ギター 今月のRooftop

No Regret Life('10年10月号)

No Regret Life

自主レーベル“spiral-motion”を立ち上げ、新たな決意を胸に再び歩き出す


 2008年10月にリリースされた『Wheels Of Fortune』以降リリースはなかったものの、精力的にライブ活動を行なってきたNo Regret Lifeから、自身のレーベル“spiral-motion”を立ち上げた事が発表された。今までお世話になったレーベル、メーカーに感謝し、支えてもらっていた経験を糧に、より自分の音楽・発想に「自信」と「責任」を持つことができるんじゃないかという思いが、このような形になった。
 そして、9月23日に下北沢SHELTERでの自主イベントより販売された新作『Magical Destiny e.p.』。直接目の前で音源を届けていきたいという熱い思いにより、ライブ会場と通販の取り扱いとなる。そして、この作品を引っ提げて彼らは3ヶ月に渡るツアーに出る。彼らのライブを楽しみにしてくれている人たちとコミュニケーションを取りながら、作品を自分たちの手から相手の手へと渡しに。
 今回はボーカル&ギターでもあり、レーベルオーナーにもなった小田和奏に話を聞いた。どれだけの決意をもって新たにスタートすることになったのか、今後の彼らはどこに向かっていくのだろうか。彼らが見据えた未来とは…。(interview:やまだともこ)


一番わかりやすい形にしたかった

──前作『Wheels Of Fortune』をリリースしてからの2年間は、自主レーベルの設立があったり、特に濃い時間を過ごされていたのではないかと想像していますが、どんな2年でしたか?

小田:『Wheels Of Fortune』のリリースツアーが終わってから、自分たちも周りのスタッフもNo Regret Lifeを今後どう発信していこうかと考えていて、いろんな人の意見を聞いて、それが多すぎてよくわからなくなりそうな時期もあったんですよ。2年の間に表立った感じはライブしかなかったけど、頻繁にスタジオにも入っていたし、曲を書いては常にデモを録ったりしていました。

──レーベルを立ち上げようと思ったのは、どういう理由があったんですか?

小田:簡単に言うと、ジャッジを自分等でしたいなって思ったんです。一番シンプルな形に。今までもジャッジをする一人だったけれど、大きなチームでやっていたから、誰かが「ん?」って思うと進まなかったりする。自分はこうだと思うんだけどというバランスが悪くなった時期もあるし、だから今は自分がやりたいことはこれだと一番わかりやすい形にしたかったんです。

──バンドを始めた当初みたいな感じに?

小田:モチベーションを含めて、ゼロから始めてみようって。今年1月に30歳になったんだけど、バンドを結成した鹿児島でちょうどイベントがあって、結成当初から俺らを一番近くで見ていた人と飲みながら、10年経つのって早いなという話から、バンドをやり始めた時にレーベルをやってみたいとか、CDを発信していきたいと言っていたよねって話になって。鹿児島で活動していた3〜4年って自分でブッキングや制作をやっていて、それが東京に来てスタッフがついて、メーカーが協力してくれて、自分たちでやることが曲を書いてレコーディングして、ライブをするだけになっていたんだけど、やっぱり全部自分でやりたいって。それでいつかなぁ、5月くらいにスタジオに入った時に、メンバーにもう真面目に「俺ら3人でやらねえ?」って言ったら「いつかそう言うと思った」みたいなことを言っていて、ホントかよ(笑)! って思いながら。

──異論はなく?

小田:うん、二つ返事で。そこはね、正直最終的に意見がまとまらなかったらおしまいでも良いと思ってた。それくらいの自分の覚悟っていうか。自分はせっかちだから、「こうだ」って思ったらそれしか考えられないし、気持ちが空中分解したままバンドを続けても感動はないし、3人でオラーッ!! てなったほうがパワーあるし。それで事務所に行って、もう一回自分たちの音楽って何か、No Regret Lifeって何か、ちゃんと答えを出したいから自分等でやらせてくださいって申し出て。そしたら受け入れてくれたし、逆に事務所からも、何か手伝える事があるのかって言ってくれて、本当に感謝しかないんだけど恵まれた環境だったんだなって改めて思った。その人たちのためにも次に行かないとなって。それが6月の頭ぐらい。そこから、あれやってこれやって、リリースしてツアーやって、って考え始めたら、こういう曲が欲しいなとか、こういうライブにしたいというのにもリンクして、ステージに立ってもモチベーションが全然違う。高い低いじゃなくて、広い。ちゃんと奥まで見渡せる感じ。その時から精神的にすごく健康というか、メンバーからは鹿児島時代のギラギラした感じが戻ってきたなって言われました(笑)。

──今のほうがやりやすい?

