ギター 今月のRooftop

SDR('10年10月号)

SDR

セックス! ドリンク! ロックンロール!
弛緩しきった没個性の浮世に一矢を報いる感嘆符


 仲野 茂(vo)、内藤幸也(g)、EBI(b)、名越藤丸(ds)という辣腕揃いの布陣から成るSDR〈セドロ〉のセカンド・アルバム『!〈ビックラゲーション〉』が完成した。現代社会を完膚無きまでに斬り刻んだ舌鋒鋭い歌と緩急の付いた鉄壁のアンサンブルが核を成す彼らの純真なパンク・ミュージックは、アナーキー、Mute Beat、ユニコーン、ARB、WRENCHといったこれまで各人が歩んできた輝かしいバンドの屋号さえ時に霞ませる。肉体が欲するプリミティヴな歌声と音塊は前作『NO FREEDOM』以上にコクとキレが増し、平均年齢47.7歳のバンドとは思えぬほどに瑞々しい。彼らが放つシンプルでリアルでタフなレベル・ミュージックは、表向きは泰平な時代に見えてその実は生ぬるさばかりが横行した現代に狂い咲くバクテリアだ。あなたの体に寄生する日もそう遠くはないだろう。(interview:椎名宗之)


ファースト以上に好き勝手に作れた

──2作目にしてこれだけ充実した作品が完成したことが一番の“ビックラゲーション”ですよね(笑)。

仲野:そう? まぁ、1枚目を出したのがエライ遅かったし、巻いてかないとね(笑)。

名越:最初の頃は単純に曲が少なかったから、ファーストが出来上がるまで時間が掛かったんだよ。

仲野:つうか、ライヴを入れちゃったんだよな。それで“やれてる風”になって、曲を作る意識が飛んじゃったんだよ。

──前作『NO FREEDOM』はZAZEN BOYSの向井秀徳さんをミックスに迎えた力作でしたけど、バンドなりに課題が残った部分もあったんですか。

名越:そういうのは特になかったけど、今回はファースト以上に好き勝手に作れた気がする。今思えば、ファーストはもっと端正な作りだったよね。

仲野:自分で言うのも何だけど、今回は曲のヴァリエーションが意外にあるなと思ってさ。

──凄くありますよね。アンサンブルもバンドの一体感と自由度がグッと増したように思えるし、曲作りのプロセスが少し変わったのかなと思ったんですが。

内藤:どうかな。基本的にセッションで固めていくのは変わってないよ。

仲野:幸也やEBIがネタを持ってきて、音合わせをしながら固めていく感じだからね。今回も前回同様、河口湖にある“湖のホテル”のスタジオを借りて曲作りをしたんだけど、今回はそれを3回やったんだよ。それが曲の自由度に繋がったのかもしれないね。阿吽の呼吸とまでは言わないけど、1枚目よりは阿吽な感じが出てきたかな。

名越:要するに、前回は“ここまでやっちゃっていいのかな?”って思うところまでやり切って、それで幅が広がったんだよね。前は探り探りだったけど、このバンドならここまでやってええわな、っていう。

仲野:それはあるね。1枚目の時のEBIはメロディ・メーカーとしての役割を担ってくれたんだけど、作ってきてくれたメロを俺がちゃんと唄えないんだよ。一応EBIに教わるんだけど、あまりに俺の覚えが悪いから、EBIもそのうち投げちゃうわけ(笑)。今回のEBIはベースのフレーズを持ってきてくれたんだけどさ。

──本作におけるEBIさんのベースは、メロディアスさを醸し出しながらも骨太な感じが格段に増しましたよね。

EBI:ありがとうございます。強く意識したわけじゃないんですけど、徐々にそんな感じになってきたんじゃないですかね。1枚目は実験的な部分が多かったし、このバンドがどうなっていくか探りもありましたから。この2枚目で各自の個性が出るようになって、バンドとしてまとまったような気がしますね。

