Let's Start Party, Go To Heaven, Together!
'98年の結成以来、独自の音楽センスと異端児ぶりで一般リスナーから音楽関係者まで唸らせまくってるパーティー・バンド、LONG SHOT PARTYが前作より約1年4ヶ月振りに3rdアルバム『Pointirhythm』を完成させた。今回は特に“唄”を前面に出すことによりシンプルでポップな、尚かつ持ち味である自由でカラフルさを失わない傑作アルバムに仕上がっている。メンバーを代表してヴォーカルsasajiに熱く語ってもらった。(interview:植村孝幸)
歌を響かせたい、そして聴いて貰いたい
──2ndアルバム『Gardens 13h』から1年4ヶ月、前作もヴァラエティに富んだ傑作だと感じていたんですが、今回はそれを上回るような作品が出来ましたね。
sasaji:ありがとうございます。
──よりシンプルに、ポップになったと思うんですが、何か構成とかに違いはあったんですか?
sasaji:以前はどうしても“アンサンブル命!”みたいなところがあったんですよ。だけど、こうしてパートの違うメンバーが6人も居て、使える音色の多さや、振り幅のある音域で楽曲を構成できるメリットがあるのだから、今回はそれを生かしながらもっと歌のメロディを前に押し出したいって思いが強くあって、そこに重点を置きたい、と。作り方もまず楽曲ありきで、例えば何曲か元ネタになる主旋律とコード進行だけ作ってメンバーに聴かせて…いわゆる身内プレゼンみたいなことをしたんですよ。アレンジに入る前からある程度楽曲を絞って、アレンジが出来たら録って…っていう繰り返しで進めていって。そんなことをしていたら、昨年末くらいから始めたレコーディング作業が気付いたら半年くらい掛かっちゃってて(苦笑)。
──LONG SHOT PARTYとしては半年の制作期間は長かったと?
sasaji:長いですね。今までは15曲とかを1ヶ月〜2ヶ月みっちりアレンジして、その後まとめてレコーディングに入って、場合によっては泊まり込みの合宿全曲レコーディングで録ってた感じなので、今回は1曲1曲に向ける集中力が違ってきたかな、と。
──今回のアルバムのコンセプトは“自由”と“カラフル”ということですが、LONG SHOT PARTYは以前から自由度の高い音楽をやってると思うし、敢えてまたここで“自由”をテーマに掲げたのは何か理由があったんですかか?
sasaji:例えば「夏にアルバム出します」ってなると、ただそれだけで“夏っぽさ”を出さなきゃいけないっていう縛りが出てきたりしますし、そうなると、例えばハードでメランコリックな曲を作ってみたくなったとしても、つい躊躇ってしまう。今回は、自分達が鳴らしたい音を鳴らして、唄いたい歌を唄うってことに終始したかったんです。季節感とか、アルバムを通して訴えかけるテーマ性から抜けて、根っからのパーティー野郎らしく、よりシンプルに楽曲と向き合いたかったんです。
──夏の終わりに出すけれども、特にそこは意識せずに1年中聴けるようなアルバムにしたかったってことですね?
sasaji:そうですね。
──アルバム・タイトルである“Pointirhythm”(ポインティリズム)なんですが、面白いというか上手いタイトルだと思ったんですが。
sasaji:ありがとうございます(笑)。これは「点描画法」って意味の“Pointillism”に、“Rhythm”を掛けた造語なんですけど、まさにそういう言葉にピッタリなアルバムが出来たと思ったので。例えばアルバムを通してのコンセプトを決めると、滑り出しはアッパーな感じから始まって中盤で落として…みたいな、アルバム1枚で何かしらのストーリーとか、起承転結を作りたくなるんですよね、僕は。でも、今回のような作り方をすると、アルバムを通してのストーリー的な流れは影を潜めるけど、その分1曲に対しての重みが増して、1曲の中にあるストーリーが際立ったりする。そういう意味で1曲1曲が凄く独立してますよね。
──では、意味合い的には全12曲、全部シングル・カットしてもいいくらいの感じなんですね?
