旅の途中の産物:聴くもの全てに幸福をもたらす『素晴らしき世界』
「今日から始められることがあるよ」(『スタート』M-4)テレビから流れて来た何気ないこのフレーズと僕に語りかけるような声。一瞬ドキッとした。当たり前のことを歌ってるのかもしれない。日常のありふれた言葉の数々が今の僕の心にはズシリと響いた。何かに躊躇していた僕がその瞬間、背中をポンッと押され、次の一歩を踏み出した…初の全国流通盤『初対面』がロングセールスを続ける中、早くも前作から大きく進化した名盤『素晴らしき世界』をリリースする岡山在住3ピースロックバンドghostnote。優しさと鋭さの見え隠れする声を持つヴォーカルと普通のギターロックとは一線を画す技量を持ち絶妙なアンサンブルでサポートし続けるリズム隊、とにかく音楽に対してこれだけ純朴で真摯な姿勢はその楽曲を聴けばわかるはず。ghostnoteは今、世に放たれようとしている珠玉のポップスが詰まった名盤と共に今日も日本全国どこかの街で幸せを届けています。バンド名のように楽曲だけでは表せない何かを持って。今、体感して下さい。きっと彼らに夢中になるでしょう。(interview:植村孝幸+やまだともこ)
「一生一緒にやっていこうや」
──今回の2ndアルバム『素晴らしき世界』の話の前にghostnoteについて知りたいのですが。
大平伸正(Vo&Gt):結成は2003年春くらいで、元々はみんな別々のバンドやっていたんです。そこで僕の前のバンドが解散するってなったと同時にドラムの(中村)勇介に声をかけるところから始まりました。ただ勇介もその頃多くのバンド掛け持ちしてて…。
──ということは、中村さんはその時はまだ多くのバンドのうちの1つとしてghostnoteを捉えていたんですか?
中村勇介(Dr&Cho):その当時大学生で、バンドで食べていきたいとは思っていたんですが、信頼出来るメンバー、一緒にやっていこうというメンバーが見つからなかったんです。なので、スタジオプレイヤーとして色んなバンドで自分の力をつけていこうと思い、多くのバンドを掛け持ちしてたんです。でもその時から大ちゃん(大平)が昔やってたバンドが凄い好きで、よくライヴとか観てて「あぁ〜、こういうヴォーカルいいなぁ」ってずっと思ってたんです。それで大ちゃんから誘われて、まずは「どういうつもりでやるんだよ?」って聞いたんです。そうしたら「本気でやりたい」と言うから俺も本気でやろうと。ただ「いっぱいバンドをやっていて、いきなり辞めると迷惑かかるから少しずつ辞めるから待ってくれ。大学卒業する頃には今からやるバンド1つにするから」と伝えて、今はghostnoteだけですね。
大平:実は僕は元々ベース / ヴォーカルだったんです。でも、ある日突然ギターをやろうということになろうとなりまして…。
──え? ということは、ghostnote始める時にギターをやろうと思ったんですか?
中村:いや、そうじゃないんです。結成当初は大ちゃんがベース / ヴォーカル、俺がドラム、あとヘルプでギターを入れて3人でやっていて、次のライヴが決まってるのに突然大ちゃんが「俺、ギター/ヴォーカルになる」とか言い出したんですよ(苦笑)。「ベースは? それに大ちゃん、エレキギター持ってないじゃん」って。
大平:ギター/ヴォーカルになるというのは思いつきで、ベースを入れればギターがやれるって思ったんです。それで、(佐藤)慎ちゃんには最初っから入って欲しいと思ったんですけど、就職してたりとかでなかなか誘いきれなくて、別の人を誘ってスタジオ入ったんですけどなんか合わなかったんですよ。それでダメ元で慎ちゃんに電話しました。
──佐藤さんはその時は何かバンドやられてたんですか?
佐藤慎治(Ba&Cho):僕は大ちゃんとは5つ歳が離れてるんですが、大ちゃんが高校生くらいの時に前のバンドで知り合って1回だけ対バンして、その時に帰りに家に送ってあげて仲良くなってました。ただ、それ以降は全然会ってなかったですけど。
──ちょくちょく連絡とかは?
