ギター バックナンバー

花くまゆうさく×清水貞信(かまボイラー)('06年12月号)

花くまゆうさく×清水貞信(かまボイラー)

脱力感のあるカッコ良さと女っ気なしのモテたい願望をめぐって

サンボマスターの山口隆がプロデュースしたミニ・アルバム『かまボイラーファースト』から1年半振りに発表された2ndミニ・アルバム『コバタスモーク』で、ニール・ヤングや往年の吉田拓郎を彷彿とさせる武骨で豪快なサウンドがグッと切れ味を増したかまボイラー。浅野忠信と哀川翔主演で映画化もされた『東京ゾンビ』などの著作で知られ、ブラジリアン柔術茶帯の格闘家でもある漫画界の奇才・花くまゆうさくが『コバタスモーク』のジャケットを手掛けたことにより、異ジャンルながら“女っ気はないけどモテたい”という男子の根深い性〈さが〉を共通項に持つ両者の対談がここに実現! あの花くまワールドそのもののゆるり加減トゥーマッチな対話を心ゆくまでご堪能下さい。(interview:椎名宗之)


まず名前がカッコ良かった

──まず、お2人の馴れ初めからお聞きしたいんですが。

花くま:僕がかまボイラーを最初に知ったのは、サンボマスターがO-WESTかどこかでやったライヴに出てたのを観て。最初は名前がカッコいいなぁと思って。

清水:あっ、そうですか(笑)。あんまり言われないですけど。嬉しいです!

花くま:で、その時のライヴもカッコよくて。それから暫くしてファーストが出て聴いてみたら、やっぱりカッコよくて。

清水:自分は花くまさんが描いてるとは知らずに、昔から花くまさんのイラストの入った灰皿を使ったりしてたんですよ。で、知り合ってから「これ、花くまさんが描いたんだなぁ」とか弟(清水成信/かまボイラー:b)と話したりして。それで3月にレコーディングをした時に、ジャケットを描いて頂けないかと思って駄目もとでオファーしました。

──花くまさんがかまボイラーに惹かれたのは、具体的にどんな部分だったんでしょうか?

花くま:普通のバンドって引っ掛からないんですよね。本格的に初めて好きになったバンドはRCサクセションで。中学生の頃、初めは曲を聴く前に写真を見て「男なのに化粧して…」なんてバカにしてたんだけど、「い・け・な・いルージュマジック」で『ザ・ベストテン』に出てたのを見たら引っ掛かって、もうすっかりトリコになっちゃいました。あと『狂い咲きサンダーロード』を中学生の時に観て、泉谷しげるに引っ掛かりまして。あの辺に通じるものを感じたんですかね。真心ブラザーズやピーズなど、好きになったバンドは聴いた時にすぐ引っ掛かりましたが、かまボイラーも同じように聴いたらすぐ引っ掛かりました。

清水:自分はRCも泉谷も通ってないんですけどね。

花くま:でもかまボイラーの曲は昔のロックっぽいし、なんか昭和を感じる。それは大事な要素ですよ。懐かしい感じと言うか。

清水:ああ、そうですか。自分はもう完全に、洋邦問わず60年代、70年代の音楽ばっかり聴いてるからかもしれないですね。普段あんまり意識はしてないんですけどね。

──清水さんの音楽遍歴は?

清水:自分は吉田拓郎のファンで。邦楽は拓郎と小沢健二ぐらいですかね。あと、はっぴいえんどとか井上陽水とかも聴きましたけど。あとはボブ・ディランとかニール・ヤングばっかりですね。レピッシュは中学生ぐらいの頃聴いてたんですけど、拓郎を聴き始めたら他の邦楽は聴かなくなりましたね。

──拓郎さんが今に繋がる清水さんの音楽的原点?

清水:そうですね。高校生の頃に電器屋で流れてて、カッコいいなと思って。そっからギターも始めて。そういう子供の頃に聴いた音楽とかが今やってる音楽に自然と出てるのかもしれないですね。

花くま:でも、かまボイラーは最初は音以前に名前が良かったんです(笑)。

清水:(笑)着眼点が違いますよね。バンド名は一般の人には不評なんですよ。

花くま:脱力感もありつつ、凄くカッコいい。“ボイラー”っていう工場チックな感じとか。

清水:あ、そこで花くまさんの漫画と繋がりますよね。花くまさんにはバンドTシャツとかにも絵を使わせて頂いてて、有難いですよ。もうおんぶに抱っこで。PVも花くまさんの工場員の絵のお面を使わせて頂いて。僕らも花くまさんの絵に負けないようにしていかないとな、って思いますけどね。

──ちなみに、花くまさんがサンボマスターを好きになったきっかけというのは?

