALT.:う〜ん、これしか出来ない感はあるよね。

LARGE IRON:自分達の名前で自分達が作るもので意図的に何かを模写していくというのは、まるで意味がないと思いますね。自分の中で出来ることを自分で表現する訳ですからね。それが至って自然なことだと思いますけどね。

──やってることに嘘がない感じは確かにありますね。それは今回のアルバムにも言えることで、自然に出来たアルバムなんだろうな、と。とは言え、それぞれに我もあると思うんですよ。自分自身を表現したいと思う気持ちと、グループで活動することでのe¨、協調性みたいなものをどのようにしてバランスをとっているのかな? と思ったんですが。メンバーも多いし、その中で制作していくと衝突とかも必然的に出てきてしまうのかな? って。

INI:それぞれがいい意味で譲歩し合うと言うか、何て言ったらいいんだろ? オレの考えなんですけど、自分個人よりも全体のことを考えてやると言うか。個人のやりたいことがあるんだったら、個人でやればイイと思うから。皆でやってるということは、皆の人間性が溶け込んだものにしたほうがイイし、一人では出せないものだと思うんですよ。それを出す為には、自分の突出した何らかの感情というのも時には抑えたりする必要があったり。オレ的には、マイク ジャックとしての平均値が出ればイイんじゃないかなというのがあるから。それに別のメンバーから、ああしたいこうしたいというのが出ても、B.I.G JOEが上手くまとめてくれたり。

HALT.:公約数みたいな感じで。やっぱ話し合いをした中で、ちょうど中間を割り出せればというのはありますよね。


メンバー各自にとってマイク ジャック プロダクションとは

──ちょっと唐突な質問なんですが、皆さんにとってマイク ジャック プロダクションというのはどういうもの? と言うか、何なのかを教えてもらえますか?

LARGE IRON:わぁー、凄い質問ですね(笑)。

INI:じゃあ、KENから(笑)。

KEN:こういう質問は、オレからかよ(笑)。

──たぶん、皆がみんな同じように考えてないだろうと思って、逆にそれが面白いんじゃないかと思うんですよ。結構、答えづらいデカイ質問だと思うんで最後に訊こうと思ってたんですけど、話の流れ的にこのタイミングで訊くのがイイかなと思って。

INI:じゃあ、KENから(笑)。

KEN:グループというもの自体、誰かトップが居てその言うことをきくグループが当たり前だと思うんすよね。だいたいのグループは。それはオレらの場合、B.I.G JOEなんだけど。でも、オレ達はただ言うことをきくんじゃなくて、全員が100%を出してそれで何100%になっちゃったらおかしいんすけど…(笑)。とにかく皆が出したものすべてをブレンドさせてその真ん中でうまく良いものを出せるグループを目指してる、その途中です。

LARGE IRON:オレにとっては自分を表現出来る場所だし、馴れ合いって意味じゃなくて遠慮もいらない仲間だし、本当に自分というものを出した時に、たぶんマイク ジャックのメンバーが僕を一番正当に評価してくれてるだろう、と、思える仲間ですね。友達とか家族という言葉は使いたくないけど……、マイク ジャック プロダクションは僕自身ですね。師匠であり、仲間であり、素晴らしいチームです。

HALT.:単純に作品を発表出来る場所というのもあるかもしれないけど、まぁ、一人では出来ないことを出来る場所というのはありますね。例えば、全く一人で作るとしたらインストになってしまうし、一人でやって面白いこともあるけど、このメンバーと一緒だからこそ出来る面白いことがあると思ってるから。だからこそ一緒にやってるというのはありますね。

JFK:僕にとってのマイク ジャックは…、一言でもいいですか? 家族ですね、ファミリー。一言で終わらせちゃったら簡単に捉えられるかもしれないけど、自分の本当の親兄弟のことを考えたりするのと同じなんですよ。

INI:自分が無理なくいれる場所というか、自分でいられる場所ですね。

DJ DOGG:HALT.の逆で(笑)。メンバーの一人一人がマイク ジャック プロダクションだと思っていて、だから揃わないと出来ないとかじゃないと思うんすよ。誰かが旅行してていなくても成立するし、2人とかでもマイク ジャックの2人じゃなくて、2人でもマイク ジャックだと思うし、1人でもマイク ジャック。皆の名前じゃないかと。




様々なジャンルの真ん中に行きたい

──今回のアルバムには色んな思いが入っていて、例えば、赤だったら赤、青だったら青とかいう単色じゃなくて、色んな色が混じり合ってる感じがするんですよね。一つ一つの色はハッキリ出てるんだけど、その中の一つがメインでもなくて。

KEN:色んなカラーがあるっていうのは狙い通りだよね。

LARGE IRON:嬉しいです。アルバムを作り出そうとした時点で、色んなものが集まったものにしようというのがあったんです。それはB.I.G JOEに話す前にあって、テーマもそういう感じで挙げていて。その矢先にB.I.G JOEから、「普遍的真理、“UNIVERSAL TRUTH”という言葉があるよ、それをタイトルにしよう」と言ってきて。ただ、その後B.I.G JOEが「やっぱりそのタイトルは大きすぎて表現出来るか判らないよ」、とも言ってきて。ただ、僕らは“UNIVERSAL TRUTH”という言葉を聞いて、ピーンときたんですよ。「これだろ、今回のアルバムタイトルは」って。その具体的な普遍的真理というテーマが決まった時点で、一つ一つの色をより濃く出せたんだと思うんですよ。

──凄くいいタイトルだと思いますよ。普遍って、デカいし難しいけど、挑戦しがいのあるテーマだと思うし。そのテーマに対して真正面から向き合って、かつ応えるアルバムになっていると思うんですよ。ほんと、今回のアルバムは濃いですよね。

KEN:そうっすね、(CDに入る容量の)時間一杯ですからね。

DJ DOGG:CDって80分入ると思ってて。

KEN:いや、そう言われてたんだよ。

DJ DOGG:で、80分ピッタリで作って持っていったら、78、9分しか入らなくて。最後にどこ削る? ってなってね。

──やっぱり時間一杯にしたかった?

