読者モデルをやっていたから得ることができた貴重な経験
先月大反響だった佐野恭平さんからご紹介いただいたのは、読者モデルの鈴木将義さん。二十歳で現役の大学生。学業とモデル業を両立し、原宿系の雑誌で活躍中。まだまだあどけなさもありますが、現在の立ち位置を理解した上で将来も考えられています。この仕事をして多くの人と接してきたからこその得られた経験を糧に、これからもし違うステージでの活動となっても活躍されるんだろうと感じました。
いろいろな形のモデルさんがありますが、自分が今まで知らなかった世界を知ることができて、とても楽しいです。
★読者モデルは大学生まで
──今はどんな雑誌に出ているんですか?
「ヘア雑誌が中心で、あとB-st.っていう若者向けのファッション誌の読者モデルをやっています」
──モデルは大学の合間や、土日にやっているんですか?
「そうですね。雑誌の発行日やサロンさんの都合とかもあるので、数は時と場合によりますが、サロンの撮影だと、土日は混むので平日のオープンする前とかの時間が多いです」
──モデルさん自体はいつ始めたんですか?
「大学1年の夏か秋ぐらいに。美容師さんに声をかけてもらってというのがきっかけです」
──それはカットモデルとは違うんですか?
「カットモデルはスタイリストさんの技術向上のためのモデル、サロンモデルは雑誌とかホームページとかの作品としてのモデルなんだと思います。僕、始めた動機が不純で、もともとスカウトとか信用していなくて、高校は渋谷だったんで芸能関係の事務所もそうですし、美容師さんも声かけてくれていたんですけど、ついていったら危ないんじゃないかって無理です無理ですって断っていたんです。でも、お金がなくて髪を染めたくても染められない時期があって、その時に声をかけてもらって髪を染めてもらえるなら騙されても良いかなって(笑)。最初はそんな感じでした」
──それから何度も同じところでサロンモデルを?
「いえ。何度かやって雰囲気もわかったし、いろんな人とも知り合いになれたし、もともと高校の時は美容師になりたいと思っていたので、髪をいじってもらうのは興味があったんです。それで、その後は声をかけてもらったら全部連絡先を交換して、いろんなサロンさんでやりましたよ。撮影に呼ばれたら行ってました。始めた時は月3ぐらい染めていた時期もあって髪はパサパサでしたね。だから、撮影で頂いたお金でドライヤーやシャンプーを、良いものにしたりとかしていました。髪が傷んでるからっていう理由で撮影できなくなってしまったら元も子もないんで」
──雑誌の撮影はどんな感じなんですか?
「スタイリストさん達が用意してくれる洋服を着て撮影してます。最初は自分の好みと違って抵抗あることもありましたけど、今は、こういう服もいいなみたいな発見もあって楽しいです。もともと太いパンツだったり、濃いめの色が好きなんですけど、雑誌で細いパンツを履いたり、淡い色のTシャツを着たり、これまで着たことがない洋服も着られて刺激になりますよ。雑誌になると客観的に見ることができるので、良い経験をさせてもらっています」
──今後はどんな方向に進みたいとかあります?
「読者モデルの仕事は、雑誌に載せて頂いていろんな世界を見れましたし大学までで良いかなと思っています。高校の時は、為替とか興味があって金融の会社に勤めたかったんですが、最近はアパレルとか雑誌の編集部にも憧れます」
──モデルは大学生いっぱいで辞めてしまうということ?
「自分に自信がないんです。周りからはたまに、このまま芸能界に行くの? って聞かれたりしますけど、自分にその世界で生きられるほどの自信はないのでとんでもないって思います」
★自分がどういう人間なのか知ってもらいたい
──試験の時は仕事減らしたりしてる?