花くま:初めはやっぱり名前がカッコいいな、って。あと、ヴォーカルの山口さんが『爆裂都市』のTシャツを着てたから「この人は信頼できる」って思って(笑)。曲を聴いたらやっぱりカッコ良かったから。

清水:自分は2日ぐらい前に山口さんの引っ越しを手伝いしてきたんですけど…。

花くま:やっぱりデカい家なんですか?(笑)

清水:言うなって言われてるんですけど…やっぱりデカい家でしたね(笑)。部屋がいっぱいあった(笑)。


男らしいようでちょっと気が抜けてる

花くま:僕はかまボイラーのファーストに入ってる「イワナホンドボー」が凄く好きで。タイトルの不思議な感じとか。今回の『コバタスモーク』とかも、不思議なタイトルですよね。

清水:コバタっていうのはタバコを逆から読んだだけなんですけど。

花くま:ああ、なるほど。別に普段タバコをコバタって言ってるわけでは…。

清水:ええ、言ってないです(笑)。もう完全に語感で。あと自分、ハードコアとかが凄い好きで、弟と「たまにはハードコアとかデスメタルとか思いっきりやってみたいね」って話してて、その時はコバタスモークって変名でやろうかっていう話を2年ぐらい前まではしてました。それをアルバム・タイトルに持ってきたっていう。

花くま:僕はちょうどその頃短編映画を作ってて、そこでも曲を使わせて貰いたいな、って思ってて。まぁ結局、大人の事情で使えなかったんですけど(笑)。

清水:ああ(笑)、いつか使って頂けると嬉しいですね。

花くま:「sのバイバイスルー」はホントは映画のエンディングで使いたかったんですよね。エンディングで流れるのをイメージしながら撮ってたぐらい。

──もうかまボイラーしかなかった、と。

花くま:エンディングは完全にそのイメージでしたね。『狂い咲き〜』の最後で泉谷の「翼なき野郎ども」が流れるようなイメージで、「バイバイスルー」がしっくりくるな、って思ってたんですけど。

清水:『狂い咲き〜』って映画のタイトルですか?

花くま:そうです。主題歌に泉谷しげるの歌が使われてて。

清水:へぇー。観たことないですけど、いいタイトルですね。今度是非観てみます。

花くま:清水さんは映画とかを観て曲が浮かんだりすることはありますか?

清水:いや、自分は映画は全然観ないんです。『もののけ姫』とか、流行ったやつしか観てないんですよ(笑)。

──花くまさんの漫画を読んで曲を作ってみたりというのはどうですか?

清水:花くまさんの漫画は、読む度に凄い世界だなぁと思いますね。『東京ゾンビ』で豚を飼ってる男のシーンが最高に好きで。豚一匹ずつに名前が付いてるんですよね。あれは最高ですね。で、あっけなく死んじゃうところとかがいいですよね(笑)。「イワナ〜」とかの意味のなさと、花くまさんのシュールな感じっていうのは近いものがあるのかもしれないですね。

花くま:なんかね、かまボイラーの曲にも僕の漫画にも共通して言えるのは、女っ気がないんですよね(笑)。

清水:ホントにそうですね。でも、花くまさんの漫画は女の子に人気あると思うんですけどね。オシャレな感じがして。

花くま:『東京ゾンビ』なんか全然ですよ。女って言ったらメス豚とババアしか出てこない(笑)。女の子に対して発信してるならもっと違う漫画を描いてるし、かまボイラーも違う曲を書いてると思う(笑)。でも、根底にモテたいっていうのがあるんですよね。

清水:ありますね(笑)。そういう不条理感が共通してるんですかね。

花くま:あと、かまボイラーは男らしいようでちょっと気が抜けてると言うか。

清水:「ロックンロールが俺の全てだ!」とか言ってみたところで、やっぱりバイトしないと喰っていけないし…みたいなところで、ハッキリ言い切るのも難しいんですよね。でも、花くまさんは突き抜けてると思うんですよね。自分の場合は明日のこととか小さいことを考えちゃうって言うか。あの豚のシーンを考えると、ホントに突き抜けてるなぁって(笑)。


希望なんか別になくてもいい

花くま:曲を作る時っていうのは、歌詞が先に出来るんですか?

