ギター バックナンバー

ROCK'N'ROLL GYPSIES('10年8月号)

ROCK'N'ROLL GYPSIES

流浪の楽聖たちが奏でるロックンロールの汲めども尽きぬ滋味深さ


 会場および通販限定のライヴ・アルバム『Same Old BackBeat』の発表は途中あったものの、オリジナル・アルバムとしては実に5年振りの発表である。花田裕之(vo, g)、下山 淳(g, vo)、池畑潤二(ds)、市川勝也(b)から成るロックンロール・ジプシーズの『III』は一見ぶっきらぼうで無愛想で武骨な風情でありながらも、噛み締めるほどに深みのあるコクとまろやかさに溢れたロックンロールを存分に堪能できる逸品だ。思春期にザ・ルースターズという数奇な運命を辿った空集合の音楽に魅せられた僕らには『OH! MY GOD』と『CRAZY ROMANCE』のカヴァーがまず目を引くところで、原曲の趣きに風格が加味された感があるのだが、恐らく本人たちにその自覚はないだろう。自由奔放なジプシーたちの佇まいは柳に風とばかりにさり気なく、悠然と果てなき旅を続けるのみと言わんばかりに淡々としている。『III』という作品も彼らにとってはひとつの通過点に過ぎないのかもしれないが、単なる通過点として看過することは到底できない会心の作だ。この至上の一枚を主題に、先日行なわれた花田の50歳を記念したプレミアム・イヴェント、その一環として実現したまさかのルースター“Z”再結成について花田と下山に訊いた。(interview:椎名宗之+加藤梅造)


22年振りのザ・ルースター“Z”再結成

──花田さんはさる6月20日に50歳を迎えられましたが、率直なところどう感じていますか。

花田:“生きたな”って感じはちょっとするかな。40を過ぎた時は何の感慨もなかったけど、50ともなると“生きたな”って言うか。

──“50TH GIG”と銘打った計4回のライヴは花田さんがずっと出ずっぱりで、息つく間もなかったと思いますが。

花田:まぁ、その辺は覚悟して臨んだけど。

──七夕の日に我が新宿ロフトで開催された“NAGARE PREMIUM DAYS 2”では22年振りにTHE ROOSTERZ…“Z”の面々が一堂に会したビッグ・サプライズがありましたが、過去のわだかまりみたいなものはなかったんですか。

花田:いや、そういうのは全然。大江(慎也)以外はみんな東京にいるしね。

──柞山(一彦)さんがステージに立つのは久々だったんですか。

花田:全然やってないことはなくて、少しは演奏もしてるみたいだよ。灘友(正幸)もぼちぼちやってるみたいだし。

──久しぶりに“Z”の面々と共演を果たして、どう感じましたか。

花田:自分で言うのもナンだけど、やっぱり面白いバンドだなと思ったね。

下山:俺は安藤広一がちゃんと弾けるのか心配でさ。今や単なるオッサンだから(笑)。

花田:あの人だけよね、やってないのは。

──今や天下のスピードスター・ミュージック代表ですが(笑)。

下山:「キーボード持ってるの?」って訊いたら「ない」って言うし、「どうすんの?」って尋ねたら「どうしよう?」って答えるしさ(笑)。

──下山さんはどうでしたか、“Z”の再結集は。

下山:だから、そういう人がいるから大変じゃない? 「これは弾けない」とか「身体が痛い」とかわがままなことばかり言ってさ(笑)。

花田:社長、困ったもんやね(笑)。

下山:灘友は自分でやってるバンド(デンジャラス・ミカバンド)があって、そのバンドが東儀秀樹さんとセッションしたらしいんだよ。

──ああ、東儀さんって本業の雅楽以外にギターを弾くそうですね。

下山:その時の写真を自慢げに見せてくれてさ。「そんな大層な人とセッションしている人が僕らみたいなのと一緒にやっていいんですか?」って一応イヤミを言っておいたけど(笑)。

花田:どこで繋がっとるのか謎やけどね。

下山:近所のお祭りとかで共演したみたいで、東儀さんはどこからともなく現れてギターを弾くんだってさ。「友達なの?」って灘友に訊いたら「いや、全然」って言ってたけどね(笑)。

──その砂漠の民が“最終形ルースターズ”と話していた三原(重夫)さんと穴井(仁吉)さんのリズム・セクションはやはり尋常ならざるものがあると改めて実感したんですよね。

下山:三原は少し練習したみたいだよ。

──三原さんのブログを拝見したら、事前に音源を聴き直してかなり入念な準備をされていたのが窺えましたね。“Z”でツアーを望むファンも全国に大勢いると思いますけど。

花田:そうかな?(笑)

