ギター バックナンバー

DISK RECOMMEND ('10年06月号)

LOFT PROJECTのスタッフがイチオシのCD・DVDを紹介!!
レビューページの画像をクリックすると、Amazonのページにリンクします。

★以下のジャケットをクリックすると、各レビューが読めます。

cd_pickup.gif

te' / 敢えて、理解を望み縺れ尽く音声や文字の枠外での『約束』を。

TKCA-73530 2,800yen (tax in) / 6.02 IN STORES

 群雄割拠のインディーズ・シーンにおいて今や確たる地位を築き上げた残響レコード。その始祖であるte'が“敢えて”メジャーとタッグを組んだ通算4作目となる本作は、バンドの真髄と結成から6年間の経験値が実に理想的な形で濃縮した会心の作だ。彼らの音楽性がトータスやモグワイ、65デイズオブスタティックといったポスト・ロックの影響下にあるのは確かだが、それら先陣たちと一線を画しているのは強靱な肉体性を帯びたダイナミズムである。インストゥルメンタル主体のポスト・ロックは微に入り細にわたって精巧な音作りを探究するあまり、繊細さや高度なテクニックが前面に出てしまうことが多い。もちろん楽曲のきめ細やかさや技術力を追求するのも大いに結構なのだが、ロックが本来持ち得た燃え滾る感情、得も言われぬ昂揚感に乏しい。その点、te'は違う。重心のあるリズムとビートはひたすら肉感的で、聴き手の情感をグイッと鷲掴みにする獰猛さもある。気迫の籠もった圧倒的なテンションと鮮血が迸るかの如き瞬発力もある。前3作まではそうした漲るヴォルテージをパッケージすることに腐心していた彼らだが、本作では細部まで緻密な音作りをすることにより意識的になったのが大きな変化だと言えるだろう。冒頭の「決断は無限の扉を開くのでは無く無限の誤謬に『終止符』を打つ。」はプロトゥールスでギターとベースの音をパッチワークのように繋ぎ合わせ、それにドラムの生音を被せるというデジタル・レコーディングの手法を逆手に取った野心作だが、そこにデジタルの無機質さは微塵も感じられない。こうした離れ業を平然とやってのける姿勢はまさにしてやったりで、メジャーとタッグを組もうがロックを基軸に据えたte'のメンタリティが不変であることを如実に物語っている。従来通り曲名が30字、アルバム・タイトルが29字という定型文やジャケットの体裁からも揺るぎないバンドの意志を感じるが、te'が新章に突入したことを痛感するのは、作品全体としても楽曲単位としても構成力がこれまで以上に巧みなことである。終幕を飾る「『参弐零参壱壱壱弐伍壱九参壱伍九伍弐壱七伍伍伍四壱四壱六四』」のめくるめく動と静のコントラストに顕著だが、どの楽曲も決して一筋縄では行かない展開のアレンジが施され、「闇に残る遅咲きは、艶やかな初花より愛らしく『夢』と共になり。」のような浮遊感のあるスロー・ナンバーですら終盤はワルツ風に変調して強弱を付けている。この卓越した構成力に加えてインスト特有の冗長さもないので、全12曲が滞りなく一気に聴けてしまう。インストが難解だという先入観のある人ほど是非本作を聴いて欲しい。te'の音楽に歌はないが、歌心はちゃんとある。それどころか、te'の奏でるインストは歌心なしでは成立しない。ヴォーカルレスではあるが、真に迫るメロディはどれも間違いなく“唄っている”のだ。ドラムもベースもツイン・ギターもその瞬間瞬間で代わる代わる声を震わせている。歌心を身に宿したヴォーカル不在のバンドがインストの無限の可能性を提示した作品として後世まで語り継がれるべき一枚である。


(Rooftop編集局長:椎名宗之)