佐藤:いや、ホントにそれから3年くらい全く連絡なかったんです。そして僕は就職して、JAZZのバンドを趣味でやる程度で、音楽が生活のメインから外れてたんですけど、ある日突然大ちゃんから電話がかかってきて「覚えてますか? ベース弾いてください」って。僕が知ってた時はベース / ヴォーカルだったから、ベースとベースでツインベースやん!って思って。でも、よく話を聞いたら「僕、ギター弾くんです」って。それで「そうかギター弾くようになったんかぁ」って聞いたら「いやこれから弾くんです」って(笑)。冗談なのか本気なのかわかんないからとりあえず1回会ったんです。その時にデモテープ1曲録ったのを貸してもらって素直に良い曲だなぁって思って。
佐藤:そこからちょっとやってみようかなって、最初は本気じゃなかったですよ。でも、スタジオ初めて入った時に4人で演奏してバッチリ合って、何よりもドラムとベースが凄いバッチリで「うわぁ、これはいいわぁ」って。それでバンドをやっていこうかなって気持ちになりましたね。
──最初のライヴは4人でやったんですか?
佐藤:俺はバンドが出来てから3ヶ月くらいして入って、そこから1年くらいは4人でしたね。ただその4人の時は、メンバー全員がどういった方向性でどんな音楽をやっていくのか探り合っていて、ちょうど1年くらい経った時に、大ちゃんと勇介は真面目に一生これでやってくみたいな感じだったんですが、ギターのモチベーションが違ったんですよ。その時、俺はどうか?と考えて、一生これでやってこうと決めて、そこから3人でやっていくことになりました。解散する時は誰かが死んだ時、誰かが辞める時は殺すみたいな(苦笑)、もう酒も入ってたんで「一生一緒にやっていこうや」みたいになって、そこからは3人のベクトルが同じ方向になったという感じですね。
楽曲だけじゃない全てのものがghostnote
──ところでghostnoteっていうバンド名はどういう由来が?
中村:簡単に一言で説明するDうとドラムやベースで、演奏してるけど譜面には出ない音を“ghostnote”と言う音楽用語があるんです。大ちゃんと2人でやってる時にそのghostnoteの話になって「じゃあそれをそのままバンド名にしよう!」って言い出して、最初は反対したんですけど、ライヴとか音源とか、音だけじゃないライヴの時の雰囲気とか佇まいだったりとか僕らの表情とかまでも伝えていきたいという意味もあってghostnoteに決めました。
──今年に入って凄いライヴの本数をこなされてるんですけど、結成した当時からライヴはたくさんやられていたんですか?
大平:始めの頃は岡山で月8本とか、あとはちょっとだけ県外に出たりしてましたね。
中村:まだ慎ちゃんが仕事をしてたりしていて、土日だけだったら県外に出れるって感じだったんです。慎ちゃんが仕事辞めてから本数がグッと増えましたね。
佐藤:自主盤でCD2枚出してるんですけど、2枚目のCDが手売りでどれだけ伝えられるかのツアーをしようということで、50日で30本というツアー組んで、それが2005年の夏から秋にかけてですね。
──そのツアー中にその手売り分1000枚完売したって話を聞きましたが…。
佐藤:そうですね。それで次のCDは全国盤でちゃんと出そうという話になって、ツアー終わってすぐに『初対面』のレコーディングをして。
大平:その辺からghostnoteとしての活動ペースがどんどんどんどん早くなっていって、「ワァ〜」ってなってるまま、今ここで話をしているって感じですね(笑)。
──まさに生活の一部から生活のメインになったって感じ?
大平:そうですね。そこからは怒濤の勢いでライヴをするようになって、今年に入ってからはライヴをしない日の方が落ち着かなくて。
──blogを拝見したんですが、それでも皆さんバイトされてるんですよね?