──いや、絶対そうですよ。今回も「何でロフトみたいな狭いハコでしかやらないんだ!?」と非難囂々でしたから。

下山:穴井さんがわがままを言わなければやってもいいんじゃない?(笑) ステージの上なら数曲の付き合いだからいいけど、1日中一緒にいたら「腹減った」だの何だのって大変なんだから(笑)。まぁ、ロフトの時はいつもより大人しかったけどね。

──今回の“Z”再結成の要となったのは、やはり下山さんだったんじゃないかと思うんですが。

下山:要と言うよりも、先生みたいになっちゃうんだよ。「集合!」って言わないと集合しないんだから、あいつらは(笑)。B型が圧倒的に多いからさ。俺はO型だから、自分から引率するタイプじゃないんだよ。

──ちんこ先生(灘友のこと)は先生じゃないわけですね?

下山:あいつに任せたらとんでもないことになるよ(笑)。

──最後に大江さんが飛び入りで参加したのは狂喜しましたけど、花田さんのお祭りだから花田さんの歌で締めても良かったんじゃないかとも正直思ったんですよね。

花田:いやいや、“Z”には大江もちゃんといたからね。

──最後の最後に大江さんの唄う『GOOD DREAMS』で終わったのが粋な構成でしたよね。文字通りいい夢を見させてもらったと思いましたし。

下山:大江君のは意外な選曲だったよね。まぁ、全部意表を突かれたけどさ(笑)。

花田:まさか『カレドニア』をやるとは思わなかったしね(笑)。

──『カレドニア』は初めてライヴで拝見しましたね。

花田:俺も初めてライヴでやったよ(笑)。

──リハーサルはどれくらいやったんですか。

花田:前の週に3、4回かな。取りまとめは下山に任せて。

下山:でも、みんな意外と練習してきてビックリしたよ。柞山なんて、昔よりもイヤにキチンとしててさ。

花田:うん、歳を取ったぶんだけね。

──柞山さん、あの風貌からして悟りの境地に入っているみたいでしたね(笑)。

花田:あれは何なんやろ? と思ったね。スキンヘッズが2人もいてさ(笑)。

──その“Z”然り、4回もバースデー・ライヴをやれて、あれだけ大勢の豪華ゲストが快く参加したのはひとえに花田さんの人徳ですよね。

花田:いやいや、そんなことないよ。

下山:いや、人徳以外の何物でもないでしょ。

──ですよね。誕生日当日に行なわれた“NAGARE PREMIUM DAYS 1”のほうは菊さんを筆頭に石橋凌さんや陣内孝則さん、ベンジーさんやUAさん、布袋寅泰さんといった錚々たる顔触れが集まって、一体どう取りまとめをしていたのかなと思いましたけど。

花田:あれだけの人数だと、もうまとめるも何もないよね。各々に好きにやってもらうしかなかったよ。まぁ、自分から進めた企画ではなかったけど、有り難いよね。

──その辺が仲野茂さんの50歳記念ライヴと違うところですよね。茂さんの場合は行かないと怒られそうですけど(笑)、花田さんの場合は自然と集まった感じですし。

花田:俺の場合は自由だから(笑)。自由にやってもらうのが一番だからね。



ストックがまるでなかった『FOUR PIECES』

──そんな祝福ムードが一段落ついたタイミングでジプシーズの新作『III』が発表されたわけですが、これも花田さんの50歳に合わせてリリースしようと?

花田:いや、これはこれで話が別に来たんで。前のアルバムから結構時間も空いてるし、そろそろ作ったほうがいいなと思って。

下山:「レコーディングしたいね」っていうのは毎年言ってたんだけど、どこからも話を頂かなかったので(笑)。

花田:まぁ、それぞれの活動があるから時間の調整も必要だし。

──今回のアルバムは下山さんが仙台で腹膜炎を患った前後に制作していたんですか。

花田:下山が抜けたのは、もうだいぶ録り終えていた頃だった。途中で抜けて、帰ってきて、歌を唄って終わりみたいなさ。ギターは録り終えてたよね?

