摩天楼発、退廃的で淫靡で獰猛な純度100%の剥き出しロックンロール!
VELVET UNDERGROUNDの退廃的な匂い、NEW YORK DOLLSの淫靡な世界観、RAMONESの獰猛さ…それらすべてを併せ持ち、“平成のDOLLS”との呼び声も高いNY発の3ピース・バンド、SEX SLAVES。2年前に来日公演を行ない、耳の肥えた日本のオーディエンスにも既にその純度の高いロックンロールとパワフルなライヴ・アクトを深く印象づけている彼らは、あのMOTORHEADのLEMMY KILMISTERも大絶賛。そんなSEX SLAVESの本邦デビュー・アルバム『バイト・ユア・タング〜摩天楼の誘惑〜』が遂に完成した。今どき珍しいほどにロックンロール・エチケットを貫き、求道的にロックンロールの美学を究めんとする彼らの本格的な快進撃が今まさに始まろうとしている。(interview:椎名宗之)
いい曲っていうのは複雑である必要がないんだ
──デビュー・アルバム『バイト・ユア・タング〜摩天楼の誘惑〜』が遂に完成となりましたが、手応えは如何ですか。
eric13(g):このアルバムを日本で出すことができて、俺達はとても嬉しい。新しいレーベルFirst Aid Networkのおかげで発売に漕ぎ着けた。ファンのみんなもきっと気に入ってくれると思うよ。過去の来日は俺達にとって重要な意味を持つ。だから新作を日本で発表したいと心底思っていたんだ。
Del Cheetah(b):サイコウ、ICHIBAN(一番)!
──1曲目の「We're Goin' Out Tonight」を筆頭に、思わず一緒に口ずさみたくなるようなシンプルで覚えやすいナンバーが満載ですが、ライヴ映えする曲を意識的に収めたんですか?
Del Cheetah:ライヴ映えを特に意識して作ったわけではない。ただ俺達にできる最高の作品にしようと思っただけ。「We're Goin' Out Tonight」にはおもしろい話があってさ。ある晩リハーサルの後に俺達がNEW YORKの街へ繰り出そうとしていた時、KISSの「Rock'n' Roll All Night」を聴いていたんだ。そして、俺達にもみんなが着飾ってパーティに出かける時に聴いてもらえる歌が必要だと思い至った。そうなるとタイトルはもうこれしかない、俺達はすぐに唄い出していた。それまで一度もプレイしたことないのに、バーで友達が俺達に合わせて唄ってくれた。ワォー、オー、オー、オー、オー! 最高の夜だったぜ。
──RAMONESを彷彿とさせる曲の親しみやすさ、プレイの荒々しさと同時に、「See You Naked」「Miss Jones」のような曲からはVELVET UNDERGROUNDの持つ退廃的な匂いも感じます。SEX SLAVESが目指す音楽的志向というのは?
eric13:曲作りで一番大切なことは人々に“感じさせる”ことだと俺は思う。人は時に楽しく、時に悲しくなる。でもいつだって感情を呼び起したいと思っている。SEX SLAVESのライヴを観に来てくれる人達には、楽しんで、悩みなんか忘れてもらいたい、もてなしてあげたいと思うんだ。その姿勢をこの作品で表したかったのさ。
──IGGY POPの代表曲「Search+Destroy」を今回カヴァーしたのは? “パンクのゴッドファーザー”はSEX SLAVESの音楽、バンド活動の姿勢にどんな影響を与えていますか?
J-Bomb(ds):この曲はいわばひとりでに決まったという感じ。アルバムに1曲カヴァーを入れたいと思って、MISFITSの曲をいくつかやってみたんだけど、どうもアルバムのスタイルにマッチしなかった。「Search+Destroy」はそれまで演ったことがなかったけど、とても自然に思えた。
Del Cheetah:カヴァー曲を何にするかは、普通なかなか決まらない。一人が気に入っても、他のヤツが気に入らなかったりとかさ。でもJ-Bombがこの曲を推薦した時、すぐに全員意見が一致した。
eric13:俺は昔からIGGY POPの大ファンなんだ。IGGYののんびりしたヴォーカル・スタイルが大好き。彼は感情を込めて唄うこともできるし、まるで狼人間のように叫ぶこともできる。しかもクレイジーに唄うことを恐れていない。そこが好きなんだ。
──メンバー各自が影響を受けたバンド、アルバムを教えて下さい。
Del Cheetah:NEW YORKにMAN SCOUTS OF AMERICAという凄いバンドがいた。俺は彼らの『Crash Course』というレコードが大のお気に入り。自分の曲も同じくらいいいものにしようというつもりで作っている。
eric13:好きなバンドはたくさんある。THE BEATLES、LED ZEPPELIN、KISS、TOM WAITS、MISFITS……。ひとつだけ選ぶのは難しい。今度のアルバムを作っている時、俺はよくRAMONESを聴いていた、特に『Leave Home』を。どの曲もとてもシンプルなのがいい。いい曲っていうのは複雑である必要がないんだ。メッセージがストレートであればいい。『バイト・ユア・タング〜摩天楼の誘惑』でもそれを心懸けた。
──「最近、感銘を受けたバンドは?」と訊かれたMOTORHEADのLEMMY KILMISTERが「ニューヨークのSEX SLAVESというバンドを観たんだ。凄く良かったぜ」と答えたそうですが、その話を聞いてどう思いましたか?
eric13:俺は普通大物の前で怖気づいたりしないんだけど、LEMMYに初めて会った時は超クールだった。彼ほど良きロックンロールについて意義ある意見を持つ人は他にいないね。彼は本物さ。時々LEMMYに会うけど、いつだって彼はクールだ。実は今度会ったら、ウイスキーを一杯奢りたいC?と思っている。
Del Cheetah:LEMMYは俺のことを気に入ってくれている。この前LAで一緒だった時は、4日間ジャック・ダニエルズを呑みながらLEMMYの古いレコード・コレクションに耳を傾けた。凄い美人が次から次へと彼の家にやって来る。女の子がどんなにLEMMYを愛しているか、まったくクレイジーだぜ。尊敬させられるよ。
LOFTでは俺達のベストショウに入る演奏ができた
──SEX SLAVESのライヴでのモットーは?