──考えてみれば、茂さん以外のお三方はKASINというバンドを組んでいたわけで、音作りで煮詰まることはなさそうですね。

名越:まぁ、この3人でサウンドを作るのはラクだよね。後はこの人(仲野)が歌詞をちゃんと覚えてくれればバッチリなんだけど(笑)。

──茂さんの歌詞は今回も冴え渡っていますね。政治家や富裕層、腑抜けたマスメディアやアナリストといった気に喰わない連中に容赦なく唾棄して、バッサバッサと斬り倒していくのがとにかく痛快で。

仲野:1枚目は歌詞を書くのに苦しんだから、2枚目はもっと苦しむだろうなと思ったんだけど、俺に書けるのは所詮こんなもんだろ!? って開き直っちゃったんだよ。それが意外に良かったみたい。ムダにこだわったり、執着するところがなかったしね。幸也やEBIが持ってきたフレーズはヴァリエーションがあったから、とにかく言葉が載りゃイイやと思ってさ。それと、前に書き溜めておいた歌詞で当時はこっぱずかしいと思ってたものでも、今見るとフィットするものがポツポツ出てきたりした。それは年齢を重ねたせいもあるんだろうね。

──矢継ぎ早に繰り出される『バクテリア』、『バラバラ』、『G』という頭の3曲は、性急なサウンドに呼ばれたかのような言葉がのべつ幕無しに連射される感じですよね。『タイ!タイ!タイ!』もそうですけど。

仲野:『タイ!タイ!タイ!』は“〜たい”の言葉を揃えるのが大変だったよ、ホントに。それに、歌詞よりも何よりも、まず歌に入れねぇんだもん(笑)。

名越:ライヴで唄えるのか!? って不安になるくらい酷かったからね(笑)。



言葉を呼んでくれた幸也とEBIのフレーズ

──アルバム前半のハイライトはやはり、8分を超える大作『感動』ですよね。前作のタイトルトラックに匹敵する重厚なナンバーで、歌詞もとりわけ秀逸だと思うんですよ。

仲野:『感動』の歌詞がまさに昔はしっくり来なかった部類のものでさ。昔から書き溜めていて、叩き台みたいなのはあったんだよ。俺は意外と古いノートを取っとくタイプで(笑)、“湖のホテル”へ行った時も昔のノートを10冊くらい持っていったわけ。

名越:ウソつけ、10冊もないよ(笑)。

仲野:6冊くらいかな?(笑) とにかくさ、今回はアナーキー時代の殴り書きノートから出来た歌詞もあるんだよね。そのノートからこぼれた言葉を掻き集め、掻き集め、何とか完成に漕ぎ着けたっていう。

名越:それじゃまるで残飯みたいじゃん(笑)。

──いやいや、残飯にしては随分と旨味エキスが凝縮されていますよ(笑)。

仲野:アレじゃない? イイ感じに発酵したって言うかさ。

EBI:チーズみたいに熟成したわけだ(笑)。

──『感動』の歌詞は、安っぽい感動を押し付ける昨今のJ-POPや映画に対する茂さんなりのアンチテーゼなのかなと思ったんですけど。

仲野:“感動”なんて、俺の中じゃ完全にNGワードだったんだけどね。“頑張れ”とか“LOVE”とかさ。まぁ、“LOVE”は『ミッドナイトランブラー』で使っちゃったんだけど、縛りのワードから解き放たれた感はあるかな。“もういっか、50だし”みたいな。

──“あいつは頭で考える オレたちゃ体が覚えてる”という歌詞の通りなんじゃないですか。頭で考えずに、体が欲する言葉をそのまま吐き出していると言うか。そんな肉感的な歌詞の表現が2作目にして早くも確立されたように思えますね。

名越:次のアルバムがヤバイね(笑)。

仲野:次はもう、コンセプト・アルバムだな。昔、THE ROCK BANDが『四月の海賊たち』っていう小説のサントラを作ったみたいにさ(笑)。まぁそれはイイとして、『感動』は幸也のソロ・フレーズを聴いて“これだな!”と思ったんだよ。あのフレーズが言葉を呼んでくれたんだよね。あと、EBIが持ってきてくれた曲…何だっけ、『最悪』か?