下山:うん。腹膜炎っていうのも原因不明でさ。“ARABAKI ROCK FEST.”へ行ったんだけど、急に息ができなくなったんだよ。あの辺のエリアは昔から相性が良くないみたい(笑)。

──『OH! MY GOD』と『CRAZY ROMANCE』という“Z”のカヴァーがどうしても目を引いてしまうんですが、これはレーベルからのリクエストもあったんですか。

花田:うん。「カヴァーもやって欲しい」っていう話があったんで。

──いずれも『KAMINARI』からのナンバーですね。

下山:それはたまたまじゃないかな。

花田:ジプシーズでもライヴでやってるからね。

──“Z”の候補曲は他にもあったんですか。

下山:『再現出来ないジグソウ・パズル』や『PASSENGER』はライヴ盤に入ってるから、その兼ね合いもあってね。地味な曲もあるけど、そんなのを入れてもしょうがないし(笑)。

──ジプシーズの場合、今さらコンセプトめいたものもありませんよね?

花田:曲を持ち寄って「こういう感じで作ろうか」って話はせんやったね。

下山:そんな話、今までもしたことないよ(笑)。ただ、花田君が書いてきた曲がキーにはなるよね。それと全く違う曲を書いてきたほうがいいとかはみんな思わないし。

──どの曲も気迫のこもったプレイができればOKテイクになる感じですか。

下山:準備にはそれなりに時間を掛けたんだけど、録りは早かったよ。全部で1週間も掛かってないんじゃないかな。

──1曲目の『そろそろ』を聴くと、花田さんのソロとジプシーズの境界線が薄まってきたのを感じますね。ラフでいながらタイトなアンサンブルをさり気なく聴かせると言うか。

花田:今回の自分の曲は、ここ2、3年何となく持ってたアイデアをリハに持っていって形にしてみたんだよ。レコーディング自体は短い期間で録ったけど、詞はレコーディング前とスタジオとかでやりながら書いた。

下山:俺の場合は、曲を作らなくちゃいけないかな…? って感じだったけどね(笑)。

──曲作りの部分で役割分担みたいなものはないんですか。

下山:ないね。暗黙の了解みたいな感じかな。花田君もそういうところがあるけど、曲をストックしておくタイプじゃないんだよね。話が来てから曲を書くタイプだし、締め切りが来ないとまず曲は書かないね。俺はストックなんて絶対にムリだよ。

──“Z”の頃からそんな感じだったんですか。

下山:最後の『FOUR PIECES』はそうだったね。レコーディングの初日までに花田君はちゃんと3曲書いてきて、俺は2曲持ち寄ったんだけど、2日目の録りが終わったらもう曲がないんだから(笑)。ホントの話だよ。「明日、何を録る?」「家に帰って書いてこようか」なんて話してさ(笑)。あの時がルースターズ史上、一番曲がなかったんじゃないかな。

──個人的に『FOUR PIECES』はルースターズ後期の最高傑作だと思うし、どの曲も急造したようにはとても思えませんけどね。

下山:でしょ? でも、実際はそんな感じだったんだよ。「この曲はやめとこうかな」なんて思ってた曲でも、リハをやると「まぁいいか」って思い直したりしてさ。

──穴井さんと三原さんのアイディアで方向性が定まった曲もあったんですか。

下山:演奏的にはそうかな。何せ曲が最初からなかったしね。

──“Z”最後の編成でのライヴをこの間体感して、『FOUR PIECES』の後に同じ面子でもう1枚くらいオリジナル作品を聴きたかったなと僕は改めて感じたんですよね。

下山:キミみたいな人が当時のレコード会社とか関係各所にいっぱいいたらやってたかもね(笑)。「もう1枚やろう」なんて話は全然なかったし、シンパみたいな人がもっと多ければやってたかもしれない。いないことはなかったんだけど、力を持ってる人は俺たちに興味がなかったんだよ。俺たちのことを気に入ってくれるのはいい人たちで、いい人っていうのは偉くなれないしさ(笑)。

──安藤さんがもっと早く偉くなっていれば良かったですね(笑)。

下山:安藤はその頃すでにレーベルにいたんだけど、こっちが行きたくなかったんだよ。「キャプテンはイヤだ!」って(笑)。




『III』制作にまつわるエピソード

──『III』の話題に戻りますが、やはりテイクはそれほど重ねないものなんですか。

下山:やっても2、3回かな。ブースがなくて、俺はプラグインだったんだよ。ダビング以前にプラグインをどうやってやり直すかばかり考えてたね。

──歌もテイクはそれほど重ねず?

花田:そんなに唄い直さなかったね。どちらかと言えば、感じ良く唄えればそれでOKみたいな感じだから。

──下山さんがヴォーカルを取る『黒の女』もそんな感じですか。

下山:そうだね。何度唄ってもたかが知れてるからさ(笑)。

──収録曲の選曲基準はどんなところなんでしょう?