KEN:これだけメンバーいたら、いくらでも作れますからね。時間に限りはあるけど、その中で80分は辛かったですね。もっと長ければと。

HALT.:ただ、一杯一杯にしようと思って長くしたわけではなくて、そうなってしまった、と。一曲一曲の尺にしても、やりたいことをしていったら長くなっていったんで。

──バラエティーに富んでるし、かつ幅も広いし、ほんと意欲作だなって。前作に比べて変わった、進化した点もあると思うんですよ。自分達から見て、それは感じますか?

LARGE IRON:価値観や表現の仕方、ラッパーだったら言葉の使い方や言葉の置き方まで全然あの頃とは違うと思いますね。でないと、やってきた意味がないですしね。

KEN:多少なり機材が変わったりしたし。

──やはりグループとしては常に先に行こうと?

KEN:ゆっくりですけどね。

JFK:そう思われるのは、個人個人が成長したいという思いが強いからだと思いますね。

──凄くポジティヴな感じも受け、それが凄く音楽好きなんだろうなと思わせることにつながってくると思うんですよ。

HALT.:ネガティヴな時もあるんですけど、その溜まっていったネガティヴさを発散させる仕方は判ってると思ってやってるんで。それがダンス ミュージックだったりするんですけど。

LARGE IRON:アルバムとして、踊れない音楽をやる気はなかったですね。個人的な意見なんですけど、ヒップホップってものに対してやれイルだとかドープだとか深いだとかいう表現を僕らみたいに地方でやってるアーティストだと言われるんですよ。イルでドープなものだけを作ろうとして作ってるわけじゃないし、暗くてドロドロしたものにだけ固執してるわけでもない。そうじゃないと、軽いとか。今回はそういうイメージを払拭したいというのはありました。それだけでなくて、明るい気持ちで作る時もあるし、誰でも感じれることを表現しているから、異端児みたいな簡単な言葉で片付けて欲しくないし、簡単な言葉で片付けられないものを作ってやろうという気持ちが僕は凄くありました。

──それは今回のアルバムから感じましたよ。色んなものを込めたんだから、色んな人に聴かれるのは当たり前じゃんというようなバイタリティーを持っているのも感じて。「全然あの頃とは違う」と言うほどのその変化の理由は?

LARGE IRON:毎日生きてるし、色んなことがあって。それこそ大きなことから小さなことまで。日々生活してるから。その中でその都度その都度教訓みたいなものを得られることもあるし、あの時ああすれば良かった、今度はこうしようとか。そういうことを考えて生きてるので、すべての出会いであったり、天気、それこそ見たテレビ番組さえ自分に影響してると思うし、毎日進化は出来たらいいと思って生きてます。

HALT.:(前のアルバムリリース後からの)4年間で何曲音楽聴いたか判らないですからね。色んな新しいものを聴いたりとか、常に聴いてるんで、それの中から取り入れられるものが何個あるか? というのもあるだろうし。ただ、どういう風に進化しようとかは考えてないですね、そうするとわざとらしくなるし。進化は続けてきた結果ですよね。

INI:意欲が途切れなかったというのもあると思うし、色んなグループがあるけど途中で諦めないでずっとやっていけるのは一握りだと思うし。そういうグループはやっていきながら、次のことを自分達で見つけ出せていけているんだろうなと思うし。マイク ジャックの皆には次に作りたいと思ってるものが具体的にあるだろうし、そういう中で進化していくだろうし。年をとるごとに経験を重ねていくし、それで判ってくることもあるから。オレらが多少なりとも人間的に成長したから、音楽的にも成長した部分はあるんだろうと。

──このアルバムは、マイク ジャックが今考える一番の理想形だと思うんですよ。で、今後の理想形は一体どのようなものなのか? 僕はRooftopに載っているようなロックバンドを聴いている人を始め、ジャンルにとらわれることなく色んな人にマイク ジャックを聴いてもらいたいなって思ってるんですよ。

HALT.:今よりももっと真ん中に行きたいと思ってますね。ある一定のジャンルでなく、様々なジャンルの真ん中という意味で。今まで聴いてきた色んな音楽をバランスよく出していって、真ん中に行きたいと言うか。これはマイク ジャックにも当てはまるし、どちらかと言えば自分達のレーベル、イル ダンス ミュージックに最も当てはまるかもしれないんですけど。


UNIVERSAL TRUTH

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ILL DANCE MUSIC IDMCD-007
2,940yen (tax in)
IN STORES NOW
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Live info.

◇12.02 (SAT) LIFE @SAPPORO MORROW ZONE
DJ:KEN / ILL DANCE MUSIC DAINU / NOLAD COMMOTIONS
◇12.02 (SAT) IN STORE LIVE @SAPPORO TOWER RECORD PIVOT店
LIVE:MIC JACK PRODUCTION ENTRANCE FREEEEE!


MIC JACK PRODUCTION OFFICIAL WEB SITE

http://www.micjack.com/

posted by Rooftop at 11:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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