sleepy.ab / 君と背景

初回限定盤 PCCA-03195 / 通常盤 PCCA-03196 / 1,200yen (tax in) / 6.23 IN STORES

 音を聴きながら何を書こうかと考える。締め切りは明日、書き出しの遅い自分にとっては結構ギリギリ。ゆったりとしたリズム、リバーブの効いたギター、優しい歌声…ヨシ、とりあえずコーヒーいれて一服しよう…ってのを何度か繰り返えす。急がなきゃなんだけど、この癒し感たっぷりのグルーブに逆らえなくなる。sleepy.abのキャリア初となるシングル『君と背景』は、時間に追われる事や日々の喧噪を、ほんの一時忘れさせてくれる魔力を持つ。先にも書いたように、ゆったりとしたリズムと、何より包み込むような絶妙なリバーブ感。すでに10年選手であるバンドのスキルがなければこの感じは出し得ない。優しい歌声に乗って耳にこびりつく詞。全体の包容力とは裏腹に、「単純な生活を簡単につないでく、不安をめくった先の未来をずっと君は選べない」という一遍に、少々ドキッとした三十路過ぎの自分。全編通して、特に三十路前後の人には感慨深い詞なんじゃないだろうか? かと言って重過ぎず、包容力とポップなメロディに絡んだ素晴らしい名曲に仕上がっている。カップリングの『街』も、奥行きのあるサウンドと深みのある詞でsleepy.abの魅力を存分に堪能出来る。今回のシングルは初回盤と通常盤がある。初回盤は地元札幌でのライブテイク3曲をプラスしたもの。通常盤は東京でのライブテイク3曲が入る。そして6/11にLOFTでのライブが決定。この素晴らしい音空間をライブでも是非味わって貰いたい。


(新宿LOFT:水野 慎也)


SLASH / SLASH

初回生産盤(SHM-CD+DVD)UICE-9079 3,600yen (tax in) / 通常盤(CD)UICE-1156 2,500yen (tax in) / IN STORES NOW

 来日記念に、今一度SLASHについて触れておきたい。先ずこのアルバム、何と言ってもタイトルが良い。ジャケットも、それっぽくて良い。「ギターヒーローの初ソロアルバムたるもの、こうあって欲しい」というロックキッズ(年齢問わず)のリクエストに、「これだろ?」と返してきた模範解答。一見スタンダードなのに、豪華、且つ確かな品質。若き読者のために説明するが、SLASHとはあのSLASH。元G'N'Rの、シルクハットの、あの彼である。今まで数多くの作品にゲスト参加してきた彼だからこそ可能だったのだろう。構想3年、制作1年というこのアルバム、参加アーティストも「本物」揃い。LEMMY、OZZYにIGGY POP…、所謂そっち方面のファンのハートをぶち抜くために企画された感も否めないが、全部本物だから何をしても許される。ターゲットも幅広く、FergieやDAVE GROHLも参加している。しかも曲がかなり渋い。もちろんギターソロもちょっと長めだ。「VELVET REVOLVERから知った」という後追い世代の貴方も「最近CDを買うことはおろか、音楽そのものから遠ざかっていて…」という貴兄にもぴったり。いろんな世代から支持され大ヒットした『By The Sword/Slash feat.Andrew Stockdale』を含む全15曲入り。シルクハットというアイコンが定着しているからか、本人の努力か、見た目は若いころと殆ど変わっていないように思われる。ライナーはもちろん伊藤政則氏。


(下北沢SHELTER:石川 愛)


soulkids / ENDLESS SUMMER

XWCG-10002 2,300yen (tax in) / IN STORES NOW

 soulkidsが前作の『COSMIC HERO』から1年ぶりのニューアルバム『ENDLESS SUMMER』をリリースした!これまでの楽曲に比べて、バンドの向かう先を示した作品になっていることは一目瞭然だろう。というのも、これまでのsoulkidsはギターをメインに聴かせる曲が多かったように思う。しかし、今作ではこれまでのサウンドも聴かせつつ、ピアノやシンセ、グロッケンなどの楽器を多用し、アレンジに幅が出ている。『マジックマジック』のような遊び心のあるアレンジに、キラキラピカピカしたシンセの音色が重なり、確実な変化と進化をした彼らを感じることができた。また歌詞では、抽象的な言葉ではなく、ストレートな言葉を使えるようになったとインタビュー時に柴山が言っていた通り、伝えたいものや言葉の芯がはっきりと見え、ブレがないことを実感した。『blue spring』等の、青の時代を歌うことが多い彼らだったが、今作では歌詞としても少し大人になっていると感じるのは気のせいではないはずだ。
 ラストの曲でありタイトル曲の『ENDLESS SUMMER』は、ピアノの音色が特に美しく(一生懸命柴山が弾いているそう)、ここ最近のsoulkidsには珍しい英詞が乗った曲。音が敷き詰められているわけでもなく、メロディーとしてじっくり聴かせる曲に仕上がった。となると、今後の彼らがさらにどうなっていくかを期待させる1枚になっていると言える。


(Rooftop:やまだともこ)


