ギター バックナンバー

つばき 10th Anniversary 「正夢になった夜」vol.4〜結成日編〜 with Rooftop('10年5月号)

つばき 10th Anniversary 「正夢になった夜」vol.4〜結成日編〜 with Rooftop

出演:つばき/メレンゲ



10周年を迎えたつばきが、新たな決意を胸に歩き出した特別な一夜

 今から10年前の2000年4月10日、ボーカル&ギターの一色徳保を中心に椿が結成された。その後、2001年にベースの小川博永が、2002年にドラムの岡本奈穂子が加入。2002年に椿から“つばき”へと改名し、たくさんのドラマを生み歴史を刻んできた彼ら。今年1月からは、毎月10日に“つばき10th Anniversary”を開催し、結成日となるこの4月10日、朋友でもあり共に刺激を受け合ってきたメレンゲを迎えて新宿ロフトでライブを行なった。本誌3月号では、両者の対談を掲載し、これまでのこと、これからのこと、そしてこの日のライブについてを話してもらっている。チケットは早々に売り切れ、当日は残念ながら行けなかったという方もたくさんいることだろう。このレポートを読んで、少しでも当日の気分を味わえて頂けたらと思う。
 最初に登場したのはメレンゲ。ソールドアウトなだけに人で埋め尽くされたフロアは、ステージがよく見えない。背伸びをしながらステージを覗き、モニターと交互にライブを見ることとなった。「よろしく、メレンゲです」という挨拶から1曲目『午後の海』の演奏が始まる。フロアを後ろから見ながら、目に見えて手が挙がるということはないのだが、確実に気持ちの上昇を感じられる。安定感があり心地良いメロディーと、クボから放たれる繊細なウタには毎回不思議な魅力を感じるのだ。『輝く蛍の輪』、『初恋のオマケ』を演奏し終わったところで、「ちょっとテンション上げて行こうか」と『忘れ物』を演奏。1月にライブをやって以降、この日まで曲作りをやっていたという彼ら。その成果をということで新曲『火の鳥』を。本当に出来たばかりの曲だったのだろう。とにかく聴いてもらいたいという気持ちが先行しての披露となったことを窺えた。音源化されることを期待している。対談の時に、つばきの一色が『underworld』が良い曲だと言っていたのを意識したのか、この日は『underworld』も歌われた。『夕凪』を歌い終わった時に、クボがポツリと言った。「ゆくゆくは大きいところでやりたいね。俺ら売れたいからね」と。大きなステージにたくさん立てていると思っていたメレンゲから聞く意外な言葉だった。フロアはそれまで一音たりとも聴きのがすまいという、ピンと張りつめた空気を感じたところがあったが、この言葉以降空気が少し和らいだような気がした。最後は『うつし絵』で、つばきのライブへ。
 『風向き』で始めたこの日のライブ。鋭いギターサウンドを聴かせ、ガラリと雰囲気が変わった。メレンゲが内なる炎を燃え上がらせるバンドだとしたら、つばきは燃えさかる炎と言った感じだろうか。3人がドンと出した音のパワーは、有無を言わさずに聴く者の心に突き刺さる。そして一転『カーテン』では、ギターのみで一色がじっくりと聴かせた。そんな一色が「昔ならきれい事なんてこっ恥ずかしくて歌えないと思ったことがあります。でも、今はあの頃より少し胸を張って歌えるようになりました。大切なあなたに向けた曲です」と言って歌われた『太陽』。20代を迎えたばかりの年齢から、30代に突入した彼らだから歌えるようになった言葉。その後のMCでチラリと暴露されていたが、当時の一色は随分尖っていたのだそう。そんな時期を経て、この曲には10年分の歴史や人生が詰め込まれていた。打ち込みが使われた『銀河列車』、そして次の『亡霊ダンス』ではフロアを揺らし、ラストの『昨日の風』までの計12曲があっという間に終わってしまった。鳴り止まない拍手に迎えられ登場したつばきの面々。「10年を迎えたけれど、これからも俺にしかできないこと、このバンドでしかできないこと、今日が終わりでもなくスタートです」という新たな決意を胸に秘めて歌われた『光〜hikari〜』は、何よりも重みがあり、まだまだ続く彼らの旅路を見続けたいと思わせる説得力があった。10年とは言わず、これからも素晴らしいウタを聴かせ続けてもらいたいと切に思った。そして、改めて10周年おめでとうございます!(Rooftop:やまだともこ)

メレンゲセットリスト
1、午後の海
2、輝く蛍の輪
3、初恋のオマケ
4、忘れ物
5、火の鳥(新曲)
6、underworld
7、願い事
8、ラララ
9、夕凪
10、うつし絵

つばきセットリスト
1、風向き
2、春の嵐
3、脱ぎ捨てて
4、ループ
5、カーテン
6、花が揺れる
7、太陽
8、冬の話
9、銀河列車
10、亡霊ダンス
11、最低な気分、雨に打たれて
12、昨日の風
アンコール
光〜hikari〜





つばきPHOTO BY:Mai OGAWA

posted by Rooftop at 12:00 | バックナンバー