sasaji:はい、そうです。1曲1曲が原色の絵の具で、それをキャンバスに載せていってトータルで見た時に1枚の絵としていい作品にしたいなってイメージですね。
──今回のアルバム、もちろん全12曲捨て曲ナシだと思うんですが、敢えて“この1曲!”を挙げるなら? “この曲が今回違うぞ”みたいな曲とかは?
sasaji:12曲目の「東京スモーキー」とかは全く毛色の違うクールな1曲に仕上がったかな、と。まさに、“実は今までやってみたかったけど、躊躇ってた”ってタイプの楽曲(笑)。思いが強かった分だけ、のびのびと楽しくプレイできました。多分、パッと聴いて一番違和感を感じる曲は11曲目の「My love come true from your heart」だと思うんですけど、これは完全に振り切った一面と言うか(笑)、単純にバラードがやりたかったんで。完全な日本語で唄い上げてて、音数も極端に減らして…っていう、ある種“俺らがやっちゃっていいの?”みたいなトライアルな1曲ですね。
──このアルバムを最もよく象徴している曲を挙げるとしたら?
sasaji:やっぱり1曲目の「NUDE CLUB」ですかね。球種で言ったら150kmストレートみたいな感じで。
違いは説得力、そして“サザン的手法”とは?
──歌に重点を置いたということなんですけど、英詞と日本語詞で書いてる違いは何かあったりするのですか?
sasaji:もともと僕は洋楽への憧れから英詞で唄ってて、歌詞も英詞で書くのが当たり前だったんですけど、ある時期を境に日本語詞に対する憧れみたいなものが強くなってきて…やっぱり説得力が違うな、って思って。英語の響きとか、音符に対する言葉乗りの良さとか、まぁ実際書き慣れてる部分とかもあって、絶対的にいい部分はあるんだけど、それを日本語でやることに面白味をより見出すようになったというか。英詞にするか日本語詞にするかは、単純に作った時のイメージと、メロディが持つ雰囲気ですね。
──これは日本語にしたほうが上手く伝わるだろうな、とかありますよね。
sasaji:はい。今までとの違いは、僕は個人的に“サザン的手法”と呼んでるんですけど…日本語で唄ってるのにパッと聴き、英語の響きに近すぎて、何言ってるか判んないけど語呂も良くて。“あ、日本語で唄ってんだ? 英語かと思った”みたいな。それはそれで良しとしてたんですけど、ただ今度はそこからのステップアップとして、日本語で唄った時は“ああ、日本語いいね”って認識してもらいながら聴いてもらう心地良さを求めてます。今までは英語と日本語を混ぜたりしてたんですけど、今回は曲に応じて英詞は英詞、日本語詞は日本語詞と、できる限りピュアにトライしたって感じですね。
──sasajiさんはヴォーカリストとして「自分がこのバンドに居る以上は歌が生きてないと居る意味がない」みたいなことを以前話していましたが、やっぱり歌には相当な拘りがある?
sasaji:ありますね。やっぱりヴォーカルって名乗る以上は、上手くて当然で、そっからより個性的にどう唄うのかが仕事だと思ってるので。他の楽器と違って、歌って誰でも唄えるじゃないですか? 赤ん坊からお年寄りまで。上手い下手はあったりするけど、それは人によって味で片付けられたりもするし。唄うことの楽しさはみんな同じだと思う。“だったら俺の仕事は何なんだ?”って考えた時に、楽器を演奏することって特殊技能だと思うんですよね。“これを極める!”って取り組まないと覚えられないし、ギターだって弾けない、ドラムだって叩けないじゃないですか? だったら、歌に対してもそれくらいのプレッシャーを自分にも感じていたい、っていう。例えば「最初はこれくらいのキーでしか高い音で唄えなかったのに、もうちょっと頑張って今はここまで出せるようになった」とか。だから、昔と比べてひとつ年とるごとに自分のキーが少しずつ上がって来てるっていう(笑)。矢沢永吉さんの『成り上がり』にも同じことが書いてあって、“同じじゃん!”って(笑)。
──近年、リリースがコンスタントに続き、活動が活発化してきたと感じるんですけど、“もっと歌を、音を届けたい”という気持ちが強くなってきました?
