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LAUGHIN' NOSE ('06年8月号)

LAUGHIN' NOSE

日本を代表するパンクバンドとして長きにわたって君臨し続けているラフィンノーズ! 元ウィラードンのKYOYAがニュードラマーとして加入というビッグ・サプライズを経て完成したニューアルバム『AM A LIVE』は、20年以上のキャリアを経てもなおパンク全開で加速し続けるラフィン節満載だ。1987年の不幸な事故より17年ぶりとなる、伝説的な一昨年の野音ライブに引き続き、今年のツアーファイナルは再び野音! 万全な体勢を組み、何かが起こりそうな予感満点の今、ラフィンノーズのボーカル、チャーミーに話を訊いた。 (interview : 北村ヂン)

やりたいっていう気持ちがあるんだったら やるしかねえじゃん!

──約二年ぶりとなるニューアルバムですが、その間、17年ぶりの日比谷野音や、最近になってメンバーチェンジしたりと色々あったと思いますが。

チャーミー:そうだね、色々あったね。まず、17年ぶりだった去年に引き続き今年も野音をやろうって決めて、「オッケー、野音に向かってゴーだぜ! ニューアルバムも作ろうぜ!」って盛り上がってた時に、前のドラムのYOSSYが「辞めます」って(笑)。このタイミングでそれはないだろうとも思ったんだけど、辞めたいヤツは仕方ないからね。だから今回はいつもの倍ぐらいしんどかったっていうのが事実だな。普通のコンディションでライブやレコーディングやるのとはまた違う所でエネルギーを使ったから、いっぱいいっぱいだったよ。

──そこから元ウィラードのKYOYAさんが加入するまでにはどういう経緯があったんですか。

チャーミー:話せば長いんだけどね。YOSSYが辞めるっていうんでドラマー探さなきゃって思ってる時に、ドラムやってる友達がいて「ラフィンやれたら死んでもいい」って言ってたから、じゃあやってみっかっていう感じで試しに入れて三回ライブやってみたんだよ。でも残念ながら無理だったんだよね。その三回のライブで確実にラフィンのオーラが下がったんだ。そういうのって打ち上げの雰囲気でわかるんだよね。打ち上げの席で、他のバンドと同列な感じになっちゃって。

──ああ、若手みたいなバンドと。

チャーミー:それが悔しくって、その日はとっとと帰ったからね。「こんなのラフィンじゃない」って。ラフィンって意外と細かい事もやってるし、空気も読めなきゃならないし、結構難しいんだよ。だから最初はそいつで行こうと思ってたんだけど、すぐには無理なんで、とりあえずレコーディングと野音までのツアーは誰かにサポートを頼んで、それが終わってから育てていこうって思って。

──最初はそういう予定だったんですね。

チャーミー:それで、KASUGAがサイドプロジェクトとして、BAKI(元GASTANK)がボーカルのMOSQUITO SPIRALっていうバンドをやってるんだけど、そこでKYOYAがドラム叩いてるのね。で、KASUGAが「KYOYAさんなんかどうですかね」って。それで、時間も空いてるっていうし、とりあえずサポートで手伝ってもらおうって事になって、まずイベントに出て30分くらいのライブをやったんだよ。そしたらもう全然違ってたんだよね。「久しぶりにラフィンノーズが出来たよ!」って感じで。歴代のドラムって、YOSSYにしてもMARUにしても最初から出来たヤツって一人もいなかったんだけど、KYOYAは最初からいきなり出来たからね。やっぱりラフィンノーズとウィラードっていう、生まれも育ちも同じような所から出てきてて、今でも現役でバンドやってるヤツだから、「アレレ?」っていうくらいすんなり入ってこれて、バッチリだったね!

──KYOYAさんが見つかったことによって、レコーディングも安心して出来たという感じですか。

チャーミー:レコーディングも全く問題なかったし。ワンマンのためにいきなり30曲くらい渡しても、それをちゃんとマスターしてくるし。それから、名古屋のワンマンではいきなり完全なライブが出来たんだよね。

──急遽入ったにもかかわらず。

チャーミー:そう、コンプリートなワンマン。それまではどうなるのかなって思ってたんだけど、今までで一番いいくらいのライブが出来たんだよ。あとは、ライブでのちょっとした呼吸とかタイミングを修復する余地はあるけど、野音までのあと数本のライブを通して、確実に完璧なラフィンになれると思うし。もう今までで一番いいドラムが見つかったんじゃないのっていうぐらいで、PONとも「KYOYA、欲しくなって来ちゃったな」なんて話したりして。