中村:3人ともしてますね。逆にバイトする時間もないんですけど、バイトしないと生きていけないという現実が…(苦笑)。
大平:ライヴ・ライヴ・ライヴ・バイト・バイト・ライヴ・バイト・ライヴ…みたいな感じですね。僕は自らバイト先の店長にCDのサンプルとプロフィールを持っていってプロモーションしましたもん。「絶対に辞めさせないで下さい。頑張ってるんで、お願いします」って(笑)。
旅の途中で産み落とした名盤『素晴らしき世界』
──それで今年の始めに1stアルバム『初対面』リリースしてツアーに回られてますが、1stから9ヶ月という短いスパンで今回のアルバムってことになるんですが、曲っていつ書かれてるんですか?
大平:えっとですね、僕は作ろうと思って作れるタチじゃないんで、2月にリリースしてからツアー中の車の中で書き出して、音を録ったのが7月でしたね。
──ツアーの合間にレコーディングして、またツアーに出てっていう感じなんですか?
大平:いや、レコーディング自体はツアーが終わってからやって。
佐藤:年がら年中ライヴやってるんで、どこからどこまでがツアーかが把握しにくくなっています(笑)。
大平:一応『初対面』の本ツアーってのは4月末で終わってその間に曲を書いて、それだけでは出来なかったんで7月までに、プリプロとかもあったりとかしたんですけど合間に書いてたりして。ただ、レコーディング前日までに詞が2曲あがってなかったりしてたんですけど、お酒飲みながら考えていたら曲が浮かんできて何とか間に合いました(笑)。
佐藤:ごくたまにだけど、ツアー中も県外でスタジオ入って合わせたりしたよね。ライヴの練習じゃなくて新曲作ろうってことで。
中村:凄い印象に残ってるのは、岩手滞在中にスタジオ入って始めは2時間か3時間くらいしかスタジオの予約はしてなかったんですけど、凄く調子が良くて2時間か3時間くらい延長して、その時に大体の形が出来たのが『スタート』って曲なんです。ライヴで同じような曲ばっかりやって3人とも結構疲れていて、新曲を作ろうってスタジオ入ったんで、新鮮だったんじゃないかなって思いますね。
──今回のアルバムの曲はレコーディング前のライヴでもやられたりしてたんですか?
大平:してました、してました。ギリギリまで出来なかった『最終列車』(M-2)って曲は、レコーディング3日前くらいに出来て、スタジオで2回練習してアレンジを決めてライヴで2回やって、それでレコーディングに臨みました。日程的にはタイトだったんですが充実して楽しかったし苦ではなかったですね。ライヴが2〜3日空くだけで落ち着かないのは、凄い音楽やghostnoteに関して飢えてたのかなって思います。
──前作『初対面』と今作『素晴らしき世界』を作っていて、自分達が変わったなって点はありましたか?
中村:どんどん変わっていってると思うんです。でも僕らがghostnoteでやっていこうっていうスタンス、3人が出した音がghostnoteなのでそうDうであれなどんなものでもいいと思ってます。だから『素晴らしき世界』がファンやリスナーに対して変わったなって思われても、僕らとしてはこれが今のghostnoteだよって言いますね。だからあんまり意識としては変わってない。細かい曲や詞に関しては変わって来てるかもしれません。
大平:あとは今年に入ってツアーみたいな感じでライヴやって、その中で色んな人との出会いとか別れとか、それ以外でもみんな日々生活してたらそれぞれ思うことはあるじゃないですか。そういうことは僕らにも当たり前にあって、その中できっと僕ら3人も少しずつ変化していったと思うし、ghostnoteとして3人でステージに立った時にちゃんと自分の思いとか音とかに還元出来るようにしていきたいと思うし、それがあるから『初対面』の頃と比べても何か変わってるんじゃないかな。凄い漠然としてて、ここがこう変わったってのは言えないんですけど。