下山:と言うか、持ち寄った曲を全部録って入れただけ。大抵、全部録ってみるんだよ。録ってみて選曲から外れるのもあるけどね。

──本作には『RRGブルース』と『A SUNNY PLACE』という2曲のインストが収録されていますが、過剰な感じはないですね。ダレることなく通して聴けますし。

花田:うん、そうなったと思うよ。曲調も違うしね。

下山:膨らまそうと思えばいくらでも膨らませられるけど、あまり冗長になるのもね。

──その小気味良さがいいんでしょうね。セッションから生まれたインストに後から歌詞を付けるケースもあるんですか。

下山:そういうのはほとんどないかな。事前にある程度の形にしてから持ち寄ってるよ。各自、曲の作り方が違うからね。

──今回は市川(勝也)さんの力量が増したのを随所に感じますね。

花田:うん、それはあると思う。

下山:市川はやる気だったよ。いっぱい曲を書いてきてどうしようかと思ったけど(笑)。

──市川さん主導でアレンジを固めていった曲もあるんですか。

下山:そういうふうにやれと言ったんだけど、「いや、そんな…」なんて言われてさ。曲を書いてきてそれはないだろと思ったんだけど(笑)。

──市川さんが今回持ち寄った曲というのは?

花田:『WORK IT OUT』。

──意外ですね。花田さんの世界観が全面に出た感じがした曲なので。

花田:そう? きっと、気を遣って書いてきたんじゃないかな(笑)。市川は気を遣う人間だからね。詞も市川が書いてきたんだけど、「書き直して下さい」って俺に言うんだよ(笑)。

──池畑さんが曲を持ち寄ったりは?

花田:あるよ。今回で言えば『そんなとこ』。詞も池畑だね。

──“Z”もそうでしたけど、ジプシーズも花田さんと下山さんの2本のギターの絡みが大きな聴き所のひとつですよね。互いの役割分担みたいなものも特に事前に話し合ったりしないんですか。

下山:したことないね。ただ、花田君が唄う時は俺が弾いて、俺が唄う時は花田君が弾くっていうのは基本にある。あとはそのヴァリエーションだよね。

──たとえば『黒の女』は歌と同じくらいにメロディアスなギターが終始鳴り響いていますけど、それも特に話し合うことなく自然とそんなアレンジになったんですか。

下山:うん、そうだね。最近、こんなにギター・ソロの長いバンドっていないと思うんだよ。だから敢えて長くしたところはあるね。多分、メタリカよりは遙かにギター・ソロが長いんじゃないかな?(笑)

──言われてみれば、古式ゆかしいギター・ソロは減りましたね。ヘヴィ・メタルとか様式美を重んじるジャンルには健在なんでしょうけど。

花田:俺たちにとっては普通のことなんだけどね。ギター・ソロは歌の途中に普通にあるものって言うか。

下山:でも、最近テレビで見たオジー・オズボーンの曲にもギター・ソロはなかったな。どのバンドもリフが主体なんだよね。

──今回、マスタリングをPEACE MUSICの中村宗一郎さんに依頼されたのが少々意外な人選だなと思って。

花田:ああ、知ってる?

──ゆらゆら帝国やギターウルフ、スクービードゥーといった皆さんよりも少し下の世代のバンドの諸作品を手掛けていらっしゃいますよね。

下山:それを聞いてお願いしたんだよ。

花田:スタジオの隣りがカラオケ・スナックでね(笑)。

──中村さんにはどんな感じの仕上がりにして欲しいとリクエストをしたんですか?

下山:リクエストは特にしてない。すべて委ねた感じだね。



無愛想に見えたのは演奏に集中していたから

──若いリスナーにも訴求力があるような音作りにしようと意識している部分はありますか。

下山:意識はしてるよ、これでも(笑)。なるべく聴き取りやすいようにはしたいと思ってる。何でもかんでも判りやすくするつもりはないけど、無理に難解にするほど高尚なことをやってるわけじゃないし。今回はスタジオ・サンシャインの鎌田(圭介)君っていう若いエンジニアに頼んだんだけど、完全に任せて好きなようにやってもらったんだよ。彼のお陰で凄く聴き取りやすくなったと思う。

──鎌田さん然り、中村さん然り、信頼を置いて任せたことが功を奏しているわけですね。

下山:極論を言えば、演奏を間違ってさえいなければそれでいいと思うんだよね。あと、途中で倒れたりしなければさ(笑)。

──三原さんがブログでルースターズの曲は難しいから練習が必須みたいなことを書いていましたけど、同じことがジプシーズの曲にも言えるような気がするんですよね。難しいことをたやすくやってのけていると言うか。