──そこで正式に加入をオファーしたわけですか。

チャーミー:でもまだ、野音が終わったら例の友達と交代して……っていう予定になってたから。でもそいつは「GET THE GLORY」のイントロも叩けなかったんだよね、だから「お前に今必要なのは時間だから、お前の準備が出来たら電話くれ」って言ってたんだ。やりたいっていうガッツだけはあるヤツだったからね。でも、あんまり期待を持たせて長引かせるのもかわいそうだし、どうしようかと思ってたら、名古屋のワンマンの二日くらい前に「見てくれないか」ってメールが来て、じゃあ名古屋終わった後に一緒にスタジオ入って見極めるからって。それで、名古屋から帰ってきた翌々日にスタジオに入ったんだよね。でも「じゃあまずこの曲、次はこの曲」みたいな感じでやったんだけど、やっぱり叩けてなくって。

──名古屋での完璧なライブがあった直後だからこそ、ますますそれを感じるわけですよね。

チャーミー:そうだね。ハッキリ言ってオレたちの中ではもうKYOYAしかいないなって固まってたんだよ。それで、「じゃあ最後に『GET THE GLORY』やろうよ」って言ったんだけど、やっぱりそのイントロが叩けないんだよ。スタジオは3時間とってたんだけど、30分くらいで終わっちゃって、残りの時間でツアーに向けてのKYOYAとのリハーサルをやったんだけど、もう全然違うからね。そいつも残って見てたんだけど、もう無言だよね。そのリハが終わってそいつと握手して「ありがとうな、やっぱり無理だよな、本当がんばったな」って言って。あいつ、悔し涙流してたけどね。

──悔しいでしょうね、それは。

チャーミー:それで、その後に「KYOYA、時間ある?」って言って、「ラフィンやろうよ」って誘ったんだ。そしたら「やっぱりなーっ」って(笑)。でも、「ラフィンノーズは今、すごいことになってて、やりたい気持ちはあるけど、オレが入ることによって足を引っ張るかもしれない」って言うから「それはないよ!」って(笑)。オレとPONとで「サポートだったらともかく、本チャンメンバーはダメかもしれないな」って話してたんだけど、KYOYA自身にやりたいっていう気持ちがあるんだったらやるしかねえじゃん! オレたち、あと何年バンドやれるのかもわかんないんだから。

──チャーミーさんはホームページに「再デビューだ」というようなことを書いてましたけど、それは今になって、本当にバッチリなメンバーが集まったということですよね。

チャーミー:そうだね。バッチリ! だからKASUGAもたまには使えるなって(笑)。


生まれたばかりのベイビーを 抱っこしてるみたいな感じだよ

──そんな感じでKYOYAさんが参加しての今回のアルバムになるわけですが、ラフィンとして再結成前を含めると20年以上も活動しているわけですが、その原点からぶれずに「パンク」っていうのが芯にあるアルバムだなって思いましたね。

チャーミー:もう再結成してから12年経つんだけど、その時に決めたのは何をやってもいいんだけど、絶対にパンクロックでありたいなっていう事。そういう意識は持っていたいから。

──でも逆に、再結成する前は、あまりに「パンク、パンク」って象徴的に祭り上げられる事に反感みたいなものもあったんじゃないですか。

チャーミー:まあ、あの頃はメジャーに在籍して、自分ら以外の色んな思惑みたいなものもいっぱい入ってきていて、そういう事も周りが勝手に言ってただけだからね。もうごっちゃごちゃでよくわかんなくなってたし、気がついたら「自分は今どこにいるんだ?」みたいな事もよくあったから。

──そういう意味では再結成後の方が地に足をつけて活動出来ているという感じですか。

チャーミー:そうなんだよね。だから、芯に一本パンクっていうのは持って、どんなサプライズがあってもいいんだけど常にパンクロックでありたいね。

──その「パンク」っていう所にこだわり、80年代のパンクっぽいフレーズが入ってたりしながら、サウンド自体は最近のものになっていますよね。

チャーミー:そうだね。オレは好き勝手にやってるんだけど、トータルサウンドのプロデュースはPONがやってくれてるから。「チャーミー、それはやり過ぎ」とか止められたり(笑)。今回は特にそんな感じだったな。まあ、PONとかKASUGAとかがどう思ってるか知らないけど、吸収は常にしているからね。若いバンドも聴くし、国内外問わず現在進行で影響を受けてるバンドもいっぱいいるし。そういう「今」の音楽に常に自分が犯されているっていう感じかな(笑)。

──ライブにしても上下関係なく、若手ともどんどんやってますもんね。

チャーミー:もちろんそうだよね。面白いバンドとならどんどん一緒にやりたいからね。

──タイトルの「AM A LIVE」っていうのはどういう意味なんですか。

チャーミー:最初は普通に「I'M ALIVE」っていうタイトルで考えてたんだけど、PONが「コレ、『AM A LIVE』にしようよ、そっちの方がかわいいじゃない」って。意味はないんだけどね。ラフィンってそういう言葉遊びみたいなのはいっぱいあるんだ。「A SAIN REVOLUTION」の「A SAIN」にしたって、どういう意味かって言ったら「INSANEの逆だと思って」って感じだから(笑)。オレら英語の先生じゃないんだから別にいいじゃん。そういうのってキュートだし、PONのそういうセンスは大好きだからね、全然オッケーだよ。今回のアルバムは、オレが作ってきた曲にPONが歌詞を書いたり、PONの書いてきた曲にオレがメロディーと詞をつけた曲もあったりするんだけど、これまでそういうのってなかったんだよね。