「いや、極力やるようにしています。撮影の時間以外で勉強するようにしていて。サロンで髪をセットしてもらいながら勉強したり、ヒドイ時は徹夜で勉強してそのままサロン行ってるんで、申し訳ないと思うんですが寝ちゃってる時もあるぐらいで。試験になるとサロンの人も気を遣ってくれますけど、モデルはやりたいことでもあって、断りたくはないので。自分次第でなんとかなると思うので、やるようにしています」
──それが就職してなくなったら寂しくなるんじゃないですか?
「それもたまに思いますけど。きっぱり割り切れたら良いなって思いますよ。若いうちしかできないですからね。だから雑誌も取っておくようにしています」
──若いから大丈夫だと思いますけど、体型の維持はあまり考えてない?
「僕すごく食べるんですよ。でも、もともと細いと言われてたので気にしたことはなかったんですけど、最近ファッションの撮影で一緒になる子がみんな細いんです。今まで細いと思っていた自分の腕を初めて太いと言われて。シャツをまくった時にきついねって。それから気にするようになりました。食べる量もそうですけど、食べる時間とか栄養のバランスとか。一緒に雑誌に載るとわかるんですよね。背が小さくても細いとスタイル良く見えるんです。だから、もうちょっと細くなったほうが良いんじゃないかって。ただ、バイトでフライパンを振ってたので腕の筋肉とかすごい付いちゃったんですよ。今もトレンチ持ってるんでなかなか細くはならないですよね」
──モデルをやって、良かったことや悪かったことは?
「ファッションとか髪型とかの知識が増えるのはもちろんですけど、人との付き合い方とか、出会いだったり、そういう方が大きいですね。大人の人とお食事する機会もあるので、良い経験をさせていただいてるなって思ってます。悪かったことは…自己管理が必要なところですかね。朝早かったりするし、大学の授業の時間も考えなければならないし、バイトもしてるし、自分のことはちゃんと考えなきゃならなくて、本当は良いことなのかも知れませんが、大変と言えば大変です。でも、この間原宿でファンだと言ってくれる高校生の男の子に会いました。一緒に写真撮って下さいって。すごく嬉しかったですし、やってて良かったって思いました。あと、僕、昔だったらこんなに話せないですよ。赤面性で、人と話すだけで真っ赤になっちゃうぐらいだったんです。初めての撮影の時は美容師さんとも全く喋れなくて…。今は同世代の人で初めて会う人もたくさんいますし、編集さんやライターさんや美容師さんや、年上の人と話す機会が増えたのでちょっとは克服できたのかな。1年ぐらいお世話になっている美容師さんがいるんですけど、そこの人に“最近ようやく心を開いてくれるようになってきたね”って言われたぐらいで。最初はモデルをやることを親も反対していたんですが、今は応援してくれてます」
──今も大人の人達と接している分、就職の面接でも役には立ちそうですよね。
「慣れなのかなって思いました。そういう面でも良い経験です。こういう仕事って、自分で自分を売っていかなければならないんですよね。いやらしい言い方ですけど。僕は、売り込むというほどではないですけど、自信はないとは言えそれなりに持ってないと出来ないですし、編集の方と良い関係を築きたいなと思っているのでたくさんコミュニケーションをとるようにしています。自分がどういう人間なのか知ってもらいたいですし」
──モデルさん自体は大学あと2年続けていく感じで。
「就活があるので髪をバッサリ切らないとならないですが、1個上の先輩が就活しながらモデルをやっているんです。黒髪短髪で、そんな風になれたら良いなって思ってます」
──今後自分的にどうなっていきたいですか?.
「大学にいる間はこの仕事は大切にしていきたいです。勉強とか就職活動は大切ですけど、他の人と違う経験ができるので、需要がある限り答え続けたいです。そして、その間にいろんなことに挑戦したい。雑誌だけに止まらず、ショーとかにも出たりもしてみたいんです。広い世界を見たいと思っています」
──声かけてくれる人がいたら何でも挑戦していきたい?
「はい。今日のインタビューも僕にとって新たなひとつだったんです。こうやって話すのはあまりなかったですから。」
INFORMATION
鈴木将義くんはB-st.、smart HEAD、キラリ!
に掲載されています。
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