FUNKIST / FUNKIST CUP

初回限定盤(CD+DVD)PCCA-03197 4,200yen (tax in) / 通常盤(CDのみ)PCCA-03198 2,980yen (tax in) / 6.16 IN STORES

 「愛」そのものなのか? それが最初に聴いた時の感想だった。圧倒的ライブアクトで魅せるFUNKISTの2nd ALBUM『FUNKIST CUP』。  ライブのOPENINGで演奏されてきた『Traveling』でアルバムは幕を開ける。染谷の力強さとぬくもりを持った声のアカペララップを合図に鳴り始める音楽は、細胞へ直球で飛び込んでくる。もうそこはFUNKISTの世界そのものだ。結成10年分の全てが詰まっていて、ある意味ベストアルバムだとメンバーが語る通り、数々のライブや2度にわたる南アフリカツアー、そこで産まれた多くの人々との出会いで、前作を遙かに凌駕するほど、FUNKISTを構成する全てのものが技術的にも精神的にも磨き上げられたことが感じられる。
 収められた14曲では、友達へ、親へ、恋人へと様々な形での「愛」が表現されている。ずっと不思議だった、FUNKISTが発する多幸感。何度もこのアルバムを聴いて、辿り着いた答え。彼らの音楽には「闇」が存在しないのだ、と書いてしまえば、嘘臭いと思う人も居るだろう。違う。彼らは「光」があれば「影」もあることを十分に理解しているように思うのだ。だからこそ、その「影」を「闇」にしないために、全てを受け入れて前に進もうとする。盲目的に子供を信じる親ではなく、大切な子供だからこそ、その全てを受け入れようとする親の「愛」のように。  どこまでも進化し続けるFUNKISTの掛け値なしのHAPPYを難しく考えず、全身で受けてとめてみれば、どこまでも広がる大地や空を感じられるはず。笑顔とともに。


(Naked LOFT:しまだかずよ)


NUMBER.42 / PUNK ROCK NEVER DIE

HRUF-001 2,100yen (tax in) / 6.09 IN STORES

 DJ-namijinがベース&ボーカルを務めるNUMBER.42の1st.アルバム『PUNK ROCK NEVER DIE』が、6月9日ロックの日にリリースされる。敬愛するラモーンズの新曲を書くつもりで曲を作っているというほど、ラモーンズが十分に意識された今作は、8ビートのシンプルなパンクロックチューンで聴かせる12曲で27分の疾走感ある作品。ラモーンズだったらこうやるんじゃないかというアレンジで、ギターソロはほとんどなし、あっても単弦ソロという、見事なまでにラモーンズを貫いた。
 パンクロックの伝道師という使命を自分自身に課したというだけあって、歌詞で伝えたい事は一貫して“ENJOY PUNK ROCK”。そして、タイトルと同じく“PUNK ROCK NEVER DIE”。40代も半ばに突入したDJ-namijinが、全力で好きなものを表現して、全力で伝えようとする姿、そして歌詞で表現していることと同じように、日常においてもポジティブさを絶やさない人柄にはいつも頭が下がる思いだ。言葉で言うのは簡単だけど、意志を貫くには努力が必要だと言っていたが、まさにその通りで、太陽のように生きることもそうそう楽なものではないだろう。そんなDJ-namijinの意志と存在がギュッと詰まった作品だ。ラモーンズって実はそんなに聴いた事がないけれど、良い出会いに恵まれたおかげで知る事ができたことは事実。そんな良い出会いをくれたDJ-namijinにも感謝。


(Rooftop:やまだともこ)


桃井はるこ / へんじがない、ただのしつれんのようだ。

AKCA-1001 3,000yen (tax in) / IN STORES NOW

 桃井はるこが『Mail Me』でメジャーデビューして今年で10周年を迎えた。デビュー前から秋葉原で路上ライブ活動を行うなど、現在のアキバ系カルチャーの草分け的な存在だが、今やアキバ系の枠では収まりきらない才能を開花させている。アニソンの国内最大イベント「アニメロサマーライブ」の常連アーティストでもあり、アニソン好きの間での人気・知名度は言わずもがなだが、もっと幅広い層のリスナーに聴かれるべき存在ナンバーワンだと思う。彼女自身もヘヴィなアイドルオタクである故、アイドル歌謡の持つ雑食性を知り尽くしている桃井の楽曲は様々なジャンルを取り込んだミクスチャーミュージックだが、その完成度は非常に高い。ヘヴィメタからグランジ、時にはプログレまでが租借され、ロックにも造詣が深いことを窺わせる。古今東西の優れた音楽家はその時代を代表するアイドル(小泉今日子、木村カエラなど)をプロデュースするものだが、桃井はるこは音楽家として自分自身をプロデュースしてしまう所が他にはないすごさなのだ。本作『へんじがない、ただのしつれんのようだ。』は、昨年、自身が設立したレーベル「AKIHABALOVE RECORDS」から出したアルバムで、現段階で彼女のベストといえる傑作。恋愛の素晴らしさ、苦しさ切なさを、ハードロックからエレクトロニカ、TEX-MEXから電波ソングにまで乗せた多彩な楽曲が、1つのストーリーとしてアルバムに収められている作品だ。もっと多くの人に聴いて欲しい。