名越:『最悪』って曲はないからね(笑)。

仲野:ああ、アレだ、『2010RPM』。EBIがベースでフレーズを作ってきてくれたんだけど、頭の所は歌が作れなかったもんな。

──だから『2010RPM』の冒頭は語りっぽい感じになっているわけですね。

仲野:うん。あのフレーズだと、歌を載っけるよりも喋っちゃったほうがリアリティあると思ってさ。

──『感動』の終盤で聴かれる幸也さんの火を吹くようなギター・フレーズはシビレますね。

内藤:長いんじゃないかって話もあったんだけど、俺は最初からあの長さで行こうと思ってたからね。

仲野:俺たち3人はブースの外で“いつやめんのかな?”って思ってたけど(笑)。

──でも、冗長な印象はまるでないですよね。

仲野:確かにね。上九の家で届いた音源をフル・ヴォリュームにして、外でメシを食いながら聴いたんだけど、あのソロはアリだと思ったよ。曲のヴァリエーションが多いからなのか、アルバムを通して聴くとかなりボリューミーだよな。5曲くらいでお腹が一杯になる時があるしさ。ちょっとクドイか?

内藤:いや。俺はサラッと聴けちゃうよ。“もう終わりか?”って思うし。

仲野:『感動』辺りで一山越えると、もう『とっておきの朝』が来てもイイかな? とか思う時もあるんだけど、それだとやっぱり物足りないんだよな。何度も飽きずに聴けるし、意外にイイアルバムだよね。自分も言うのも何だけど(笑)。

──名越さん主導で完成した曲はないんですか?

名越:ないよ。曲作りはみんなでヤイヤイ言いながら進めたからね。俺はもう言われるままに叩くだけ。

仲野:ウソ言え、この謙遜オヤジめ。一番言うこと聞かねぇクセに(笑)。



“ex.○○”の肩書きなんて要らない

──音の現場監督は幸也さんなんですか?

名越:大概は幸也が主体的にやってるね。曲の場面、場面で変わることもあるけど。

仲野:プロデュースのクレジットを幸也にしてもイイくらいだしな。

内藤:と言うか、誰も意見を言わないんだもん。「ハイハイ、これでイイよ」みたいな感じで何でもイイんだから、この人たちは(笑)。

仲野:そりゃそうだよね。意見を言わなきゃいけないメンバーだったら俺も言うけど、言わなくてイイんだからさ。

EBI:そう、言わなくてイイんですよ。ひとつのアイディアをポンと投げると、それがグワーン!と広がっていくので。そこが凄い。

──幸也さんの中でSDRサウンドの取りまとめるポイントはどんなところなんですか。

内藤:とにかく好き勝手にやってもらうこと。そこから如何にイイところをチョイスするかだね。

──SDRの場合、イイところだらけでムダな部分がなさそうですけど。

内藤:ムダなものもダメなものもないね。

名越:必要なムダはあるんだけど、ホントのムダはないよね。

内藤:でも、それなりに試行錯誤はしてるんだよ。合宿で曲作りをする時に曲がコロコロ変わるしね。「ここは変えたほうがイイな」とか「このフレーズで曲を完成させよう」とかさ。そういうので時間が掛かる時はある。俺が突然「変拍子でやろうよ」って言うこともあるし、リズム隊は大変だと思うよ。

名越:でも、ラクにやれてるよ。何でもできるしさ。そのフレーズが格好いいと思えば、できなくてもやるじゃん?

仲野:俺以外の3人は何でもできるよ(笑)。どんな曲でもやれるのがSDRのイイところだね。バンドを組んで、それぞれのキャラが立ってくるとバンドのカラーに合わないことはやらなくなったりするけど、SDRにはそういう縛りが一切ないしさ。まとまりがないっちゃないんだけどね(笑)。

名越:アナーキーの時は『ミッドナイトランブラー』みたいに聴かせる曲はできないわけだよ、バンドとしてね。でも、SDRはやりたいことが何でもできるから、オジサンとしてもラクなんじゃない?