小田:やりやすいものもあるけど、大変なものもありますね。今自分に足りないのは客観性で、客観的に見ようとしてもどうしても主観が入る。だから、今回の曲は以前からお世話になってたスタッフとかにも「どう思います?」って聞いたりはしてました。判断つかないものはまず相談しようって。で、いろんな人に会うようになってから、いきなりパズルのピースがはまる瞬間があっていろんなアイディアが浮かぶようになった。前は、この曲を歌いたいってところに行きつくまでに、自分が曲に負けてるっていうアンバランスな状態が続いたから出来るのに時間もかかったんだけど、今はジャッジの揺らぎはない。自信持って「これ良いでしょ?」って言える。

──前作『Wheels Of Fortune』では悲鳴をあげながらも車輪を転がしてきて、今回は作品に夜明けのイメージがあって繋がっている感じはしますね。

小田:そこは意識もしていなかったんだけど結果繋がったのかな。2年経って、自分の心情で言うと夜が明けた感じにはしたいと思っていたんです。それは、生まれ変わるとは違う。もう一度スタート地点からちゃんと一歩踏み出す。でもこれまでの背景もあるから、そこの経験値は全部つぎ込んで。

──バンドを自分たちで動かしていくことによって、お金の流れとか今まで見なくても良かったものも見えて来ると思いますけど。

小田:そこは一番難しいですね(苦笑)。でもやらなければならないから。儲かればやれることも増えるのかもしれないけれど、それよりも新しい作品を作り続けたい。生活はミュージシャンとは違うところで成立していても良いと思う。

──CDがCD-Rになったとしても、音源を出し続けたい?

小田:うーん、そこは妥協したくなくて。今回いかにパッケージに存在感があるかという作品になったと思うから、曲を聴くだけじゃなくて、手に取ってもらいたい。ジャケット写真を撮ってくれた人と、昔からの友人でもあるデザイナーさんに、「一緒に形作りませんか」という話をしたらすごい喜んでくれて。あとは思いついた人に会いに行って気持ちを話して、バンドの現状や僕のせっかちなスピード感を理解してくれる人が周りに集まってくれたし、すごく良いものができたと思っています。だからCDの封を開けるところから始めて欲しいんですよ。何回も歌詞カードを見るうちに手垢が付いて、ケースにはちょっとヒビも入ったりするんだけど、それはその人が手に取った証拠だし、そこまで含めて作品になるのかもしれない。



不思議な巡り合わせが今に繋がっている

──ジャケットは、カメラマンさんに明け方の時間帯の写真を何日も撮りに行ってもらったんですよね。

小田:朝4時前ぐらいの夜明けの時間を狙って、カメラマンが1週間以上毎朝スタンバイして撮ってくれたんです。ジャケットを開いてもらうと画が栄える。より今回の作品とリンクしている感じがわかると思う。

──作り手の思いが強くなっている感じがしますね。

小田:気持ちも含めて全部がリンクしたんですよね。今まで作ってきた音源の中で一番アートだと思います。

──この作品は、どれぐらいの期間で作り上げたんですか?

小田:賞味1ヶ月かかってないぐらい。レコーディングは1週間。それだけぶれなかったってことかな。でも、独立してやるってなって7月にプリプロに入って、プリプロ終わって(松村)元太が倒れちゃって7月いっぱい療養させて、その間に自分ができることを進めて、8月にあったつばきのツアーから帰ってきてレコーディングしたから、ギリギリだったけれど。

──今回歌にすごく色気が増した気がするんです。根拠はないんだけど、小田さんが30歳を越えたら歌声に渋みが増して、もっと良くなるんじゃないかとずっと思っていて…。

小田:そこは俺じゃわかんないところだな(苦笑)。でも、もっと良くしていきたいですよね。この瞬間しかないんだと思いながら録っていたから、声がちょっと嗄れてても雰囲気が良ければOKにしようって。歌う時間は実際すごい短かった。

──どこに一番時間をかけたんですか?

小田:プレイっていうよりも、楽器の音決めかな。ギターが特に。ギターの音決めは、このフレーズをこの位置に置くためにどうしようかって、それで時間がかかった。

──最後の『Don't Stop The Music』が、アコギの音色で終わるのは意外でしたよ。

小田:あれに込めた思いは、今パソコンで曲を作る人もいるけど、俺はアナログな作り方をしていて部屋で鼻歌を歌いながらアコギとかを弾いて曲を書くんです。音楽をプレイしている瞬間は自分の存在意義というか、居場所があるのかなと思っていて、ずっとこのままでいたい、人の前で演奏していたいって。でもそのスタートはアコギとかで家で弾いてる姿だから、そこで終わらせるという感じ。あとは、今までは弾き語りに誘われても頑なに断ってきたけど、来年はバンドでアンプラグドをやりたくて、都内でやっておもしろかったらツアーもやろうと考えてます。

──来年結成10年というところで、新たな気持ちでスタート出来ていると感じますか?