(加藤梅造)


浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド-bootlegg-

TOBF-5660 6,000yen (tax in) / IN STORES NOW

 今年1月17日に突然亡くなってしまった浅川マキが、生前での発売を目指して全ての企画/編集を行っていたドキュメンタリー作品『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド-bootlegg-』。浅川マキの歌が好きだ嫌いだと言った作品ではない。文芸座ル・ビリエのリハーサル映像から始まる本作は、全編に渡ってシュールである。しかし、これこそが浅川マキが佇んでいる世界を表現している芸術作品なのだ。
 浅川マキの名作の数々(私はすでに持っている)を聴くための、そしてその名曲をより深く、神髄を聴くためのベースとなるDVDのような気がした。だからこの作品は、浅川マキファンにはたまらないと思うのだ。特別映像には2009年の年末に行われた新宿PITINNの映像も入っている。原田芳雄さんとのライブ直後の会話が面白い。更には復刻限定生産として、2010年5月12日には『浅川マキの世界 CD10枚組BOX自選作品集』(20,000円)も発売された。


(平野悠)


acari / プリズム

DDCO-4002 2,000yen (tax in) / 6.23 IN STORES

 フジファブリックのBass加藤君からの紹介で知り合ったacari。以来、彼らとは音楽的に評価しているのはもちろんの事、相性が合う事も大きく、頻繁に会う機会が増えました。
 個人的な事ですが、昨年すごくショックな出来事があり、えらく落ち込んでいた時acariには随分と支えられたと同時に、彼らの音楽に対するガムシャラな姿勢をずっと側で見て来ました。そんな彼らがGreat3の片寄明人氏のプロデュースで作品を世の中に出せるなんて…。まさに出会うべくして出会った、世の中に出すべき作品だな! と思います。中でもみんなと一緒に出掛けたほおずき市を彷彿させるようなリード曲『ほおずきはじけたら』や、ライブで何度も聴いた『この世の果て』は、私にとっては待望の音源化!
 また7/27には彼らと共催で『プリズム』のレコ発ライブを、念願叶って新宿LOFTで開催。この夏はさらに絡む事が多そうなので、昨年の夏よりもさらに上を見た音楽活動をサポート出来たらなと思います。どうか多くの音楽ファンの手元に届きますように…。


(ロフトプロジェクト:樋口寛子)


キセル / 凪

DDCK-1022 / 2,800yen (tax in) / 6.02 IN STORES

 ある休日の午後。窓を開けると、風が連れてくるほのかな洗濯物の香り、耳に入ってくるキセルが心地よく、思わぬ所で幸せを実感。出会った頃から変わらない、まるで職人さんのような頑固なこだわりはそのままに、作品を出す度、新しい事にチャレンジしている姿勢は毎度感服する。決して活動はハイペースではないけども、フジロックやライジングサン、カウントダウンジャパンなどの大型フェスへや、海外ライブへの出演と、その活動の幅は広がって来ている。その音楽活動によって、着実にリスナーを増やしている様子は一目瞭然。
 忙しない日々は自分が思う程綺麗な出来事ばかりではなく、目を伏せたくなる事もある。だけど、キセルのように芯がある音楽を耳にすると、救われた気持ちになるのは私だけでしょうか。7/1福岡BE-1から7/10赤坂BLITZまで続くツアーで、この作品の音像をどのようにライブで表現するのか非常に楽しみな今日この頃です。  


(ロフトプロジェクト:樋口寛子)