清水:いや、曲が先に出来て、歌詞は結構悩むんですよ。歌詞は幅が狭いと言うか、なんか暗い詞ばっかりになっちゃって。せめて歌の世界だけでも明るくしたほうがいいのかなぁとか思うんですけどね。

花くま:でも、あんまり自分にないことばかり唄ってもね。

清水:花くまさんの漫画も、結構絶望的に暗いと思うんだけど、でもそれを感じさせないんですよね。

花くま:まぁ、絶望の中にも希望はあるっていう感じ…ですかね。

清水:自分の作品は希望のかけらもないと思うんですよ。

花くま:でも、希望なんか別になくてもいいと思う。だって金持ちのお坊っちゃんがロック・バンドやってるとか言っても、聴きたいと思わないでしょ(笑)。

清水:確かに金を持ってたら生活のことも考えなくていいから、真に芸術的なこととか唄えるんじゃないか? ってちょっと思うんですけどね。

花くま:度を超えた金持ちならそうかもしれない。

──花くまさんはご自身でバンドをやったりしなかったんですか?

花くま:やらなかったんですよね。バンドをやってなかったのは後悔してます。で、今更ギターとか練習してみたりして。高校の頃に一応フォーク・ギターを買ったんですけど、自己流じゃできなくて、指が痛いだけで。手入れとかもできないし、ギター無理だなぁって(笑)。

清水:花くまさんがバンドをやったら面白そうですけどね。

花くま:妄想だけならよくするんですけど(笑)。好きな曲が、妄想の中では自分が作ったことになってて、自分がバンドで演奏してるとか。あと自分が格闘家だって妄想をして、ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」を入場曲に使うんだとか。妄想はよくしますね。

清水:それ、健康的な趣味ですよね(笑)。

──漫画を執筆されてる時に音楽は聴くんですか?

花くま:ネタが出来て描いてる時なら何が流れててもいいんですけど、考えてる時は無音がいいですね。描いてるだけの時なら、かまボイラーとかも聴きますよ。

清水:ありがとうございます。

──かまボイラー以外で最近の日本のバンドは何か聴きますか?

花くま:東京60WATTSとか。メロディが良いから。でもライヴを観たら女の子にモテそうな感じで。それがかまボイラーとは違うな、って(笑)。

清水:僕らもできることならああいう方向に行きたいんですけど…間違いなく無理でしょうね(笑)。

──では最後に、お互いにメッセージを。

花くま:そうですね…このまま続けて下さい、ですかね。これからも変わらず続けていって欲しいと思います。それで売れてビッグになればもっといいなと。

清水:花くまさんは漫画描きながら格闘技もやられてアグレッシヴですけど、健康に気を付けて末永くいい漫画を描いて欲しいですね。


コバタスモーク

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かまボイラー『コバタスモーク』発売記念ライヴツアーファイナル
12月7日(木)下北沢SHELTER
OPEN 19:00 / START 19:30
TICKETS: advance-2,000yen (+1DRINK) / door-2,500yen (+1DRINK)
w/ バンドオブグリマーズ / ビイドロ
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OTHER SHOWS
12月3日(日)水戸CLUB SONIC『かまボイラー「コバタスモーク」レコハツ水戸編』(w/ ザ・キャプテンズ / ROBIN)
12月20日(水)柏ZaX『ステキ男子な夜 パート15』(w/ ザ・キャプテンズ / マイクロニクル / メリチョコ / SOONERS)
12月27日(水)新宿red cloth『カウントダウンシリーズ』(w/ In the Soup)


かまボイラー OFFICIAL WEB SITE

http://sound.jp/kamaboira/

花くまゆうさく OFFICIAL WEB SITE:花くま工場

http://www.hanakuma.com/

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posted by Rooftop at 20:00 | TrackBack(0) | バックナンバー

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