J-Bomb:プロに徹して、ファンに最高のショウを見せてあげること。
eric13:いつもこれが地球最後の日のつもりでプレイすること。
──現在のニューヨークの音楽シーンは、あなた達の目から見てどう映っていますか?
eric13:ニューヨークにはいい音楽がたくさんある。でもおかしなことに、いいクラブが閉店してしまうことも事実だ。CBGBも来月閉店するし、コンチネンタルももっと早く閉店されるかも。悲しくてたまんないよ。マンハッタンにもはやパンク・クラブが1軒もないなんて。一体どういうわけだ!? ドン・ヒルは素晴らしいクラブだ。有り難いことに未だ健在している。
──「Thank God Jack Daniels」という曲がありますが、ジャック・ダニエルズは毎晩相当な量を摂取しているんですか?
Del Cheetah:なんてこったい。俺達がどのくらい呑むか知りたいだなんて。クレイジーだよ。この14ヶ月、全米で250ショウのツアーをやってたんだ。一度数えてみようとしたことがある。だぶん一晩で2,500杯って計算になったんだ。酒のことを考えると、変になるよ。
──数あるウイスキーの中でジャック・ダニエルズを愛飲するのは、やはりTHE ROLLING STONESのKEITH RICHARDSの影響ですか?
eric13:KEITHの影響じゃないよ。でもいつの日か彼と一緒に一杯やりたいとは思うけどな。
──ちなみに、2年前に来日した際に気に入った日本の酒、もしくは日本の食べ物は何かありましたか?
eric13:酒、酒、酒! 大好きだよ。餃子も焼肉も!!!!!!! 牛角が一番のお気に入り。
J-Bomb:日本茶は世界で一番。
Del Cheetah:俺は女の子が好き。
──メンバー全員が大の日本贔屓と聞きましたが、日本のどんなところが好きですか?
Del Cheetah:人が一番だな。日本ではとても歓迎された。他のバンドにもよく助けてもらった。クラブも非常にプロフェッショナルで、よくやってくれたよ。言葉が通じない国をツアーするってかなり厳しいだろ? でも一緒に仕事をする人達のおかげで特別な体験にしてもらえた。
eric13:俺はファンが好きだね。音楽を本当によく判っている。アメリカでは日本人はアメリカのバンドなら何でも好きと思われているけど、俺はそうは思わない。日本人はチャンスをくれるんだ。いいバンドなら、応援もしてくれる。ファンの忠誠心はスゴイよ。この点はアメリカ人も見習って欲しい。
──では、好きな日本のバンドはいますか?
eric13:好きなバンドはたくさんある。THE GIMMIES、SUPERSNAZZ、GUITAR WOLF、THE SPUNKS。
──2004年3月と10月の来日ではそれぞれ新宿LOFTでライヴを行なっています。LOFTは今年オープンから30周年を迎える老舗ライヴハウスなのですが、プレイした印象は何か残っていますか?
eric13:LOFTはいいクラブだ。俺達のベストショウに入る演奏ができた。東京の人達は演奏していても楽しい。一緒に唄ってくれるし、跳ね回るし、最高だったよ。また行きたいと思っている。でも、LOFTでの最後のショウでマイクを壊したと言われてさ、とんだ言いがかりだ。弁償させられたよ。家に持って帰ったけど、壊れてなんかいなかったよ。今でも使っているさ。が、もう許してあげるよ。LOFT大好き!
──今後、来日の予定はありますか?
eric13: 日本に行くのが待ちきれない。明日にでも行きたい気分だ。『バイト・ユア・タング〜摩天楼の誘惑』ツアーを計画しているんだ、目下のところレーベル待ち。First Aid Networkが最善のタイミングを決めてくれる。できるだけ早く実現することを祈っているよ。名古屋のあの女の子が俺のことをまだ覚えていてくれるといいけどな。春頃には行きたいと思っている。First Aidに俺達を日本に呼ぶようeメールを一杯出してくれ。
──最後に、日本のファンにメッセージを。
eric13, Del Cheetah, J-Bomg:親愛なる日本のお友達へ。SEX SLAVESは君達に会いたがっている。俺達の新しいアルバム『バイト・ユア・タング〜摩天楼の誘惑』を聴いてみてくれ。歌詞を覚えて、ヴォリュームを上げて、一緒に唄ってくれ。できるだけ早く日本に行くつもりだ。俺達が日本に来たら、仕事なんか辞めちまって、俺達と一緒に日本中をドライヴして、最高のパーティを楽しもう。女の子よ、ボーイフレンドと別れてしまいな。男の子よ、妻に仕事を辞めると言うんだ。後は俺達が引き受けた。愛しているよ。
BITE YOUR TONGUE
バイト・ユア・タング〜摩天楼の誘惑〜
初回限定盤DVD付 FLCF-4132 / 1,260yen(tax in)
通常盤 FLCF-7112 / 1,050yen(tax in)
IN STORES NOW
★amazonで購入する
★iTunes Storeで購入する(PC ONLY)
SEX SLAVES OFFICIAL WEB SITE
http://www.sexslavesnyc.com/