──あ、今まではなかったんですか。

チャーミー:そうだね。今回はそういう混ざり合ったり、譲り合ったりとかいう事を色々やったな。「SEX REALITY」っていう曲はPONが書いてきたんだけど、歌詞はオレが書いて。セックスと戦争っていうのを、オレ的に究極に描いてみた歌詞なんだけど。……まあ家庭内不和というか(笑)。家じゃ毎朝戦争だよ、みたいな(笑)。自分の中でこの「SEX REALITY」とタイトル曲の「AM A LIVE」「DINGO」は今回のアルバムのベスト3と言っていいくらい思い入れがあるね。「DINGO」っていう曲は、パンクロックのラブソングだね。まあ、ちょっとした失恋があったんですよ。一年間付き合ってたんだけど、彼女から音楽的にも気持ち的にも色んな感性をもらったんだよね。別れて、それから一気に作曲モードに入って、一番最初に出来た曲なんだけど、別れてなかったら今回のアルバムは出来てなかったかもしれないね。まあ、この三曲に他の曲も上手いこと絡んできてて、オレ的にはメチャメチャ気に入ってるアルバムだよね。オレなんか何百回聴いたことか。産まれたばかりのベイビーを抱っこしてるみたいな感じだよ。だから一刻も早く、自分の中でのこの盛り上がりを客とも共有したいね。


早く見せたいね、ヤバイよ!

──8月13日には新しいラフィンノーズの集大成としての日比谷野音があるわけですけど、今はそこに全ての照準を合わせてっていう感じですよね。

チャーミー:そうだね。メンバー全員の意識がそこに集中してるよ。ロフトもそうだけど、野音も同じくらいラフィンにとって特別なステージだからね。

──ラフィンの歴史を語る上で、やっぱり外せない場所ではありますからね。そこに向かって万全の体制が組めたという感じですか。

チャーミー:前回、17年ぶりにやった野音は、ある意味儀式みたいなものだったから。完全にノーゲストで関係者もみんなお金払って来てくれたし、一切チャラチャラした気持ちなく集まってきた、ホントに神聖なライブだったんだけど、今度の野音はまた違う感じになると思うよ。

──もっと純粋に楽しんでという事ですか。

チャーミー:まあ、わからないけどね。何が起こるか分からないよ。自分の中の野音のビジョンって、やっぱり人が死んじゃったあの時の野音っていうのがあるから。もちろん、もう人を死なせたりしたくないけど、そこにいつまでも囚われず、あの時くらい熱狂させたいし、もうそれに向かって突っ走るしかないよね。そう考えると、今度の野音でドラムを叩くのはやっぱりKYOYAだったんだなって、今となってはハッキリ思うね。数週間前まではちょっと迷ってたんだけど、今となっては何を迷ってたんだろうって。答えはハッキリしてたのに。

──今のラフィンを早く見せたい、みたいな気持ちが伝わってきますね。

チャーミー:早く見せたいね、ヤバイよ! KYOYAがラフィンに入ることによって、こんなにスゴイ方向に行くなんて自分でも思ってなかったから、これからどうなっちゃうのか楽しみだね。KYOYAは「ラフィンっていうのはこうあらなければいけない、こうあるべきだ」っていうのをすごく理解していると思うし。将棋でいったら、歩を育てて「と金」に変えて……じゃなくって、いきなり飛車が手に入っちゃったみたいな感覚なんで。だから、今まで色んなラフィンがあったけど、今のラフィンはそのどれよりもパワーを持ってると思うから、楽しみにして欲しいね。あとは、野音が晴れるといいね。


AM A LIVE

AM A LIVE

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Live info.

<"AM A LIVE" 発売記念ツアーワンマン・ファイナル>
8.13(Sun) 日比谷野外大音楽堂
OPEN 17:45 / START 18:30
料金 : 前売 3500円 / 当日 4000円
INFO. ロックトレード:03-5712-5227

LAUGHIN' NOSE OFFICIAL WEB SITE
http://www.laughin.net/

posted by Rooftop at 19:56 | TrackBack(1) | バックナンバー

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ラフィン
Excerpt: チャーミー、相変わらずカッコいいなぁ。。 私にとってチャーはもうcoreというか、血に肉にまじりあってるくらい「中」。 思えば、10代に虚無感や居場所がなくてしんどかった時、 ozakiやブルハ..
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Tracked: 2006-08-12 12:25