佐藤:成長はしてるんじゃないかな。
中村:客観的には見れないからね。
大平:日頃ダメだからせめてライヴくらい! みたいな(笑)。
『素晴らしき世界』を紐解く鍵
──詞を読ませて頂くと、みんなが感じてることを素直に、正直に書いてる詞が多いなぁと、何かとっても親しみやすい感じがしますね。折角なんで今作を掘り下げるって意味で1曲ずつエピソードとかコメントを聞いていきたいと思います。まずは1曲目の『素晴らしき世界へ』。
大平:1曲目と8曲目のメロディーと言葉自体はほとんど同じで、アレンジとテンポが違うだけなんです。でも先に出来たのは8曲目の『素晴らしき世界』というゆっくりな方なんです。このアルバムの中で1番最初に出来て、それをスタジオで合わしてる時に「ちょっと早いのでやってみようか?」ってなって、そしたらそれもカチッと合って「あ、これもいいな」って思いまして…。それで2曲ともアルバムに入れました。アルバムのタイトルにしたっていうのは、僕が凄く言いたかったことがちゃんと書けた曲だったんです。『初対面』は7曲全部で何とか言いたいことが言えたかなって感じだったんですけど、『素晴らしき世界』はこの曲だけで言いたいことがちゃんと言えたな、主張出来たなって思って。逆に前作より幅が広がったと思うし『素晴らしき世界』が出来て、どういう風に進んで行こうかが見えた1曲ですね。この曲は岡山に「後楽園」という日本三大庭園があるんですけど、そこの外側を散歩している時に川を眺めていたら出来た曲です。必要じゃないものなんてないし、不必要なものはないし。自分の思ってたこと、言いたかったことが書けましたね。
中村:2曲とも入れたのは3人とも同じ意見でしたね。詞が良いというのはもちろんなんですけど、アレンジの雰囲気がどっちの曲も詞を引き立てれてるなって思って。
──ボーナストラックなりシークレットトラックなり本編とは別にって感じは良くあると思うんですが、完全に本編に組み込んでいるってことはどっちとも聞いて欲しい、聞き比べて楽しんで欲しいという自信作なんですね。
大平:そうですね。この曲に関してはそれに始まりそれに終わるという、僕らとしての気持ちのいい形だと思えたんで。
──ライヴでも両方ともやるんですか?それともその日その日どちらかをやったり?
中村:最初の頃は静かな方をやってて最近は早い方やってますね。
佐藤:やっぱり30分って尺だと、両方やると伝わりきれないこともあるんで。
──ライヴが長ければ長い程両方やりたいとか。
中村:やりたいってのはあります。
大平:次のツアーのファイナルの時はそれに始まりそれに終わりたいですね。乞うご期待。
──はい。続いては『最終列車』。先程、最後に出来た曲と言われてましたが。
大平:この曲はもう1曲書かなきゃ、もう1曲書かなきゃってなって「あ〜」ってなって「よし、わかった、酒飲もう」って家でビールを飲んでた時に出来た曲です。地元の駅に立っていて、夜中に電車が通り過ぎてくというシーンが頭の中にパッと浮かんで、そこからサビのフレーズがあがってきてからすぐに出来ました。実際には別れの歌って感じがするんですが、実際はそんな経験したことは1回もないし(苦笑)、今日も東京で地下鉄に乗っただけで「おぉ〜電車だ」とか思うくらいだったんで。まぁ、妄想曲です…(笑)。
中村:ちょっと協奏曲みたいな響きやな(笑)。
──オシャレな感じですね(笑)。そういえば、『最終列車』の曲の中に“ハッピーエンド”って言葉が使われてたり、7曲目のタイトルも『ハッピーエンド』なんですけど、こういう言葉が頻繁に出てくるってことは今、バンドがいい状態にあるのかなって感じましたが…。