──茂さんの中で、ゲタカルビとSDRの線引きも凄く明確ですよね。

仲野:そうだね。過去の産物 vs 未来の産物って言うかさ。だから、SDRのほうが数段疲れるよね(笑)。

──その分、充実感ももちろんありますよね。

仲野:うん。SDRでオリジナルを目指して未来に向かってる分、過去までが輝いてくるもんなんだよね。今が停滞してると尾びれがちょっと短くなるって言うかさ。前倒しで物事を考えると、その分の振り幅がちゃんと後ろまで来るような気がする。それが凄い楽しいんだよ。

──各人のキャリアは錚々たるものですけど、“昔の名前で出ています”感が皆無なのが凄くイイなと思って。

名越:俺は、メンバーのプロフィールから“ex.○○”っていうのを外したいくらいだもん。前にいたバンドなんて関係ないしさ。

──純粋にやりたいことを自由奔放にやれている感じが全面に出ているのが『!』の大きな特徴のひとつですしね。

内藤:でも、そんな簡単には出来てないんだよ? 結構大変なんだから。

仲野:大変は大変だよね。でも、作り甲斐は凄くある。もの作りって何でもそうなんだろうけど、俺にとっては一番楽しい作業だね。それは歌作りに限らず、何かを作り出すことがさ。

──アナーキーの26周年記念BOX『内祝』で新曲の歌詞を書こうとした時に比べて、SDRでは水を得た魚のように歌詞を書けていますよね。

仲野:書けてるね。このバンドには未来があるから。未来がねぇバンドじゃ書けねぇよ。展開が見えなかったらワクワク感がないじゃん。

──歌詞が書けるのは、幸也さん、EBIさん、名越さんの3人がいてこそなのでは?

仲野:そうだね。俺はSDRを“奇跡のバンド”って呼んでるからね、自分で(笑)。

内藤:でも確かに、今回は1枚目よりも詞が出来るのが早かったよね。

仲野:うん。1枚目の時はやっぱり固かったのかな。SDRは一体どこへ行くんだろう!? っていう要らないことを考えてたのかもね。今までのキャリアが邪魔するのって、きっとそういうことなのかも。“俺ってこんなふうに見られてるから、その期待に応えてやろう”とかさ。それは名越の言う「“ex.○○”なんて要らない」っていうのと一緒で、とにかくやりたいことをやりたいようにガンガンやればイイんだよね。今度のアルバムでやっとそのレヴェルに来たのかもしれない。



パンクがポピュラリティを得ることの矛盾

──“ex.○○”の良い面としては、復活したユニコーンのファンがSDRのライヴにも足を運んでいる相乗効果ですね。

仲野:1枚目はユニコーンの再結成に合わせて出したもんな。“ユニコーンに乗っかれ! 他人のフンドシで相撲をとれ!”が合言葉でさ(笑)。でもよく考えたら、ユニコーンの現場でSDRのCDなんか売れるわけがねぇよな。ハナから乗っかれるわけがない。だって、SDRの物販で「奥田民生のCDはないんですか?」って訊かれるようなもんだしさ(笑)。

EBI:まぁ、1人でも多くの人に聴いてもらえることは単純に嬉しいですけどね。

名越:不思議なことに、アナーキーのファンはSDRをあまり見に来ないんだよね。音楽性の違いもあるんだろうけど。

仲野:男はちょっと保守的なところがあるからさ。ゲタカルビで従来のパンク・バンドと対バンする時は野郎が多いもんね。パンクっつっても、俺にはオーソドックスなロックンロールに見えるわけ。ぼちぼち50なのにまだ頑張って革ジャンを着てる洒落っ気としてのこだわりは感じられるけどさ。でも、パンクとかロックの根源ってもっと解放された感じがあるじゃん? 解放させるために始めたのに、どんどんガチガチになってトラディショナルなものになっていくのが俺はヘンだなって思う。矛盾を抱えてる感が否めない。