小田:来年になってみないとわかんないけど、たぶんいろいろと閃くと思う。

──今までに比べると、音楽に対する向き合い方って変わってきましたか?

小田:何も考えてない(笑)。いつも通りというか。でもね、「全国回れて幸せです」というのは、もうそれだけだったら意味がないと思うんすよ。その場にいる人に曲を届けることもそうだけど、自分たちが発信する意味って何だろうというのをずっと考えてる。それを考えないとツアーの意味はないかな。鹿児島から東京に活動の拠点を移したのは、いろんな街で演奏して曲を伝えていくというためで、それは今でも気持ちは変わってない。いろんなところに行きたいし、ずっと行けてない街にも行きたいけど、全てが今すぐにできるかと言ったらまだまだできないことも多いんだけど。

──自分たち主導でやることにより可能になることもありますよね。

小田:メジャーのメーカーとか、事務所とか、組織力では絶対に勝てないけど、今自分ができるのは機動力と、後はツーカーで話が出来る人と繋がっているというスピード感。それは負けたくない。自分たちで何もかもやるという意味では1年生だから取材に至るまでの経緯も知れるし、そこにはお金が絡むこともあるし、今までのスタッフに電話して話も聞いているんだけど、そういうこともいちいち楽しいです。

──新鮮ってこと?

小田:新鮮でもあるし、宣伝をやるという部分では素人だからこそ思いつく事もあるのかなって。こうやって物事が進むからこれだけ時間がかかるんだなっていうのも改めて自覚するし、何が必要かもわかるし、こうやったら全然知らない人に届くんだろうなっていうアイディアも浮かぶだろうし。

──だから今回敢えてライブハウスで販売することにしたんですか?

小田:一番は待ってくれてる人、聴いてくれる人に手渡ししたかった。原点に戻りたいからライブハウスを回って、待ってくれてる人、俺らのことを知らない人を含めて顔を見せる必要があるなと。だから、会場には行けないけど通販で買うよっていう人には、余裕があったらひとつずつ手紙書こうかなって。手垢感というか、モロにアナログな感じなんだけど。お店に回すと2ヶ月ぐらいは発売時期がずれちゃうし、それをやると今年が終わっちゃうなって。年内にリリースして絶対にツアーやるっていう気持ちがあったんです。そしてその答えは来年絶対に出そうって、そこに繋げたいんです。

──今は準備しているところというか、ここから走り出す感じですね。

小田:『Magical Destiny e.p.』が“不思議な巡り合わせ”という意味があって、1年前には思ってなかった自らのレーベルを設立していきなり代表になっちゃって、よくわからないじゃん(笑)。でも、そうやって今があるから、タイトルが『Magical Destiny e.p.』。ツアーは“Magical Destination TOUR”。これは“不思議な目的地”。自分たちがどんなところに辿り着くのかな?っていう意味を込めてます。



手に取ってくれる人と握手がしたい

──『Wheels Of Fortune』のインタビューの時に、「この先のビジョンが見えてる」っておっしゃってましたけど、それは今回活かされているんですか?

小田:前のアルバムはシンプルに削ぎ落としてリアル感ということを考えていたんだけど、今回は温度感を吹き込めたと思っています。前作はちょっと内向的だったかなというのを、今だからこそ感じてて。そこと違うのは酸いも甘いもある上で、もっと笑顔になれる作品なんじゃないかなって。曲もポップだし、聴いて気に入ってくれると思うんですよ。原点回帰って毎回思っていたりするんだけど、そんな初期衝動を詰め込めました。

──トータルで20分ちょっとだから、もうちょっと入ってたら良いのになって思うぐらいですよ。

小田:ラストの曲もアウトロがもう少し長かったら気持ち良くなれるけど、途中で切ってるから。ただ、ネガティブな意味じゃないけど、永遠はないぞっていうのは今回の自分のテーマかもしれない。一番リアルだったのは、元太がぶっ倒れた時に一番悔しかったのはあいつなんだけど、ああ、こうやって簡単にライブはできなくなっちゃうんだなって思ったし、それだけバンドとか人間なんて危ういバランスで成立しているんだなって。健康とか。存在とか。見ている側もやってる側も半永久的に続くものだと思ってやってたり、見てたりすると思うんすよ。次のライブを見ればいいやって。でも、次なかったらどうするの?っていう。 だから、今日のライブは生きてきた中で最高のライブをするって毎回思っている。「今は今でしかない」から。それを、『Tonight Is The Night』(M-1)っていう言葉にも込めてます。

──ところで、ファンの人は今後No Regret Lifeがどういう形になっていくか楽しみにしていると思いますけど、どういう未来を想像していますか?