大平:まさにそうですね。3人で活動していることが自分にとって助けられている部分もあり、自分にとって生きてる時だなって感じるし反映されてるんだなって思います。あとはステージに立って、自分の歌を必要としてくれDうてる人が居る以上、その期待にも応えたいし少しでも元気になってもらえたりとか、今日ライヴ来てよかったって思ってもらえるようなものにしたいっていうのが根本としてあるんです。まぁ、自分自身に歌ってる部分は大いにあるんで、「俺はハッピーだ」とか言い聞かせてる部分は凄くあるかもしれないですね。
──3曲目『モーニングコール』なんですけど、この最初の歌詞、「−3℃ 表参道」って歌詞、韻を踏んでて面白いんですが、ヒップホップに影響を受けたとかあるんですか? THA BLUE HERBが好きって話を聞いたのですが。
大平:あんまりそれは考えたことがなかったんですけど、極端な話THA BLUE HERBしか知らなくて。ただTHA BLUE HERBはホントに好きで自分にとって教科書みたいな存在なんです。この曲はちょうどツアー中に東京から名古屋あたりに移動中に車の中で作ったんですけど、2月とか3月くらいだったんで凄い寒かったんですよ。実は表参道1回も行ったことないんです(笑)。でも僕の表参道のイメージが大体道幅が3〜4mくらいでちょっと坂道で建物が全部赤レンガで作られてて…っていうのが浮かんで来て、そこに僕が寝袋で1人で寝てるという…。
──…寝袋?(笑)
大平:ええ。そこで「−3℃ 表参道」っていうところから入ったんですけど、どうやら表参道が−3℃になることは滅多にないらしいですね(苦笑)。
──そういえばそうですね。伝えたい感じはわかりますよ。ただ歩いてる人じゃなく寝てる人とは思いませんでしたね(笑)。
大平:『初対面』の時はノンフィクションな曲が多かったんですけど、今回はソングライターとしての幅が広がったのかな。そう思うのはノンフィクションだけじゃなくて、自分の中で見えた風景から膨らませて書けたことが違いかなって思いますけど。
──では4曲目の『スタート』ですが…これはCMのタイアップにもなってますね。初めてテレビから流れてきたこの曲が自分の心に響いたんですよ。
大平:この曲は先程勇介が言ってたようにツアー中に岩手でスタジオに入ってパッと出来た曲なんです。
中村:ライヴは1日だったんですが、取材があったりで岩手に3日くらい滞在してたんです。元々、大ちゃんは岩手に住んでたことがあったらしくて。
大平:6年ぐらい住んでたのかな。
中村:その時、隣に住んでたおじさんがこの店で働いているからって親から聞いてて会いに行ったら凄い良くしてくれて。3日間とも泊めてくれて、毎日お酒飲んでワーッって騒いで、温泉なんか行ったりしてた中で1日空いてるから、「折角だから曲作ろうよ」ってなって。大体、ツアーに行くとみんな疲れてしんどいのにその3日間は充実してたせいか出来るかなって思ったんです。スタジオ入ったらバッチシ、「この曲こんな感じでやったらどう?」って大ちゃんが言ってたメロと考えてた詞が当てはまって、「コレだ〜!」みたいな。
大平:もうスポーンって出た感じで(笑)。
佐藤:「ベース適当に弾いてよ、そこにメロ合わすから」って大ちゃんに言われて作った曲ですね。
大平:その時はサビの「今日から始められることがあるよ」って所だけが出来てて、何でその言葉が出て来たのかなぁって感じなんですけどね…。でも今、思い返すと自分に歌ってたんだなって思いますね。
──5曲目の『手のなるほうへ』ですが…。
大平:この曲は曲と半分メロくらいは出来てたんですけど、レコーディングの前日まで詞があがってなかったって言う…。
中村:これも岩手で作ったんじゃなかったっけ?
大平:“チャッチャッチャ”だけは岩手で。
──“チャッチャッチャッ”?