──細身の3つボタンのスーツを着ていればモッズなのか? と言えば、決して型にハマらないモダンな思想こそがモッズの本質だったりするわけで。それに似てますね。

仲野:そうそう。まぁ、パンクがポピュラリティを得るためにああいう格好をするのは判るけど、パンクって元来ポピュラリティを得られるようなものじゃないからこそ面白かったはずだよね。ポピュラリティを得るためには型っていうものが必要になってくるんだろうな。でも、“パンクの伝統”なんておかしな言葉だよね(笑)。

──アナーキーのファンにも『バクテリア』や『マスメディア』、『2010RPM』といった剥き出しのパンクを是非聴いて欲しいですね。往時のアナーキーにも通じる匂いを僕は感じるので。

仲野:そう? 自分で言うのも何だけど、『バクテリア』はよく出来てると思う。

内藤:最初は『バクテリア』じゃなかったじゃん? 俺が聴き間違えて「『バクテリア』って唄ってるよね?」って訊いたら、「エエッ!」って驚かれてさ。

仲野:だって、最初は“これで日本も安泰だ!”って唄ってたんだから(笑)。まぁ、幸也に言われてそのまま『バクテリア』に変えちゃった俺も俺だけどさ(笑)。そっから歌を作り直したんだけど、それが凄い良くてね。結局、歌の在り様ってさ、そいつがバクテリアをどう評価してるかで変わってくると思うんだよ。愛もそうで、そいつが愛をどう評価して思いをどれだけ歌に注ぎ込めるかに懸かってる。だから同じ愛を唄ってもいろんなラヴ・ソングが生まれるんだよね。今までバクテリアって言えば汚物的なイメージしかなかったけど、この歌じゃ“俺に寄生して欲しい!”って好意的に描いてる。これはなかなかよく出来てると思うね。

──前作で言えば『タンツボ政府』とか、SDRの時の茂さんはキャッチーだけどしっかりと真に迫るコピーを連発していますよね。

仲野:何せ雑談が凄い多いからね、このバンドは。

内藤:その雑談の時間が結構大事なんだよな。

名越:だって、呑んでグダグダ話してる内容は歌詞とまるで同じだからね(笑)。

仲野:俺がSDRを“奇跡のバンド”って呼んでるのは、この4人でいるといつも新鮮な気持ちでいられるからなんだよ。それぞれが勝手気ままだからかもしれないけど、キャリアを積んだバンドって私生活はバラバラなことが多いじゃない? バンドを作る前はお互いにダチだし、「このレコード聴いた?」とかちゃんとコミュニケートしてるんだよね。SDRではそれができてる。



他のバンドにはないSDRの楽しさ

──ファースト・アルバムを完成させるまでのバンドは純真な気持ちで音楽と向き合っているものですからね。

仲野:だからファースト・アルバムってどのバンドもイイんだけど、それからどんどん個別になっていくわけ。「言わなくても判ってんだろ?」って倦怠期の夫婦みたいになる。SDRはそういうところがないのがイイ。あと、俺にとっては世代間っていうのが割と大事で、このバンドに20代、30代のヤツが入るとちょっと違うんだよね。

名越:20代、30代はキツくて入れないよ(笑)。

仲野:お前、アナーキーに入った時にキツい感じが全然なかったじゃん(笑)。『ディンゴ』をレコーディングした時にいきなり俺にダメ出しだもん、新人のクセしやがって(笑)。

名越:だってダメだったんだもん(笑)。

仲野:まぁそうだけど(笑)。でもいくらダメでも、俺だって一応はそれなりのキャリアとネーム・ヴァリューがあるわけじゃん?

名越:それを差し引いても酷かったってことだよ(笑)。

──EBIさんは6歳上の茂さんに遠慮したりしないんですか?