JONNY / POP STAR

OBOCD-010 2,300yen (tax in) / 6.02 IN STORES

 名古屋のNo.1問題児集団こと、JONNYが遂にフルアルバムをリリース! タイトルはずばり、『POP STAR』!!! ボーナストラック含め全15曲収録。全身全霊で汗だくになって、ライブハウスのステージを動き回るPOP STARの叫びがぎゅーっと詰まった作品。嘘や偽りなんて何もない、真正面から素っ裸でぶつかってくるJONNYの音楽には魂が宿っていると思う。だから、わたしはいつも彼らの音楽に触れたとき、胸が熱くなって思わず涙が溢れそうになる。泣いたり笑ったり出来る、人間に生まれて良かったなんて人間くさーい感情も思い出させてくれる。わたしが名古屋のバンドが大好きで、名古屋のライブハウスに通い詰めていた中で出会ったJONNY。新宿LOFTで、わたしが初めて企画したイベントに出演してくれたJONNY。運命なんて言葉は、存在していながらも意味をなさないと思っていたけれど、運命はこうして確実にわたしを導いてくれている。何かにつまづいて泥だらけになりながらも、大声で笑い飛ばせるような人生こそ、ドラマチックで面白いんだと教えてくれた一枚。
 追伸:JONNY御一行様、近々また名古屋でお会いしましょう!


(新宿LOFT:松浦由香理)


threedays film / woodland

3P3B-63 1,575yen (tax in) / 6.09 IN STORES

 良くて当たり前、というか3P3Bには良質という言葉がよくハマる。まさにthreedays filmもそうだ。今年の3P3B MEETINGの出演もあり、まだ記憶にも新しいthreedays film。八王子を中心に活動し、puli先輩の粋な計らいで、3P3Bより1st MINI ALBUMをリリースすることになった彼ら。綿密なアンサンブルとリズム、様々なジャンルのセンスが加えられて、ひとつのカテゴリーに留まることのない、素晴らしい楽曲たちが届けられた。1音1音にまでこだわったと思われ、1曲目の扉を開けた瞬間、神秘的な世界へと誘い、一度聴いたら忘れられない声とメロディー。静寂の中から解き放たれる世界観は独特であり、そのセンスの高さに驚きを隠せない。ゆっくりと着実に、活動をしてきた彼ららしい展開なのかもしれない。M-6『nanano』は個人的に、一度聴いたら忘れないくらいの名曲だ。間もなくしてRELEASE TOURも開催される。忙しい日々に、ひとときの癒しをくれる。そのくらい心地いい音の波に一度触れてみてはいかがだろうか?


(下北沢SHELTER:平子真由美)


多和田えみ / Lovely Day

QVCB009 1,200(tax in) / IN STORES NOW

 沖縄が生んだソウルシンガー、多和田えみをご存知だろうか? その歌声は時にキッズソウルのようであり、時に甘く切ない、正まさにソウルの申し子のようである。そんな彼女の最新作がこちらである。メロウなラヴソングのタイトルチューンに始まり、珠玉のナンバーが続く作品となっている。maxi singleのため、曲数の少なさに若干の物足りなさも感じさせるが、そう感じてしまう頃には、きっとあなたも多和田えみに魅力を感じているだろう。
 そんなあなたに朗報がある。3月にこのCDをリリースしたばかりながら、6月23日には多和田えみ&TheSoul Infinity待望のライブアルバムも発売決定である。『Lovely Day』の甘い多和田えみだけではなく、アフロで力強く唄う多和田えみを知ったとき、あなたはもう彼女の虜になっているだろう。私もそろそろアフロのかつらを用意せねば…。


(LOFT/PLUS ONE:ゆずき)


ドナテロ / ホワイトラビット

POPTOP0005 500yen (tax in) / IN STORES NOW

 私がドナテロを知ったのは、今年に入ってからシェルターでのライブを見たのがきっかけで、それから気になっていました。今思うと、バンド名と3人の独特な雰囲気が好きなのだと思います。なんせ「ドナテロ」という言葉は、私が生まれてから一度も使った事のない言葉の組み合わせなので、初めは不思議な感覚がありましたが、何度も「ドナテロ」を念じているうちに、私の中で「ドナテロ」という言葉が日常に違和感なく溶け込んでくるのです。こんな、私に突き刺さった曲が『ホワイトラビット』でした。「ドナテロ」でしか味わえないものがここにあると感じました。それを確かめたい人は、今すぐタワーレコードへ!! このシングルはタワーレコード限定で、しかも1曲入り100円という驚きの安さで販売中なのです! ドナテロの世界を味わってみてはいかがでしょうか?
 6月16日にはnew album『ドナテロの化けの皮の剥がし方』が発売するのでとても楽しみです。広島県で生まれたドナテロを是非聴いてみて下さい。