佐藤:ギターのリフのとこだけですね。
大平:この曲は…どういう曲なんですかね?(笑)詞よりもテンポの良さと言うか、どちらかというとドラムとかベースとかそういうところを見て欲しいですね。純粋にまだまだこれからやるべきことはたくさんあるんですけど、演奏することの面白さとか難しさとかそういうのをやりたかったなぁと。
──バンドってヴォーカルは必然的に目立つ存在だと思うんですよね。でもここではバンド全体を見て欲しいという感じなのでしょうか。
大平:そうですね、ベースのうねり具合とか、暴れ太鼓を聴いてもらえればいいなって思います。
佐藤:でも8曲あって、やっぱり1曲くらい遊び心をもった曲もあってもいいよね、テンポの早い曲だったり、色が変わるような曲だったり、というイメージで仕上げた曲なんで、そういう曲にはなったかなぁって思いますね。
──6曲目『君の背伸び、かわいい』ですが、このアルバムの中ではアクセントになってるかなと思います。
大平:個人的に僕はこの曲をどうしても入れたくて、『手のなるほうへ』とは逆の、自然体に僕が歌で、慎ちゃんがアコギで、勇介がリコーダーで1発録りしたんですけど、日頃の空気みたいなのが録れたらいいねって。僕らの日常のどうでDうも良いような感じを1曲にして…。
中村:でもどうでも良くないものにするっていう。
佐藤:まったりしようという。
──初めてこの曲を聴いた時、大平さんは弾き語りにも興味あるのかなってただ漠然と聴いてたんですけど。
大平:あぁ〜、ただ歌うことが好きなんで。昔、暇を見つけては路上に出てったりしてたんで、興味があるないと言ったら歌うことなんであるんですけど。
──そして『ハッピーエンド』ですが、最後に飾る相応しい、いや実質、最後ではないんですが、いきなり欲望というかみんなが抱く願望が全て出てる感じがしますね。
大平:良く言われたりとか自分で再確認することがあるんですけど、楽しいからこそ楽しくないし、楽しくないからこそ楽しい。ただ単にハッピーだって言うよりはきっとハッピーな裏には何かがあって、全ての物事に表があったら裏があって、「ハッピーエンドで終わりたい、どうせ僕らひとりぼっちだし」みたいな、僕っていう人間が出ちゃったなぁっていう曲ですね。ホントは、前向きでちゃんとした人間になってきたなぁってここ1〜2年ぐらいで思うんですけど、それはghostnoteのおかげもあって色んな人と出会って話したりしてるからなんですよね。この曲は僕って人間が影にあるような1曲です。詞に関しても。ただメロディはなるべく詞が伝わるようにキャッチーなものにしようっていうのは最近の僕のテーマなんで。
佐藤:レコーディングして完成した時に変わったというか、出来上がった時に化けた曲ですね。
──録るまでは漠然としか曲が見えてなかったということですか?
佐藤:最後まで悩んだ曲です。
──最後は『素晴らしき世界』ですが、これはやはり最初と最後に入れたっていうのはタイトルもそうですが、総括してコレに尽きるって感じなのでしょうか?
大平:そうですね。僕らもスタッフも満場一致で「いいね」って。
──今回のアルバムは全曲新曲なんですが、このタイトな日程の中での制作ということで、昔のデモCD時代の曲を焼き直すってことは考えなかったんですか?
佐藤:曲があまり出来てない時点ではスタッフから案として出たんですけど、やっぱり常に最新のghotsnoteでありたいんで、新しい曲を頑張って作りました。
──今は常に進化しているghostnoteってのをライヴでは出していくって感じですか?
大平:そうですね。ただきっと昔の曲が好きな人も居るとは思うので、そういうものにもちゃんと応えていきたい。求められる方向に向かって、後は自分たちのやりたいことをやっていく、主張していくってのがベストかなぁ。
中村:昔の曲を今演奏したら、かなり変わって来るんじゃないですかね〜。
大平:ライヴでやってるだけでもギターのフレーズを弾いてなかったりありますから。このフレーズ要らないだろって。
佐藤:ビビるんですよね、いきなりだから。マジかよって(笑)。
──いつのまにかソロ? 聞いてないよって(笑)。
佐藤:やるっきゃないし、とりあえずうねっとけみたいな(笑)。
──(笑)こうして全曲について聞いてみると全てが推し曲ですね。
佐藤:そうですね、1曲1曲がしっかり聴けるようなアルバムになったかなって思ってます。
大平:今回は『素晴らしき世界』という曲が出来て、大層なアルバムタイトルをつけてしまったんですが、歌ってることはそんなスケールの大きいことでもないし、僕らの存在自体も聴いてくれたその人にとって特別でなくてもいいと思うので、その人の生活の中で1個でも何かきっかけになるようなアルバムになればいいなぁと思います。
プレツアー中、そして本ツアー! その間3日!(笑)
──それにしてもスケジュール見るたびに凄いライヴの本数ですね。大体、アルバム発売日までプレツアーで3日後から本ツアーって聞いたことないですよ(笑)。
中村:どこからどこがツアーかわからないですよね。
大平:今年は今年で突っ走ろうっていう感じで。
佐藤:本ツアーがあるっていうよりは年中ツアーやってるって感じです。
中村:「どこでよくライヴしてるんですか?」とたまに聞かれるんですけど、胸張って「全国です」って答えてます。
──自分からも行くし、呼ばれたら行くしって感じなんですかね。
佐藤:最近まではそうでしたね。ただやりすぎかなって思い始めているので(苦笑)、出来ないところは断らなきゃいけなかったりするんですけど…。
──呼ばれるってことはそれだけみんなが注目してるってことですから。
中村:嬉しいことですよね。
大平:出来る限りは出たいんですけど。
大平:僕は高校生の時から大阪はファンダンゴ、東京はシェルターでやるってのが夢だったんで、それが今回叶ってるというのが凄く嬉しいですね。でもそれが叶っちゃうと人間てのは本当に欲望の固まりというか、次は何が出来るだろうとか考えてるんですよ。
──今は岡山在住ですけど、岡山を出るってことはDう考えてないんですか?
