ギター バックナンバー

櫻知彦 ('06年8月号)

櫻 知彦

思想舞うこの世界に ウタのチカラあれ

1998年ROUNDARTS結成。ギタリストとして、作詞作曲を手がけライブ活動を開始。2002年ROUNDARTSの活動にピリオドを打つ。その後「智彦」名義でギタリストからソロシンガーに転向。ソロ・ワークプロジェクト『COOL&CUTE』設立。2004年自主制作ファーストシングル『EMOTION』リリース。そして今年8月、智彦から櫻 知彦に名前を改め、ニューマキシシングル『青空』リリース!
今回、大阪からはるばるお越しいただき、残念ながら雨降りの空の元ではありましたが『青空』についてお話を伺ってきました。人間・櫻 知彦を知っていただけたらと思います。(interview:やまだともこ、椎名宗之)

ずっと夢を見続けてこんなボロボロやけどまだ立ち向かおうとしたい

──今回のシングル『青空』の話に入る前にここ数年の活動を振り返ってみたいのですが、自主ファースト・シングルを2年前にリリースされて、その間はどんな活動をされていたんですか?

:歌にもっと力を入れたいと思ったので、アコースティックのライブを定期的にやってました。

──アコースティックって自分の歌が剥き出しになると思うんですけど、その成果はどうですか?

:やり初めの頃とは全然違うというのを感じてますよ。ギター1本の感情表現もそうですし、歌でもそうですし、変わってきたのはすごくわかりますね。自分が作る曲をアコースティック・ギター1本で歌いたい。

──もともとはギタリストですよね? そこからご自身で歌おうと思ったきっかけは何だったんですか?

:前はROUNDARTSというバンドをやってたんですが、当時から歌も曲も自分で書いてたんです。ギターでもパフォーマンス的な表現はいつも考えていたんですけど、メッセージ性のある曲を魂込めて歌いたいって思うようになったんです。

──バンド時代と比べて、歌詞を書くときのテーマも変わってきましたか?

:歌を作るごとに変化するんですけど、自分の中で1歳1歳年を重ねるごとにバチッって来るときがあるんですよ。これは今の俺しか作れないって。その一瞬を曲にしているんで、今までの魂を簡単には捨てられないぐらい大事な曲になるんです。

──その時しか出せないものって絶対ありますよね。今回リリースされる『青空』はファーストの『EMOTION』から作品的に変わってきた感じですか?

:変わってますね。『青空』は『EMOTION』のカップリングだったんですけど、今回メインに持ってきました。『EMOTION』は“智彦”名義でリリースしたんですが、今回改名をして櫻 知彦にしたんです。『青空』を櫻 知彦として改めて表現したいって思ったんです。

──今回の『青空』には“人間・櫻 知彦”がよく出ている楽曲が揃いましたね。

:ありがとうございます。でも、まだまだ人間らしさが完成されてないので、もっと歌っていかないと駄目だなって思いますよ。

──そういう意識の変化は、アコースティック・ライブの積み重ねなんですかね。

:歌に対する意識としては、アコースティック・ライブをやっていたのが大きかったですね。バンドって意見がバラついたりするんですけど、一人やったらギターと声だけじゃないですか。やっぱり基本はここだと思っているので。

──今回の『青空』と以前の『青空』の違いは?

:かなりすっきりさせましたね。

──歌詞を拝見すると逆境を跳ね返して前に進んでいくという印象ですが、どんなシチュエーションで書かれた曲なんでしょうか?

:まず「光求めて躓いているけど 心はボロボロになったけど」というところから始まりました。ずっと夢を見続けていて、こんなボロボロやけどまだ立ち向かおうとしたい、それだけですね。夢を語るとかじゃないんですけど、自分の気持ちを一人でも多くの人に聴いてもらいたいんです。誰でも心の中に光って絶対あると思うんですけど、その前向きな気持ちを伝えていきたいと思い、この曲が生まれました。

──今はニートなんて言葉がありますけど、自分がやりたいことを見つけることは本当に難しいですからね。それが櫻さんの場合は歌を歌う。歌詞を拝見すると3曲目の『ウタのチカラ』というのは、櫻 知彦が歌う理由がここに詰め込まれてるという意味合いを感じて、今回のマキシシングルの核になってるのかなって思ったんです。

:夢とかラブソング、モラル、ジャズ、ロック、全部に魂があるじゃないですか。全部ひとまとめにして、『ウタのチカラ』というのを伝えたかったんです。ひとまとめにしてるからこそ、ひとつのコンセプトで作ってるものより弱かったら意味がないんです。

──エネルギーの集結ですからね。

:強いものじゃないと意味がない。まさにピンと来たんです。

──メロディーが先に生まれた感じですか?