小田:来年は10周年イヤーにしようと思っていて、忙しくしようと思ってます。

──元太さんは大丈夫ですかね。

小田:それはもう倒れるヒマを与えなければいいんです(笑)。

──馬車馬のように働かせる、と(笑)。

小田:3人でドロドロになろうって。いろいろ企画的なライブを増やして、おもしろいことをやろうと思っています。あとは、夏前には絶対にアルバムを出そうと思っているけど、ぶっちゃけ今回の音源が売れなかったら作れない(笑)。始まったばかりのレーベルだし、そこは声を大にして言いたいです(笑)。だから、パッケージは手に取って欲しいです。

──生々しい話になってしまいますけど、自分たちでやっているバンドは特にその売上が次の作品の制作費になりますからね。

小田:そう。だから、ちゃんと正しい形で聴き手の手元に届かないと俺たちは簡単にいなくなる。

──そこが永遠じゃないっていう。

小田:最後はリスナーのジャッジに任せるけど。来年夏には流通でフルアルバムを出して、ツアーも2回ぐらいはちゃんとやりたい。何かしら10周年の節目をやろうと思っています。

──年末の12月23日には、新代田FEVERでバンドを集めてイベントもありますからね。

小田:テルスターとかSOUTH BLOWとか、全部で10バンド弱ぐらい出ます。真っ昼間から酒を飲みながら、忘年会だと思って来てもらえれば。振る舞い酒でも出そうかな。テキーラが良いかな…。

──…テキーラは良くないと思う(笑)。みんな終演時間まで保たなくなるから(笑)。他にもなじみ深いバンドが出るんですか?

小田:今回は、俺の携帯で直でやりとりができるバンドしか誘ってないんすよ(笑)。年末だしお祭りにしたいんです。あとは、来年の1月15日(土)に10周年計画の最初として下北沢SHELTERでワンマンやります。

──ワンマンは、2009年1月のO-WEST以来ですね。

小田:2年振りですね。ツアーは広島でファイナルワンマンなんだけど、そことはメニューを全然変えるつもりでいます。ツアーファイナルを東京以外でやるのは初めてだし、生まれ故郷でファイナルを迎えるなんて今しかできないから。

──全国回ってCDを一人一人に届けられるなんて、すごく贅沢ですね。

小田:うん。『Magical Destiny e.p.』は、こうやってこれを読んでいる人の手元にあって完成する音源ですよ。

──そうなると、こんなにかわいい子はいないぐらいの作品が生まれたということですね。

小田:手垢と愛情と、いろんな人の気持ち、写真もデザインもエンジニアさんも、関わってくれた人の気持ちがあって、それを理解してくれとは思わないけど手に取って欲しい。握手したいんですよね、みんなと。触れ合ってみたいっつーか。欲を言うと抱き合いたいぐらい(笑)。でもね、そのための“IN STORES NOW”じゃなくて“in your hand”なんだから。

Photo by sachie hamaya



Magical Destiny e.p.

include 5 songs
2010.9.23 in your hand.


Live info.

10月10日(日)福島Out Line
10月11日(月)盛岡CLUB CHANGE WAVE
10月16日(土)浜松FORCE
10月17日(日)岡山CRAZY MAMA 2nd Room
10月22日(金)横浜BAYSIS
10月23日(土)高崎club FLEEZ
10月28日(木)長崎DRUM Be-7
10月29日(金)福岡DRUM SON
10月31日(日)鹿児島SR Hall
11月03日(水)HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
11月05日(金)名古屋APOLLO THEATER
11月12日(金)千葉LIVE SPOT LOOK
11月13日(土)渋谷O-Crest
11月20日(土)music zoo KOBE 太陽と虎
11月21日(日)京都MOJO
11月23日(火)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
11月26日(金)水戸LIGHT HOUSE
11月27日(土)仙台MACANA
12月02日(木)高松DIME
12月03日(金)松山SALON KITTY
12月05日(日)HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
12月11日(土)大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
12月18日(土)広島NAMIKI JUNCTION

『No Regret Life presents“wonderful tonight!! Vol.7”』
12月23日(木)新代田FEVER

『No Regret Life presents“wonderful tonight!! Vol.8 〜10th Anniversary One-man”』
2011 年1月15日(土)下北沢SHELTER

No Regret Life official website
http://www.noregretlife.com/


posted by Rooftop at 21:41 | 今月のRooftop
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