軽薄さに憧れる。この際、“ケーハク”と書いたほうが雰囲気は出るかもしれない。僕は無粋の極みを行くような男で、眉間に皺を寄せて、したり顔でマイナスなことばかりをうっかり口にしてしまうケツの小さな男だ。思うに、ユーモアこそが知性なんである。土俵際にいる時こそ洒落っ気を出すこと。それすなわち人間の幅であると、高田文夫先生のお父様も仰っていた。徒手空拳でがむしゃらに生きつつも、疲弊した横顔はこれっぽちも見せずに笑顔を絶やさない。むしろ、佇まいは常にケーハク。そんなオトナにこそ、シビれる。彼らの一挙手一投足は一見豪放磊落に映るかもしれないが、その実、常に他者に対して気遣いを欠かさない客観性と度量の広さがあるのだ。俺が、俺が、ではない。ガツガツしていないんである。他者のいい部分を引き出す才に長けていて、その場の雰囲気を引っ張りながらも、控えめ。そんな押し引きのバランスに憧れるし、それを体現している御仁にこそ“男らしさ”なり“オトナ”なりを僕は感じる。土曜日に野音で行なわれた怒髪天のライヴを見て感じたのは、そういうことである。これだけ身近にちゃんといるのだ、男がシビれるオトナが4人も。岡田真澄的なリッチなオトナ加減は皆無だけど、ドッコイ四半世紀を駆け抜けてきたバンドならではのオトナの余裕を肌寒い野音で感じた。余裕があるからこそ、洒脱でいられる。そして、普段は粋で洒脱な増子さんが感極まるからこそ、泣ける。その佇まいは野暮に映るかもしれないが、無粋を突き詰めれば粋になることを怒髪天は体現している。その馬車馬の如き破壊力も僕には痛快なのだ。以下、備忘録的セットリスト。(しいな)
怒髪天:リズム&ダンディー“Dメン 2010 日比谷より愛をこめて”/2010年4月17日(土)日比谷野外大音楽堂
01.勝手にしやがれ(沢田研二カバー)/02.ヤケっぱち数え歌/03.労働CALLING/04.明日をブン殴れ!/05.GREAT NUMBER/06.蒼き旅烏/07.はじまりのブーツ/08.オレとオマエ/09.サムライブルー/10.ド真ん中節/11.アフター5ジャングル/12.ドンマイ・ビート/13.NO MUSIC NO LIFE/14.オトナノススメ
EN1:15.YOU DON'T KNOW(with 箭内道彦)/16.ぐでんぐでん(萩原健一カバー)/17.酒燃料爆進曲/18.セバ・ナ・セバーナ
EN2:19.サスパズレ
posted by Rooftop at 14:41
|
Comment(5)
|
編集無頼帖
その後、桃やのニンニクのコマーシャル見てひっくり返りそうになりました。
序盤〜中盤、いろいろ想いが去来して、かなり感極まってしまったのですが、ライブ後とても清々しい気持ちで空を見上げていました。
まだ気持ちをうまく言葉にできないのですが…参戦できてよかった。
カズさん、界隈の人間として、そのコメントすごくうれしいです!
その一見アンバランスなバランスのよさが、「怒髪天」なんです(笑)。
横レス失礼しましたー。
メロンさんたちに卒業証書を贈ったエピソードをここでしたら、
「お花を買って来て「お疲れ様でした!」って言うのは誰にでも出来ると思うんですよ。でも、卒業証書を作ろう!と世界堂に買い物に行ったり、メロンのお嬢さん達を思って一心にはんこを彫ったり…椎名さんのことだから、卒業証書も一枚一枚丁寧に毛筆で書いたんだろうなぁ。椎名さんにしか出来ない素敵なkocoro遣いだと思います」
というメールを送ってくれる温かい人たちばかりなんです、“俺達界隈”の皆さんは。
桃屋のCMは…怒髪天を知らない人は「あれ? マチャアキだいぶ若返った!?」と思ったんじゃないでしょうか(笑)。
>smicaさん
フォローありがとう!
そう、アンバランスの妙味こそが怒髪天の大きな持ち味のひとつですよね。
俺は精一杯格好つけてもつけきらずに感極まる増子さんが大好きですよ。
と言うか、てっきり面子に入っているものだとばかり思っていました。
メロン的「全人類肯定曲」みたいなのを作ってもらいたかったです。
去年の怒髪天は近年稀に見るご多忙振りでしたからねぇ…。
でも、増子さんは“〜LOUNGE”に参加してくれたし、『音流』でも積極的にメロンを紹介してくれたし、ロック化計画の一翼は担って下さったと僕は思っていますよ。