大平:逆に岡山という戻る場所があるから曲が作れたりする部分もあるだろうし。
中村:東京に居ても岡山に居ても全国ツアーをしてるだろうし、あんまり変わんないかなって思うんですよ。
──家に居るより、ツアー車に居る時間が長いんじゃないですか(笑)。
中村:そうですね、だいたい月の3分の2は外に出てたりしますからね。なのに家賃はちゃっかり取られるっていう…。
佐藤:でも家に帰った時のベットの快感はたまらないですね。
大平:東京に出なきゃ回んないってなったらそのときまた考えようかな。逆にベ−スはいつまでも岡山であって欲しいなって。
──これだけライヴをやられてるんですが、こんなとこを見て欲しいってとこがあったら。
大平:今回に関してはCDを聴いて見に来てくれてる人がきっといると思うので、ライヴは僕らの生活というか生きることとイコールとなっているので、その時のベストを見せている場所なんです。その様を観に来て欲しいですね。
中村:生のghostnote、素だとか滲み出る汗だとか、だからこそ現場で感じに来て欲しいですね。
「素晴らしき世界」
2nd album
BSRD-002 / 1,800yen(tax in)
11.08 IN STORES
★amazonで購入する
Live info.
素晴らしきアルバムプレVSツアー
11/01(水) 宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ-2
11/02(木) 下北沢シェルター
11/05(日) 浜松FORCE
11/08(水) 下北沢SHELTER
「素晴らしき世界」レコ発ツアー'06-'07〜岡山県岡山市表町から〜
11/11(土) 岡山MO:GLA
11/13(月) 神戸スタークラブ
11/17(金) 大分TOPS
11/19(日) 長崎DRUM Be-7
11/20(月) 福岡DRUM Be-1
11/22(水) 鹿児島SR HALL
11/23(木) 宮崎SR BOX
11/24(金) 広島ナミキジャンクション
11/27(月) 渋谷O-EAST
11/28(火) 大阪 AtlantiQs
11/30(木) 米子ベリエ
12/01(金) 金沢van van V4
12/02(土) 富山Soul Power
12/03(日) 新潟JUNKBOX
12/05(火) 弘前Mag-Net
12/06(水) 秋田スウィンドル
12/08(金) 札幌Bridge
12/09(土) 札幌COLONY
12/12(火) 盛岡club change
12/13(水) 仙台マカナ
12/15(金) 郡山#9
12/16(土) 宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ-2
12/17(日) 大宮ハーツ
12/22(金) 京都拾得
12/25(月) 十三ファンダンゴ
2007/1/12(金) 高知キャラバンサライ
1/13(土) 松山サロンキティー
1/14(日) 高松DIME
《ツアーファイナル》
1/21(日) 下北沢シェルター(ツーマンライブ)
1/28(日) 大阪十三ファンダンゴ
2/17(土) 岡山MO:GLA(ワンマンライブ)
ghostnote OFFICIAL WEB SITE
http://www.ghostnote.jp/
ghostnoteの皆様から素敵なプレゼントがあります!