(下北沢SHELTER:箕田)


TRIPTYKON / EPARISTERA DAIMONES

VICP-64816 2625yen(tax in)/IN STORES NOW

 ジャケがギーガーっぽいと思ったらやっぱりギーガーだった(笑)。デス/ブラック/ドゥームメタル界の重鎮トム・ゲイブリエル・ウォリアーが遂に復活! バンド名を「トリプティコン」と名付けた。このジャンルの音楽では当たり前と言ったら当たり前なのだが、重い! 暗い! そして退廃的である。窒息しそうなほどの唸るヴォーカル、全てを闇にして光など微塵も差してこないような世界、絶望、背徳感、殺伐………などが、これでもかというくらいちりばめられており、私にはとても心地よい(笑)。ただ暗いだけかと思いきや、突然! 幻想的な女性ヴォーカルが希望と光への導きのように美しいピアノの旋律に乗ってやってくる。しかしそれが逆に漆黒の闇へ誘われてしまうフラグになっている。暗い混沌への旅には是非このエパリステラ・ダイモネス(ラテン語で“私の左にいるのは悪魔達”の意)をお供にどうぞ。つい最近知ったのだが、このトム爺がダウンチューニングのダウンストローク単弦弾きという表現を生み出したとか……。うわぁやりやがるなトム爺………。


(Asagaya/Loft A:アツシ)


ポッグカウチナゲット / 妄言と連日

ABR-1104 1,000yen (tax in) / IN STORES NOW

 複雑なギターフレーズがぐるぐる絡み合い、キメを多用した楽曲構成で意表を突く。少年のように澄んだ声のヴォーカルは、時に力強く、時に拙く、時にノドから血が出るかのごときハイトーンボイスで、行き場のない激情を歌いあげる。ポッグカウチナゲットという奇妙な名前のバンドが歌った、奇妙な5曲+αを収録したミニアルバム。
 サウンドはいわゆるポストロックの影響下にあるのだが、このジャンルにありがちな敷居の高さはなく、むしろその生々しい歌詞とメロディーが紡ぎ出す世界は、自然とリスナーの心に寄り添ってくる。四面楚歌で袋小路でどうにもならないんだけど、それでもどうにかしようと奥歯を噛み締めて足掻き、もがく様を綴った歌詞は、単純な「前向き/後ろ向き」の二元論なんかより数百倍的確に、鉄筋コンクリートの中を生きる若者の心象風景を描き出している。そもそも30年以上前にユーミンが走った中央フリーウェイなんて、今となってはただの高速道路な訳で、そこには恋も希望も落ちちゃいない。もの凄い誤解を恐れずに言うならば、むしろ今、この時代の、この都市のリアルを歌う彼らのあり様こそが、現在進行形の“シティポップス”なのである。


(前川誠)


FOUR GET ME A NOTS / TRIAD

XQEJ-1004(773F-006) 1,500yen (tax in) / IN STORES NOW

 時が来た。今まで以上の手応えの予感。REC中の混沌から、全く予想が出来なかったのですが、紆余曲折を経て、約1年ぶりに届けられたFOUR GET ME A NOTS待望の2nd MINI ALBUM『TRIAD』は、大いなる野望と並々ならぬ決意が感じられる作品となっている。3ピースでありながら、三者三様に声を使い分けるのがFGMAN最大の武器。今作品はGt&Vo高橋智恵を、これまで以上の存在感で前面に出ているのがポイント。M-4『Crescent moon』ではメインヴォーカルとして、彼女が歌詞を手掛けている。M-2の『Beginning』はPVにもなっているので、各所で触れることが出来ていると思われますが、本当にいい曲。歌詞も等身大ながらも、まっすぐなFGMANらしい所に感銘を受けたりする。全6曲、あっという間に聴けてしまう。まさに傑作である。5/19から地元千葉LOOKより始まっている“TRIAD TOUR”。全国28カ所を駆けずり回って奮闘しているハズ。TOUR FINALは7/17、新宿LOFTにて開催される。今まで気になっていた人にも、1度でいいからこの『TRIAD』を聴いて、LIVE HOUSEに足を運んで欲しい。きっと、他のメロディックと言われているBANDとは違う何かを感じてもらえると思う(個人的には早くFULL ALBUMが聴きたいぞ)。


(下北沢SHELTER:平子真由美)


posted by Rooftop at 12:00 | バックナンバー