sasaji:ありますね、それは。単純に聴いてくれる人が10人よりも100人がいいし、100人よりも1000人がいいし。
──最近は、ロバートのDVDに「Groove is mine」(『Gardens 13h』収録)がテーマ曲として起用されたり、ペナルティのDVDには楽曲を提供されたりしていますよね。
sasaji:そうですね。その辺は自分達の楽曲がどこでどう扱われようが関係ないと思ってますから。自分達の作ったものに自信を持っていればそれでいい。逆に「あれはダメ、これはダメ」とか言ってると可能性を狭める気がして。それが僕らを知るいいきっかけになってくれたら、嬉しいって思うし。だからどこでどう扱われようが、今は何とも思わなくなりましたね。
自分達はやっぱりライヴ・バンド、シンプルに音楽を楽しもうよ
──そしていよいよレコ発ツアーが10月16日の下北沢シェルターから始まりますが、自分達のツアーとしては今年初で、楽しみで仕方ないんじゃないですか?
sasaji:そうですね、今年はライヴの本数自体少なかったですからね。去年は3回ツアーを回って、3日に1度のペースでライヴをやってましたから。ツアーを回って、“自分らが楽しければそれでいいじゃん!”で終えるツアーにはしたくないので、今は“どうやったらお客さんを盛り上げられるか、楽しませられるか、僕らのソウルを届けられるか?”ってことばかり考えてますね。
──ということは、これまで以上に音楽に対してシンプルに関わっているという気持ちが強くなってます? ただ単純に音楽を楽しもうよってことを伝える使命感と言うか。
sasaji:ええ。音楽を志す人間にとって、動機がシンプルならシンプルな分だけいいと思うんですよね。自分達は音楽が好きで、音楽を好きな人が目の前にいて、そこに会話があって音楽を通じてキャッチボールをして交流を持ってったほうが楽しいし、僕らにはそれが合ってると思うんですよね。
──生粋のライヴ・バンドとしては、ライヴこそが本領発揮の舞台ですも んね。
sasaji:そうですね。根っからのパーティー野郎ですから(笑)。僕達のサウンドに触れて、ガッツリ騒いで欲しいですね。アルバムを聴いてライヴに来てもらえれば何かしら気に入ってもらえる部分があると思うんで、とにかく足を運んで欲しいですね。いろんな隠し球も持ってますんで。触れて下さい、僕達に…みたいな感じです(笑)。
Pointirhythm
PREJEX LINE RECORDS / R and C Ltd. PJXL-2003
2,500yen (tax in)
9.06 IN STORES
★amazonで購入する
★iTunes Storeで購入する(PC ONLY)
Live info.
TOUR '06 "Pointirhythm"
10月16日(月)下北沢SHELTER【w/ TOTAL FAT, SUBSTANCE】
10月20日(金)水戸LIGHT HOUSE【w/ OVER ARM THROW, TOTAL FAT, and more】
10月22日(日)千葉LOOK【w/ TOTAL FAT, and more】
11月2日(木)名古屋APOLLO THEATER【w/ LACCO TOWER, and more】
11月3日(金)富山SOUL POWER【w/ LACCO TOWER, and more】
11月9日(木)岡山CRAZY MAMA 2nd Room【詳細未定】
11月11日(土)福岡CB【詳細未定】
11月12日(日)宮崎ZETTON【詳細未定】
11月14日(火)大分T.O.P.S【詳細未定】
11月16日(木)高松DIME【w/ ロットングラフティー, resonance comfort, and more】
11月17日(金)松山SALON KITTY【w/ ロットングラフティー, resonance comfort, and more】
11月18日(土)心斎橋DROP【w/ #9 (スージーキュウ), DJ B CREW, and more】
11月22日(水)高崎club FLEEZ【w/ ロットングラフティー, cream stock, LACCO TOWER, and more】
11月24日(金)郡山Hip Shot【w/ ロットングラフティー, and more】
11月25日(土)仙台MACANA【w/ ロットングラフティー, and more】
to be continued...
【total info.】フューチャーシンジケート:03-3586-1489(平日 12:00〜18:00)
9月5日(火)高崎FLEEZ【w/ DOLCE, and more】
9月8日(金)仙台MACANA【w/ DOLCE, and more】
9月23日(土)熊谷HEVENS ROCK VJ-1【w/ DOLCE, and more】
LONG SHOT PARTY OFFICIAL WEB SITE
http://longshotparty.com/