花田:三原は「テンポの速い曲は難しい」ってよく言ってたね。

下山:あいつはそればっかり言うんだよな(笑)。

──おふたりにとっても“Z”の曲は難しいものなんですか。

下山:俺は自分でやったことだからしょうがないんだけど、簡単にやることもできるんだよ。ただ、ちょっとは難しく弾いたほうがいいだろうっていうスケベ心が出てくるんだよね(笑)。確かに当時は大変だったよ。「愛想が悪い」ってよく言われたけど、それは演奏が激しくて客席に愛想を振りまく余裕がまるでなかったからなんだよ。

──“Z”のステージには何とも言えない張り詰めた空気がありましたね。

下山:集中しないと演奏できなかったからね。みんなそんな感じだったから、それがあの緊張感に繋がったんじゃないかな。俺がルースターズに加入した頃に初期の曲をやると、曲の途中で筋肉がだるくなってきたんだよ。ちょっとスポーツみたいなところがルースターズにはあったんだよね。愛想もなくて、ただ黙って弾いてるだけなのに息切れが凄いんだからさ(笑)。走るわけでもジャンプするわけでもないのにね。

花田:単純に曲自体がキツかったよね。キーも高めに設定してたし、それ相応の気持ちで臨まないと演奏できなかった。

下山:あと、決して勢いだけでは行けない仕掛けが大江君の曲にはあるんだよ。それがもの凄く難しかった。

──その巧妙な罠が中毒性の高さに繋がるんでしょうか?

下山:きっと大江君はそう思ってやってないんだろうけどね。

花田:ただ、昔の曲もちゃんと身体に入ってた。この間の“Z”のライヴも不安やったけど、リハをしたら身体に染み込んでたのが判ったね。

──楽曲の普遍性を実感しましたよね。今聴いても輝きが何ひとつ損なわれていなかったですし。

下山:ちょっと洋楽っぽいバンドだったのもあるかもしれないね。

花田:メッセージ・バンドじゃなかったしね。そういうのはどうしても古くなるからさ。

下山:考えてみれば、ジプシーズはルースターズよりも長くやってることになるんだよね。

花田:大変だよね、久し振りに集中してレコーディングをやると。体力作りが第一みたいなさ(笑)。

──ジプシーズが今後どうなっていくか、おふたりの中に漠然と構想はあるんですか。

下山:以前、日本在住の外国人からインタビューを受けて、「何で海外でやらないんだ?」って訊かれたことがあるんだよ。「ヴァンやバスで乗り継いで回ればいいじゃないか」って。20年前なら「絶対に行く!」って言ってただろうけど、さすがに今は体力に自信がないね(笑)。

──花田さんはソロで全国各地を自由に旅していますが、ジプシーズでも同じように回れるといいですよね。ロード・ムーヴィーならぬロード・バンドみたいな集合体だと思うし。

花田:バンドでも旅したいよね。名前もジプシーズだしさ(笑)。

下山:それも身体を鍛えておかないとね。恐らく何ヶ所かは池畑君の主導の下にキャンプになるだろうから(笑)。

──前作から今作までに5年のブランクが空いたので、次作はもう少し短いスパンで聴けたら嬉しいですね。

下山:話があれば毎年でも出したいくらいなんだけどね。

花田:話がなければ、今度はロフトレコードにお願いしようかな。平野(悠)さんに言っといてよ(笑)。

下山:でも、平野さんに頼んだらピースボートでワールド・ツアーをやらされそうだけどね(笑)。



III

01. そろそろ
02. OH! MY GOD
03. 渇く夜
04. 穏やかな時へ
05. RRGブルース
06. そんなとこ
07. CRAZY ROMANCE
08. 黒の女
09. WORK IT OUT
10. A SUNNY PLACE
DEEP ZONE / KING RECORDS KICS-1602
3,000yen (tax in)
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Live info.

ROCK'N'ROLL GYPSIES ワンマン 〜V 発売記念〜
2010年9月4日(土)渋谷CLUB CRAWL
OPEN 17:30 / START 18:00
ADV. 4,500yen (+DRINK) / DOOR. 5000yen (+DRINK)
info.:CLUB CRAWL 03-3498-3114

*12月に東名阪ツアー決定! 詳細は公式サイトにて近日発表!

ROCK'N'ROLL GYPSIES official website
http://www.tsubaki-net.com/

ROCK'N'ROLL GYPSIES MySpace
http://www.myspace.com/rrgypsies

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