EBI:僕は無責任ですからね。「ハイ、あとはお願いします!」って好きなようにやってもらってます。

内藤:その辺をまとめてるのが俺なのかな(笑)。

仲野:でも、これだけ勝手にやってる4人をまとめてるのがきっと音楽なんじゃねぇかな。喋ってる時より演奏してる時のほうがまとまってるもん。

──各自SDR以外にもバンドやユニットを継続していますけど、その中でSDR独特の良さってどんなところですか。

名越:第一に“楽しい”だよね。実験的なこともできるしさ。

EBI:“こうじゃないといけない”っていう縛りがないことじゃないですかね。“この4人で何ができるか?”という意識がみんなの中に常にあって、そこへ向かいながら音楽を作る楽しみがSDRにはあるんですよ。

名越:何してもイイんだよね。それに対して誰も文句を言わない。誰かが“エエッ!?”と思うようなフレーズを出しても、やってるうちにそれもアリかなと思える。

内藤:ただ、SDRの色っていうのがちゃんとあると思うし、その色の中だったら何でもアリってことじゃないかな。“そりゃねぇだろ!?”っていうフレーズはさすがにあると思うよ(笑)。

仲野:俺はそういうのからだいぶ解放されたな。言葉なんて何百年も前から限られてるわけだけど、言葉を自由に配列して組み合わせるのが今は凄い楽しいよ。

名越:大体、『コーヤ・モーヤ』なんてタイトルは普通付けないでしょ?(笑) でも、それをOKにする懐の深さがあるのが面白い。

内藤:まぁ、『コーヤ・モーヤ』はホントにこれで決まっちゃったの!? って思ったけどね(笑)。でも、『タイ!タイ!タイ!』みたいにダジャレ王が本領を発揮してる歌も、ストレートな『感動』の歌詞も俺は凄く好きだよ。

──『一瞬の時』の中で“相談”に掛けて“ヤーレン・ソーダン”と続いた時はぶったまげましたけどね(笑)。

仲野:ああいう言葉遊びが俺は大好きだから(笑)。ワードに関してはこれからもっと自由になるんじゃねぇかな。“青春”ってワードも一周回ってアリになったりしてね(笑)。体力は衰えても脳ミソはちゃんと働くし、やるべきことが明確で、そこへ向かっていけるからやれないことはないよね。ロックってやっぱり“生き方”なんだよ。もうちょっと生きると“方”が取れて“生きる”ってところまで行けるかもしれない。瀬戸内寂聴の域を抜くかもね(笑)。

──いつか茂さんが青空説法を開くことがあるかもしれないと?(笑)

仲野:そりゃウザイねぇ(笑)。まぁ、昔からウザかったし、今でも充分すぎるほどウザイけどさ(笑)。



2nd ALBUM
![ビックラゲーション]

01. バクテリア
02. バラバラ
03. G
04. マスメディア
05. 感動
06. タイ!タイ!タイ!
07. ミッドナイトランブラー
08. 気分は戦争
09. 2010RPM
10. 一瞬の時
11. とっておきの朝
日本晴RECORDS JCUR-092
3,000yen (tax in)
2010.10.01 IN STORES

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Live info.

SDR『!』TOUR 2010
10月14日(木)名古屋 CLUB UP SET
10月15日(金)大阪 難波ロケッツ
10月16日(土)京都 磔磔(ワンマン)
10月22日(金)仙台 LIVE HOUSE enn
10月23日(土)新潟 GOLDEN PIGS-BLACK PIG
11月6日(土)高円寺 KOENJI HIGH(ワンマン)
11月21日(日)横浜 7th AVENUE
12月17日(金)北九州 西小倉 LIVE SPOT WOW!
12月18日(土)佐賀 RAG・G
12月19日(日)大分 別府HARBORS
12月21日(火)福岡 DRUM SON

SDR official website
http://sdr.rdy.jp/

posted by Rooftop at 21:33 | 今月のRooftop