:はい。

──歌詞で思いの丈が大爆発だったので、詞が先に生まれたのかと思ってました。バンドを続けてうまくいかなかったり、ライブがイマイチだったり、音楽の活動をする上で躓きって何度もあると思うんですけど、最終的に救ってくれるのはやはり歌ですもんね。

:面白いのが、『ウタのチカラ』はいつも思ってもないところでグッときたりしちゃうんです。こういう曲が作れて良かったなってすごく思いましたよ。


キャリアがある方々と同じステージに立てる喜び

──ひとつの歌で世の中を変えられないけど、『ウタのチカラ』によって聴いている人の内面は変えられる可能性は高いですよね。

:僕も変わっていきましたからね。僕はもともとBOφWYとかが好きで、攻撃的なパンクとかハードロックがすごく嫌いだったんです。でもバッチリ変えられたのが横道坊主。一瞬で心を射抜かれてしまいました。

──他のバンドと何が決定的に違ってたんですか?

:ロマンチックなラブソング。そういうやさしさがあんねやって。初めは聴き方が違ったんです。アツイものややさしさがを持ち合わせたバンドだなと思ってたんですが、『秋風』を聴いて変わりました。

──共演もされてましたよね。実際ご本人とお会いしてどうでした?

:尊敬できる人ですね。

──こういう人だからグッとくるラブソングを書けるんだな、とか。

:僕なんて全然やんって思いました。だから同じステージに立つ時は、同じ目線でやらないと気持ち負けするので意識してますね。それでも彼の歌を間近で聴いたら、好きやわって普通に思っちゃうんですけど(笑)。ライブだとパワーが違いますからね。でも、その一瞬を自分のものにできるわけじゃないですか。ここで感動にひたってるだけでなくラッキーって思わないと。20年もキャリアがある人のウタを聴けるっていうのを自分のプラスにして表現出来るのはこれからも楽しみやな。

──諸先輩方と共演して、作品への向き合い方は何が一番変わりました?

:何が変わった言ったら難しいけど、見つけている途中かもしれないです。今は大先輩からチカラをもらって同じように20年後も立って行けるようにって思いますね。継続してやっていく強さを学んでますね。どんな状況になろうとも歌い続ける強さを。負けっぱなしでもその中で得られるもので成長していたいって思います。彼らを見に来ているお客さんってコアな方が多いんですけど、僕がステージに立つ以上絶対聴いてもらわなあかんし、売らなあかん。

──キャリアのあるオーディエンスは目も耳も肥えてますからね。

:お客さんに鍛えられましたね。でもその中で名前ぐらい覚えておこうかなって人が1人でもいたら勝ちだと思うんです。そうじゃないとやってないです(笑)。

──継続することの大切さを教わったんですね。

:それはありますね。今回1曲だけROUNDARTSの時からやってた曲『SCREAM MISTRUST』が入ってるんです。自分の歌である自信をわかってもらいたかったんでその曲を入れたんです。今後もそういうのは出てくるし、10年ぐらい歌い続ける気持ちでいますね。

──今までの知彦さんのキャリアの総括的なニュアンスもありますね。

:こういう感じでいくんだろうなって思ってくれればいいなと思います。

──『白い地図』というのは新曲?

:はい。今回のマキシを始まりとして、真っ白なところからどう進んでいこうかっていう意味が込められています。

──これまでにバンドも多々やられてますけど、このマキシシングルがホントの意味でのスタート地点かもしれないですね。

:ここからですね。いろんなことを伝えていこう、聴いてもらう人にも気持ちよく聴いてもらいたいし。

──レコ発ツアーとかは?

:東名阪と広島に。ツアーはバンドでやっていきます。

──再始動してここから始まるっていうのは、気持ちの面でもライブでの伝え方も変わってきたんじゃないかと思うんですけど。

:変わりますね。でも、アコースティックもバンドもどちらも良さがありますから、どっちも継続的にやっていこうと思ってます。アコースティックはお客さんとの距離感も近いですしね。

──ごまかしがきかないですから。今後はこれを機にライブを期待してもよいですか?

:はい。期待してください。自主で『ロックのチカラ』っていうジャンルにとらわれないイベントもやったりしています。第2弾を年内中には。

──最後にルーフトップ読者に一言お願いします。

:温かさとか人間らしさがある曲なのでぜひ聴いてほしいし、ライブでは距離感の近いリアリティがあるもので100%伝えることができるので、感動と言ったら偉そうですけど同じモノを感じてもらえたらと思います。




青空

青空

BRCD-8005 / 1,000yen(tax in)
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Live info.

8/28 新宿HOLIDAY
9/02 広島クアトロ 「イベント:FRONTS!」
9/05 名古屋HOLIDAY
9/06 大阪HOLIDAY

この他にもライブ追加予定あります。詳細はオフィシャルサイトで。

ベレッタレコーズ WEB SITE
http://www.beretta-records.jp/

櫻知彦 OFFICIAL WEB SITE
http://www.tomohiko.info(携帯・PC共)

posted by Rooftop at 19:49 | TrackBack(0) | バックナンバー

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